モスクワで3年間すごした著者が見た、ペレストロイカに揺れ惑うフツーの若者の希望と落胆、自由と不自由とは何か?酒、タバコ、マリファナ、フリーセックス、闇商売-。ゴルバチョフもおそらく知らない彼らの日常生活から明かす注目の異色リポート。
貴花田、若花田、寺尾をはじめいまや二世力士の活躍はめざましいものがある。力士としての素質はもちろんだが、その他に何かがある。父の活躍と合わせ増位山以来12人の父子力士の謎を解く。
「別の自分になりたい」幸子は、そんな動機から、夏休みを利用して高岡から東京のタレント養成所へやってきた。従姉の朱美のBF一也が出迎えてくれたが、偶然に美花と出会って、憧れのリョウが人殺しをして鑑別所に入ったことを知った。幸子はさっそくリョウに会いに行って、真偽のほどを確かめようとしたが、リョウに冷たくあしらわれた。幸子は割り切れない気持ちで鑑別所を後にした。
伊達で情熱的な義父を囲む仲のよい三人の嫁と血のつながらぬ娘。自ら紡ぎあげた幸福な罠の中にいつしかこぼれ落ちる百合の花粉のような悪意…。サスペンス長篇。
500年前の世界には文字通りの“冒険”が存在した。マルコ・ポーロの報告を唯一の手がかりに、余りに未知の領域に漕ぎ出した夢想家たち。だがそれは原住民たちに残忍な根絶をもたらしたヨーロッパ人の大航海時代の幕明けでもあった。
“子らに愛と生きる力を”と願い、歩みつづけた小学校教師、岡本博文の児童詩教育の実践とその記録。『先生はいかんよ』に続く第2弾。
ブナの原生林奥深く、物語の発生する気配がある。ひとつの謎の種子が虚構の大地に舞い降りる。近代小説のあらゆる夢をはらんだその種子は発芽し、やがて錯綜し繁茂する浪漫の森林となる。水底に沈む谷間の村。消えたコミューン。伝説のキリシタン集落。失踪した青春の恋人。茸毒の幻覚作用。予期せぬ殺人事件。謎を追う者は、物語の放つ霊気を膚に感じ、遠い音楽を耳に聴きながら、いつしか深い森に迷い込む。リアルな認識と知性の証である葦の森。遥かな憧憬の象徴である百合の森。その中心の場所、最も緑の闇の濃い処、夢の密かに生まれる場所に彼が到達するとき、永遠に女性的なるものが光のなかに姿を顕にし、すべての虚構の秘密が解き明かされるだろう。