本巻は、「図形」篇と「決定性と偶然性」篇の諸項目から成り立っています。この後篇の内容は目次からわかるように解析学と確率論に関する部分ですが、このような哲学的な標題にしたのは、第1巻の「数学の歴史」篇「新時代」の項で、関数や微分・積分は未来を予測できるもの、決定論的なものという世界観をもたらしたのに対して、量子力学やカオスの理論からは予測不可能な観点を生じさせたことを述べているのと関連があるものと思われます。
本講座では、日本における移民問題の全体像を総体的に把握しながら望ましい外国人移民の受け入れ政策と多文化共生社会への転換を構想している。本巻ではアメリカ、フランス、ドイツ、イギリス、統合ヨーロッパなどの先進国とブラジル、中国、フィリピンの主要送り出し国の移民政策を比較する。
本書で取り扱う時間スケールは、最終氷期最盛期以降今日までの数万年間である。この間、自然環境は大きく変化した。ここでは、その中でもとりわけ変化の激しい沖積平野をとりあげ、地形環境の歴史的変化とそれへの人間活動の対応との関係を明らかにしようとした。
東方拡大、ユーロの導入などが記憶に新しいEUであるが、北米・東アジアと並ぶ世界の極としてのイニシアティブを発揮すべく、直面する様々な課題に取り組んでいる。その中でも本書は環境保護と多文化共生に着目し、多様な歴史や宗教を持つ多民族がいかに共生していくか、地球温暖化対策を中心とした環境政策でいかに世界をリードしていくかなど、様々な取り組みを紹介していく。
日本経済史の研究とはどのような研究分野か、実証の基礎となる資料とはどんなものか、論文を書くときにはどんなことに注意すべきかなど、経済史研究を志す若い世代に贈るガイドブック。
電子技術時代の日本語表記と印刷・伝達形式を考えるとともに、コンピューター以前の書き言葉のあり方を見なおし、新しい技術を歴史的文脈において評価する。
北海道から沖縄まで、住居、炉、焼集石、貯蔵穴、落し穴、土器・石器製作、攻玉、製塩跡、貝塚など集落内の生業・生活関連施設を取り上げ、地域ごとの特色を示す。発掘された全国各地の縄文時代の生活・生業施設を網羅した決定版。
「東洋のマンチェスター」「商都」と呼ばれた近代大阪の発展プロセスについて、機械工業、輸出雑貨工業、公設試験研究機関の視角から稠密に探究する圧倒的労作。諸産業の集積と多様性を育みつつ発展する姿をとらえ、産業集積、製造問屋、公設試験研究機関の果たした役割を解明する。
植民地から第二次大戦後の解放、そして経済成長をへて誕生した「資本主義アジア」。グローバル経済の波をうけ、さらなる激変の時代を迎えるアジアの資本主義に、レギュラシオン理論からアプローチ。国民経済分析を中心としてきたレギュラシオンに、国際関係や世界経済の分析を重ね、アジア資本主義の実像に迫る。フランス・中国・韓国の研究者との共同研究。
本書の主目標は「代数多様体の標準環は有限生成である」という大きな定理の証明である。証明で用いられる極小モデル理論は、様々な国々に散らばった数多くの数学者たちが代数・幾何・解析の手法を総合し、近年になって大きなブレークスルーを生み出してきた。この三十数年間にわたる成果の集大成ともいえる書である。
新たな分析視角から理論・実証を提示。理念論争に終始しがちな公私ミックス論を、福祉国家論の変容の中に位置づけ、年金・医療・介護の国際比較とフランス・米国・日本の医療保険の事例分析をもとに、理論的・実証的に検討する。
民主政治の根幹をなす選挙は、はたして公正・中立に行われているのか。選挙制度が選挙結果に与える影響は既に多くの研究がなされているが、選挙実務そのものがいかなる影響を及ぼしているかを、国内外の実態調査から余すところなく解明する。本書では、世界各国の選挙ガバナンスの多様性を紹介し、選挙管理制度がなぜバリエーションに富み、いかなる選挙ガバナンスが選挙管理の質、民主主義の質に良好な影響を与えるかを考察する。
エコロジーとデモクラシーが結びつき、人々の心に触れる都市を創るー。本書はそのための都市形態の理論と豊富な事例からなる。ビジョンなき時代の都市デザイン、まちづくりに明確な方向を与え、現在の閉塞状況を突破するエコロジカル・デモクラシーのデザイン、その「3つの都市形態」と「15のデザイン原則」がここにある。
近年、世界中で外国人や移民に対する排外主義の嵐が吹き荒れている。近代化と民主主義化の進展により成熟したはずの先進諸国において、なぜ外国人や移民が排除され差別され続けているのであろうか。本書は、二〇〇〇年代以降に突出してきた外国人移民排外主義について、各国の特徴を分析し解決の方向を模索する。
本書は、イギリス在住のキュレイターであるレーナ・フリッチュが、「西洋」の視点と日本文化への深い造詣を総動員した日本写真史の概説書である。豊富な写真と丁寧な解説で写真の歴史を辿り、入門書でありながら有用な解説書ともなっている。森山大道、荒木経惟、川内倫子など、日本写真史のなかで重要な位置を占める写真家へのインタビューも収録した。国際共同出版として、写真評論家・飯沢耕太郎氏の翻訳監修により日本語版を刊行する。