現代社会における思想・文化のさまざまな分野から注目をあつめている空海の雄大な密教体系!開かれた密教を念願する空海研究の第一人者が、長年の研鑽をふまえて、平易に空海の生涯と思想を浮彫りにする最良の入門書。1章では、日本仏教史における密教の位置づけ、最澄との交流からみた空海密教の立場と特質など。2章では、文化人としての空海の全軌跡を絵巻のストーリーから、また恵果との出遇いや綜芸種智院の教育活動など。3章では、空海の著作を読む場合の手引きなど。4章では、空海ゆかりの高野山と四国八十八ヶ所霊場を紹介する。
フロイトはその最晩年、自身の民族文化の淵源たるユダヤ教に感じてきた居心地の悪さに対峙する。それは、“エス論者”として自らが構築してきた精神分析理論を揺るがしかねない試みであり、「生命と歴史」という巨大な謎と正面から格闘することでもあった。「もはや失うものがない者に固有の大胆さでもって、…これまで差し控えておいた結末部を付け加えることにする」-ファシズムの嵐が吹き荒れる第二次世界大戦直前のヨーロッパで、万感の思いをこめて書き上げられた、フロイトの恐るべき遺書。
本書は、スキンケアに関する実際の相談例を挙げて、症状判断に至る考え方、その対処法について、中医学理論をベースにやさしく解説している。
奇妙な出来事なのになぜかリアルなこの感触は、いつか見た夢とそっくり?詩人・大下さなえのwebサイト『きゅぴ島』にて公開された、漫画家・西岡千晶(西岡兄妹)とのコラボレーション「きゅぴな毎日」に書き下ろしを加え、新たにイラストを描き下ろした26編の詩画集。
幕末の混迷期、なす術を知らない三百諸侯のなかで、自らの才質をたのみ、また世間の期待を集めた「賢侯」たち。かれら土佐の山内容堂、薩摩の島津久光、伊予宇和島の伊達宗城、肥前の鍋島閑叟は「藩主なるがゆえに歴史の風当りをもっともはげしく受け、それを受けることによって痛烈な喜劇を演じさせられた」。
翻訳とは、原文の深層に横たわるメッセージを探り当て、それに翻訳語の形を与えて原文の「姿」を再構成することであるーでは、多義的で抽象性が高く、文語と口語の差が著しいフランス語を、的確な日本語に翻訳し原文の「姿」を再現するコツは何か。どんなポイントを押さえ、どういう方法を駆使すればいいのか。文法項目ごとに豊富な訳例を掲げ、解釈の基本から日本語の表現方法まで多彩な技術を伝授する、実践的翻訳術。上巻はフランス語の特性、訳しにくい名詞、品詞を変えて訳す(形容詞)、そのまま訳と加減訳(副詞)、翻訳と人称分裂、「説明」の時制・「語り」の時制(動詞)など26章。
歴史は、一点、急所を学べ。急所に絞って精しく学べー。明治大学で教壇に立ち、日本史を教えた経験から語る「歴史と文学」。全収録作品に、明快な脚注。
小学生の時の仲良し三人組が偶然十数年ぶりに再会した。スケジュール帳を一杯にしたがるOL亜理子、頻繁に手を洗わないといられない梨紗、見栄っぱりで嘘ばかりつく恵美。三人の遠い過去が少しずつ掘り起こされ、あの夏の日の封印された事件が甦る。三人が交わした秘密の「約束」とは何なのか。衝撃の心理サスペンス長篇。
翻訳とは、原文の深層に横たわるメッセージを探り当て、それに翻訳語の形を与えて原文の「姿」を再構成することであるーでは、多義的で抽象性が高く、文語と口語の差が著しいフランス語を、的確な日本語に翻訳し原文の「姿」を再現するコツは何か。どんなポイントを押さえ、どういう方法を駆使すればいいのか。翻訳作業の現場に即したテーマごとに豊富な訳例を掲げ、解釈の基本から日本語の表現方法まで多彩な技術を伝授する、実践的翻訳術。下巻では「視点移入」をキーワードに、大胆な発想の転換によって言葉の違いの深遠に翻訳という橋を架ける技、「こなれた訳」を超える極意を披露する。
本書では、静定構造物を対象とした建築構造力学を理解するために例題・図・写真を豊富に示して説明している。前半では、構造物の反力および部材内に生じる力を扱い、後半においては、断面に生じる力、部材の変形を扱っている。
神名平四郎。知行千石の旗本の子弟、しかし実質は、祝福されざる冷や飯食い、妾腹の子である。思い屈し、実家を出奔、裏店に棲みついたまではよいのだが、ただちに日々のたつきに窮してしまう。思案の揚句、やがて平四郎は奇妙な看板を掲げる。…喧嘩五十文、口論二十文、とりもどし物百文、よろずもめごと仲裁つかまつり候。
世に揉め事の種はつきぬとはいえ、依頼主のもち込む話は多彩を極める。中年夫婦の離縁話、勘当息子の連れ戻し、駆け落ち娘の探索等々。武家と違い、万事気侭な裏店にも、悲哀にみちた人生絵図がある。円熟期にあるこの作家の代表的連作シリーズ、愈々佳境。人の姿、世の姿の哀切な陰影を端正に写し出す話題作。
死の予感と家族への愛。茶封筒の中から偶然発見した原稿用紙への走り書きは姉の遺言だった。没後二十年、その詳細を、実妹が初めて明らかにする。
秘密の窓を開ければ…ピューリツァー賞作家が贈る小さくて贅沢な、迷宮。カラー34点収録。