複雑な国情と厳しい風土の中で生きる東南アジアの人々に常に暖かな目差しを注ぎつづけ、心から愛したベトナム人の妻と娘に熱い思いを遺しながらガンで逝った著者の最後のエッセイ集。
一度だけ私を愛して下さいーこの切なる求めも拒み、心の美しい女を自殺へと追いやった男は、自己制裁の煉獄の苦しみを抱え、罪をきよめる旅に出た。そして旅路の果て、炎熱のシリア砂漠で見たものは…。人間性への深い洞察と清冽な抒情で、愛のエゴイズムを問い、ひとびとの心を豊かに潤す〈詩〉の復権を希う長篇恋愛小説
井上陽水の作品に超越論的欲望の行方と変容を探り、朝日新聞論壇時評で絶賛された画期的長篇評論。
6つの人物ノンフィクション
読み始めたら止められなくなる。そしてあなたはニクソンという人を見直すでしょう。直接に会った20世紀の世界の巨星たちの人間像と、その力の源泉を語って、これほどおもしろい読物はない。豊かなエピソード、鋭い観察、鮮やかな人間分析、卓抜な歴史観と国際政治の解剖ーそして何よりも、対象への愛情に裏付けられた、権力とリーダーシップへの深い洞察。ここでは著者自身の栄光と挫折の指導者体験がみごとに生きている。
言葉も全然わからないままにポーランドに渡った著者にとって、黒猫チャルとの出会いは、この上ない喜びだった。チャルは、異郷の生活の中で友人のような存在となっていった。人なつこく、どこにでもついてまわるチャルを介して著者は次第にワルシャワの人々に溶けこんでいく…。猫を仲立ちにあるがままのポーランドを描く。
最高のチーズバーガーは近所のチーズバーガーである。といっても、これは食べ物の本ではない。ボブ・グリーンは目玉焼をひっくり返すこともできない。じつは、コラムを本にまとめるときは、自分のいちばん好きなものを集めた本だとわかるようにしたい、と考えてつけたのが「チーズバーガーズ」なのだ。が、上の言葉、奇妙にボブ・クリーンの姿勢を言い表わしているような気がする。一日の終りに友達に電話して、今日だれに会ったと思う?と語りかけるような、ボブ・グリーンの最新ベスト31篇
記憶の世界の不可思議。過ぎし日々に焼きついた異形の風景、忘れえぬ友、師、奇人たち。夢かうつつかさだかならぬ、無名無用のイメージの群。現代綺談集ともいうべき16篇。
「ここにおさめたのは、まあ、風俗小説とか、青春小説とかいっていいようなものばかりです。私のこうした本としてははじめてです」安保闘争、内灘海岸、安田落城、マンガブーム、ロックバンド、新宿…著者が見、聞き、読んできた「70年代」の匂い、雰囲気、思いを、みごとに描いた“レクイエム・私の青春”
元オリンピック選手も失業労働者も、イギリス貴族もインディアンも、さらにはバーレスクの踊り子まで、世界60カ国から2,000人が馳せ参じた大賞金ウルトラマラソン。ロスーニューヨーク間5,000キロ、3カ月の行程にどんな冒険と人間ドラマが待つのだろう?これぞ“面白い”小説の見本と激賞された気宇壮大、爽かな感動を呼ぶ傑作。
卓抜なストーリーと意表をつくその結末。光源氏の生母・桐壷の怪死に端を発した源氏物語人殺し絵巻。サントリーミステリー大賞読者賞受賞作。
『オール読物』巻末を飾る名コラムの文庫版。連載開始の昭和44年7月号から昭和60年12月号までの17年間の全作品を発表順に収録。執筆者は、井上ひさし、井伏鱒二、開高健、永井龍男、丸谷才一、安岡章太郎、吉行淳之介氏など24人。いずれも小品ながら、極上の作品ばかり。エッセイの醍醐味を伝える198篇。
俳優とは、演技・演劇とは何かの話をまじえながら、「発声」「せりふ」「役づくり」等の基本的なことがらを、若い演出家とこれから俳優になろうとする生徒との対話を通して解説。中・高校生から職場の演劇サークルまで自由に使えて演技力を伸ばせる基礎演技読本。
食通おせいさんがカモカのおっちゃんと、ローマ、ヴェニス、マドリッド、バルセロナ、パリの五都市で赤提燈、屋台(もちろん、一流レストランも)を求めて飲み食いのハシゴをしながら、ヨーロッパの食文化、そして日本の食文化を大考察する。舌鼓を打ちつつ、ヨーロッパの下町の生活を胃袋で体験したグルメ紀行。