男装して情報屋として働くシルヴィアは花街でカモにされかけていた聖騎士、アルヴィンを助けたのをきっかけに従者として彼の人捜しに付き合うことに。旅の間、彼の実直で誠実な優しさをからかいつつも強く惹かれていくシルヴィア。女だとばれるがいなや思いつめていたアルヴィンに速攻プロポーズされ熱く甘い夜を過ごすも、シルヴィアにはもっと重大な秘密があって!?
雨かんむりの漢字の一群は漢字の成り立ちを知るためには典型的で格好の一群でもある。なにせ雨は古来、人々の上に降っていたのだから。「霽れる」という字は「晴れる」よりも古くからあった。これは漢字の呪術的起源と関係がある。「零」はなぜ「0」を意味するようになったかーなど「霙」「霜」「雷」から「霹靂」「霍乱」まで、さまざまなエピソードで解き明かす無類に面白い漢字エッセイ。
人はどこから来てどこへ行くのか?四十代でがん闘病、東日本大震災での間接的喪失体験を経て、生老病死について思索を深めていく。治療や瞑想をし、鈴木大拙、柳田邦男、多田富雄、島薗進などの著作を読み耽り、仏教・神道・心理学を渉猟しながら「生」と「死」、「わたし」と「いのち」、「時間」と「存在」について辿り着いた境地を語る。
神は死んだーニーチェの宣告は、ユダヤ・キリスト教文化を基層としてきた西欧思想に大きな深い「断層」をもたらした。「神の力」から解き放たれ、戦争と暴力の絶えない二〇世紀に、思想家たちは自らの思想をどのように模索したか。ウェーバー、フロイト、ベンヤミン、アドルノ、ハイデガーらの、未完に終った主著から読み解く。
十八歳のおてんば娘、お北ー。江戸は日本橋の老舗“湊屋”の一人娘だが、正伝鬼倒流柔術を学び、男にも負けない実力もあった。そんなお北が鶴亀藩士の緒方弥十郎と、黄金の月光菩薩像を大坂に届けるため、東海道を旅することになった。だが、奸計を企む国家老一派が、御家乗っ取りの鍵となる像を奪うため二人を亡き者にしようとする。敵が雇ったのは、銀猫お万が率いる紅蓮組。弥十郎とお北は、「弥次喜多道中記」よろしく、町人の“弥次さん”と“喜多さん”に変装して旅を続ける。凄腕浪人や艶っぽい刺客が次々と襲いかかる中、お互い惹かれ合う二人であったが、やがてお北の驚くべき真実が判明して…。書下ろし番外篇「湯本の夜」を収録した、“乱愛シリーズ”の傑作!!
球団創設初のリーグ優勝を果たしたプロ野球・東北楽天ゴールデンイーグルス。9年前、球界再編の果てに「50年ぶりの新球団」として誕生して以来、その歴史は波乱に満ちたものだった。首位から51.5ゲーム差という歴史的大敗を喫した1年目、野村克也監督時代のチームの成長、「震災」と向き合いながら戦った2011年のシーズン、そして2013年、田中将大の怒涛の連勝記録とチームの快進撃…。戦力も設備もなにもかも足りなかった球団は、どうしてここまで強くなれたのか。仙台、東北とともに歩んできたイーグルスの歴史を、創設メンバーの選手として2012年まで活躍した山村宏樹氏が、チーム関係者・選手の証言とともに振り返る。
「東京M市の住宅街で一家が惨殺されるという放火殺人事件が発生しました」テレビの女性キャスターが現場から実況放送を伝えた。同僚と北海道旅行を楽しんでいた妹は、遺体の安置してある病院に急いで向かった。M警察署内三階の大会議室に一家殺人事件の捜査本部が設置された。父親はW大学の教授で、次期総長選を控えていた。捜査本部は、怨恨の線から捜査を開始した。すると、事件当夜から行方不明の殺された姉の婚約者の存在が浮上したー。「一家惨殺」の裏に潜む、驚愕の真相に迫った社会派ミステリーの傑作!!
村はずれに一人で暮らす陽紫苑は、男勝りで男装をし、あやかし退治で日銭を稼いでいる。ある日、絶世の美少女が依頼をしに訪ねてきた。なんとその正体はー女装した皇太子だった!皇帝より後宮で妃や女官を喰らうあやかし退治を命じられたが、いっこうに尻尾を掴めないでいるらしい。紫苑は高額の報酬と引き換えに、男装妃として後宮に乗り込むことに!?中華後宮ファンタジーロマン!
なぜ記者は殺されたのかー。真相を抉る危機一髪の捜査行!警視庁捜査一課長直属の特務捜査員として凶悪犯罪の捜査に就く村瀬翔平。単独で手がかりを探し難事件を解決に導いている。日東テレビ報道記者・内海健斗がスリングショットで射殺され、村瀬は捜査を命じられる。内海の新聞記者時代の元上司や誤報記事の関係者証言から、内海が有力政治家の不正を追及していた事実を掴むが…。
双子の兄の死を隠すため性別を偽り、王位に就くことになったアレクサンドラ。周囲の手を借りつつ聡明な彼女は滞りなく国を治めていたが、初恋の相手のトラントの国王、ジョスランが国を訪れた際、溢れる思いのままカツラと仮面で変装した女性の姿で彼に会いに行ってしまう。「君が欲しい。君を奪ってもいいだろうか?」お互いに一目で惹かれあい、愛を確かめあった。その後も本当のことを言えぬまま、密かな逢瀬が続くが!?
2016年4月、熊本県及び九州一帯を襲った熊本地震は、地下にひそむ活断層がずれ動いたことで起きた。西南日本では、この20年ほど内陸地震と火山活動が活発化しており、この状況は南海トラフ巨大地震までおさまらないと考えられる。日本列島に活断層が多い理由、列島が形成されたメカニズムをひもときながら、「プレートの交差点」に位置する日本列島の将来を専門家が易しく解説する。