環境問題や貧困問題からのアプローチが多いフードバンクを、既存のサプライチェーンが抱えてきた過剰供給問題の解消、さらには希薄化する社会関係を保つ活動などを積極的に評価しながら、農産物市場論や流通論、マーケティング論等の方法論に依拠し、その発展可能性を議論することを目的としている。特に「多機能性への評価」、「運営資金」、「受給者満足と品揃え」以上の3点からのアプローチを念頭に置いている。
序 章 フードバンクの位置づけと日本の現状
第1節 サプライチェーンにおけるフードバンクの存在意義
第2節 日本におけるフードバンクの課題
第3節 分析方法と本書の構成
第1部 世界のフードバンクとその多様性
第1章 フードサプライチェーンにおける寄付行動─フードバンクの国際比較におけるフレームワーク─
第2章 フランス:フードバンク活動による食品ロス問題への対応と品揃え形成およびその政策的背景
第3章 韓国:フォーマルケアとしてのフードバンクの普及に関する分析─韓国社会福祉協議会の事例─
第1節 はじめに
第2節 研究の方法
第3節 調査結果
第4節 議論と結論
第4章 イギリス:フードバンク普及における大規模小売業者の役割
第5章 オーストラリア:産業化するフードバンクの分析─オーストラリアのケーススタディ─
第6章 香港:インフォーマルケアとしてのフードバンクの発展と多様化─活動の多様性と政策的新展開─
第7章 台湾:カルフールの取組と台中市地方条例制定への進展
第2部 日本のフードバンクにおける現状と課題
第8章 寄付食品の栄養学的側面と栄養バランス向上における課題
第9章 行政との協働から自立へと進化するフードバンク山梨
第10章 フードバンク多文化みえにみる地方都市での活動成立要件
第11章 福岡県における物流からみたフードバンク運営と企業・行政 との関係性
第12章 フードバンク山口における分散型都市の連携課題
終 章 総括とフードバンクの課題
おわりに
「多様性」をテーマに、あらゆる視点から描くアンソロジー。「多様性」とは何だろうと考えさせられます。主人公は小学校高学年から中学生。巻分けは主人公と登場人物との関係性で。1冊に4作品収録されているから、きっとお気に入りの作品が見つかります。周りの人、そして自分自身を見つめ直すきっかけに!
君色パレット 多様性をみつめるショートストーリー(全3)
ちょっと気になるあの人
戸森しるこ・作/ひこ・田中・作/吉田桃子・作/魚住直子・作/佳奈・絵
いつも側にいるあの人
高田由紀子・作/光用千春・作/小手鞠るい・作/いとうみく・作/佳奈・絵
SNSで繋がるあの人
如月かずさ・作/おおぎやなぎちか・作/朝比奈あすか・作/佐藤まどか・作/佳奈・絵
土壌にはきわめて広範囲の分類群にわたる生物が狭い範囲に生息しており,植物と密接な相互作用を行っている。そのすべての生物間相互作用を明らかにするのは困難であるが,研究の重要度は高まっている。なぜなら,気候変動や外来種の侵入といった人為的な攪乱に対して陸上生態系がどのような反応を示すかを理解するには,植物だけでなく土壌生物の反応と植物と土壌の相互作用を理解する必要があるからである。
土壌動物の生活を理解するためには,生息場所である土壌環境の把握,主要な餌となっている土壌有機物や土壌微生物の情報を扱う必要がある。また,植物や地上の動物との相互作用についても研究法を学ぶ必要がある。本書ではこれらの点に留意しつつ,土壌微生物と土壌動物を群集として捉えるとともに,野外で土壌生態系がもつ機能を定量化する方法について解説した。具体的には土壌動物の基本的な分類,同定に関する情報,採集法や標本の保存法,そして土壌動物の野外での採集法と分解系の操作実験について扱う。さまざまな分類群,そして地上と地下の生態学的プロセスを調べるには,それぞれの分野の理解が必要であり,研究自体が難しいが,本書がそれぞれの研究分野をつなぐ役割を果たすと確信している。
ITの急激な進歩・普及とグローバリゼーションの流れは社会構造を根底から変えようとしている。ヒト・モノ・カネが国境を越え自由に往来する時代、多様な価値観を受け入れていくことが各自に求められている。社会経済、食生活・文化における多様性とはを探る。
高校新科目「地理総合・歴史総合」を見据え資質・能力の多様性と学際性を視点に地理歴史教育論を体系化。新たな授業実践を創造する。
国家管轄権外区域とは、国際法上どこの国の権限も及ばない区域を意味し、具体的には公海および深海底から構成される。この国家管轄権外区域がなぜ重要であるのか。そこにはマグロやサケ等の水産有用種や、サメやウミガメ等の希少種が多数生息している他、経済的な利益をもたらし得る海洋遺伝資源が多く存在することが知られており、海洋の生物多様性を考えるときに非常に重要な海域であるからである。
このような背景の下、国家管轄権外区域の海洋生物多様性(BBNJ)の保全や海洋遺伝資源の開発をめぐっては、1990年代より活発に国際的な議論が行われてきた。
本書では国家管轄権外区域の環境を守るためには不可避のBBNJの現況や問題を、海洋法、科学、政府間交渉など多角的な観点から第一線の専門家が解説する。
【目次】
はじめに:阪口 秀
第1部 国連海洋法条約の展開とBBNJ
1 国連海洋法条約の展開とBBNJ:坂元茂樹
第2部 海洋生物多様性をめぐって
1 細り行く海の恵みと国際社会 :井田徹治
2 深海の生物多様性に関する研究の歴史とBBNJ交渉:白山義久
コラム●BBNJ交渉と、他の条約との関連:白山義久
3 海洋遺伝資源の利活用の進展 :竹山春子 ・西川洋平・丸山浩平
4 公海域における水産資源管理と海洋保護区:森下丈二
5 深海底の鉱物資源開発と国際海底機構(ISA)の役割:岡本信行・藤井麻衣
コラム●北極の現状と中央北極海における公海水域の未来:幡谷咲子
第3部 海洋生物多様性を守るために - 国連におけるBBNJ交渉
1 国連におけるBBNJ交渉の展開 :西本健太郎
2 海洋遺伝資源をめぐる論点と展望:本田悠介
3 区域型管理ツールの活用のために:八木信行
4 環境影響評価をめぐって:瀬田真
5 能力構築と海洋技術移転:藤井巌・前川美湖
コラム●BBNJ交渉の裏側:樋口恵佳
おわりに:前川美湖
オミナエシ、キキョウ、カワラナデシコといった在来植物の野生の個体を都会で見ることはほとんどありません。それは生物多様性ほどに、在来植物の多様性の保存は進んでいないからです。日本らしい自然を守るにはどうしたらいいのでしょう? 外来植物との関係は? 各地の保全活動をふまえ、今後の課題と将来を展望します。
はじめに
1 土手に秋の七草を咲かせたい
荒川区立汐入小学校五年生児童の挑戦
隅田川スーパー堤防での試み
土手の植物社会を観察する
汐入方式のすすめ
植物社会をまるごと観察する
地下茎(根茎)や根の広がりを類型化する
超多様性シバ地の植物社会
チガヤ草地の特徴
ススキのサイズは土壌条件で大きく変化する
半自然て何だろう
刈り取り、放牧、火入れが半自然草地をつくる
半自然草地の植物社会
光を求めて空間を棲み分ける
コラム 生産構造図づくりにチャレンジ!
2 外来植物が増えていくメカニズム
在来植物ってどんな草?
絶滅の危機にある在来植物
身近な野草が絶滅している
在来植物が絶滅するとどうなるか
攪乱のしすぎは在来植物の生育地を狭める
在来と外来タンポポの違いを見分けるために
外来生物は聞いたことがあるけれど
理解しにくいのは用語濫立のせい?
外来植物ってどんな草?
どんな外来(帰化)植物が、いつ持ち込まれたのだろう
なぜ外来植物は増えているのだろう
変化する堤防法面の植物社会
侵略的植物なら問題である
3 在来植物を守るわけ
「日本の自然」と「日本らしい自然」の違い
日本列島を覆うモンスーン気候と複雑な地形
地形や気候の特性はどんな気質の日本人を育てたのだろう
日本人のきめ細かさが生んだ景観
草本植物のかたち
半自然草地群落のかたち
優占種の役割
従属種と一時滞在種の特性
4 絶滅の危機にある在来植物を取り戻すために
なぜ絶滅の危機にあるのだろう
絶滅の危機から救い出す
在来野草のタネ播きから苗づくりまで
多様性のある群落づくり
各地で試みる「日本らしい自然の復元」
在来野草の花咲く土手に囲まれた田圃づくり
浅草七福神・石浜神社は在来野草の花盛り
在来野草を昔の棲みかに戻したいーー日本らしい自然を豊かにするために
野焼きと草刈りで伊豆・大室山の植物多様性を高める
キキョウの咲くススキ群落の復元
大室山の持続可能な開発目標(SDGs)を考える
参考文献
おわりに
各国の制度比較・わが国の実態調査・実証研究ー監査・証明業務の多様化と拡張可能性を掴む。
統合的な治療実践とは? パーソンセンタード・アプローチ,認知行動療法,関係療法および催眠療法を,存在,感情の処理,愛着,思考,無意識という5つの概念に基づき,統合的に用いることを提案。豊富な事例と物語とともに,悲嘆と喪失,不安,抑うつなどクライエントの悩みに対してどう取り組むのか,そのポイントを実践的に示す。
[原書]Basia Spalek & Mark Spalek (2019). Integrative Counselling & Psychotherapy: A Textbook. Routledge
◆本書の主な目次
01 メンタルヘルスと幸福のための「存在」:統合的なアプローチ
02 感情的・心理的な苦悩への統合的な対処
03 統合的な概念としての「愛着」
04 統合的な治療の観点からみた「思考」
05 「意識的な心と無意識の心」への統合的な取り組み
06 死別と喪失への統合的な取り組み
07 不安への統合的な取り組み
08 抑うつへの統合的な取り組み
09 関係性への統合的な取り組み
10 恥と罪悪感への統合的な取り組み
漫然とした福祉国家から費用対効果が尊重される時代に転換した世界の教育政策は、教育の成果を測定することから始まった。2000年に始まったOECDのPISA調査による学力ランキングは、各国の教育政策に強い影響を与えている。本書は、ドイツでは州毎に多様な教育政策が展開されていること、学力の低い移民の児童生徒を中心に学力向上策を実現したこと、教育機会を妨げる分岐型学校制度を改革した点を日本の教育政策との相違として分析する。一方、学校外部評価と教員養成改革で学校教育の質保証を目指す政策は、日本の教育政策との共通性を浮き上がらせている。比較教育学の神髄を鮮明に見せてくれる現代ドイツ教育論である。
年齢、民族や文化、国際問題、宗教や思想、多数派の中の少数派など、スリランカ出身の社会学者で経済学博士のにしゃんた氏が国際的な視点からの「多様性」の考え方を解説。
保育士養成課程の「子ども家庭支援論」の教科書。子どもと家族に対する,日本国憲法と福祉教育的権利保障,家族の多様性、ジェンダーの3つの視点を柱として,具体的,実践的内容を盛り込み記述。
比較教育学における地域研究の主要論文を一挙集成!-教育の多様性を読むー
国や地域、あるいはさらにミクロな教育対象を捉えた、地域研究的な性格をも併せ持つ優れた16の論文を収録。世界各地のヴァラエティに富む教育活動の実態を描く本書は、質量ともに妥協なき調査分析によって研究者らが築き上げてきた、知的営為の結集である。