「シンデレラ」は、プロコフィエフの6番目のバレエ曲。「兵士の物語」は、制約された条件下での小規模な作品だが味わい深い。本作の初演者、アンセルメによる歴史的な録音で楽しめる。
これってほんとうに植物?…宝石のように美しく、オブジェのようにユニーク。可憐で神秘的で奇怪!誰もが飾りたくなる植物、それが多肉植物です。この本は、多肉植物の基本的な育て方や殖やし方、寄せ植えの楽しみ方をはじめ約160種類の図鑑からなっています。
戦国大名がしのぎを削った乱世の日本。その裏側で、忍びの者たちは熾烈な闘いを繰り広げていたーみじめな生活から逃れるべく伊賀を抜けた若き下忍の運命を描いた「下請忍者」、武田信玄が織田信長のもとに送り込んだ謎の忍者を取り上げた「忍者四貫目の死」、優れた術者二人が死力を尽くして対決する「伊賀の四鬼」等、司馬遼太郎が世に送り出した忍者小説五篇を収録した短篇集。文庫オリジナル。
源氏物語には795首の和歌が登場する。ここぞ、というときの和歌は、恋のゆくえを大きく左右する。心の結晶である和歌を、小石のように飛び越えてしまうのではなく、氷砂糖をなめるように味わったならば、源氏物語の世界はさらに豊かな表情を見せてくれるだろう。千年の時を越え、「万智訳」でよみがえる愛の物語。
「かわせみ」へ奉公に来た頃は、山出しの猿公といわれたお石だが、女中頭のお吉の丹精の甲斐あって、気のつく働き者の娘に成長した。ある日、大店の嫁にという話がくる。一大決心で嫁ぐことにしたものの、お石も「かわせみ」の人々もその日を思うと何故かしら涙が出てきてしまうのだった。表題作ほか全八篇。不朽の人気シリーズ。
浪人生の高岡裕一は、奇妙な断崖の上で3人の男女に出会った。老ヤクザ、気弱な中年男、アンニュイな若い女。そこへ神が現れ、天国行きの条件に、自殺志願者100人の命を救えと命令する。裕一たちは自殺した幽霊だったのだ。地上に戻った彼らが繰り広げる怒涛の救助作戦。傑作エンタテインメント、遂に文庫化。
親鸞はいかなる人物か。その思想はどのような今日的意義をもっているのか。親鸞に親しむほどに既成教団を否定せざるをえず、浄土真宗の末寺に生まれながらあえて寺院を離れた著者が、一市民として全存在をかけて親鸞の求道に分け入る。自己の無力を知り弥陀の本願に依ることでどのような者も救われるという「絶対他力」の教えは、ケガレを忌み、占い、苦行や作善、祖先崇拝に救いを求めた中世人に、いかばかりの衝撃をもたらしたか。中世の「聖なる世界」の構造をトータルに把握し、そのなかで親鸞が切り開いた「絶対他力」という「普遍への回路」を明らかにする、渾身の著。
イメージは頭にあるのだろうか、それとも身体が感じるのだろうか、そして言葉はそれとどのようにかかわるのか。人は時間を、そして音をどのように知覚するのか、あるいは、それは客観的に計測できるのか。哲学や諸科学がさまざまに論じてきたこれらの問いに正しい「表現」を与えるべく、世界的ミュージシャン・坂本龍一の問いかけに、時間と感覚について独自の思考を展開させてきた哲学者・大森荘蔵が応える先鋭的な哲学講義録。1980年代の傑作対話がここに。
昭和の日本を代表する喜劇舞台役者・藤山寛美の名舞台を収めるシリーズ。松竹新喜劇のスターとして活躍し、阿呆役を演じれば天下一品と評された彼の演技が心ゆくまで満喫できる。
フルート演奏家・作曲家でもある椿英輔子爵が謎の失踪。一ヵ月半後、信州で死体となって発見される。「このうちには悪魔が棲んでいる」。失踪前娘の美禰子に語った言葉は何を意味するのか。そしてついに、子爵作曲のフルート曲『悪魔が来りて笛を吹く』の音とともに、奇怪な連続殺人が幕を開ける。何かに脅える妻、夫人の兄・新宮利彦、子爵の伯父玉蟲伯爵。この没落した貴族たちは何を隠しているのか。金田一耕助がたどり着いた、世にもおぞましい「悪魔」誕生の秘密とは!?戦後、全ての特権を剥奪された貴族階級を舞台に、著者得意の「閉鎖的な田舎」とは一味違う雰囲気でおくる本格探偵小説。
田宮模型は自他共に許す世界最大のプラスチックモデルメーカー。プラモデルのために実車のポルシェを解体してしまったという「伝説」の社長。その彼を取り巻く人々も負けず劣らずユニークだ。CIAに始まり、カルロス・ゴーン氏、韓国元大統領、カイロの小学生、そして偉大な父まで。伝説の模型屋を作りあげたさまざまな人間群像を紹介。
燎平は、新設大学の一期生として、テニス部の創立に参加する。炎天下でのコートづくり、部員同士の友情と敵意、勝利への貪婪な欲望と「王道」、そして夏子との運命的な出会いー。青春の光あふれる鮮やかさ、荒々しいほどの野心、そして戸惑いと切なさを、白球を追う若者たちの群像に描いた宮本輝の代表作。
退部を賭けたポンクと燎平の試合は、三時間四十分の死闘となった。勝ち進む者の誇りと孤独、コートから去って行く者の悲しみ。若さゆえのひたむきで無謀な賭けに運命を翻弄されながらも、自らの道を懸命に切り開いていこうとする男女たち。「青春」という一度だけの時間の崇高さと残酷さを描き切った永遠の名作。
深夜、東京の閑静な住宅街に一台のトラックが突っ込んだ。やがて起きる二つの殺人事件。事故と事件をつなぐ奇妙な鍵を炙り出す表題作。併録は人気ドラマの原作。上流家庭を気取る一家に家政婦として入った信子。どんなに表向きは幸せそうな家庭にも必ず不幸はあり、それを発見するのが信子の秘かな愉悦だった。