@kodakana_ship10
ラジオ/携帯ラジオのことを語る

パナソニック AM/FM ラジオ放送受信機 RF-U155

RF-U155

RF-U155 は「大型フェライトアンテナ搭載の高感度設計」を謳う、直径 65mm のスピーカーを搭載した中型ラジオです。もともとは二十年ほど前に発売された RF-U150 という製品があり、外観はほぼそのままに内部をデジタル化して、2017年に後継商品として登場したのが本機です。

RF-U155 の包装

吊るしのブリスターパックで販売され、単二形「乾電池エボルタ」と片耳イヤホンが付属します。本体のイヤホン端子はモノラル仕様で、付属のイヤホンはインピーダンスが高そうな音質です。

直径 65mm で一般的な携帯ラジオより上、ホームラジオよりは下というスピーカーの大きさは、ソニーの ICF-306 と近似しています。ただし似ているのはスピーカーの大きさだけで、全体的な幅や厚みはかなり異なります。性格的にも ICF-306 は携帯ラジオを膨らませてホームラジオを代替できるギリギリの線に乗せた感じであるのに対して、本機はむしろホームラジオを圧縮して携帯用を兼ねられるようにしたという対照的な印象です。

RF-U155 と ICF-306

ICF-306 に無い RF-U155 の利点は外部電源対応で、プラグは JEITA 極性統一規格に準拠し、現行製品ではオーム電機の AV-DR3005N が適合します。旧製品の AV-DR305E には対応する変換プラグが付属しない。

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ノブ型の選局ダイヤルは操作しやすく、回してみると内部の複雑な機構を窺わせる感触が得られます。同調インジケータは従来のアナログ機と異なり、明るさの変化は無く点灯するかしないかで、点灯さえしていれば最適な点に合っていることが分かるデジタル仕様です。

選局、音量ダイヤルと背面

電池は極性を逆に入れると通電しないように、プラス端子側にマイナス端子の接触を防ぐ歯止めが付いています。このため単三形の充電池を単二形に変換して装着した場合は、プラス端子の長さが足りず使用できない場合があるようです。

電池室の内部

ただしパナソニック製のエネループと、純正の「サイズ変換スペーサー」の組み合わせでは使用できました。

単三形エネループを挿入した所

FM 受信用のロッドアンテナは六段で約48cm、垂直方向に180度可動し、水平方向の回転はありません。

ロッドアンテナ

FM の受信では、ダイヤルを回して放送波を探している時に、アンテナの指向性がかなり鋭いように感じられる点が少し気になりました。パナソニックの言う「らくらくチューニング」、つまりデジタル処理による自動周波数調整が、ある程度強く入らない電波には同調しにくいのです。操作中はアンテナが電波の強く入る方に向いている必要を感じても、一度同調が取れるとさほどアンテナの向きに気を使わなくても音声がしっかり出続ける場合があります。感度そのものは悪くないのです。

AM の受信では「らくらくチューニング」により同調させやすい反面、例えば夜間に電離層反射で強力に入感するニッポン放送に引き付けられて、隣接する青森放送が見付けにくいといったことがあります。

売り文句の「高感度」は中波 AM についてのものですが、これは確かに看板に偽りなしの性能です。北海道胆振地方の自宅で、青森放送の 1233kHz を受信し、同社の RF-562DD2 と比較した所、甲乙を付けがたい感度でした。大きさの差を考えると、なかなか驚くべきことでしょう。

奥から RF-562DD2、ICF-306、RF-U155、ICF-8

スピーカーの響きは ICF-306 が柔らかさと広がりに優れるのに対して、本機は細やかさを感じる音質です。いわゆる「固い音」ではなく金属的な硬質感のある美しさです。音量を上げても聞き安さを失わず、音量を小さくしても輪郭が崩れません。一般的な携帯ラジオより大きさがあることから、音の響き方に無理がない点は両機に共通の良さです。

FM ではデジタル処理による切れの良さと相俟って、音響設計の利点が存分に楽しめる音が出ます。高音は伸び切っていない感じもありますが、キンキンしたウルサさのない聞きやすい音です。

FM(音質=音楽)

もっと静やかにしたい場合は二段階の音質切り替えを「音楽」から「ニュース」にすると高音が薄くなります。

FM(音質=ニュース)

AM はデジタル処理の強力で狭いフィルタによる、高音が切り落とされた頭打ち感のある篭り音です。これにより従来の数千円程度のアナログ機ではフィルタの性能が低く、混信の影響を受けやすかった点は大幅に改善されています。夜間に聴くとかなり雑音や混信が少なく聞きやすく感じる場合もあります。

AM(音質=音楽)

音質を「ニュース」にした場合、音声よりも雑音に対する効果の方があるように感じられるかもしれません。

AM(音質=ニュース)

このように RF-U155 は音響設計が良く、外部電にも対応する一方で携帯も可能であり、一日を通して様々な場面に対応する汎用性の高いラジオです。AM の高感度は日中の隣県局のような弱く入る電波を聴くのに役立ちます。

包装台紙の裏面

FM にステレオや重低音を求めず、短波も要らないから、ラジオは一台だけで済ませたい、という人に推奨したい製品です。

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