ソーシャルメディアとは何か。その普及に伴い、コミュニケーションや社会のしくみはどのように変わってきたのか。ソーシャルメディアとネット社会を構造化して捉えるために、ソーシャルメディアの技術やアーキテクチャ、文化、実践の側面から論考し、現代社会の輪郭を描きだす。ゲーム・音楽・アートから、政治・経済・宗教まで多彩なトピックに照準し、1990 年代以降のアーキテクチャ/文化/実践を読み解き課題と展望を示した、新たな形の社会が見えてくる意欲書。
序 ソーシャルメディアのコミュニケーションと社会……松井広志
第1部 ソーシャルメディアのプラットフォーム
1 ソーシャルメディアとフェイクニュース・デマ情報の拡散……佐藤 翔
2 動画視聴は自由な意志でなされているのか?……難波阿丹
3 小説投稿サイトがひらいた読書・創作・コミュニケーション……山中智省
4 ソーシャルメディアと現実空間を横断するあらたな「場所」……菊地映輝
第2部 ソーシャルメディアと文化
5 インターネットは音楽から何を奪ったか?……長崎励朗
6 ソーシャルゲームというメディア……松井広志
7 アニメ・マンガのソーシャルな体験……岡本 健
8 メディア・アート……村上泰介
9 YouTubeにおけるリアクターとエモ消費……町口哲生
第3部 ソーシャルメディアと政治・経済
10 プラットフォーム経済……宇田川敦史・藤嶋陽子
11 ネット炎上の政治学……伊藤昌亮
12 ソーシャルメディアが起こすフェミニズムの「波」……元橋利恵
13 ソーシャルメディアのなかの東京ジャーミイ……安田 慎
補 ソーシャルメディアの教育活用……松井広志・岡本 健
●Body Positive もっと自分の体を好きになる!
持って生まれた個性を生かして、もっと自分を好きになるには?
ポジティブオーラあふれる人たちの考え方や好きなパーツをもっと魅力的に見せるエクササイズなど
フィジカルとメンタル、両方から輝くためのメソッドを大研究。モデルの新井貴子さんや、お笑いカルテットのぼる塾が登場!
●'90年代がキテる!を徹底解剖ーファッションから、アイコン、社会のムーブメントまで
ここ一年でじわじわとトレンドとして浮上してきた'90年代ムード。
'80年代の残り香漂う初頭から、バブル崩壊を経て世紀末までのディープな10年間を、
エルのアーカイブを軸に徹底検証。'90年代を知ると、2021年の“今”が見えてくる?!
●生活も自分も豊かに広がる アートと暮らそう!
自分だけのアート作品を手に入れたい気持ちはあっても、作品の買い方も、飾り方もわからなくて不安、という人は多いはず。
そこで今回は、現代美術の世界で活躍する専門家たちの自宅を訪問。どんな風に作品を手に入れ、飾っているのかを直撃!
●秋まで使える! 夏カラー攻略法
夏の日差しに映える、まぶしい原色カラー。
今年は、秋冬のトレンドとしても浮上しているので、今から秋まで楽しめるスタイリングをご提案。
カラフルなおしゃれを楽しみ、気分を高めて。
●ニューノーマル時代の洗顔事情
顔の下半分をマスクで覆われた私たちの肌は、蒸れたり乾燥したり、常に摩擦に
さらされたりと過酷な環境そのもの。さらには間違った洗顔で大事な肌へ追い打ちをかけている可能性も。
今こそ正しい洗顔知識、見直してみない?
●唇にグロウな輝きをまとって カーラ・デルヴィーニュの現在地
「ディオール アディクト リップ グロウ」をはじめとするディオールのモデルとして、
そして社会にもの申す勇敢な変革者として進化し続けるカーラの“今”に接近!
●笑いのカルチャー入門
こんな時代だからこそ笑って閉塞感を吹き飛ばそう!
コメディ映画やドラマで描かれるユーモラスな人間ドラマが教えてくれるのは、
逆境に直面したとき、落ち込んだときに発想を転換し、ポジティブな人生を切り開く方法。
今こそ見たい映画やドラマを紹介!
●マーゴット・ロビーが見据える映画の未来
マーゴット・ロビーは信念と行動の人。ひと昔前ならば、セックスシンボルと祭り上げられそうなルックスだが、
彼女はそのステレオタイプなイメージを軽やかに覆してきた。女優としてキャリアを積み上げる一方、
フェミニズム的な視点で映画を作るプロデューサーとして、映画界の未来を模索する彼女にインタビュー。
●【別冊付録】ELLE SPORTS もっとスポーツを好きになる!
近代五輪競技、フェンシング(エペ)才藤歩夢選手インタビュー/アクティブに着こなす!スポーツスタイルの最新形/
美容&健康にも!プロテインのすすめ/サムシング・ニューな進化系ジム8 etc……
●[ELLE MEN]ENHYPEN
あなたの「フェミニズム」は大丈夫?
主流の白人フェミニストが提唱する「シスターフッド」に対して、
BLMの時代、「ブラック・フェミニズム」からの切なる訴えとは━━?
白人女性=自分に置き換えると見えてくる、シスターフッドのあるべき姿ーー
●米「タイム」誌 2020年読むべき本100に選出
●ワシントンポスト 2020年注目すべきノンフィクションブックに選出
●英BBC 2020年ベスト・ブック100に選出
●NYタイムズ ベストセラーリスト10週間ランクイン
「教育を受け、安定した職業に就く日本のフェミニストが本書を手に取って読むと居心地の悪さを感じる記述が少なくないだろう。ただし、目を逸らさずに『白人女性』
『主流派のフェミニスト』への批判を自分に置き換えながら読み進めてほしい。」
━━治部れんげ(東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授)
主な内容
・連帯はいまだに白人女性のためのもの ホワイト・フェミニズムの罪ーー中・上流階級の白人
女性以外を排除するフェミニズムとは
・銃による暴力 セイ・ハー・ネームーー銃に命を奪われた黒人女性たちにも名前はあった
・#FASTTAILEDGIRLSと自由 レイプ・カルチャーへの抵抗ーー被害者非難より加害者にならない教育を
・降り注ぐ家父長制 コミュニティーに内在する家父長制の害ーー白人カルチャーを模倣した根深い性差別
との闘い
・〇〇にしては、かわいい コミュニティーの内外に存在するカラリズムとテクスチュアリズムーー
白人至上主義の美学
・恐怖とフェミニズム ホワイト・フェミニズムよ、白人至上主義の家父長制から抜け出し、異人種への恐怖を
手放して、全女性のために立ち上がれ
・人種と貧困と政治 投票権は民主主義の柱である 万人のために確約せよ
・教育 教師によるいじめ、学校から刑務所へのパイプライン、常駐警官への依存を断ち切る
・アライ、怒り、共犯者 ホワイト・フェミニズムはプラットフォームと人的・物的資源を差し出して、真の支援を
「ミッキ・ケンダルはフェミニストたちーー特に白人フェミニストーーに書状を突きつけた。ムーブメントの担い手である我々が記憶にとどめるべき人種差別の歴史と、インターセクショナルな視点及び人種差別反対主義に焦点を当て、前進する必要性を訴えている
ーーダイアナ・アンダーソン、『Problematic』著者
「『フッド・フェミニズム』〔原題〕はフェミニスト必読の1冊だ。メインストリームのフェミニスト・ムーブメントの欠陥を問いただし、黒人女性たちについて知るべき知識を提供している。ケンダルはア…
●うつわのあるいい時間
家時間を彩ってくれるものはさまざまありますが、最も身近でありながら、
気分を一新してくれるのが「うつわ」という存在。
ともに豊かな時間を過ごし、暮らしに花を咲かせてくれる、
一枚のお皿、一客のカップ……お気に入りのうつわを見つけませんか?
●新しい銀座の「食地図」
明治の文明開化の象徴として栄え、関東大震災や戦禍など幾多の苦難も乗り越え、
いつの時代もフレッシュな食の魅力を発信してきた銀座。
そんな日本一の“味の都”は、コロナ禍でも歩みを止めることなく、
進取の精神で、日々、進化し続けています。
今回は、最旬の朝食やランチから、カフェ、手土産まで、
アップデートした銀座の歩き方をお届けします。
●心までうるおす 韓国茶のある暮らし
四季折々の自然の恵みを素材として、干したり煮たり、漬けたりしてお茶に仕立てていく韓国の伝統茶。
お茶を淹れて飲むということだけでなく、材料一つ一つを仕込んでいく過程が、心豊かな時間をもたらしてくれます。
季節ごとの体や心の不調も整えてくれる、日々の暮らしに欠かせないお茶作りを始めてみませんか。
●心の緋色 紅葉絶景/俵 万智さん
緑から、赤や橙、黄金色へ。木々の冬支度は、散りゆく葉っぱのメタモルフォーゼ。
最後の生命を輝かせるように、燃え立つ色に染まって、見る人の心を震わせます。
そんな絶景とともに味わっていただきたいのが、「日々の心の揺れ」を託したという俵万智さんの歌。
話題の最新歌集からの短歌を含め、秋の彩りを感じる三十一音です。
●寒さ、恋し。自然と戯れる、冬のバカンスへーー
ふと見上げた高い空には悠々と雲が流れ、ほんのりと冷たい風に冬の訪れを感じる晩秋。
「いま、心地よいと感じること」に丁寧に向き合うラグジュアリーブランドの
秋冬コレクションには、人と自然の豊かな関わりに寄り添った最新のスタイルが揃います。
機能性と洗練を両立させるスペシャリストたちによる極みのクリエイションで、楽しい冬の旅支度を。
●“わが・まま”な私/田嶋陽子さん
いま80歳。92歳まで生きる予定。それまでに自分のなかのすべてを作品にして出しきりたい、と田嶋さんは言う。
イギリスに留学して、ベルギー貴族との結婚も考えた20代。
しかし、結婚制度は「男のドレイになる」ことだと気がつき、ひとり自由に好きな場所で生きようと、6軒も家を住み替えてきた。
還暦までは英文学・女性学の学者として教壇に立ち、フェミニズムの論客としてもテレビで活躍。
参議院議員時代には、ジェンダー格差改善のために奮闘し、現在はシャンソン歌手、さらに“書アート”作家としても活動中。
半世紀前に精神的自立と経済的自立を叶えたあと、ずっと「自分」を楽しんできた。
自分の人生を“わが・まま”に生きること。「それが本当の幸せに決まっているでしょう」と田嶋さんは笑う。
●養生美容のすすめ
新しい生活に切り替わるにつれて、肌を養うかのような本質的なスキンケアに注目が集まっています。
それは目先のエイジングケアではなく、“本当の意味で肌を健やかに保ちたい”と考える人が増えているからでしょう。
さらに、人生100年時代のいまだからこそ“肌の健康”への意識も高まっています。
肌を健やかに保ち、100年維持するーー。この秋は、そんな“養生美容”を、最新の化粧品とともに始めませんか?
●がん世代の私たちがいま知っておくべきこと
女性特有のがんは、更年期世代に罹患率のピークを迎えるものが多いのが特徴。
そこで、私たち世代にとってリスクの高い乳がん、子宮体がん、卵巣がんと、娘世代にリスクが高い
子宮頸がんについて、その予防と早期発見のための確かな情報をお伝えします。
植民地主義と性差別主義の結びつき
戦後沖縄における性暴力や性売買をめぐる問題は、これまでフェミニズムの観点から様々に論じられてきた。しかし、広大な米軍基地を抱え、アメリカや日本との複雑な権力関係にさらされるこの地の問題を考えるためには、それだけでは不十分である。植民地主義と性差別主義が深く結びついているからだ。不可視化されてきたこの問題を分析するため、ポストコロニアル・フェミニズムの手法を本格的に社会学に導入し、女性を取り巻く言説を問い直す、刺激に満ちた気鋭の力作。
「ポストコロニアル・フェミニズムという視点は、重要でありながら、あるいは、重要であるからこそ隠され続けてきた植民地主義と性差別主義とのつながりを可視化することができる。ポストコロニアル・フェミニズムは、過去から現在へ続く不正義の発見を助ける眼鏡であると言える。」(本書より)
ナショナリズム渦巻く日韓で提起されてきた「慰安婦」問題ーーそれはまた、性差別的な社会構造のなかで踏みにじられた女性の人権をめぐる問題であり、現代の性暴力につらなる側面をもつ。フェミニズムの視点から「慰安婦」運動の歴史を問い直し、二度と被害を繰り返させない世界をまなざす、問題理解の手がかりとなる一冊。
はじめに
I
序章 ナショナル・アイデンティティの葛藤
一 「朝鮮人」として
二 ナショナル・アイデンティティの悩み
三 韓国留学と「慰安婦」問題
四 「挺身隊」問題の浮上が示すもの
第一章 韓国女性学と民族
一 女性学の成立と民族問題
二 日本軍「慰安婦」問題をめぐる民族議論
三 アジア女性学への視点
小 括
第二章 韓国における「慰安婦」問題の展開と課題ーー性的被害の視点から
一 「慰安婦」問題の展開と民族主義
二 「慰安婦」と公娼
三 性的被害とは何か
小 括
第三章 韓国における「慰安婦」問題解決運動の位相ーー一九八〇〜九〇年代の性暴力追放運動との関連で
一 民族民主運動と性暴力追放運動ーー一九八〇年代の女性運動
二 性暴力追放運動の質的転換ーー一九九〇年代の女性運動
三 「慰安婦」問題解決運動の位相
小 括
第四章 ナショナリズムを乗り越えるために
一 「慰安婦」問題とナショナリズムーー女性法廷後の課題
二 日・韓ナショナリズムと「慰安婦」問題ーー朴裕河著『和解のために』をめぐって
三 排除と差別に抗する視点
補 論 勤労挺身隊となった人々の人生被害についてーー名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟に寄せて
一 朝鮮人少女たちにとって「勤労挺身隊に行く」ということが意味したもの
二 日本に行って受けたであろう衝撃
三 朝鮮に戻ってからの人生の困難ーー勤労挺身隊に行ったことが朝鮮社会で意味したもの
四 日本軍「慰安婦」問題との関連
五 日本政府及び関連企業の責任
旧版あとがき
II
第五章 日本人「慰安婦」をめぐる記憶と言説ーー沈黙が意味するもの
はじめに
一 日本人「慰安婦」とは
二 戦後日本の「慰安婦」言説
おわりに
第六章 韓国の「慰安婦」証言聞き取り作業の歴史ーー記憶と再現をめぐる取り組み
はじめに
一 「慰安婦」問題の真相究明を求めてーー証言集一、二
二 サバイバーたちとの交流を重ねながらーー証言集三
三 証言とオーラルヒストリーの間でーー証言集四ー六
おわりに
第七章 韓国の「慰安婦」運動を再考する
はじめに
一 二〇二〇年五月ーー李容洙の記者会見
二 二〇二〇年七月ーー性暴力告訴情報流出事件
三 「慰安婦」運動の新たな地平
参考文献
岩波現代文庫版あとがき
初出一覧
索 引
本書は英語のジェンダーについて、文法的観点から考察している。英語はフェミニズムの影響でジェンダー中立的言語にダイナミックに変化している。たとえば、everyoneなどの不定代名詞を従来はheで受けていたが、現在はhe or sheやtheyで受けることが普通になりつつある。新しい通性代名詞としてzeを提案する人もいる。変化する英語のジェンダーの実態を明らかにしてゆく。
第1章 英語のジェンダー:序論
第2章 フェミニズム:英語の通性代名詞
第3章 manの語法
第4章 Ms.の意味
第5章 英語の女性接尾辞
第6章 聖書とジェンダー
第7章 Jespersenと女性語
2021年9月、日本に誕生したデジタル庁のスローガンは「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化を。」だが、オンライン空間ではヘイトスピーチ、ハラスメントがすさまじく、インターネットから距離をとる人が少なくない。白人男性中心の開発、高齢、貧困、障害など、さまざまな要因でアクセスすらままならない人もいる。
現在のインターネットは誰にでも優しいとは、決して言えない。これからのデジタル空間を生き抜くために、インターネットをフェミニズム視点で考えていく。
今日のフェミニズム研究に不可欠な視点である「インターセクショナリティ(交差性)」を前面に押し出し、豊富な事例や広範な先行研究をふまえて政治理論の近代以降の基軸に異議を申し立てる、積年のフェミニズム研究の大いなる成果。
第一章 性別化された身体ーー挑発
セックスを解釈する
セックスを脱自然化する
第二章 ジェンダーを概念化する
ジェンダーの歴史をたどる
言語学からの教訓
ジェンダー、および身体化された差異の規制
性的二形性を混乱させる
セクシュアリティを脱自然化する
セックス、ジェンダー、セクシュアリティの関係性を精査する
生物学的還元主義者の説明
パフォーマティヴな連関
構造的説明
ジェンダーを錯綜させる
第三章 身体化=身体性を理論化する
人間本性
身体を人種化し、ジェンダー化する
ジェンダー化された人種化と植民地化
近代の身体化からポスト近代の身体化へ
結論
第四章 公的なものと私的なものを描き直す
正典とされてきた説明
構成的な矛盾ーーリベラルな家父長制
公/私二元論への現代的取り組み
結婚
セクシュアリティ
身体の商品化
第五章 国家と国民を分析する
西洋政治理論における国家概念
ジェンダー化された制度としての国家
国民と国家
国民国家における人種化、ジェンダー化、異性愛化
奢侈禁止法から服装規定へ
政治的統一体を標準化する
異性愛化
第六章 不正義の概念をつくり直す
正義と国家
国家の不正義
人種化
ジェンダー化された排除と危険
アイデンティティを無効にすること、現実を強制すること
ポストコロニアル的、帝国主義的介入
国家にもとづいて正義にアプローチすることの限界
社会変革を構想する
日本語版の読者へ
特殊性を深掘りする
フェミニズムがたどってきた道
架橋する
訳者あとがき
参考文献
人名索引
事項索引
著者・訳者紹介
社会理論としてのフェミニズムは,今まで何を成し遂げ,何が課題として残っているのか。グローバリゼーションと「第二の近代」という大きな社会変動に対応する方法とは。フレイザーの「第二波フェミニズム」批判への応答も必読。第一人者が描く次の一歩。
序 論
第1章 この50年,何が変わり,何が変わらなかったのか
第2章 フェミニズムを社会変動の中に置く
──第二波フェミニズムを生み出したのはどのような社会状況だったのか
第3章 グローバリゼーションは何をもたらしたか
第4章 グローバリゼーションと第二波フェミニズム
第5章 フェミニズム・ケア・福祉国家
第6章 追われる国の政治的分断とフェミニズム
第7章 これからのフェミニズムの方向を考える
トラウマ的な出来事を経験した人びとにとって、文学や文化は生きのびるための表現となりうるのかーー
多和田葉子、李琴峰、古谷田奈月、森井良、林京子、大江健三郎、岩城けい、小野正嗣といった現代作家の作品を丁寧に読み解き、物語を受けとるという営みとは何か、小説と読者が出会うとはどういうことか、それにクィア・フェミニズム批評はどうかかわるのか、自身の経験とときに重ね合わせながら文学や文化の力を見出していく。気鋭の研究者による、トラウマという語ることがむずかしい経験を語るために物語があるのだということを、そして何より新たな対話の可能性を信じるすべての人におくる、画期的な文学論。
フェミニズムの問いに向き合う哲学
近年盛り上がりを見せる「分析フェミニズム」の重要な論文を紹介。
分析フェミニズムは、英米系の分析哲学と呼ばれる潮流のなかでフェミニズムに関わるさまざまな問いに取り組む分野である。たとえば、「女性」概念をどう定義すべきか、性的なモノ扱いとはどういうことか 、マイノリティの声はどのように封じられるのか、トランスジェンダーの人々を抑圧するレトリックの根底にあるものは何か、といった問いが分析哲学の手法を用いて論じられている。
本書では、形而上学、認識論、倫理学の主要なトピックから、代表的な論文8本を選定。いずれも海外のフェミニズム哲学の授業で頻繁に購読されている必読論文である。
◆Part I ジェンダーとは何か?
1 ジェンダーと人種ーージェンダーと人種とは何か? 私たちはそれらが何であってほしいのか?(サリー・ハスランガー、木下頌子訳)
2 改良して包摂するーージェンダー・アイデンティティと女性という概念(キャスリン・ジェンキンズ、渡辺一暁訳)
◆Part II 性的モノ化
3 邪悪な詐欺師、それでいてものまね遊びーートランスフォビックな暴力、そして誤解の政治について(タリア・メイ・ベッチャー、渡辺一暁訳)
4 性的モノ化(ティモ・ユッテン、木下頌子訳)
5 イエロー・フィーバーはなぜ称賛ではないのかーー人種フェチに対する一つの批判(ロビン・ゼン、木下頌子訳)
◆Part III 社会的権力と知識
6 社会制度がもつ徳としての認識的正義(エリザベス・アンダーソン、飯塚理恵訳)
7 認識的暴力を突き止め、声を封殺する実践を突き止める(クリスティ・ドットソン、小草泰・木下頌子・飯塚理恵訳 )
8 なぜスタンドポイントが重要なのか(アリソン・ワイリー、飯塚理恵・小草泰訳)
編訳者解説(木下頌子)
出典一覧
人名索引
事項索引
優生裁判、AV新法、宗教右派などの動きをめぐり、排除・抑圧・対立の歴史をふりかえりながら、性と生殖の権利を捉え直す。
【特集】生と性:共存するフェミニズム
生きる力が湧く、心にしみるー激動する時代を生き抜く糧となる賢人たちの肉声。
AI社会が現実となりつつある中、人・社会は今後どのように向き合うべきなのか。本書は、インクルーシブな社会、人間とAIの関係性、AIの脅威、AIと社会の共存という4つのアプローチを中心に、複数の角度からAIと社会の関係性を見つめ、その未来を見通す。
はじめに AI:不完全な人たちのための不完全な技術(林 香里)
1 インクルーシブな社会をつくる
第1章 言語にまつわるバイアスと自然言語処理(伊藤たかね)
第2章 権力装置としてのVR(畑田裕二)
第3章 発達障害を見える化する人工知能(長井志江)
第4章 AIとジャーナリズム(李 美淑)
文献案内(小平沙紀)
2 人間らしくあるために
第5章 AIと労働市場(横山美和)
第6章 AIと共存する民主主義的主体に向けて(田中 瑛)
第7章 AI時代の五感と身体(久野 愛)
第8章 人間らしい言語処理モデルの開発(大関洋平)
文献案内(板津木綿子)
3 AIに潜む脅威
第9章 越境する身体ーーAI時代の国際移動の管理(アナ・べドゥスキ/マシュー・スエダ訳)
第10章 リプロダクティブ・ヘルス/ライツの尊重とAI--『殺人出産』から考える日本の最先端生殖医療の未来(佐野敦子)
第11章 歴史博物館におけるAIと歴史証言(矢口祐人)
第12章 アルゴリズムバイアスと南北問題 「AIガバナンスの厄介な問題」(アニタ・グルマーシー、ナンディニー・チャミ/大月希望訳)
文献案内(大月希望)
4 ともに生きるためのビジョン
第13章 想像と創造の循環からうまれるAIとポピュラーカルチャーの未来(板津木綿子)
第14章 AI/アルゴリズムとインターセクショナルなフェミニズム(田中東子)
第15章 AIを描いてみよう!--メディアの隠喩的理解を育むワークショップ(水越 伸)
第16章 AIのELSIとガバナンスーー科学技術社会論の観点から(横山広美・一方井祐子)
第17章 科学技術と権力ーーAIがもたらすマイクロ権力のあぶく(佐倉 統)
文献案内(キム・カヨン)
おわりに(板津・久野)
索引
カルチュラル・スタディーズとフェミニズムの出会い
ふたりの思想家がポール・ギルロイの仲介のもと1996年のロンドンで対話した。フェミニズムとカルチュラル・スタディーズそれぞれの隆盛を担い、世界的知識人となったベル・フックスとスチュアート・ホール。ともに黒人のアカデミシャンでありながら、来歴と経験を大きく異にし世代も違う男女は、深く共感しながらも時に鋭く言葉を交わす。ジェンダー、人種、家父長制、アイデンティティ・ポリティクスなど、20世紀後半の社会状況を踏まえた議論の数々と、それらに自らの人生を重ねた繊細な語りは、四半世紀の時を超えて新鮮な発見とアクチュアリティをもたらす。
「フェミニズムは政治についての女たちの考え方を変えた以上に、わたしの政治についての考え方を変えてしまった。」(ホール)
「場所を失うという感覚こそが、まさにフェミニズムに関して多くの男たちが恐れ続けていることなんですよ。ものの見方においてはっきりとした変化が求められているのは、性差別という観点から自身に染みついた考え方を解体するプロセスなのです。」(フックス)
序文 ポール・ギルロイ
はじめに ベル・フックス
一 フェミニズムとの出会い
二 家父長制と人種
三 戯れ、死、病
四 アイデンティティ・ポリティクス、あるいは自己を語ることの不可能性
五 男らしさと不安
六 フェミニズムと連帯の可能性
訳者あとがき
人名索引
「生きづらさ」を乗り越えるために
「100分deフェミニズム」(2023年1月2日放送)が待望の書籍化! 『伊藤野枝集』『侍女の物語』から『心的外傷と回復』『男同士の絆』まで。豪華著者陣が名著の核心を読み解きながら、フェミニズムの真価を語りつくす。未放送のトピックも収載し、新たな取材も加えた決定版!
日本初の女性シェルターの創設から、その全国ネットワーク化と「DV防止法」制定へ。被害女性の支援活動を次世代に継承するために。
1章 「DV/シェルター」前史
2章 当事者によるシェルター運動
3章 「女性への暴力・駆け込みシェルター・ネットワーキング」設立から「DV防止法」制定へ
4章 エンパワーメントで読み解く「AKK女性シェルター」の活動展開
フェミニズムは長らくジェンダー正義を追求してきたが、そこにはしばしば対立も伴った。私たち一人ひとりは、この歴史にいかなる「使い道」を見出すべきか。普遍的な定義に依拠しないフェミニズムズの探求へと誘う、グローバル・ヒストリーの新たな挑戦。
はじめに
フェミニズムの「時」
なぜグローバル?
理論、アクティビズム、そして使い道
第1章 夢
レディランドとハーランド
偉大な愛
ユートピアの実現
夢の限界
差異を夢見て
第2章 アイディアーー考え・概念・思想
女性、理性そして美徳
家父長制
「トルコ・コンプレックス」
男女(Nannü)
女性の解放と家父長制
「二重の危険」
家父長制と男性運動
第3章 空間
労働の空間
市場
フェミニズムのビジネス
礼拝の空間
自立の空間
第4章 物
フェミニズムのブランド化
フェミニストの身体
アフリカの代替策
抵抗と「世界を作る」物
第5章 ルックーー装い・外見
美、ファッション、政治
合理的な衣服と異端のファッション
解放の装い
服装の規制
反体制的な自己装飾と階級がもたらす緊張
スカートをはいた男性
ヒジャビスタたち
ベール、ナショナリズム、そして植民地へのまなざし
第6章 感情
フェミニストの怒り
愛情
母性
世界的なネットワーク
第7章 行動
石の主張
闘争性と形を変えた暴力
ストライキ
ピケ
身体と裸
第8章 歌
女性参政権運動の音楽
ゴスペル、ブルース、そして人種排斥
音楽産業と「女性文化」
ハミングでの威嚇
ライオットガール
国際女性デーと国家フェミニズム
おわりにーーグローバル・フェミニズムズ
包摂と排除
過去は使えるか
次は?
謝辞
解題[井野瀬久美惠]
さらなる読書のために
註
事項索引
人名索引
図版リスト
非婚/未婚/既婚、正規労働/非正規労働、性差別的な売春か/セックスワークか、女性の保護か/男女平等かーー。差別に抗いながらもともに声を上げられない現実を、権力構造によるジェンダー分断、考え方や生き方、個人の関係性などの視点から読み解く。
はじめにーーオンナの呪いを解く
第1章 女は連帯できないのかーーフェミニズムとシスターフッド
1 呪いを解く知としてのフェミニズム
2 フェミニズムが見据えてきた「女同士」
3 シスターフッドの発見ーー分断のメカニズムへの抵抗として
第2章 対話、問い直し、フェミニズム
1 女性の活動への関心と縁
2 平場という関係とその困難
3 「対話」の工夫と調整
4 他者との対話、自己との対話
第3章 フェミニズムの「呪い」と女の欲望
1 フェミニストとしての自分を縛る「呪い」
2 ロック文化とフェミニズム
3 「エロ」はフェミニズムの敵なのか
4 「酒場女子」をめぐるモヤモヤ
5 フェミニズムか反フェミニズムかの二分法を超えて
おわりにーー他者と適度につながり続けるために