本書では、トラウマとジェンダーが重なる問題として、対人的なトラウマ、それも親密な関係における長期反復的なトラウマであるドメスティック・バイオレンスや性暴力、児童虐待の事例を数多く取り上げ、議論しているが、これらは社会的にも対応に危急を要するテーマでもある。臨床にすぐ役立つ、ジェンダー・センシティブなアプローチの要点を提示し、さらに、臨床現場にトラウマとジェンダーの視点をとり入れることで、具体的にクライエントの何を見、どのような働きかけをし、どんなことに気を配るかを事例検討で明らかにしている。
お茶の水女子大学21世紀COEプログラム「ジェンダー研究のフロンティア」の研究プロジェクトの一環として、2005年度(平成17年度)から2007年度(平成19年度)に得られた成果をまとめたもの。
「男らしくない」「もしかしたら“ゲイ”かもしれない!?」-誰にも言えずに苦しみつづけた思春期の頃。悩み抜いた末に見えてきたものとは?日常を「フツーに生きる」ことを実践する著者が、悩み多き十代たちに「自分の性を大切に」と語りかけます。
「人種」が生物学的実体をもたず、社会的構築物にすぎないことが了解されて久しい。にもかかわらず、人種がいまだに強固な社会的リアリティをもつのはなぜだろうか。本書は、スポーツから、ヒトゲノム、絵画、社会運動にいたるまで、さまざまな領域にみられる表象に着目し、人種のリアリティを生み出すその主体的役割に光を当てる。分野横断的かつ地域横断的研究が生み出した、人種研究に新たな一頁を加える刺激的な一冊。
セクシュアリティはいかに語られてきたのか。私たちは、政治・経済的支配関係の中でディスコースによって与えられた意味にしたがって、性的自分や性的経験を理解し、また性実践を行っている。自明とされる規範としての異性愛を批判的に検討し、「欲望の社会記号論」によって言語研究に社会の権力構造における抑圧、矛盾、沈黙をも取り入れていこうとする試み。
文化的・社会的に構築されたセクシュアリティは、現在どこまで揺らいだか。排他的で抑圧的な異性愛規範を踏み破り、自らのセクシュアリティを選択する人、性暴力被害の当事者、性産業で働く人の声が制度や法を動かし始めた。これまで聞かれることのなかった多様な声を収録。
本書の中心主題は、ヒューマン・セクシュアリティは生物学的ルーツに強く結びついているという事である。脳とホルモンとの間にある生物学的機序を調べてみなければ、性的感情や性行動、男女の違い、あるいはゲイとストレートの違いを理解することはできないだろう。さらに、われわれのセクシュアリティを現状のように発展させてきた進化の力も理解する必要があるだろう。本書ではこれらの研究に関する事例について述べている。
現代社会で育まれた先鋭な視点を通して第二波フェミニズムの諸テーマを再検討し、フェミニズムの新たなステージを切り開く。現代の生・性・思想に貫通するカラクリを探き出す挑戦的16編。
恋愛や性愛はどのようなものとして表象/実践されたのか?戦後のセクシュアリティ規範を問い、親密性の内実を歴史的に解明する。
セクシュアリティ研究の名著、ついに翻訳刊行。グローバル化とデジタル革命によって加速するセクシュアリティと親密世界。21世紀における倫理を、LGBTの日常から生じる「生の実験」に基づいて立ち上げていく過程を克明に描く傑作。
東アジアの性、家族、社会。何が変わり、何が変わらなかったのか?2000年代以降の状況を気鋭の研究者たちが新たな視角から切り込む。
同性愛を異質化し、周縁へと追いやる異性愛主義は、19世紀末に始まったものにすぎない。メルヴィル、ニーチェ、プルーストなどを読み解きながら、その中にホモ/ヘテロセクシュアルの分断を不可能にする揺れを発見し、セクシュアリティの混沌を見つめる。その後の文学研究に圧倒的な影響を与えた、フェミニズム/クィア理論の最重要書。
性について子どもにどう話せばよいのか、悩んでいる保護者へのメッセージ。タブーとされがちな性の問題に取り組むための実践的な方法を、自閉症児の親ならではの繊細さと経験を交えて紹介!体の変化や生理、男性と女性の問題を別個に解説。公的私的な場所における性行動、性的虐待、性別を超えた指導なども網羅。