天正8年の4月、肥前有馬の切支丹の学問所に、コンスタンチノ・ドラードという名の少年がいた。彼が語る、天正遣欧使節に選ばれた日本の若者たちの苦難と驚きにみちたローマ往復の次第。それは8年余の歳月を要した。無為におわった彼らの青春をみごとに描破した歴史大河長篇。第15回日本文学大賞受賞作品。
「背広を何十着も持つてゐる男でも、よく着る服は限られてゐるといふ。気に入つた服ばかりひいきにしてしまふのである。話題もまた、さうではなからうか。酒席では何度もしやべつたことのある、しかし書くのはたぶんはじめての話ばかり…」と著者の言う、粋でお洒落でガクもあるエッセイ集。
貨幣経済の浸透と、盛んな商品の流通は武士や農民層を疲弊させ、一方、大商人たちを勃興させた。播州赤穂藩では、年毎に逼迫する財政を建て直そうと、さまざまな軋轢を重ねながら、塩田の開発に懸命に取り組んだ。だが、時流がまき起す数々の矛盾が、藩主浅野内匠頭を頂点とする藩士の胸裡に微妙な翳を作り出していった…。「忠臣蔵」の真相に現代の光を見事にあてた傑作長篇。
人間の顔は時代を象徴する。器量と幸運に恵まれて世界を揺がせた男たちの魅力。
アメリカはいつ、いかにして事件をキャッチし、そのときレーガンは何をしたのか。レーガン政権とNSA(国家安全保障局)のあいだにどんな駆け引きがあったのか。日本は事件でどんな役割を演じたのか。そもそも大韓航空機はなぜコースを逸れたのか。ヴィヴィッドに描かれる権力の構図。数々の新事実と大胆・明晰な推論。米ソ韓日4ヵ国を徹底取材すること2年。国家機密の壁を破って真実に迫る!
東南アジアを愛したジャーナリストの全記録。国際報道記者としてボーン上田国際記者賞を、ノンフィクションライターとして大宅壮一ノンフィクション賞を、新進作家として中央公論新人賞を。妻、娘、多くの友人達から愛され、将来を嘱望されながら45歳でガンに倒れた、新聞記者の未刊行作品を収録。
毛利元就の善謀と麾下の団結が大勝をもたらした厳島の合戦、奇兵を弄した信長が大敵を破った桶狭間の合戦、西南戦争の天王山・田原坂の合戦、戦国時代の序幕・応仁の乱、忠臣楠木正行が散華した四条畷の戦、大阪の陣における智将真田幸村の奮戦など、歴史通の著者が史書を渉猟し、その精華を摘録した滋味掬すべき歴史随想集。
実の孫にしてはじめて書けた、名匠の至芸の秘密と、“フォード一家”の男の世界。決定版伝記。
錯綜した迷路の時代に、この稀有の書を。詩人最後のコラム集、時代を読む・その2に加え30篇、同時代批評に期を画した名コラム集!