当代随一の名文家が文章術の秘密を初めて明かした!読者新聞の看板コラム「編集手帳」を十年以上に亘り執筆してきた著者が名文の生まれる裏側にご案内。「私の“文章十戒”」「刑事コロンボの教え」など、笑って、胸打たれて、ためになるー前代未聞の文章読本。
生まれなかった子が、新たな命を身ごもった母に語りかける。あたしは、海のそばの「くけど」にいるよー。日本の土俗的な物語に宿る残酷と悲しみが、現代に甦る。闇、前世、道理、因果。近づいてくる身の粟立つような恐怖と、包み込む慈愛の光。時空を超え女たちの命を描ききる傑作短編集。泉鏡花文学賞受賞。
唐代、治世の問題を真正面から取り扱い、帝王学の指南書となった『貞観政要』。幾多の戦乱を乗り越え、太平の世を現出させた太宗(李世民)が名臣たちと交わした問答を史家・呉兢が編纂。爾来、中国のみならず日本においても為政者たちが折に触れて立ち返る古典の地位を得てきた。「指導者の条件」「人材の登用」「後継者の育成」など、およそ組織運営に関わる人間なら必ず迷い、悩むであろう問題に古人はどのように臨んできたのか。本書には汲めども尽きぬ教訓が今も満ち溢れている。本文庫は明代の通行本(戈直本)を底本とし、全篇より七十篇を精選・訳出。
京は錦高倉市場の青物問屋枡源の主・源左衛門ー伊藤若冲は、妻を亡くしてからひたすら絵に打ち込み、やがて独自の境地を極めた。若冲を姉の仇と憎み、贋作を描き続ける義弟・弁蔵との確執や、池大雅、与謝蕪村、円山応挙、谷文晁らとの交流、また当時の政治的背景から若冲の画業の秘密に迫る入魂の時代長篇。
フェイクだらけの時代。真実は自分で見極めろ!渡された白いカードでコンビニATMを操作するだけで、報酬は十万円。そんな怪しいバイトに千人単位の若者を集める目的は?池袋の仲間と、新しい命を守るため、マコトとタカシが動く!
セックス、結婚、プライド、老い…。話題にしにくい、でも最大の関心事。その正しい姿をモチーフに描かれた、覗き見したい物語。
突然部長に指名された一年生男子。嫉妬、大学受験、ブラック部活問題を乗り越え、全日本へ行けるのか!?吹奏楽感動長編。
左手に宿る“兄”と俺。奇妙な2人の逃避行が始まるーある事故以来、左手から死んだ兄・海斗の声が聞こえるようになった岳士。家出した2人は殺人事件に巻き込まれ、容疑者として追われるはめに。濡れ衣を晴らそうと奔走する岳士と海斗だが、怪しいドラッグ「サファイヤ」、そして美しい彩夏との出会いで“兄弟”の思惑はすれ違いだす…予想不可能のラスト、切ない衝撃に涙があふれる。
会社の出向で移り住んだ岩手で、ただ一人心を許したのが同僚の日浅だった。ともに釣りをした日々に募る追憶と寂しさ。いつしか疎遠になった男のもうひとつの顔に、「あの日」以後触れることになるのだがー。芥川賞を受賞したデビュー作に、単行本未収録の二篇を収録した、暗い燦きを放つ三つの作品。
日本企業の「あるべき姿」を求めて私は闘い続けた。“村上ファンド”を率いて日本に旋風を巻き起こした男の、最初で最後の告白。
人格者と評判も高かった夫婦が、身体中を切り刻まれコンクリート詰めにされ埋められた。血を分けた娘と、その恋人によって…。その残虐性から世間を震撼させた『文京区両親強盗殺人事件』から18年後。事件をモチーフにした小説が週刊誌で連載されることになる。そこで明らかになる衝撃の真実とは!?極上のイヤミス長篇。
深雪は婚約者の俊亜貴を連れ故郷の雪之島を訪れる。結婚をしてありふれた幸せを手にいれるはずだった。ところが祝宴の席で深雪は思いもよらないことを島民たちから知らされ、状況は一変する。やがて俊亜貴は行方不明に…。この島、何かがおかしいー。人間の奥底にある執着心と狂気を描いた傑作サスペンス。
「夜の記憶」-『十三番目の人格ーISOLA-』『黒い家』の本格デビュー前に書かれた貴重な一編。貴志祐介ワールドの原点!「呪文」-『新世界より』の刊行後ほどなくいて発表された短編。惑星「まほろば」で何かが起きている…。「罪人の選択」-「罪人」の前に出されたのは、一升瓶と缶詰。一方には猛毒が入っている。果たして正解は?「赤い雨」-新参生物のチミドロによって、地球は赤く蹂躙された。スラム出身の瑞樹はRAINの治療法を探る。最新SF!
姿を消した人間を追跡する名人、コルター・ショウ。失踪人や逃亡犯に懸賞金がかけられると、彼は現地へ赴いて調査に着手する。つねに冷静に状況を分析する明晰な頭脳と、父に叩きこまれたサバイバル術で多くの事件を解決してきた。今回ショウはシリコンヴァレーに住む男の依頼で、失踪した娘を探すことになった。カフェを出たあと、忽然と姿を消した彼女は無事なのか?どこにいるのか?非協力的な警察に悩まされながら調査を続けるショウは、事件の背後にはビデオゲームが絡んでいることを知る。被害者を誘拐し、『ウィスパリング・マン』というゲームを模倣して監禁する犯人“ゲーマー”。刻々と死の迫る被害者たちの居場所を突き止め、彼らの命を救うために知力と体力を尽くすショウ。犯人は誰なのか。単なる愉快犯なのか。あるいは何か隠された動機があるのかー?懸賞金を求めて難事件に挑み、不可解な死を遂げた父の謎を追う名探偵コルター・ショウ。リンカーン・ライム、キャサリン・ダンスに続く新ヒーロー誕生。時限爆弾のようなサスペンスに意外な真相を仕掛けたシリーズ第一作。
次々と不可解な死を遂げるかつての同僚たちー次は自分の番か。元判事の静を狙う謎の復讐者。迎え撃つは“車椅子の暴走老人”玄太郎。
実家の米を引き取るため大型台風が迫る中、強面ヤンキーの運転する軽トラで東京を目指す女性。波乱だらけの強行軍(『田舎のポルシェ』)。不本意な形で大企業勤務の肩書を失った二人の男性が意気投合、廃車寸前のボルボで北海道へ旅行することになったがー(『ボルボ』)。「憧れの歌手が歌った会場に立ちたい」。女性の願いを叶えるため、コロナで一変した日本をロケバスが走る(『ロケバスアリア』)。
「できなかったことができる」って何だろう?技能習得のメカニズムからリハビリへの応用までー「できる」をめぐる体の“奔放な”可能性を追う。日々、未知へとジャンプする“体の冒険”がここに。
小説家・マッツ夢井のもとに届いた一通の手紙。それは「文化文芸倫理向上委員会」と名乗る政府組織からの召喚状だった。出頭先に向かった彼女は、断崖に建つ海辺の療養所へと収容される。「社会に適応した小説」を書けと命ずる所長。終わりの見えない軟禁の悪夢。「更生」との孤独な闘いの行く末はー。足下に拡がるディストピアを描き日本を震撼させた衝撃作、待望の文庫化!