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飲み物のことを語る

「あとは野となれ」を省略したような名前の商業施設の喫茶コーナーでアーモンドミルクラテを注文した。アイスで。平素であればカウンター脇に設置されたカゴからミルクポーションやらを取り忘れて、無糖のアイスコーヒーをズルズルと吸い上げるところだが、今日に限ってはちゃっかりシロップのカプセルに手を伸ばしたのだった。その結果地獄のように甘い飲み物が出来上がった。アーモンドミルクラテにシロップを落としたような甘さである。隣席で青いシャツの老人が二人組の女性の旅行客に話しかけたようだが相手にされず、今は私と同じくJR中央南改札口の方を眺めている。そうだ、気を落ち着かせるには行き交う人々の流れを目で追うのが良い。私はそうして舌の上の地獄のような甘さをやり過ごしている。