性の歴史とは何か。それはいかにして書かれ、何について語ってきたか。19世紀から現在までの展開を簡潔に記した、第一人者による画期的概説書。時代や地域、身体や感情、言説といった諸要素により形作られる性の、単一かつ普遍的な歴史は存在しない。本書では同性愛/異性愛、クィア、ジェンダー、国家、グローバル化等のテーマを取り上げ、性の歴史がフェミニズム、レズビアン・ゲイ運動や、社会学、文学、哲学等の諸理論により問い直される道程を示した。アーカイヴといったコミュニティの歴史実践にも焦点をあて、複雑で多様な仕方で性が形成される様を示す「批判的な性の歴史」をここに開く。
恋愛や性愛はどのようなものとして表象/実践されたのか?戦後のセクシュアリティ規範を問い、親密性の内実を歴史的に解明する。
「女らしさ」「男らしさ」「男女で分けること」に違和感をもったことのある人たちへ、「らしさ」「区別」に縛られず、自分の「好き」や「こうしたい」という気持ちを大切にしていいんだ、と伝える様々な物語。Q &A解説付。
アスペルガー症候群当事者であり、支援者として活動していたニックはある日突然、児童ポルノ所持容疑で逮捕されてしまった。彼の自伝と両親の手記、専門家たちの助言からなる本書は、自閉症スペクトラム障害と様々なセクシュアリティの問題との関連を知るための必読書である。
日本の読者のみなさんへ[トニー・アトウッド]
イントロダクション[トニー・アトウッド]
第1章 ぼくの人生[ニック・ドゥビン]
まえがき
1.逮捕
2.何かがちがっていた子ども時代
3.混乱続きの中学校生活
4.山あり谷ありの高校生活
5.絶望のふちの大学1年目
6.将来の選択に悩んだ大学時代
7.どんづまりの修士課程とデート
8.アスペルガーの診断ーー新たな始まり
9.博士課程ーー最良で最悪の時期
10.アメリカ合衆国対ニコラス・ドゥビン
あとがき
第2章 専門家の視点から[トニー・アトウッド]
児童ポルノに行き着くまで
方策と資源
第3章 家族を救おうとした母親がたどった道のり[キティ・ドゥビン]
第4章 わが息子を救うための父親の奮闘ーー法的観点から[ラリー・ドゥビン]
第5章 性教育と介入[イザベル・エノー]
1.序論
2.性的発達に関与する要因
3.性的逸脱行動
4.介入プログラム
5.結論
付録 専門的組織ならびにサービスのための、性的な事柄に関するガイドライン
訳者より[田宮聡]
索引
性教育をすすめていくうえで世界のスタンダードとして定評のある手引きの改訂版。本書は、セクシュアリティ教育を人権、ジェンダー平等という枠組みの中で再認識し、若者にとっての利益が最大となる、「性と人間関係」についての包括的な学びを提供している。
子どもたちに性の多様性をどう教え、教職員の意識をどう変えるのか。そして、教員のカミングアウトは学校に何をもたらしたのか。同性愛当事者が教員として取り組んだ、性差別をしないことを学校でまなぶための理論と実践。
序章 学校での記憶ー教室を支配するジェンダー規範と異性愛規範
1 主語の喪失ー「オレ」が言えない
2 同性愛への気づきとクローゼットの出現
3 逃げ場のない教室ー拘束され操られる身体と心
4 未来の喪失と獲得ー電話相談でのカミングアウト
第1章 性の多様性と人権
1 SOGIEとは何か
2 SOGIEを理由とした差別
第2章 ジェンダー・セクシュアリティと教育に関する理論
1 隠れたカリキュラムとセクシズム
2 ジェンダーの再生産装置としての学校
3 ジェンダー・セクシュアリティに関する理論
4 同性愛嫌悪と異性愛至上主義
第3章 学校は性の多様性をどう教えてきたか
1 教材・教育課程の中の同性愛嫌悪
2 多様な性に関する教員の意識
第4章 性的マイノリティへの「支援」
1 性的マイノリティの子どもの可視化と「個別的な支援」
2 「個別的支援」の事例から見える課題
3 性的マイノリティの子どもが直面する困難と支援のあり方
第5章 人権同和教育と性の多様性の交叉
1 人権同和教育担当教員への聞き取り調査
2 人権同和教育の経験は、性の多様性にどうつながりうるか
3 考察ー人権同和教育と性の多様性の交叉性
第6章 性の多様性をめぐる諸外国の教育
1 海外の教育実践から学ぶ二つの教育アプローチ
2 ドイツ・ハイデルベルク自由学校
3 考察ー性の多様性と教育をめぐる分離と統合
第7章 性の多様性とカリキュラム
1 カリキュラムと中立性
2 学習指導要領と性の多様性
3 性の多様性を前提とした学習指導要領の提案
第8章 性の多様性をどう教えるのか
1 性の多様性と教育学の交叉
2 性の多様性を教える授業
3 成果と課題
第9章 教職員の意識を変える研修
1 性の多様性に関する教職員研修の要請
2 性の多様性に関する教職員研修
3 成果と課題
第10章 LGBT教育の手引書ができるまで
1 調査の概要
2 調査結果
3 結論ー手引書ができたのはなぜか
4 課題ー多様な語りの把握と分析
第11章 教員のカミングアウトは何を変えたか
1 学校でのカミングアウト
2 保護者たちはどう受け止めたか
終章 多様な性の視点でつくる教育へ向けて
あとがき
文献一覧
「セックスを避けられるようになって…もう愛されていないのかもしれない」そうした寂しさをひっそりと抱えている中高年の男性や女性は多いようです。男性は、中高年期の女性の心と体の変化を知らない。女性は、中高年期の男性の心と体の変化を知らない。そのことが、寂しさの根っこに存在しています。気持ちのすれ違いは、お互いの心と体の変化を知ることで解決するはず。中高年期ならではの豊かで穏やかな性を楽しみ、愛で満たされた毎日となるようにーぜひ本書を今日から役立ててください。
伝えたいのは「違いがあってもいいんだよ」--
トランスジェンダー研究者による10年以上続く明治大学での講義、待望の書籍化!
本書は、2012年の開始以来、毎年300人以上の学生が受講する明治大学文学部の『ジェンダー論』の講義録を基に執筆されたジェンダー&セクシュアリティ論の入門書です。
自らの「性」と社会的な「性」のしくみについて真剣に考え、多様な「性の有り様」を知ることは、もはや、すべての人々にとって避けて通ることのできない今日的な課題と思われます。
LGBTQ+、同性婚、トランスジェンダー、ジェンダー・アイデンティティ…といった最近よく耳にする言葉についても分かりやすく解説していき、さらに性的マイノリティとして社会を生き抜いてきた著者が、実際に体験してきたこと、考えてきたことも多く反映された一冊となっています。
【主な内容】
◎性別二元社会の仕組みを知る
◎明治〜昭和戦前期の政治家や軍人が髭を蓄えていたわけ
◎「ジェンダーをする」という考え方
◎身体構造の性差にジェンダーが付与される
◎なぜ日本は「女子差別撤廃条約」を批准できなかったのか
◎いまだに存在する「見えない壁」や「ガラスの天井」
◎「ホモソーシャル」な関係を志向する男性たち
◎歴史的に見て特異な存在、専業主婦
◎「女性の乳房は大きいほどエロい」という認識はいつ生まれたのか
◎江戸時代の男は、うなじに興奮していた?
◎性規範の「サムライ(侍)ゼーション」
◎本当の足フェチは「足だけ」を求める
◎欧米には存在しない「痴漢」という概念
◎人の身体は女性が基本「イブ原理」
◎インターセックス(性分化疾患)とはなんなのか
◎ジェンダー・アイデンティティの正しい訳語は、性同一性
◎人間の「性」は三層構造をなしている
◎死語に近い「性同一性障害」という言葉を使い続ける日本
◎「LGBT」という言葉はいつ頃から使われるようになったのか
◎新しく生まれた言葉「SOGI」「SOGIE」
◎「LGBTは13人に1人」というのは本当か?
◎同性パートナーシップ制度の現状
◎トランスジェンダーとは何か
◎性別移行と生殖権
◎「Xジェンダー」とは何か
ほか
第1講 「性」を考えることの意味
第2講 ジェンダーを考える
第3講 セクシュアリティを考える
第4講 「性」の4要素論
第5講 「性」の多層構造論
第6講 「性」の多様性論
第7講 日本初のトランスジェンダーの大学教員として
現代社会では、人はつねに自己変革を遂げざるをえない。それゆえに、現在進行中の性革命──女性たちが引き起こしてきた感情革命が、既成の男性中心社会に、いかなる変容をどのような意味でもたらし始めたかを問いかける。
1、日々の実験、関係性、セクシュアリティ
2、フーコーのセクシュアリティ論
3、ロマンティック・ラブ等の愛着
4、愛情、自己投入、純粋な関係性
5、愛情やセックス等にたいする嗜癖
6、共依存の社会学的意味
7、心の迷い、性の悩み
8、純粋な関係性のかかえる諸矛盾
9、セクシュアリティ、抑圧、文明
10、民主制としての親密な関係性
性的マイノリティの権利獲得の歴史や「クィア理論」をふまえ、「性」の総体を考える。最新の「セクシュアリティ」がわかる!
人間と性を巡る教育と文化の総合情報
文化的・社会的に構築されたセクシュアリティは、現在どこまで揺らいだか。排他的で抑圧的な異性愛規範を踏み破り、自らのセクシュアリティを選択する人、性暴力被害の当事者、性産業で働く人の声が制度や法を動かし始めた。これまで聞かれることのなかった多様な声を収録。
近年、ジェンダーやLGBTQといった言葉が急速に浸透し、性的マイノリティへの理解が少しずつ深まっている。こうした多様性への理解と希求という世界的潮流は、長い歴史のなかでどう位置づけられるのかー。自分をとりまく「世界」がどんな難題をかかえているか。それはなぜ起こり、どうしたら解決できるのか。
お茶の水女子大学21世紀COEプログラム「ジェンダー研究のフロンティア」の研究プロジェクトの一環として、2005年度(平成17年度)から2007年度(平成19年度)に得られた成果をまとめたもの。
生殖医療大国の日本において人権保護の観点から法制定と政策を考えることは喫緊の課題である。生殖医療の進展は、多様な人権の衝突、生命や家族概念の再考、将来の人類への影響等の課題を提起している。本書は生命・身体・セクシュアリティに関わる生殖医療、性別確認検査、健康権、母子保健、ゲノム編集、中絶、第三者の介入する生殖医療、フランスの代理懐胎を取り上げて考える。
セクシュアルマイノリティやフェミニズム運動の活発化とバックラッシュ…東アジア各地にみられる状況をどう捉えればよいのか?姿を変えたジェンダー規範のなかで排除され消費されるセクシュアリティの問題の根幹はどこか?歴史との交錯から見えてくる東アジアの規範と逸脱。