自家用ジェットで空を飛び、高級車を乗り回し、プール付豪邸に住まうアフリカ人エリートたち、彼等の暮らしを支えているのは、我々がテレビで最も頻繁に目にする、“かわいそうな”アフリカの貧しき人びと。本書は、国民を守るべき政治エリートたちが、その国民を食い物にする“発展途上国”の現状が、“先進国”にも通ずる、遍く世界における課題であることを証明する。
日本仏教、その未来を考えるーー。
仏教界に今なお根強く残る性差別の実態に、国内外の研究者と現場の僧侶たちが鋭く迫る。
多文化共生が求められる現代社会に、ジェンダーの視点から日本仏教の未来を問う革新的な1冊。
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寺院は、日本仏教の基盤であり、日本の伝統文化を継承する主要な場の一つでもある。その裏面として、日本の負の伝統(因襲とも言える)もまた、一般社会より色濃く伝えてきてしまったところがある。古臭い女性観や、周囲の人間に対するハラスメント意識の希薄さは、その典型的な例だろう。
こうした負の伝統をどう理解し、いかに克服しうるか。学問的にも実践的にも、大きな課題としてある。本書は、その課題に応えるための論文や提言を集めた研究書であり、実践のための手引き書である。
(中略)
ジェンダーは国際的な視野から検討したほうが、理解が深まりやすい。社会や文化ごとの違いが重要なため、自己とは異なる社会や文化の事例や視点を得ることで、問題の所在が際立ち、また別の可能性も見えてくるのである。
そのため、本書は国際性を重視する。国外の事例を取り上げるだけではない。イギリスから日本に来て、僧侶として活動してきた女性の体験談や、あるいは寺院でのフィールドワークを積み重ねるカナダの研究者の論文も掲載する。こうした「異邦人」の目線からの現代日本仏教に関する所感や考察は、現状では、あまり多くは存在しない。それらは一種の日本文化論としても興味深く、新鮮な見解に満ちている。(「はじめに」より)
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執筆者一覧(50音順):飯島惠道/池田行信/碧海寿広/岡田真水(真美子)/川橋範子/那須英勝/本多彩/横井桃子/吉村ヴィクトリア/マーク・ロウ
【本書のポイント】
・「ジェンダー」と「国際性」というこれまで日本仏教に関する著作において同時に押し出されることのなかった二つのキーワードから、「現代日本仏教と女性」という仏教界が抱える重要な問題に切り込む画期的試み。
・研究者による調査報告だけでなく、実際に現場で活動する女性僧侶たちの体験談までを収録。
はじめに(碧海寿広)
序 章 越境する「仏教とジェンダー」研究(川橋範子)
第一部 研究篇
第一章 女性の出家と成仏(岡田真水〈真美子〉)
第二章 米国本土の女性仏教徒と越境
-米国開教区の動向ー(本多 彩)
第三章 越境する寺族女性たち
-日本とハワイの調査からー(横井桃子)
第二部 実践篇
第一章 ジェンダー不平等な現場からのレポート
-伝統的出家型尼僧の視座からー(飯島惠道)
第二章 ニッポンの田舎における英国人女性僧侶の冒険(吉村ヴィクトリア)
第三章 真宗教団における「性」をめぐる諸問題(池田行信)
特別収録
仏教人類学とジェンダー
-女性僧侶の体験からー(マーク・ロウ)
おわりに(那須英勝)
「龍谷大学アジア仏教文化研究叢書」刊行について(楠 淳證)
編者・執筆者紹介
「ジェンダー」という「精緻な仕掛け」を解明する。ジェンダーと性支配を同時に生み出すメカニズムを捉えたフェミニズムの名著再び!
「ジェンダーは、それ自体権力を内包している」。ジェンダー秩序とは〈男らしさ〉〈女らしさ〉という意味でのジェンダーと、男女間の権力関係である性支配を同時に産出する社会的パターンである。社会の領域を貫き、両性の非対称的な社会的実践を生み出し維持するメカニズムを解き明かす。新たに新装版のための序文と本文補注を収録。
新装版への序文
はじめに
1 基本的枠組みの検討
第一章 予備的考察ーージェンダー/心/権力
1-1 「性差」のありか
1-2 「心」について
1-3 社会的行為と権力
第二章 ジェンダーの社会的構築
2-1 ジェンダーの社会的構築
2-2 二つの言説分析
2-3 二つの言説分析におけるジェンダーの社会的構築
2-4 〈脱埋め込み〉と二つの言説分析
2-5 ジェンダーから「性支配」へ
第三章 構造と実践
3-1 人格と社会関係
3-2 構造と実践
3-3 権力と支配
3-4 相互行為水準の権力と支配/社会的地位水準の権力と支配
2 ジェンダー秩序とジェンダー体制
第四章 ジェンダー秩序
4-1 ジェンダー秩序とジェンダー体制
4-2 性別分業
4-3 異性愛
4-4 言語とジェンダー
第五章 ジェンダー体制
5-1 ジェンダー体制とは何か
5-2 ジェンダー体制として何を挙げるべきか
5-3 〈家族〉
5-4 〈職場〉
5-5 〈学校〉
第六章 〈諸制度〉〈儀式〉〈メディア〉〈社会的活動〉
6-1 〈諸制度〉
6-2 〈儀式〉
6-3 〈メディア〉
6-4 〈社会的活動〉
6-5 ジェンダー体制の記述とは何かーー社会構築主義とのかかわりで
3 ジェンダーの再生産と変動
第七章 ジェンダー知の産出と流通
7-1 日常知としての「男らしさ」「女らしさ」
7-2 ジェンダー・ハビトゥス
7-3 ジェンダー知の流通ーー性差の科学を中心に
7-4 科学的言説が社会成員に与える影響
第八章 ジェンダーと性支配
8-1 フラクタル図形としてのジェンダー
8-2 性支配
第九章 再生産・変動・フェミニズム
9-1 再生産と変動
9-2 フェミニズム言説成立後におけるジェンダーの再生産
注
新装版補注
あとがき
参考文献
索引
東アジアの性、家族、社会。何が変わり何が変わらなかったのか? 2000年代以降の状況を気鋭の研究者が新たな視角から切り込む。
東アジアの急激な少子化は20世紀には想像もつかないものであった。日本・韓国・台湾・中国・北朝鮮、これらの社会では、何が共通で、何が異なるのか、そして何が変わったのか。ジェンダーとセクシュアリティの側面から比較し、日本の「特殊性」をあぶり出す。最先端の研究が切り拓く日本の、そして東アジアの「性」をめぐる課題とは?
ジェンダーに関する基本的な解説に加えて、性役割分業、労働、セクシュアリティ、ケア、社会政策などのトピックを幅広く採り上げ、「ジェンダーの社会学」の理論と実践を、第一人者が平明に解説。
ムスリムの家族は近代以降に起きた社会や政治、法律の変動によって大きな影響を受けてきた。では個々の文脈のなかで、それはいかに経験され、議論され、改変され、つくりかえられてきたのか。身近に存在するが捉えがたい「家族」という課題に挑む画期的論集。
「イスラーム・ジェンダー・スタディーズ」シリーズ刊行にあたってーー6『うつりゆく家族』
はじめに
第1部 家族に含まれるもの
第1章 つねに「他人」が家にいるーーオマーン移民の家族と「ハーディマ(奴隷/メイド)」[大川真由子]
コラム1 妻の居ぬ間にもう一家族[鳥山純子]
第2章 団欒と社交のある暮らしーーイエメン・サナアの事例から[大坪玲子]
コラム2 「母乳の父親」--インドネシアにおける男性の育児参加をめぐる言説[西川慧]
第3章 家族に絡めとられるーーモロッコのベルベル人母子にみる家族の捉え方[齋藤剛]
第2部 家族に死が訪れるとき
第4章 母という家庭の中心ーーあるエジプト人母の姿から[鳥山純子]
第5章 上エジプト出身者の葬儀告示から考える家族のつながり[岡戸真幸]
コラム3 家族を喪った悲しみを分かち合うーーウズベキスタンの葬儀と泣き女[今堀恵美]
第6章 妻に家の半分を遺すーーエジプトの地方の町に生きたある男性の一生[竹村和朗]
コラム4 ひとりで頑張るーーイランの「家族経営」企業[岩崎葉子]
第3部 家族をめぐる法の論理
第7章 ムスリム家族法の近代化と宗教コミュニティ間の対立[伊藤弘子]
コラム5 家族と国籍[伊藤弘子]
第8章 変わりゆく家族のかたちーー現代イランの場合[森田豊子]
第9章 名誉殺人と二つの家族像ーートルコの刑法改正が映しだすもの[村上薫]
第4部 家族に入り込む政治
第10章 議会を牛耳った家族[鈴木恵美]
第11章 出生率低下があらわす家族のかたちーーチュニジア南部タタウィーン地域の事例[岩崎えり奈]
第12章 国境を越えるパレスチナ難民の家族ーー市民権が意味すること[錦田愛子]
コラム6 SNSが大好きなアラブ人と家族のつながり[錦田愛子]
編者あとがき
参考文献
第6号は2つの特集、1「LGBT/SOGI施策」に6論文(谷口、遠藤、神谷、二宮、鈴木賢/TAKACO、鈴木秀洋)、2「子の面会交流」に企画趣旨と3論文(山崎、高田、光本)、シリーズ「比較家族法(2)」では4論文(二宮、渡邊、小門、石嶋)、「立法・司法の動向」は、敗訴判決にスポットを当てて一石を投じる浅倉論文と、選択的夫婦別姓の動向(二宮)を掲載。最新テーマで迫る。
グリム版・ペロー版『赤ずきん』、西加奈子『きりこについて』、桜庭一樹『青年のための読書クラブ』-登場人物の「性」のあり方を見つめると物語の底流が見えてくる。
日本の非正規雇用率は37%と言われていますが、女性だけでみると5割を超えています。その不安定な働き方から社会問題にもなっており、新型コロナ禍においてその問題がさらに浮き彫りになりました。非正規雇用で働く人たちの実像を政府統計やアンケート調査結果などから明らかにし、その問題点をいかに解決していくかを考え、労働組合がこの問題にどう立ち向かっていくべきかを提言します。
第1部 非正規雇用労働者とは誰なのか
第2部 非正規雇用労働とジェンダー
第3部 非正規雇用労働と社会保障・労働法制
第4部 非正規雇用労働と労働組合
紀伊國屋じんぶん大賞2023 第1位 『布団の中から蜂起せよ』高島鈴さん応援!
【概 要】
本書は、映画やドラマ、漫画やアニメ、現代アートなどビジュアル要素のある作品を、「ジェンダーの視点」で批評してみようとお誘いする本です。
「なんかモヤモヤした!」「すごくかっこよかった!」といった感想から一歩踏み込んで、「なぜモヤモヤしたのか」「どのようにカッコいいと感じたのか」を言語化してみると、「作品を見る」という体験がもっと豊かになります。
第一部では、それぞれの作品で「セクシュアル・マイノリティの登場人物や同性愛がどのような言動をしているか(what)、どのようなカメラワークで描かれているか(How)」「その背景には何があるのか」などについて、「あっこ先生」と「もえさん」の会話を通して学ぶことができます。
本文内には、専門用語の解説や参考文献の案内があり、ジェンダーやフェミニズムに関する専門的な知識がなくても読み進めることができます。
第二部では第一部のもととなった論文や映画の応援コメントなどを掲載しており、本格的な批評文にも触れることができます。大学などでのレポート作成やSNSでの発信にも役立つでしょう。
本書を読めば、
普段何かを見るたびに感じていた「モヤモヤ」「いいね!」に対して、「そういうことだったのか!」と納得してスッキリするだけでなく、
「いろんな映像作品を見て分析したい!」
「好きな作品をもっともっと応援したい!」
「S N Sで作品批評をしてみたい!」
……と、自分の気持ちを言葉で表現する「ワクワク」に目覚めるはずです。
アメリカ留学中のクィア理論との出会いから、自身のルーツがBLの祖先である「24年組」の「美少年漫画」だと気づいたことがきっかけで、BL論を研究し、映画、アート、クィア領域研究倫理などについて執筆してきた著者による、ジェンダー批評入門講義が始まります!
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・映画『LOVEMYLIFE』で「何が描かれているか」より「どう描かれているか」に注目する
・映画『砂の女』の「女」と「男」という二項対立を揺るがす映像表現とは?
・ドラマ・映画『おっさんずラブ』から差別と偏見の構造を考える
・二人の人間の新しい関係の可能性を探る、漫画『作りたい女と食べたい女』
・世界のLGBT映画史につらなる映画『his』
・ステレオタイプから自由になる、映画『おろかもの』の登場人物たち
・現代アート「サエボーグ」のパフォーマンスから、アートの次元で「身体」を眺める……など
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新型コロナウイルス感染拡大は、これまで社会が内包していたさまざまな問題を浮き彫りにした。とりわけ、突然の一斉臨時休校要請は、教職員、子ども、保護者に大きな混乱や不安をもたらした。本号では、休校対応や感染症対策に追われる学校現場の様子や、子どもたちへの影響についてレポート。さらに、女性労働者への被害の集中、DV被害の深刻化、居場所のない若者、10代からの妊娠相談など、コロナ禍において見えてきた社会の課題を探る。
Part 1 しわ寄せは女性労働者に
女性の休業者比率は男性の3倍以上
──被害は子育て女性に集中
周 燕飛(労働政策研究・研修機構主任研究員)
コロナ労働相談の半数以上は女性非正規労働者
山根木 晴久(連合総合運動推進局総合局長)
「在宅ワーク70%」で見過ごされる
「家庭以内のワークライフバランス」
竹信 三恵子(ジャーナリスト)
《探る・深める》フリーランスにセーフティネットを
森崎 めぐみ(女優、日本俳優連合国際部長)
Part 2 “異例の事態”に向き合う学校現場
新型コロナウイルス感染症対応に関する日教組のとりくみ
丹野 久(日教組中央執行委員・総合政策局局長)
【学校現場から1】
教育現場で、ソーシャルディスタンスが当たり前になる不安(長崎県)
【学校現場から2】
「学校とは」「教育とは」と改めて考える時間が持てた(岩手県)
【学校現場から3】
状況に対応した生活の仕方を自ら考え工夫するよう指導(山形県)
【学校現場から4】
保健室でのかかわりを大切に、感染症への差別を子どもたちと一緒に考えたい(大分県)
【学校現場から5】
発注キャンセル、食材廃棄、簡易給食など異例ずくめの状況下での給食(大阪府)
「コロナにかかってしまったら嫌われるかも」と心配
──「コロナ×こどもアンケート」から見えてくるもの
半谷 まゆみ(国立成育医療研究センター社会医学研究部研究員)
コロナ禍で広がる教育格差──今が議論の時
前馬 優策(広島経済大学教養教育部准教授)
《探る・深める》働きながら学ぶ外国人留学生を襲ったコロナ禍
佐藤 由利子(東京工業大学環境・社会理工学院准教授)
Part 3 「ステイホーム」のかけ声の陰で
コロナ禍とDV
北仲 千里(全国女性シェルターネット共同代表)
居場所のない若者──「家」は必ずしも安全な場所ではない
橘 ジュン(BONDプロジェクト代表、ルポライター)
コロナ禍における10代の「予期せぬ妊娠」
──相談から見えた社会の課題
土屋 麻由美(ピッコラーレ副代表、助産師)
SDGsの17目標を学んだうえで、学級新聞作りにつながるように構成されたシリーズ
新聞作りとSDGs学習を合わせたシリーズの第2巻。SDGs目標5〜8について、マンガとイラストを合わせてわかりやすく解説。
【もくじ】
はじめに/この本の使い方/まんが「SDGsの世界へようこそ!」/SDGsとは…
●目標5 ジェンダー平等を実現しよう
まんが「ジェンダー平等を実現しよう」/男性も女性も生きやすい社会に/「ジェンダー」に関する世界のいま/持続可能な未来のために/わたしたちにできること/新聞作りの準備をしよう
●目標6 安全な水とトイレを世界中に
まんが「安全な水とトイレを世界中に」/生活に欠かせない「水とトイレ」/「水とトイレ」に関する世界のいま/持続可能な未来のために/わたしたちにできること/新聞作りの準備をしよう
●目標7 エネルギーをみんなにそしてクリーンに
まんが「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」/エネルギーをみんなで使える世の中に/世界のエネルギー問題のいま/持続可能な未来のために/わたしたちにできること/新聞作りの準備をしよう
●目標8 働きがいも経済成長も
まんが「働きがいも経済成長も」/働きがいと経済成長の関係/世界の経済成長と問題/持続可能な未来のために/わたしたちにできること/新聞作りの準備をしよう
SDGs17の目標とターゲット(目標5〜8)/さくいん
国連におけるジェンダーの課題。
第4号は特集「安全保障関連法制とジェンダー」と題し、9論文(若尾、岡野、近江、川眞田、松本、清末、海妻、大脇、中野)が、新たな視点からのテーマ設定を試みる。さらに【特別企画】「ジェンダー平等政策の今を問う」には4論文(皆川、浅倉、後藤、廣瀬)、旧姓の使用をめぐる「判例研究」(浅倉)、CEDAW総括所見を日本国内で実効性あるものにするための山下論文を収録。
今、教育の現場で問題となっている、教科書で教えない性教育、セクシュアリティ教育、ジェンダー教育、LGBT問題に一石を投じた書。本書は、学校での性教育の役割が子どもの安全基地の確保となるために必要なものは何かを、さまざまな意見聴取や対話から明らかにしたもの。いま全国の高校では、文科省通達に従って保健や家庭科の科目の中で「性教育」を行っている。しかし教科書に沿って行われる「性教育」は、単なる避妊教育だったり、禁欲教育だったりして、「性」の最も重要な部分である人間の尊厳や、日々の暮らしでの自由と自立と「性」との関係について踏み込めていない。それは「性教育」に携わる現場の教員が痛切に感じていることである。試行錯誤を続けている教員から出てきた問いは五つ。1なぜ「性教育」が必要なのか、2セクシュアリティ教育が目指すもの、3生徒に何を伝えたいか、4生徒は何を知りたいか、5生徒の個人差についてーーこれらの問いに答えるために、本書では、「学歴」とともに分断二大要素の一つである「性」にフォーカスし、それを三つの視点から、「性の教育で必要なこと」(一つ目は学校で行われている文科省通達の「性教育」とそれに携わる現場教師の奮闘を座談会形式で、二つ目は助産師の語る性「出産と赤ちゃん」について、三つ目はLGBTQに関わる「性スペクトラム」について)を論じて見えてきた、子どもの成長に重大な影響を及ぼす「性教育」の在り方を浮き彫りにし、教科書では教えない、性教育の正しい知識とは何かを明らかにした書。今、教育の現場で問題となっている、セクシュアリティ教育、ジェンダー教育、LGBT問題に一石を投じた意欲作。
第1部 序論
第1章 問題関心の所在と研究目的
第2章 都市空間をめぐるジェンダー地理学の視点と課題
第3章 都市郊外空間の変容と住民の参加をとりまく問題
第2部 郊外空間における高齢化と退職者による地域参加
第4章 社会関係の構築機会としての地域への参加
第5章 男性退職者のサークル活動参加プロセス
第3部 「縮小化」する郊外空間と主婦による地域への参加
第6章 「都市の縮小化」と自治体の民営化
第7章 多摩ニュータウン南大沢地区における主婦の起業
第4部 結論
第8章 ジェンダーの視点からみた郊外空間の変容と住民による地域への参加
家族法、刑法(性犯罪)、DV防止法など最新の改正論点を詳解。医学部女子入試差別、AV出演被害、同性婚など、様々な差別や人権課題、労働、社会保障などの幅広い問題を解決に導くための実践の書。ジェンダー問題に接するすべての法曹、ロースクール生のための一冊。
ジェンダー研究の「パイオニア」たちは、どのように学問の道を志し、課題を探究してきたのか。研究中の困難や研究への思い、運動や政治との関係も絡め、後続世代が先達21人に果敢に問う。世代や領域を横断する対話を通じて研究の根幹を継承し、現代的課題を見出すに至る、類例なきインタビュー集。
原ひろ子/井上輝子/金井淑子/上野千鶴子/江原由美子/伊藤公雄/木本喜美子/勝方=稲福恵子/鄭 暎惠/もろさわようこ/伊藤康子/加納実紀代/西川祐子/有賀夏紀/荻野美穂/宮城晴美/金 富子/坂元ひろ子/鹿野政直/池上千寿子/村瀬幸浩
はじめに 佐藤文香
第1部 新しい学問の創出ー女性学・男性学・ジェンダー研究
総説 佐藤文香・森千香子
第1章 原ひろ子
第2章 井上輝子
第3章 金井淑子
第4章 上野千鶴子
第5章 江原由美子
第6章 伊藤公雄
第7章 木本喜美子
第8章 勝方=稲福恵子
第9章 鄭 暎惠
第2部 歴史を拓くー女性史・ジェンダー史・男性史
総説 貴堂嘉之
第10章 もろさわようこ
第11章 伊藤康子
第12章 加納実紀代
第13章 西川祐子
第14章 有賀夏紀
第15章 荻野美穂
第16章 宮城晴美
第17章 金 富子
第18章 坂元ひろ子
第19章 鹿野政直
第3部 個に寄り添うーセクソロジーからヒューマンセクソロジーへ
総説 坂なつこ
第20章 池上千寿子
第21章 村瀬幸浩
おわりにージェンダー研究の〈継承〉と当事者性の獲得 伊藤るり
巻末附録 ジェンダー研究関連年表
索引
中国の長い歴史とともに変化したジェンダー秩序の変遷過程をダイナミックに描く。社会の父系化、ジェンダー規範の強化、そして社会主義をへて改革開放の大変動まで。家族、労働、ナショナリズム、身体、LGBTなど今日的な研究視点を網羅し、中国ジェンダー史研究の全体像を初めて伝える。初学者から隣接分野まで必携の研究入門。
生理休暇が〈消える〉ためには?
「第49回赤松賞」を受賞した著者が、戦時期の女性労務動員についての歴史的・実証的研究から、現代にも通じる女性労働者の稼得労働と妊娠、出産、育児に関する課題を照射する。
「総力戦」が強調された戦時期における女性労務動員の展開は、グローバル経済下で競争力の維持を目指す現代日本の労働政策と相通ずる点があるのではないだろうか。赤松常子は敗戦直後に「日本女性の戦ひはこれからである」と残した。現代を生き抜くために今知っておきたい戦時期日本の働く女たちの姿がここにある。
はしがき
序 章 戦時期日本の働く女たちに関する研究のこれまでとこれから
1 戦時期日本の働く女たちに関する研究の到達点
2 女性労働者の労務動員が生じさせた摩擦
第一章 一九二〇年代から一九三〇年代の女性の就業状態
--労働運動の指導者と研究者の視点から見た働く女たち
1 一九二〇年代から一九三〇年代の女性労働者の就業状態
--稼得労働と妊娠、出産、育児との両立
2 稼得の必要性から働かざるを得ない未婚の女性労働者
--赤松常子の問題意識
3 労働環境が及ぼす健康への影響
--研究者たちの視点から見た女性労働者
第二章 未婚女性の労務動員のための「戦時女子労務管理研究」
--労働科学研究所の古沢嘉夫の視点から
1 戦争の開始と「戦時女子労務管理研究」の必要性
2 労働科学研究所の「戦時女子労務管理研究」
--古沢嘉夫が訴えた女性労働者の健康
3 女性労働者の出身階層と健康状態
--月経に関する調査研究
4 生き抜くために働く既婚女性と研究者の制約
第三章 既婚女性労働者の困難
--妊娠、出産、育児期の女性たち
1 既婚女性は労働力の対象ではなかったのか
2 救貧対策としての母子保護法の制定
3 貧困家庭の母親たちに向けられた政府の二重の期待
4 働く母親たちと保育環境
第四章 女性たちの労務動員に対する態度の多様性と政府の対応策
1 階層格差から生まれた女女格差
2 職場における男女格差
--男女同一労働同一賃金の議論のゆくえ
3 女性の労務動員の最終手段
--女子挺身隊から現員徴用へ
第五章 赤松常子の主張と産業報国会の取り組みとの齟齬
--既婚女性の労働環境をめぐって
1 使用者たちに抵抗する産業報国会女性指導者
2 女子挺身隊に対する未婚女性の母親たちの心配
--産業報国会に求められた未婚女性への「生活指導」
3 働かざるを得ない既婚女性を守ろうとした赤松常子
--言説に見られる制約
第六章 戦時体制が残した女性労働者の健康への視点
--生理休暇の現代的意義
1 戦時期がもたらした敗戦直後の女性労働への影響
2 生理休暇制定を主張した赤松常子
3 消えかけた生理休暇
4 生理休暇が本当に〈消える〉ために必要なこと
終 章 戦時期日本を生き抜いた働く女たち
あとがき
参考文献