スティーヴ・コンランなんていう男性になど会うものですか。離婚後、娘を一人で育ててきたメグは憤慨していた。娘がメグの名で勝手に恋人募集の広告を出し、連絡してきた相手と会う約束を取りつけてしまったというのだ。だが一時間後、黒のメクシーなドレスに身を包み、メグは約束の高級レストランの前に立っていた。スティーヴもまた妹の策略で見ず知らずの女性と食事をする羽目になっていた。ともに自らの意志からではないデートに重い気分だったのに、食事が終わる頃、互いのフィーリングがぴったりなのを認めていた。帰りの車の中、メグはひそかに思った。私は彼のことを忘れられそうにない…。
家柄だけは申し分のない令嬢ミス・アントニア・デーンは、放蕩三昧の生活で財産を使い果たした亡き父と兄からイングランド南東部のハートフォードにほど近いライ・エンド館を引き継いだ。打ち捨てられ、悲惨なありさまとなったその屋敷を、隣家の大荘園領主マーカス・アリントン卿が買い取りたいと申し出た。彼は会ったその日にアントニアの唇を奪った男。デーン家の遺産を守るために断ったアントニアだったが、マーカスへの思いは会うたびにふくらんでいった。そして、とうとうプロポーズされたときには結婚を承諾した。マーカスの手に、瞳に、熱い思いがこもっていると信じた。ああ、けれどもそれが偽りだったとは。
パリの『オペラ座』の地下に棲みついた怪人が、美しいオペラ歌手のクリスティーンに恋をし、その思いを遂げるため次々と人を殺す、ガストン・ルルーの名作、『オペラ座の怪人』。その殺人劇の幕開けは、カルロッタの凄惨なる死ー。時をへだて、ここ日本で、あの悲劇が、再び演じられてしまうのかー。金田一ミステリーが英語になった。ハジメちゃんの国際デビュー。巻末単語解説つき。
都会に住む孤独で、人見知りがちな男と女がバーで出会い、徐々に心を開いてゆくプロセスをペーソスを交え、激しいまでに描くシャンリー戯曲の会心作。
親友・桐島一期のアリバイ作りに協力した俺は、一緒に行った料亭で、なんとあの有名な俳優・東郷征爾と同席することに。いったい2人はどういう関係なんだ?そのうえ、俺を送ってくれた東郷さんの秘書・高柳湊が、『味見して、いいかい?』なんて言ったかと思うと、いきなり俺の唇を奪った!揚げ句、『ゴチソウサマ』…?ふ、ふざけるなーっ!!でも可愛い一期の頼みは断れなくて、俺はひたすら湊のセクハラに耐えていた。そんな時、一期と東郷さんの密会がスクープされてしまってー。
本書を読めば
真冬のパリ。精神分析医のミッシェル・デュランは薄暗い診察室で患者のオルガ・モンティニャックの話を聞いていた。オルガは窃盗癖とマゾヒスティックな性癖を持つ人妻で、その日もサディストの夫マックスとの異常な性生活を語り続けていた。彼女の話をうとうとしながら聞いているうちにデュランはいつしか眠り込んでしまいひどい夢を見た。夢の中でオルガと夫のマックスが取っ組み合いの喧嘩をしており、マックスがドアを乱暴に閉めた音でデュランは目が覚めた。彼はソファに寝そべっているオルガに声をかけるが反応がない。オルガは絞殺されていた。誰が殺したのか?自分か?それともマックス?フランスで絶賛された傑作サイコ・ミステリー。
『日星学園一の女たらし』と評判の一関周。天から二物も三物も与えられたようなルックスの周の唯一の欠点は、女と見れば見境なく迫り、あげく一回キスしたらそれきりという性癖。親友の清湍藤は呆れて冷たい目を向けるが、周は全然悪びれない。実は去年のVDにうたた寝していた周のキスとハート(!)を奪った犯人を探しているのだ。そして迎えたVD。勝負をかける周の前に、キス泥棒は自分だという女の子が現れた。けれど、その日を境に藤の様子がおかしくなって…。波乱の予感いっぱいの胸キュン学園LOVE。
製薬会社の研究員、内山知憲は、周囲から変人扱いされながらも細菌をお友達に楽しく仕事をしていた。そんな知憲にある日突然下った異動命令。新しい職場で待ち構えていたのは野性的な外見に反してかなり頭のキレる男、奥村広大だった。新商品開発のため、強制的に広大と温泉巡りをする羽目になった知憲。けれど彼の、人に触れない、一緒に風呂に入れない、人前で食事するなんてもっての外、という人間離れした所業の数々に驚いた広大に『俺が更生させてやる』と宣言され…。うれしはずかし湯けむり浴場(欲情?)ラブ。
これは激しい陣痛による幻覚症状に違いない。シカゴでも指折りの名医の彼が、どうしてここにいるの?出産で診療所に運ばれたレキシーは、立ち会いの医師を見て驚いた。シカゴに住んでいたときの隣人で一度だけ夜をともにしたタイラーだ。あの夜レキシーはリストラで職を失い、故郷に戻ることになっていた。だが普段と違って憔悴したタイラーに会い、ディナーに誘われるとずっと彼に憧れを抱いていた彼女は街を去る感傷も手伝ってノーとは言えなかった。そして、そのまま愛をかわしてしまったのだ。翌朝幸せに満ちて目覚めたものの、彼が見せた冷たい態度に傷つき、レキシーはすべてを忘れて一人で生きていく決心をして帰郷した。それなのにタイラーが再び目の前に現れ、作り笑いを浮かべている。たった今、自らが取り上げた子があの夜の情熱の証とも知らずに…。