本書は、思春期という特殊な時期について、また思春期に見られる個々の病理について、最新研究や報告を踏まえて、現在どのような視点から考えられ、どのような治療的アプローチがなされるようになったかを16人の経験豊かな臨床家が論じたものである。まず、従来から思春期臨床の中心テーマでありつづける境界性パーソナリティ障害・摂食障害をはじめ、わが国の思春期に特徴的な不登校・ひきこもり、そして社会不安障害(social anxiety disorder:SAD)の視点から捉え直されつつある対人恐怖症などの現在的な問題を取り上げる。つづいて、近年注目を集めている思春期のうつ病、発達障害、身体醜形恐怖、解離性障害などの新たな問題に触れ、最終部ではますます深刻化する自傷、自殺、性的非行など、行動化の問題にも考察を加えた。それらの疾患に対する、認知行動療法、心理教育などの近年登場した新たな治療的アプローチを、豊富な臨床例を通して解説している。
前著『諌早少年記』は、団塊の世代の生んだ少年小説の最高傑作という評価を得た。本書は、その続篇ともいうべき、同じ地方都市を舞台にした、思春期の若者群像劇である。しかし、ここには思春期に特有のもやもやがもやもやと描かれているわけではない。『諌早少年記』と同じく、ぴんと張った「少年の目」で、思春期のどたばた騒ぎが活写されているのである。60年代地方都市の若者群像劇。
子育てに自信をなくしそうになったとき、この本を開いてください。多くの親子関係を再生させてきた家庭教育支援のプロが新たな一歩を踏み出すヒントを教えます。反抗、ひきこもり、不登校、いじめ…。10代に起こりがちな問題を解決するための実践アドバイス。
患者さんの人生が、いくらかでもくつろぎや楽しみのあるものになってほしいーそんな思いをたずさえながら臨床を続けてきた精神科医30年の覚え書き。
「精神科治療学」誌にこれまで掲載されたアスペルガー症候群(障害)に関する26論文を収録。現在は品切れとなっている号の論文を含め、資料的にも貴重な論文をそのまま掲載。重要文献が満載。
本書は、10年以上にわたって行われている「精神分析的精神療法セミナー」の実践記録を基に、類書にない新しい効果的演習方法を公開するものである。転移・逆転移、抵抗、解釈、ワークスルー、抑圧、治療構造等、各章はいずれも優れて臨床的なテーマを取り上げている。スーパーヴィジョンによる症例の徹底検討とそこから浮き彫りにされる基本的精神分析概念の学習討論を通して、読者は臨床実践の中で本当に患者のためになる技法と理論を身につけることができるであろう。
思春期を迎え、親の言うことをきく「いい子」だったわが子が急に反抗的になると、親はどう接すればいいのか途方にくれることになります。傷害事件として問題が露呈することもあれば、一歩手前のグレーゾーンで悩んでいる子も多いのです。本書は、子どもが発する多種多様で難解なサインを受け止め、それをよりよい親子関係作りのチャンスに変える方法をプロの臨床心理士が教えます。
本書は、全体を思春期、青年期の2部構成とし、それぞれの段階における心理的・社会的な発達課題やそれに対応した問題、さらには心理臨床的支援について、現代的な幅広い視点から解説した教科書である。心身ともに成長著しいこの時期に出会う社会との関わりの重要性を、時代と社会の変遷を踏まえて紹介し、各段階に特徴的な問題や病理について事例を交えて詳しく解説する。また、心理療法における問題点や留意点にも言及している。