太平洋戦争中、前線の兵士たちが愛する家族に遺した「最後の声」に耳を澄ましてほしい!真珠湾攻撃で戦死した19歳の航空兵から、冤罪にも従容として死についた62歳の中将まで、82人の遺書・書簡・日記。彼らが命と引きかえに伝えたかったものとは。
人類にとって宗教的現象とはいったい何か、人類史という壮大なスケールのなかでその展望を企てた本書は、20世紀を代表する宗教学者・エリアーデが最晩年に遺した畢生のライフワークである。この古今未曾有の偉大な業績は、仏教、キリスト教、ヒンドゥー教といった個々の宗教の理解を助けるばかりでなく、人類が創造した宗教そのものの姿を見事に描きだしている。文庫版第4巻は、ナーガールジュナまでの仏教、ヒンドゥー教の総合、ユダヤ教の試練、ヘレニズム時代におけるシンクレティズムと創造性、キリスト教の誕生、帝政時代の異教グノーシス派、神々のたそがれまでを収める。
障害者と障害者、障害者と健常者…さまざまな「愛」のかたち。障害者プロレス団体「ドッグレッグス」に集う、だらしなくも魅力に溢れたレスラーたち。現実に悩み、傷つき、戸惑いながらも闘い続ける彼らの、奇妙で純粋で明るい愛の物語。
本書は、日本近代文学館より再刊された「赤い鳥」を底本として、鈴木三重吉先生により選され、同誌に掲載された北海道の学童作文(綴り方)104編を、網羅したものである。
戦後の焼け跡、横丁のはなたれ小僧、日本経済の青春時代、高度経済成長のモーレツサラリーマン、安保と政治の季節、バブル経済の東京、そして現在…グラフジャーナリズムの旗手として、ドキュメンタリー写真家として、そして一人の日本人として、この国を見つめ続けてきたフォトジャーナリスト・長野重一の半世紀以上にわたる20世紀のクロニクルがここに完結。戦後から現在までが綴られた「記憶」に写るのは、この国を作りあげてきたあなた自身の姿でもある。珠玉のモノクローム作品、175点を収録。
現代にもこんな死にかたがあったのか!全国から寄せられた膨大な投稿から選ばれた四十編。万人の心を揺さぶり、勇気づける感動のアンソロジー。
前半「ある芸術の形成」に続く『自伝』の後半。ライトは新しく得た伴侶の「励まし」を力に、祖父の開拓した田園に生活を立て直し、20年代末の大不況に見舞われるが、景気の回復により仕事に恵まれ、創意溢れる建物を次々と創り出すとともに、生活と仕事を組み入れた建築教育を推し進める。
過疎地の心療内科の医師としてさまざまな患者の心身の問題に立ち向かい、その治療を通じて知ったこと、感じたことをありのまま表現した、心暖まる言霊集。
女性ジャーナリスト第一号の清水紫琴、「青鞜」の主宰者平塚らいてう、歌人与謝野晶子、救世軍を支えた山室機恵子、日本初の女医荻野吟子、名女優水谷八重子、大本教開祖出口なお…一度きりの人生を、自分らしく懸命に生きた明治生まれの五十二人の女性たち。その鮮やかな一生を、密度の濃い文章で描く。
米国ジョージア州デラノ。この町の初代警察署長ウィル・ヘンリー・リーは、60年前に非業の死を遂げた…時は移り、彼の孫ウィル・リーが弁護士となって帰郷し、上院議員選挙に打って出る。好事魔多し、ウィルは悪夢のようなレイプ殺人事件の裁判にまきこまれてしまう。選挙をめぐる非情な人間模様を描き切った迫真の傑作長篇。
「工人招募」の貼紙に応募してきた吃音の大男が、周囲から愚弄されながらも勇者として認められるまでを描いた1944年芥川賞受賞作「劉広福(リュウカンフウ)」、苦界に生きる女性とのかかわりに“私”の心の彷徨を重ねた戦後の代表作「私のソーニャ」、異母兄との交流を綴った読売文学賞受賞作「風祭」、ほかに文学に纒わる随想など八木義徳の代表的作品を一冊にまとめた名作選。
正しい信仰はシンプルで、多額のお金を必要としない。貴方は安心して生き、満足して死ねますか。現代の仏教に疑問をお持ちの貴方へ。仏教に親しみながら楽しんで読める法話の数々。わかりやすい真宗入門書。
本書のテーマ第一「「日本古典音楽」を見渡して考える」、「日本音楽の間」で、リズムといわず、間というのに深い意味がある。「唄(うた)字について」は、誰でも思いつくようで、これほど多面的に鋭く論じたのは珍しい。「日本の音楽理論における「中」について」は、上でもなく、下でもなく、中であることに意味がある。テーマ第二「芸能の相互関係の中でとらえる」は、日本音楽史の大きな命題。雅楽と声明と能とに詳しい著者の最も得意とする研究。テーマ第三の楽曲解説は著者の啓蒙活動の中心課題で、殊に能と長唄の関連する大曲は、著者の特に力をこめた論叢。テーマ第四「楽器の古態を絵画にさぐる」二篇は、近年、洋楽でも邦楽でも徹底を期した研究の生まれる領域となりつつある。特に著者の三味線のそれは殊のほか新規と評される。テーマ第五の文献解題二篇中の一つ「『めりやす豊年蔵』をめぐって-研究史を軸に」は、著者の最も力をこめた「研究史」的研究の実例。歌謡史研究の先覚、高野辰之、波多野賢一、藤田徳太郎の各氏等の研究に、東京芸大本、中央図書館本の校異を重ねた見事な筆致。