世界各地の多様なノンフォーマル教育の実践を通じ、
既存の教育観を超えた、「別様の教育」の可能性を追求する試み。待望の増補改訂!
2013年に本書の旧版を出版したとき、「ノンフォーマル教育」という言葉はあまり知られておらず、使用されることも多くはなかった。それから10年余りたち、教育を取り巻く状況や考え方が大きく変化するなかで、それらに柔軟に対応する「別様の教育」としてのノンフォーマル教育がもつ可能性は、より広く認知されるようになった。
教育の営みは、それを取り巻く社会のありように規定される。その一方で私たちは、教育を通じて社会を変えていくことへの希望も抱いている。一人ひとりの生活を安全で安定したものにするために、そしてより充実したものにしていくために、世界各地で多種多様な教育活動が展開されてきた。その幅広さを捉えるためのキーワードとして本書が注目する「ノンフォーマル教育」は、学校教育が十分に普及していない地域においては初等・基礎教育や職業訓練の機会として提供され、学校制度が定着した社会では、社会の主流に包摂されない自由で柔軟な学習の場として展開されてきた。ノンフォーマル教育の多様な実践を見ることで、改めて、教育と社会の複雑な関係についての理解を深めることができるはずである。
この増補改訂版では、ノンフォーマル教育の実践や理論を紹介するコラムをさらに充実させるとともに、性の平等を目指す教育実践について検討する新たな章を追加した。その他の章においても、情報を更新したり新たな論点を提示したりしている。
ノンフォーマル教育の現場では、社会のありかたを見据えながら、そのなかで一人ひとりの自己実現を支援する活動が営まれている。そこで生じる創意工夫や協力関係は、「教育をつくりあげる」ことの魅力にあふれている。そう、教育は、自分たちの手でつくっていけるものなのだ。自分にとって、周りの人々にとって、どのような教育が望ましいのか。本書がそれを考える際の一助となれば幸いである。
絶えず変化を続ける国際教育の現場環境に対応するため、
国際教育の実践の支援に役立つハンドブックが登場。
国際教育に携わる教職員や社会人が集まり,
新しい時代の国際教育を切り開くためのチームBRIDGE Instituteが提供してきた
「国際教育の理論と実践を学ぶワークショップ」で展開してきた
議論と実践を手軽に読めるようにまとめた内容。
国際教育プログラムが急激に拡大する現場において,
担当者が学びの質に対して確信がもてないまま実践が先行している
現状を重要な課題と捉え、より広く教育現場に届けることを目指す。
国際教育について考えるすべての人へ。
【執筆者】
秋庭裕子、大野さゆり、岡田二朗、小野詩紀子、川平英里、國府田 真、古賀恵美、近藤祐一、
佐間野有希子、高木ひとみ、平井達也、藤井基貴、筆内美砂、星野晶成、堀江未来、松本哲彦、
力丸晃也
組織における教育をキーワードにした「経営学」と「心理学」の融合を目指して…大学へ寄せられる産業界・企業からの期待に応えるために必要なものとは?「創造性」を育てる取り組みが、“研究”と“教育”を融合する取り組みと重なり合うことを描き出すことができるのか?経営学者と心理学者の協働による意欲的研究!
本書で育てる『社会性』とは、子どもたちが大人になり社会生活を営んでいくために必要な、コミュニケーション能力・実践力・社会適応・集団適応・規範意識等、特に「将来展望性」に焦点を当てた諸能力や資質の総体。
現代の教師には,ICT化の流れのなかでAIにはない自律性が求められている。
子ども個人の学習状況による「個別最適な学び」の提供だけでなく,子ども一人一人をまるごと見ている教師にしかできないこととは何かを考える。
第1部 今日の教育改革と教師の自律性
1 教育「変革」政策の展開と教師の自律性
ー「教育DX×個別最適な学び」による脱学校化の行方ー 石井英真
2「 個別最適な学び」を問う
ー「個」の独自性(固有名)を大切にする教育実践へー 鹿毛雅治
3 個別化・個性化教育の動向と教師の自律性
ーオランダのイエナプラン教育を手がかりとしてー 奥村好美
4 教育データサイエンスと教師の自律 田端健人
5 教師教育改革の動向と教師の自律性 木原俊行
6 生活指導運動における実践知の創出と教師の自律性 高橋英児
第2部 教師の自律性を軸とした授業研究
1 子どもと教師の自己変革の場としての授業づくり
ー教師と研究者との協働による授業研究過程を省察するー 吉永紀子
2 授業研究者をとりまく教育臨床研究の倫理に関わる問題群 宮原順寛
3 学校を基盤とした協働型授業研究 坂本將暢
4 校内授業研究を通した教師の自律性を保障する学校文化の醸成 黒田友紀
5 教師にとっての実践記録の意味 藤江康彦
第3部 教育方法学の研究動向
1 教職課程改革における教育方法関連科目の位置と課題
ー「情報通信技術を活用した教育の理論及び方法」の新設をめぐってー 樋口直宏
学ぶ権利を保障するためには、学校・教職員の専門性に基づく自律的な教育活動が欠かせない。しかし他方で、学校・教育現場への統制の強化が、「民意」を背景に進められてきた。教育における民主主義のあり方を探る本格的研究。
序 教育に求められる自律性と教育政治
第一部 「民意」拡散と教育政治の変容
第一章 「民意」拡散による教育専門職裁量の縮小
第二章 教師教育における専門的自律性と正統性
第三章 教育機関の管理運営における民主主義をめぐる課題
第二部 「公正な民意」と教育政治のかたち
第四章 「民意」拡散に対置しうる「公正な民意」のあり方
第五章 学校を基礎とした民主主義のあり方
第六章 教育管理職人事における政治の位置
結 “本当の世界”についての学びを支える教育政治のかたち
教養教育の現代化、FDと授業改革、大学アイデンティティの確立ー大学史研究と自らの改革体験を踏まえ説き進める、必読の時論集第3弾!サバイバルの危機とユニバーサル化の趨勢を前に、難題解決の途を探る。
親が教育費を払うのは当然?その常識を覆す。日本では、なぜ公教育の無償性が実現されないままなのか?その歪んだ構造を初めて歴史的に解き明かし、子どもの教育人権を保障する制度の骨格と財政量を提示。教育財政法の新たな地平を拓く。
高機能自閉症やアスペルガー症候群などの人とのつながりが苦手な子どもたちに特別支援教育を進めるための必読書。
パターナリズムからケアへ。教育は目的の王国であり、陶冶と能力開発を至上目的とする近現代教育は、生徒という「存在」のためというよりも、生徒を「目的」へ向け牽引するパターナリスティックな行為となる。不登校、高校中退、校内暴力といった目的に逆らう行動は、「病的」な非倫理と刻印され、教育からの追放・離脱に帰結するほかはない。だが医師にとって病は何ら「病的」ではないのだ。ケアの場で見るような関係性のあり方を、教育現場において追求・考察した、優れて今日的な実践的理論の展開。
各国のアカデミック・ライティング(書くこと)の教育的広がりや深みについて、さまざまな立場・角度から探究し、その可能性を示す。
アカデミック・ライティングの意義や評価に関する議論を含みつつも、「ライティング教育=アカデミックな文章の技術指導」という狭い見方に限定されず、人間形成全体におけるライティング教育の可能性を探る。そのため、パーソナル・ライティングというもう一つの軸を立て、アカデミックとパーソナルの両側面を架橋することを目指す。