交通史研究会長児玉幸多先生には、昭和61年12月8日をもってめでたく喜寿をお迎えになります。この慶事にあたり、児玉先生より日頃大変お世話になっている交通史研究会の会員諸賢から、近世交通史の論文集を発刊して先生の御恩にむくいようとの気運がたかまり、昭和59年5月26日(土)、文教大学で開催された交通史研究会委員会の発議によりまして、記念の論文集を刊行することに決定しました。
本巻には、享和3年(1803)から文化2年(1805)までの、3年間分の浅草寺の記録11冊を収めた。すなわち享和3年は、別当代の記録「公私日次記」、役者の記録「御用記」、御納戸の記録「日記」、堂番の記録「御本堂日記」の計4冊、文化元年(享和4)は、別当代の「公私日並記」、役者の「御用記」、御納戸の「日記」の計3冊、文化2年は、別当代の「日並記」、役者の「御用記」2冊、御納戸の「日記」の計4冊、以上合計11冊である。
江戸荒事歌舞伎の源流初代市川団十郎より、明治中期の団・菊・左時代を飾った9代目団十郎までの成田屋歴代の芸道精進のあとと、その演劇界における位置を、厳密な史料批判を基礎にまとめた好篇。豊富な引例とエピソードとによって興味深く説き、思わず読みつづけさせる。新装版にあたって、現代に至る10・11・12代目の章を増補し一層の充実を期した。
本巻では、墳墓と経塚とについてとりあげた。この二つの遺跡は、異質的な観があるかも知れないが、日本人の精神史に関する問題として、祭祀遺跡とともに最も重要なものであり、新しい試みとして、一巻の中にとりあげた。墳墓関係において、葬法や墓の築造、遺骸を納める施設に触れ、埴輪の問題を含めた。経塚については、重要な課題である発生や営造の課題を把えた。
本書は、栃木県那須郡小川町大字小川字駒形に所在する、国史跡指定の前方後方墳の発掘調査の報告書である。
大乗菩薩道の実践に努めた高僧行基の伝記を通して、仏教と政治との葛藤を典型的に示す行基の行動と律令国家の対応を考察する。政府はなぜ行基の徒を抑圧したのか、行基の仏教思想はいかなるものか、山林修行者から聚落の朋党仏教へ転換した契機は何か、四十九院の位置の比定など、新見解を随所に示す。
古代国家形成の舞台“飛鳥”。ここには尽きない魅力がある。訪れる者の心によって、見る者の視角によって、その魅力はさまざまに生れる。本書は、最新の発掘成果を十二分に活用し、飛鳥史の諸相とアジア史とのかかわりを、歴史・考古・文学の諸方面から総合的に把握する。-地図・写真を多数収め、飛鳥散策案内を付すなど、現地見学にも最適。
はじめて成る近世仏教史の本格的概説書。創造的中世仏教を継承した近世仏教は、江戸幕府の宗教政策により、全国民を仏教徒として今日に及んでいるが、真に民衆仏教となりえたであろうか。本書は、民衆側の視点から、豊富な新史料を駆使して、近世仏教の諸相を克明に描き、権力を背景とした仏教教団が、民衆の信仰心まで把握できなかった事実を解明した力作である。
近世古文書学の研究は遅れた分野であるが、戦前・戦後を通じて比較的進展しているのが、地方文書の研究である。本書には町方文書の研究論文を加えて、入手し難い重要な論文を集め、体系的に解説した初の試みである。近世古文書学の発展過程とその課題を知るのに極めて有用であり、広く日本史・古文書に関心を持つ人々の必読文献となろう。
伊勢白子の船頭光太夫は、露領の北海小島に漂着してつぶさに辛酸をなめ、国都ペテルブルグに至り、女帝に拝謁を許され、日露国交開始の橋渡しとして漸く11年後に送還された。著者はの数奇な運命児を単に漂泊中の足跡をたどって追究するだけでなく、わが鎖国下の国際情勢を緻密に分析しつつ、ダイナミックに描き出した。
鐘紡を舞台として日本産業資本の指導者となり実業同志会を結成して政治に新風を注ぎ、更に時事新報に迎えられて言論界に活躍した武藤山治は、可惜不慮の兇弾に仆れた。しかしその高潔な人格と卓越した識見とは、福沢精神の実践者として不滅の光を放っている。本書はその生涯を叙して余すところなく真骨頂を浮彫りにした。
本巻は、官衙と寺院との問題をとりあつかった。古代において、官衙と官寺とは密接な関係にあり、現代の考古学の視点でも屋根瓦をもった建築遺構群をもつものとして、共通した要素を含んでいる。古代の宮城について、それぞれの関係学者の見解を紹介するとともに、大宰府と多賀城、さらに国庁・郡衙をとりあげ、寺院跡に触れ、あわせて木簡と墨書土器をも収めた。
パルテナ救出の旅に出たピットくん。しかし、その行くさきには、いくつかの困難が待ちかまえている。得意の弓矢と、ジャンプ、しゃがみといったテクニックを使いこなし、天空の神殿に待つパルテナを救い出せ!
親鸞についての書物は多いが、本書は、親鸞の思想を総体的に把握してその構造を明らかにし、思想史的に位置づけることを目的とした。また、親鸞自身の設定した「七高僧」のうち、最重要と思われる曇鸞・善導を中心にとりあげ、親鸞の思想への影響関係を『教行信証』をはじめとする著作への引用の検証により考察した。
平安後期に成立する中世の政治構造を解明するためには、上級貴族の動きのみ追っても不充分で、宮廷や諸権門の家産支配秩序を実質的に担った地下官人の実態の解明が不可欠である。本書は、侍・出納・庁官・下家司・随身など地下官人の家柄と身分の成立、役割を論じ、国衙との関係や諸寮司年預・蔵人方・官方・検非違使等の分析を通じ、実証的に究明する。
琉球国使節の成立から終焉まで、使節渡来の実態と近世日本における「琉球」の位置を実証的に論じた。使節の日程・使者名簿・献上物・拝領物などの詳細な資料を付す。「琉球関係史料目録」には国内外の現存史料を網羅。