戦国動乱の最中、鋭い眼で世を見据える青年、藤堂高虎は、巨躯を生かした槍働きで立身出世の夢を抱いていた。自らの実力に正当な評価を求め主を転々とする高虎だったが、運命の主君羽柴秀吉の弟・秀長に見出される。算用や築城術などを秀長に学び、その名声を徐々に高めていく高虎。だが秀吉の下で頭角を現わす宿敵・石田三成がその行く手を阻む…。
鎌倉幕府草創期から、二代将軍源頼家の時代に始まった宿老ら十三人による合議制を経て、三代将軍実朝の暗殺までー。流されるように生きてきた北条義時が人生を賭けた大勝負に出る「水草の言い条」(谷津矢車)、“讒訴の奸物”となった梶原景時の生き様を描く「讒訴の忠」(吉川永青)、権謀術数うずまく幕府において、畠山重忠が坂東武者の誇りを見せる「重忠なり」(矢野隆)など、実力派作家七人によるアンソロジー。
人生で大切なことはすべて歴史小説に学べ。直木賞作家が本気で教える、仕事と人生に効く歴史小説。ビジネスパーソン必読の書。
粉河二万石の大名に出世を遂げた藤堂高虎。ところが主の豊臣秀長が逝去し、後継者・秀保は暗殺され主家が滅亡してしまう。宿敵・石田三成の謀略か?やがて強引な秀吉の政策に危惧を抱いた高虎は家康に見込まれ、秀吉の死後、徳川幕閣に参加する。武勇と智略を兼ね備えた高虎は関ヶ原で遂に三成率いる西軍と対峙!時代の先を読み、己の変革を遂げた漢の生涯。
財政再建、農地開拓に生涯にわたり心血を注いだ米沢藩主、上杉鷹山。寵臣の裏切り、相次ぐ災厄、領民の激しい反発ーそれでも初志を貫いた背景には愛する者の存在があった。名君はなぜ名君たりえたのか。招かれざるものとして上杉家の養子となった幼少期、聡明な頭脳と正義感をたぎらせ藩主についた青年期、そして晩年までの困難極まる藩政の道のりを描いた、著者渾身の本格歴史小説。
若く野望に燃えていた青年期を経て、織田家での異例の出世、そして本能寺の変へー。かるたの札に絡めて、謀叛の理由へ大胆に迫った「純白き鬼札」(冲方丁)、事実と虚構を見事に切り分け、謎多き光秀を独自の解釈で描いた「一代の栄光」(池波正太郎)、叛逆者の娘・珠の、ある願いと悲劇の選択を描く「ガラシャ」(植松三十里)など、人気歴史作家による名作短編六編を収録した豪華アンソロジー。
幼少期の人質時代から、運命を分けた数々の戦を経て、天下人として世を統べるまでー。初陣や桶狭間の戦いなどを通して、なぜ家康が自ら調薬を行うようになったかを描く「薬研次郎三郎」(宮本昌孝)、鎧を作る具足師から見た、三方ヶ原の戦いでの家康の変貌「大名形」(武川佑)、関ヶ原の戦いを前に、家康と石田三成が交わした密約とは「人を致して」(伊東潤)など、人気歴史作家六人による傑作アンソロジー。
誰もが知っているようで、誰も知らない。日本最初の女王、の生涯を追う。現代日本文芸作家大賞受賞!!
土佐二十二万石の領主・長曾我部盛親は、関ケ原の戦いで西軍に組したため、一介の牢人の身に落ちた。謫居を京都に定めた盛親は、再起の野望を密かに育む。大坂冬ノ陣を機に立ち上がり、夏ノ陣に旧臣五千人とともに血戦へと臨むのだがー乱世の運命に翻弄された悲運の武将を鮮やかな筆致で描いた傑作!
将軍家から朝廷に嫁いだ和子は、宮廷の女たちの巧妙な妨害により、帝と心を通わすことがなかなかできずにいた。周囲のはからいでようやく二人の仲が深まったのは、入内から二年四ヵ月後であった。和子はあまたの子をもうけ国母となるも、幸福は長続きしない…。愛と哀しみに翻弄された生涯を描く大作、感動の結末へ!
皇室の外戚としてなんとしても権威を得たかった徳川家康。天皇の在位さえも意のままに操り、二代将軍秀忠の娘・和子を、天皇家へお輿入れさせるべく動く。生まれたときから運命を定められた和子が十四歳にして帝へと嫁ぐ、その胸に秘めていた想いとはー。女たちの生き様、心情を丹念に描いた傑作歴史小説!
なぜ、広い世界に目を向けようとしないのか?-米国総領事ハリスの嘆きは、同時に井伊直弼の嘆きでもあった。もはや世界の趨勢を止めることはできない。徒らに攘夷を叫ぶことは、日本国自体を滅亡させることだった…。腹心長野主膳、それに直弼の密偵として、また生涯を賭して愛を捧げたたか女を配し、維新前夜に生きた直弼の波瀾の生涯を描く、不朽の名作。
徹底した史料博捜と批判精神、史実にのみ忠実であろうとする厳しい姿勢…。『レイテ戦記』の作者が切り拓いた歴史小説の新境地。「吉村虎太郎」「姉小路暗殺」ほか長篇『天誅組』へと連なる佳篇、「高杉晋作」「竜馬殺し」など幕末維新期を舞台にした作品群、さらに「将門記」「渡辺崋山」まで網羅した短篇集。
織田信長が本能寺に斃れた翌日ー備中高松城の水攻めを決行していた秀吉軍に、明智光秀の密使が捕縛された。難解な暗号で記した密書を、味方の光秀がなぜ、敵方の毛利軍に?秀吉と黒田官兵衛は嫌な予感に震えながら暗号解読に四苦八苦した。やがて解読された「信長暗殺」の凶報。一転これを利用した官兵衛の“秘策”とは?史実の裏を照射する歴史推理の傑作集。