50年にわたる在住経験で体感した北欧ジェンダー先進社会の理念と実践。
自らの意識を変革しつつ子と向き合う育児の真髄
「育児に携わり、日々、子どもが成長する様子を見届ける生活は、このうえなく楽しいものでした。それを可能にしてくれたのがスウェーデンの社会なのです」
そんな社会に50年間暮らし続けた著者は、自らの子育てを振り返って、スウェーデンという国の「男女平等原則が大きく影響した」としている。著者が日本の父親に対して育児をすすめるのは、それが「幸せなこと」であるからだ。彼の妻はスウェーデン人でプレスクールの園長。それゆえ、一般の保護者よりも育児というものが身近にあったのだろう。日々の営みのなかで家族の「幸福」に焦点を当てているところが本書の特徴となっている。
1960年代より欧州社会は「男女共同参画」を発展的な課題として受け入れ、多様な人々が暮らしやすい環境を模索してきた。そのような社会的うねりのなかで、父親たちは真っ直ぐな眼差しでその変化を見つめてきた。他者のケアに携わっている人は「無意識にもっている偏見」を常に問い返される。そのよき例として、「プレスクールのビデオ観察」についても触れている。この観察は、子どもと向き合うトレーニングを積んだ人たちでさえ、男女役割分担という思考の枠組みから解放されていないことを示していた。だからこそ、私たち一人ひとりもそのことを意識しようと著者は言っている。
「男・女らしさとは何だろう?」、「子どもたちとどのように接するの?」--後半では、子どもと過ごした日々から得られたヒントが示されている。読み進めれば、読者自身の日常がそこに重なっていくだろう。示された言葉は、家族と向き合った時間から紡がれた「本当に大切なもの」ばかりだ。だからこそ、その思いが私たちを優しく包んでくれる。
結びとして掲載された「スウェーデンの子どもたちへの調査結果」において子どもたちは、大人に対して語りかけている。「スウェーデン社会の選択は成功であった。私たちの声こそが、希望ある未来を切り開いた社会である!」(株式会社アネビー 藤井薫)
本書は、長年、非正規・ワーキングプア・ワークライフバランスなど、特に女性キャリア研究に打ち込んできた著者がさまざまな現場取材や研究プロジェクトで明らかになった問題と提言をまとめた野心作です。
コロナ禍でより顕在化した性暴力、男女不平等社会の実態
性暴力被害者の実態を社会に伝え、性暴力が生じるメカニズムを解明するとともに、性暴力のない社会を目指ために、私たち一人ひとりがどう取り組んでいくべきか……。
セクシャル・ハラスメントや性暴力問題に関心があったり、深刻な悩みを抱えている全ての人たちに強くお勧めします。
【目次】
はじめに
第1章 追い込まれる女性たち
1 女性を直撃したコロナ渦ーDVとその実態
2 ドメスティックバイオレンス(DV)とは何か
3 コロナ下で増加するDV相談と「DV相談プラス」
4 DV被害者の支援
第2章 性暴力被害者支援のために
1 「性暴力救援センター 日赤なごやなごみ」の設立
2 長江美代子さんのお話
3 片岡笑美子さんのお話
4 なごみの活動からわかったこと
5 女性のための女性による相談会
6 共依存という問題
第3章 三万八三八三件の被害者から見えてきた性暴力の実態
1 性暴力とは何か
2 ある性被害者の証言
3 アンケート調査の結果から見えてきたこと
4 刑法の改正と今後
5 強姦神話と不十分な被害者への支援
6 声を上げた被害者たちによって変化が始まっている
第4章 職場における性暴力
1 セクシャル・ハラスメントの規制
2 増える就活セクハラ
3 実態調査の結果から見えてきたこと
4 NHKのアンケート調査の結果から見えたこと
5 男性の被害者の経験から見えてくるもの
6 セクハラは男性問題
第5章 男女不平等社会とDV・性暴力
1 平成は失われた時代だったのか
2 コロナ渦が浮き彫りにした男女不平等社会日本
3 性被害による社会的・経済的損失
4 幼少期の被害がその後に与える深刻な影響
5 「助けて」と言える社会へ
あとがき
参考文献
付録 相談先一覧
世界経済フォーラムが公表する男女平等度の指標で、日本はG7最下位、世界でも最低レベルが続く。根本原因を地域から探り、底上げできないかーー。フォーラムに準じた手法で、47都道府県ごとに分析し、政治、行政、教育、経済の4分野で強みや課題を可視化した。データや現場取材から誰もが生きやすい社会へのヒントを示す。
はじめにーー都道府県版ジェンダー・ギャップ指数が目指すこと……………三浦まり
第1章 ジェンダー・ギャップを可視化するーー世界の中の日本、そして地域へ
第2章 都道府県ごとの特徴を知ろうーー2024年版指数が映す「強みと課題」
第3章 日本国内の変化の兆しーー自治体、企業、若者、新聞社の挑戦
コラム 誰もが自分らしく歩める地域に……………赤間早也香
第4章 海外の現状ーー北欧と東アジアは今
おわりにーー地域から、この国のジェンダー平等実現を……………山脇絵里子
関連サイト紹介
均等法の母と呼ばれてーー
2021年末に日経新聞朝刊に元文相・赤松良子氏が連載した「私の履歴書」を大幅加筆のうえ書籍化。女性官僚のさきがけとして歩んできた半生は、戦後日本の女性の地位向上の歴史と軌を一にする。連載時には、特に男性と同等に働きたくても働けなかった世代の女性から、書籍化を望む声が相次いだ。
赤松氏の官僚人生の集大成が1985年の男女雇用機会均等法の成立である。労働省で53年にキャリアをスタートさせるも、旧弊な組織と社会の中で様々な壁にぶつかってきた。しかし持ち前のガッツと知恵で立ち向かい、大きな仕事を成し遂げた。イクメンが当たり前になった世代にとっては、かつて企業に女性の結婚退職制や男女で異なる定年制があった歴史など知る由もないだろう。「育児休業」という言葉も72年の勤労婦人福祉法に初めて盛り込まれた。
法律で社会に制度化されなければ、世の中は動かない。志を高く持ち、強い信念とバランス感覚で、ついに歴史を動かした。女性活躍の地平を切り開いたパイオニアの歩みには、未来を担う女性たちへの熱いエールが詰まっている。
第1部 私の履歴書
長い列に加わって
1
父のアトリエ
あこがれの職業婦人
夢は東京へ
津田塾
東大へ
2
労働省
結婚
人事の壁
雌伏
初めての海外
国際的な視点
3
男女平等
群馬労基局
婦人参政権25周年
勤労婦人福祉法
国際婦人年
4
国連公使
女子差別撤廃条約
男女平等法制
労働側の反発
男女雇用機会均等法成立
世界婦人会議
5
ウルグアイ大使
官僚を辞す
文相
文化活動
女性たちの恩人
列は続く
6
均等法の父
市川房枝さんのこと
津田に息づく思い
人と人との不思議な縁
母への恩返し
猫のいる暮らし
「きょうよう」と「きょういく」
あとがき
年譜
第2部 資料編
各種指標で見る男女平等の現在
関係法令
日本国憲法(抜粋)
女子差別撤廃条約
男女雇用機会均等法(1986年施行当時のもの抜粋)
男女雇用機会均等法の主なあゆみ
フェミニズムという病を徹底的に分析する。
結婚って、超ハッピー?それとも地獄?男の実態、女の言い分を30代女子の人気作家が痛快レポート!同棲→結婚でわかった、甘くて苦い男と女の真実。
「働け、産め、輝け!」安倍政権の下、女性が輝ける社会をと叫ばれながらも、日本の男女平等度ランキングは世界101位(2015年)。その根に潜む、女性自身の男女差別意識をあぶりだすエッセイ20章。
ジェンダー先進国とされるノルウェー。
だが、そこに住む女性たちは幸福なのか。
労働問題を扱うジャーナリストが、
「先進国」ができるまでの過程を点検し、
仕事と家事、両方の負担に押しつぶされそうな
ノルウェー女性たちの肉声を拾い集める。
「ジェンダーギャップ」を埋めただけでは解決しない、
日本もいずれ直面する本質的な課題を
浮かび上がらせる渾身のレポート。
はじめに 胸騒ぎ
第一章 「仕事と家庭の両立」という難問
第二章 70年代の神話と社会変革の夢
第三章 仕事をすれば自由を得られる?
第四章 キャリア・フェミニズムと市場の力学
第五章 可能性の時代は続く
謝辞
原注
文豪イプセン『人形の家』のノラが自立して130年後のノルウェー現地ルポ。
「女性が幸せにならなければ、日本は平和にならないと思った。男女平等は、その大前提だった」10年間日本で育ち、アメリカで終戦を迎えた著者は、22歳の若さで日本国憲法GHQ草案の作成に参加、現在の人権条項の原型を書いた。文庫化に際し、ジョン・ダワーの寄稿を増補。
河田嗣郎の男女平等思想は、男女同権の立場から、当時女子教育の主流であった「良妻賢母主義」教育を批判し、女性の自立と母性の保護をともに論ずるものであった。本書は、河田の残した膨大な著書・論文・記事を精査し、その思想が現代のジェンダー論につながる先駆性を持っていたことを明らかにする。
第1章 河田嗣郎の生涯と研究活動
第2章 家族制度論における女性解放の論点
第3章 性別特性教育論の超克──「良妻賢母主義」批判と公民教育
第4章 性別と社会構築性──「天然的な区別」と「社会的な区別」
第5章 社会政策論における男女平等の論理
終 章 河田嗣郎の男女平等思想の歴史的意義
農村における男女共同参画社会実現のために。「生活改善普及事業は、女性農業者の地位をどこまで向上させたのか」を実証的に追求した労作。農村が、都市生活者にとっての真にゆたかな「ふるさと」となるための理解と、新しいビジョンや諸施策策定のための基本的必読書である。
【特集】
知られざる! 光る生き物の世界
光る魚、光るイカ、光るエビ、光るキノコ、光る虫、光るミミズ、さらには光るプランクトンやバクテリアなど、日本には海にも陸にもたくさんの発光生物がいます。実は発光生物は私たちを目で楽しませてくれるだけでなく、生活に役立つ生物でもあります。いったい、どんな仕組みで何のために発光するのでしょうか? 発光の「役割」や「進化」の「なぜ?」や、どんなふうに応用されているのか。その秘密に迫ります。夏休みの自由研究のテーマとしてもおすすめです。
【ニュースが知りたい】
男女平等ランキング、日本は118位
国別に男女平等度をランク付けする2024年版「ジェンダーギャップ報告書」によると、日本は146カ国のうち118位でした。主要7カ国(G7)中では最下位です。ランキングは、政治、経済、教育、健康の4分野を対象にしています。なぜこんなに低いのでしょうか? ジャーナリストの一色清さんと考えます。
コロンブスってどんな人物?
人気のロックバンド、Mrs.GREEN APPLEの新曲「コロンブス」のミュージックビデオが公開中止になりました。植民地時代の奴隷制などを思い起こさせるといった批判が相次いだからです。コロンブスとはどういう人物だったのか、そして歴史上の人物の評価について、解説します。
東京都知事選挙、小池百合子氏続投 課題は?
東京都知事選挙で小池百合子氏が3度目の当選を果たしました。小池氏は新型コロナへの対策や子育て支援などを実績として訴えました。日本の人口の11%(1413万人)を抱える巨大都市・東京の舵取りに注目が集まります。都政の課題について、朝日新聞記者が解説します。
【「文豪ストレイドッグス」で学ぶ 日本の文豪】
実在する文豪と同じ名前を持つキャラクター達が、「異能」を武器にバトルを繰り広げる人気のマンガ・アニメ「文豪ストレイドッグス」とのコラボ連載! 第4回は「泉鏡花」です。「文豪ストレイドッグス」では高い戦闘能力をもつ「夜叉白雪」を操る少女ですが、実在の泉鏡花は男性で、とにかく神経質だったそう。「生ものを恐れた」鏡花が火を通して食べたという意外なものとは?
【阿部亮平さんが語る アートの魅力とは】
フランス印象派の世界を光、色、音、香りで体感する展覧会「モネ&アンドフレンズ・アライブ」。公式アンバサダーに就任した阿部亮平さんは、子どものころからモネの作品にふれていたといいます。アートの魅力について語りました。
【学び×遊び クイズに挑戦 クイズノックキャッスル】
QuizKnockからのクイズに挑戦する連載、今月号は物理マスターの須貝“ナイスガイ”駿貴さんが登場! 9月に多い「台風」に関する問題を出題します。クイズに挑む読者へのメッセージも。
【なりたい!が見つかる お仕事図鑑】
小中学生が「なりたい!」人気の仕事を紹介する連載。今回は、人々の心の健康を支え、悩みや不安を解消に導く「心理カウンセラー」と、立つ、座る、歩くといった運動が難しくなった患者さんを指導し、機能回復のサポートをする「理学療法士」を取り上げます。
【中学受験通信 時事問題の対策】
中学受験の最新情報をピックアップする新連載「中学受験通信」。今回は、国語の読解問題で出題された物語文の紹介です。中学入試の国語でよく出題されるのが、小学生から高校生くらいの主人公がさまざまなエピソードを通じて悩んだり、成長したりする物語です。どのように文章を読んだらいいのでしょうか。2024年度入試でよく出た本や、2025年度入試で出そうな本も紹介します!
【そのほかにも、盛りだくさん!】
●ニュースの瞬間
●フンダラ姫のNewsなひとこと
●マンガ コリゴリ博士の暴投ステーション
●桃太郎電鉄で行く! 47都道府県 徳島県
●夕日新聞 日本全国B級ニュース
●パックンのすぐに使えるオモシロ英語
●小島よしおの ボクといっしょに考えよう
●子ども地球ナビ ベトナムの女の子
●ことワンのことわざたずね旅
●読者のページ ジュニステ
2コマまんがdeあ・そ・ぼ/ジュニアエラ大喜利
●歴史人物SNS 藤原道長
●サイエンスジュニアエラ 怪光「不知火」の謎に高校生が挑む!
●ニュースのニューシ問題 地形図と統計資料の問題
●コリゴリ博士と読む7月のニュース
●インフォメーション おすすめ本/イベント/プレゼント
世界の女性の憲法、女性差別撤廃条約をやさしく解説。日本における“平等実現”の展望を縦横に語る。前進しつづける女性たちへの熱いメッセージ!