ことばを記号でなく文化としてとらえ、その意味のありようを解明する
私たちは毎日、膨大な量のことばと記号、そしてそれらが表す意味に囲まれて暮らしている。本書は、現代言語学の中心分野である「意味論」の立場から日常生活における言語体験を分析し、ことばの意味が固定したものではなく、時代や文化、状況の違いによって様々に変転することを明らかにする。さらに文化や思考様式と、言語の意味構造がどのように連関しているのかを、豊富な事例を挙げながら解説する。意味論の新しい世界を切り開いて長く読まれた記念碑的著作を復刊する。復刊に際して「改版あとがき」を付加。著者の学問的履歴・原著執筆の背景事情・刊行後の言語学の歩みがわかります。
序章 二つの挿話
「青木屋」と「ブルー・ツリー」/「借リル」と「貸ス」
第一章 言葉ともの
言葉の意味と指されるもの/「婉曲」な言葉使い/「皮肉」な言葉使い/戯語
第二章 意味の類似性
意味の類似性と指示物の同一性/同義語/反意語/包摂語と被包摂語/意味の因数分解/語結合/意味の重複と矛盾
第三章 意味の曖昧さ
不確かさ/意味の曖昧さ(1) 同音性/意味の曖昧さ(2) 多義性/同音性と多義性/文のレベルでの多義性/意味とコンテクスト
第四章 言葉の意味する部分と意味しない部分
意味を担う最小の単位/語の恣意性/擬声語・擬態語/語の有契性/有契性の喪失/有契性の獲得ーー民間語源
第五章 意味の変化
語の意味の変化/意味変化のメカニズム/語義の類似性に基づく場合/語義の近接性に基づく場合/語形の類似性に基づく場合/語形の近接性に基づく場合/意味の一般化と特殊化/意味の向上と堕落/言語の習得の過程における意味変化/語の廃用化
第六章 文法と意味
品詞と意味/主語、目的語と意味/〈動作主〉、〈被動者〉など/〈主題〉と〈叙述〉/〈既知〉と〈新出〉
第七章 センスとナンセンス
意味をなす表現となさない表現/語法上での基準と「ずれ」/コンテクストの役割/「詩的」であるということ
第八章 言語と文化・思考
文化的な関心の反映としての意味構造/思考様式を規定するものとしての意味構造/行き過ぎた議論の危険性/語から語法・文法へ
改版あとがき
モウ達に加え、人間っぽいエンコバナやラミアと共に沿岸集落にたどり着いたハカバ。新しい土地で調査を始めるも、水中に住む、魚と全く区別がつかない住民たちによって海底洞窟へと連れていかれてしまう! 水中種族とコミュニケーションが取れず、脱出不可能な洞窟で死を意識し始めたハカバは、魚と住人の違いを見分け、コミュニケーションをとることができるのか…!?
音声はどうして言語としてとらえられるのか
図や音声データ・動画を多用し、音声言語処理の仕組みをわかりやすく解説。4部構成。まず物理学・生理学・心理物理学の切り口から音声言語の仕組みについて説明する。次に「人間はどのようにして音声を聞き分けるのか」という問いに音声の科学的研究を通して答える。さらに応用として、音声合成と音声認識の仕組みを解説する。最後に今後の展望として、言語を獲得する人工知能の可能性について考察する。掲載図版約160点、音声データ約160個、動画19本収録。コラムとして、「ハートのこもった音を創る」「音が無いのに聞こえる」など、音声言語にまつわる興味深い話題を25編収録。言語聴覚士のための教科書または副読本としても使用できる。
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<目次>
I 音の物理学
1章 静けさの音と音の大きさ 〜音が無いとシーンと聞こえるのか〜
2章 音を構成する部品 〜音色は物理的には何なのか〜
3章 スペクトル、そして美しい音とは
II 音声科学
4章 音声生成の仕組み 〜気管と食道がつながっている!?おかげで〜
5章 脳が音色を感じる仕組み
6章 音の心理物理
7章 言語音声の合成による分析 〜なぜハートは愛/ai/なのか〜
III 音声工学
8章 AIがしゃべる人工音声 〜琉球語もしゃべる〜
9章 音声自動認識 〜自分で進化していく機械〜
IV 言語の獲得・学習
10章 言語の獲得 〜ヒトとサルの違い〜
11章 言語獲得のモデル 〜聞き話す赤ん坊コンピュータ〜
I 音の物理学
1章 静けさの音と音の大きさ 〜音が無いとシーンと聞こえるのか〜
2章 音を構成する部品 〜音色は物理的には何なのか〜
3章 スペクトル、そして美しい音とは
II 音声科学
4章 音声生成の仕組み 〜気管と食道がつながっている!?おかげで〜
5章 脳が音色を感じる仕組み
6章 音の心理物理
7章 言語音声の合成による分析 〜なぜハートは愛/ai/なのか〜
III 音声工学
8章 AIがしゃべる人工音声 〜琉球語もしゃべる〜
9章 音声自動認識 〜自分で進化していく機械〜
IV 言語の獲得・学習
10章 言語の獲得 〜ヒトとサルの違い〜
11章 言語獲得のモデル 〜聞き話す赤ん坊コンピュータ〜
言葉を字義どおり真にうけてはいけない。言葉には、人に危機をもたらすものが多いからです。本書では、言葉には〈生きたもの〉と〈死んだもの〉があるということ、さらに言語が私たちの現実感覚から大きく離れ、多用されるとき、私たちの思考は麻痺する、ということを、ランボー、志賀直哉、レヴィ=ストロースの言語感覚を例にひきながら、わかりやすく解きあかしていきます。【目次】第一章 数学の言語とランボー/第二章 生命ある記号/第三章 死をもたらす言語/第四章 志賀直哉と言語
第一章 数学の言語とランボー/第二章 生命ある記号/第三章 死をもたらす言語/第四章 志賀直哉と言語
本書は、生成文法ミニマリストプログラムにおける、pair-Merge の可能性について考察したものである。通常 pair-Merge は Adjunct のみに適用されるとされるが、Chomsky (2015) 以降の Free Merger の考えを突き詰めると、このような恣意的な操作の適用は望ましくない。本書では、pair-Merge も set-Merge も、Adjunct にも Argument にも適応可能という「Radical Free Merger」を提案し、様々な言語現象の説明を試みる。
1章の導入の後、2章で理論的な背景を概観し、3章にて Radical Free Merger の具体的な説明を行う。3章でみるように、Radical Free Merger のもとでは、操作の適用について、set-Merge と pair-Merge、そしてさらにそれらの Internal な適用と External な適用により、External set-Merge、Internal set-Merge、External pair-Merge、Internal pair-Merge の4種類の論理的可能性が導かれる。そしてそれらの操作が Argument と Adjunct のどちらにも適用可能であるとすると、操作の可能性は8通り存在することになる。その後の章ではこれらの可能性の内、通常の想定のもとでは議論されることがない、Argument の External/Internal pair-Merge と Adjunct の External/Internal set-Merge について詳細に考察していく。
まず4章においては、Argument の External pair-Merge の可能性に基づいて様々な言語現象を考察する。4章での議論は、英語の経験主項、英語の二重目的語構文、受動文への考察を含み、また章の最後では Adjunct の External/Internal set-Merge の可能性についても考察している。5章では Argument の Internal pair-Merge の可能性について考察し、かき混ぜ操作と数量詞繰り上げが、実は Argument の Internal pair-Mergeの結果生じていると主張する。最後に6章では、言語の左周辺部に関わる Cartography 研究について、Radical Free Merger の立場からどのような帰結が得られるかを考察する。
外国語教育学や第二言語習得の論文において多く使われている手法を網羅的に紹介し、
実際に論文を書く時に活用できるようわかりやすく丁寧に指南したベストセラーの増補版。
調査的面接法入門の章と、構造構成的質的研究法(SCQRM)入門の章が新たに加わったばかりでなく、
質的な研究手法の以外にも、カッパ係数やSEMのFit 指標の表も盛り込まれています。
研究を志す大学院生、中学・高等学校教員、大学教員、教育産業従事者に必携の一冊。
今回の増補のポイント!
☑︎APA第7版に完全対応
☑︎新たに「ベイズ統計入門」「量的手法のさまざまな展開」の章を追加
本書は、統語論、音声学・音韻論、形態論、意味論・語用論の各分野におけるインターフェイスをテーマとする4巻シリーズの第2巻である。音声学や音韻論が関与する言語現象はごく身近なところに多く存在しており、本巻で取り扱うテーマも英語史、野球の応援歌、役者の台詞、絵本、子どものスピーチエラー、ディスレクシアと幅広い。各分野の最新の成果や理論的発展をわかりやすく解説した研究書兼概説書となることを目指した。
第1章 音韻論と統語論のインターフェイスー英語史に焦点を当てながらー
大沢ふよう
1. 序
2. 英語の変化
3. 古英語以降の英語に起こった変化
4. 音韻と統語の関係
5. 音韻が統語構造を決定するのか
6. 統語論は不要か
第2章 「燃えよドラゴンズ!」の音韻論と形態論
ー日本語のテキストセッティングと言語学のインターフェイスー
田中真一
1. はじめに
2. 言語文化と音韻論・形態論
3.「燃えよドラゴンズ!」のテキストセッティング
4. 音韻論・形態論の諸概念との関わり
5. 音韻・形態現象とテキストセッティング
6. むすび
第3章 音声,方言,そして演劇のインターフェイス
ーバーナード・ショーによる『ピグマリオン』-
八木斉子
1. はじめに
2. ショーと音との関わり
3. ショーによる演劇作品と音声情報
4. イライザと音声,役者と音声
5. むすびに代えて
第4章 音韻論と言語発達のインターフェイス
ーオノマトペと絵本に焦点を当てながらー
都田青子
1. はじめに
2. 言語の恣意性
3. 音象徴
4. オノマトペ
5. 絵本の中のオノマトペ
6. むすび
第5章 音韻論と言語障害学のインターフェイス
ー言語理論から見た構音獲得と構音障害ー
上田 功
1. はじめに
2. 言語発達期の音逸脱の性格
3. 構音障害の多様性
4. 音逸脱の多様性
5. 制約に基づく分析
6. 制約から見た音逸脱と機能性構音障害
7. インプットについて
8. 言語音の獲得順序
9. 結論
第6章 言語聴覚障害学と英語教育のインターフェイス
ー言語聴覚障害学から発達性ディスレクシアと英語学習を考えるー
原 惠子
1. はじめに
2. 発達障害,学習障害,ディスレクシア
3. ディスレクシア
4. ディスレクシアのある児童生徒
5. 言語によるディスレクシアの問題の現れ方の異なり:日本語と英語
6. 英語学習の問題:B 児の事例を通して
7. 英語学習支援
8. 英語の指導で考慮すべきこと
9. まとめ
現代言語学は、主に、自然言語の変化しにくい静的な側面をもとに、言語知識の中身の解明を目指している。しかし、言語には、変化を受けやすい動的な側面もあり、それを知ることではじめて見えてくる言語の本質もある。本巻は、認知言語学・生成文法統語論・日本語学の観点から、文法化・語彙化・構文化という言語変化の一般的な特徴が、それぞれ、どのように説明できるかについて、英語と日本語の豊富な実例をもとに解説する。
近年のレキシコン研究は、単に語彙の分析にとどまらず、意味と語用のインターフェイス、構文や語形成との関係を視野に入れた新たな探求が展開されている。本書は、レキシコン理論における「語彙の情報とは何か」という究極の問いに答えるべく、概念意味論、生成語彙論、分散形態論、形式意味論などの理論的枠組みや、実験、定量的分析といった研究手法に基づく論考を収録し、レキシコン研究に新たな視点をもたらす意欲的な論文集である。
執筆者(五十音順):青柳宏、岸本秀樹、木戸康人、工藤和也、佐野まさき(真樹)、澤田淳、澁谷みどり、田中秀治、富岡諭、中谷健太郎、日高俊夫、森山倭成、山田彬尭、依田悠介
第I部 語の意味と文の構造
第1章 意味合成の領域とレキシコンからシンタクスへの写像
工藤和也
第2章 「場所格交替」再訪 -多義性と強制に基づく項交替ー
岸本秀樹
第3章 韓国語における受動文の派生と二重使役の衰退について
青柳 宏
第4章 「ではないか」構文における節構造と上方再分析
森山倭成
第5章 とりたて詞の焦点拡張と多重生起 -複文における対比のハを中心にー
佐野まさき(真樹)
第II部 語用論的意味をめぐって
第6章 日本語の指示詞の意味と語用論 -ソ系指示詞の直示用法を中心にー
澤田 淳
第7章 「普通に」における語用論的意味 -客観化・対人化ー
日高俊夫
第8章 「Vすることを始める」の持つ「習慣性」-統計モデリングを用いた容認度判断の検証ー
山田彬尭
第9章 テシマウは本当に完了のアスペクト形式なのか
中谷健太郎
第III部 語や形態素の意味・構造・機能
第10章 ダケの語彙的意味 -度数の意味から排他性へー
富岡 諭
第11章 動詞「掘る」の多義性について
澁谷みどり
第12章 5種類の接辞「っこ」の意味と機能
木戸康人
第13章 分散形態論と語彙的V-V複合語の意味構成
田中秀治
第14章 日本語数表現に見る異形態
依田悠介
私たちは日頃,歩行や呼吸をするのと同じように,特別に意識することなくことばを用いている。つまり,ことばの大半は特段の努力を伴わずとも反射的に用いられていることになる。であるとすれば,私たちは瞬時に何を選択し,同時に何を選択していないのであろうか。本書はこの無意識の選択の背後に潜む「心のオートフォーカス機能」とことばの選択の関係に切り込んでいく。
これまで言語研究で取り上げられることのなかった従軍記、回顧録、部隊史などから片々たる記述を拾い、当時の言語接触のあり様や日中語のピジン(「協和語」「兵隊支那語」など)を再構築することを試みる。
一九六〇年代以降、全世界の人文科学を席捲することになる構造言語学ー記号学の源泉が一九一〇-二〇年代ロシア=ソ連における言語学の革新だったことは今や広く知られている。激しく燃え盛るロシア・アヴァンギャルドの芸術運動、そして“詩の革命を唱え展開した未来派詩人たちとの緊密な連帯のなかから出発したロシア・フォルマリズム運動の一翼を担った”言語学者たち、ボードアン・ド・クルトネ、ヤクビンスキイ、ポリヴァノフ、ヤコブソンからバフチン、ボガトゥイリョフにいたる多彩な言語学者、記号学者たちの思考の歩みを、詩的言語研究会(オポヤズ)、モスクワ言語サークル、プラハ言語学サークルの動向をも追いながら克明に辿る。
だれかにいわれてしまったら、わたしのいのちはおしまいよ(ドイツのなぞなぞ)--不思議な不思議なことばの国、なぞなぞ。そこには詩があり、歌があり、知恵がある。世界70カ国、6600のなぞなぞを集め、日本語訳に加えて原文も並記した世界初の大事典。そこには、ことば遊び的なもの、教訓的なもの、ユーモアやエロチシズムに富むものがあり、その一つひとつが、添えられた700余点の挿絵・イラストとともに、民族の文化や風土を語る。なぞなぞという小さな言語作品を展示した、大きな博物館のごとき大事典。執筆者総数65名。90項目中、8項目が古典で82項目が現代。登場する言語の種類は90を超える。巻末に索引付。
本書は、西欧言語とは異なる日本語の人称表現の特徴にもとづき、社会言語学的側面から日本語人称詞を考察した一冊である。考察の範囲は、韓国語人称詞との対照、人称詞の周辺形式としての複数形接尾辞にまで及ぶ。小説作品の分析や意識調査などの研究手法を取り入れ、数値による裏づけを研究の基本とすることで、計量的研究としての意義が認められる。
物語の脇役を添える研究者生活の実態を投じた架空世界と、認知言語学という学問領域で展開される現実世界が、相互に交錯する形で、認知言語学と呼ばれる学問領域の内実を講義形式で描いた小説風認知言語学入門である。
第1講 認知言語学とは何か?
第2講 プロファイリング
第3講 スキャニング
第4講 ズーミング
第5講 ブリーチング
第6講 メトニミー
第7講 参照点能力
第8講 フレーム
第9講 カテゴリー化
第10講 シネクドキー
第11講 スキーマ化と拡張
第12講 メタファー
第13講 ブレンディング
第14講 スプリッティング
第15講 まとめ
本書は、形態論研究におけるインターフェイスに焦点を当てた研究書兼概説書である。形態論の枠組みを中心にして周辺の言語学研究の諸分野とのインターフェイスを分析した最新かつ概説的な論考が5編収録されている。対象とする言語、現象ともに多様なものとなっており、充実した内容となっている。形態論研究を中心としながらも、英語学、日本語学、言語学の研究者、また、大学院生、学部生など、幅広い読者を対象としている。
第1章 形態論と音声学・音韻論とのインターフェイス
西原哲雄
1. 形態論とは何か
2. 形態論の基本概念
3. 第I 類接辞と第II 類接辞
4. 語彙音韻論の枠組み
5. 語彙層の数について
6. 順序付けのパラドックス
7. 英語のリズムルールと音律範疇の形成
8. 英語の口蓋化と音律範疇の形成
9. 音韻語形成の役割
10. 生成音韻論と語形成過程
11. 連濁と形態構造
12. まとめ
第2章 方言でみるカテゴリーと形式のインターフェイス
島田雅晴
1. はじめに
2. 方言に基づく研究の論点
3. 機能表現の方言間比較
4. 言語接触がもたらす変化
5. まとめ
第3章 形態論と強勢のインターフェイス
時崎久夫
1. 形態論と語強勢
2. 接尾辞優先
3. 右側主要部規則とパラメター
4. 派生語・複合語の語順と語強勢・句強勢
5. まとめ
第4章 語彙意味論と語形成のインターフェイス
由本陽子
1. 導入
2. 動詞のLCSと接頭辞付加規則
3. 名詞のクオリア構造と名詞転換動詞
4. 修飾関係解釈と「名詞+名詞」型複合語
5. まとめ
第5章 日本語の形態論と他部門のインターフェイス
西山國雄
1. 品詞の認定に見る形態論・統語論・意味論のインターフェイス
2. 形態素の認定に見る形態論・音韻論・統語論のインターフェイス
3. アクセントに見る音韻論・形態論・統語論のインターフェイス
4. 連濁に見る形態論・音韻論・意味論・統語論のインターフェイス
5. 複合に見る形態論・統語論・意味論・音韻論のインターフェイス
6. 並列表現に見る形態論・統語論・意味論・音韻論のインターフェイス
7. まとめ
「この言語学の新しい方法は、他の学問分野の先例、さらには模範に当たるものとさえなり、今やことばの諸問題は多種多様な専門分野からの関心を集めて、そうした隣接分野の数も増加の一途を辿っている」
(「言語学の発展を顧みて」より)
「能動態の動詞形が、はじめは中動態に対立し、後には受動態に対立しているのが見られる」
(「動詞の能動態と中動態」より)
ソシュールの後継者と称され、ヤーコブソンと並び20世紀を代表する言語学者の主著の一冊。収録21篇の論文は、言語学の領域をこえて、文化人類学、社会学、歴史学、精神分析とも関連する広がりをもつ。ソシュールの歴史的意味、言語学における《構造》とは、能動態と中動態・受動態、印欧語彙における贈与と交換など、言語と人間・文化の関係を考えるうえで重要な書。
凡例
はしがき
I 言語学の変換
1 一般言語学の最近の傾向
2 言語学の発展を顧みて
3 ソシュール没後半世紀
II コミュニケーション
4 言語記号の性質
5 動物のコミュニケーションと人間のことば
6 思考の範疇と言語の範疇
7 フロイトの発見におけることばの機能についての考察
III 構造と分析
8 言語学における《構造》
9 言語の分類
10 言語分析のレベル
IV 統辞機能
11 名詞文について
12 動詞の能動態と中動態
13 《be》動詞と《have》動詞の言語機能
V 言語における人間
14 動詞における人称関係の構造
15 フランス語動詞における時称の関係
16 代名詞の性質
17 ことばにおける主体性について
18 分析哲学とことば
VI 語彙と文化
19 再構成における意味論上の諸問題
20 婉曲語法:昔と今
21 印欧語彙における贈与と交換
あとがき
索引
これまで埋もれていた半世紀にわたる執筆作品を自身でセレクトし、整理・編集した著作集の2冊目であるセレクシヨン2には、1963年〜1998年の言語学に関する小篇、論文、講演録など32篇を収めた。
ここに収めた田中克彦の論考を通して、戦後日本の言語学の変遷を読み取ることができる。
特に日本語ではなく、国語と称されるに至った経緯やピジン・クレオール語、民族語についての論考は、現代の終わりの見えない民族対立について考えるきっかけになるだろう。
セレクシヨン2へのまえがき
第一部 一九六〇年代〜一九七〇年代
日本語を考える
戦後日本における言語学の状況
言語観の再検討を
論理学に対する現代言語学の立場 -山田広行『論理学』をめぐってー
言語学と言語学的現実
恥の日本語
「読む」ことと「見る」こと 現代詩への一考察
地域と言語
「エッタ」を私はこう読んだ
第二部 一九八〇年代
言語批判の視点 『国語の将来』『国語史』『標準語と方言』その他
国語愛と教育のことば
支配の装置としての学術語 社会科学用語のジャルゴン性を撃つ
エスペラントを包囲する 言語学イデオロギー
《本から本へ》クレオール くずれたフランス語の学び方
ヨーロッパと言語イデオロギー
《講演録》社会言語学的にみた日本文化の気質
《百科問答》外国語における「差別語」は?
エスペラント百年に思う
言語・エトノス・国家
「影響」の影響力
《講演録》「国際」の政治意味論
第三部 クレオールと多言語主義
ピジン、クレオールが語る言語の本質
書くことは自由か
《講演録》ことばとエコロジー
《講演録》明治日本における「国語」の発見
《講演録》一言語主義から多言語主義へーーフランス語の未来
国語の形成
《講演録》二一世紀の世界における日本語
世界・日本・ローマ字
人間にとってことばとは何か
国語と国家語
《講演録》ことばの環境と経済
仏語と日本語の比較において、一部の名詞複数形は数量表現として定義できないことを示す。仏語と日本語における名詞複数形が示す多様な表現価値に着目し、「複数」と「複数形」という言語形式とのかかわりについて考察。
序 論 フランス人の親は常に子供が複数いるのか
第1章 言語学における「複数」概念の定義およびその限界
──「複数形」の「複数」とは何か
第2章 フランス語の不定名詞句複数形における「複数」概念
──日本語の畳語複数形との比較から
第3章 フランス語の不可算名詞複数形における「複数」概念
──日本語の畳語複数形の再検討
第4章 日本語の接尾辞「─たち」が表す「複数」の意味
──フランス語の総称名詞複数形との比較
第5章 存在否定文の主語名詞句複数形が表す「複数」の意味
──フランス語では「幽霊」は存在しないのに,日本語では存在するのはなぜか
第6章 フランス語の結びの挨拶の名詞複数形が表す「複数」の意味
結 論
参考文献
あとがき
索 引