芸術を生みだす心のしくみとは?子どものころの砂遊び、背骨を折った経験、片目の光を失った経験…。絵を描く心の起源を探究する異色の研究者が、自身の体と体験をとおして感じたことを軸に綴る。アートとサイエンスの交差する場をフィールドに「!」を探し、そこにアーティストの「!」やサイエンスの「?」を添えた珠玉のエッセイ集。
古事記、万葉集、源氏物語、保元物語、日蓮、徒然草、南総里見八犬伝、歌川国芳、河口慧海、幸田露伴、山田美妙、種田山頭火、小津安二郎、西馬音内盆踊り……。
日本の歴史に名を刻んだ偉業は、同時にこの「日本」を内奥から突き破るかのごとき破格の挑戦でもあった!
「この島国に居ながらにして平然と外部へ飛び出していった者たち」を召喚し、古代の記紀神話から21世紀のIT社会にまで連なる、文学・芸術の知られざる系譜を縦横無尽に語りつくす!
「芸術」の教養がないと国際社会で恥をかく!銀座のギャラリーの代表が解説。初心者でも楽しみながら学べる、はじめての「芸術」ガイド。
被災地支援から東北の地域社会に入って制作する芸大生、タコツボ無人販売で作品を売る陶芸家、ウクレレ保存化にとりくむ工芸家……。コロナ禍の時代にもひびく、芸術が開く新たな社会性についての注目の評論。
ページをめくるごとに、パリのエスプリを感じる、古代から現代にいたるパリの芸術文化がつまった1冊。ルテティア(パリの古名)の時代から現在のパリ都市圏まで、2000年に及ぶ建築の歴史を含む、フランス芸術とも言い換えられるその膨大な総量から、本書では、拡大した現在のパリ都市圏の中で制作された作品に対象を絞った。
表現とアートセラピーは、生きるということが生の創造であることを尊重し、セラピーという援助的環境を通じ、私たち自身の、また私たちに関わりのある人びとの生の価値を高める方法に気づかせてくれる療法である。絵画、音楽、彫刻、演劇、文芸などの表現アートセラピーを通じて私たちは、芸術のもつ豊かさを体感し、内的体験の神秘、強烈な情動を象徴的に表現することができる。このように心理療法と芸術を統合するなかで、人びとのうちに眠る太古の精神世界ーシャーマニズムの癒しの力を再発見し、人間の原初的な生のリズム、体の動きを見出すことになるだろう。
奴隷制、南部再建期、黒人の大移動、公民権運動…『パラダイス』で読み解くアフリカ系アメリカ人の歴史。白人によって書かれた「黒人不在の歴史」に異議を唱え、作品で歴史の再構築を試みるトニ・モリスン。アメリカ建国から200年目で物語が始まる『パラダイス』に描かれる「黒人の歴史」を読み解き、モリスンの創作世界に迫る。
聖母は何故、美しいのか──。キリスト教はその歴史の中で、聖母マリアを主題とした数多くの芸術作品を生み出してきた。時代や地域、教派によって多様なそれらの作品の根幹には、マリア神学(Mariology)がある。聖母マリアとは何者なのか、なぜ崇敬され、どのように表象されてきたのか。聖母芸術を神学思想とともに辿り、普遍的に継承される聖母の美の本質に迫る。
【2019年西南学院大学博物館特別展2図録】
ご挨拶[ 西南学院大学博物館館長 宮崎克則]
開催概要/謝辞/凡例
●第1章 ORA PRO NOBIS SANCTA DEI GENITRIX 神の聖母よ,われらのために祈りたまえ
【コラム】境界線上のマリア[西南学院大学大学院国際文化研究科研究生 坂本 環]
●第2章 近代における聖母崇敬の継承と発展
第1節 プロテスタントにおける聖母崇敬
【コラム】ルター神学と聖母[日本学術振興会特別研究員DC 渡邉蘭子]
第2節 カトリックにおける聖母崇敬
【コラム】無原罪の御宿りをめぐる神学と芸術[西南学院大学博物館学芸研究員 山尾彩香]
●第3章 非西欧圏における聖母崇敬
第1節 正教会におけるイコンと聖母
第2節 フィリピンの聖母
第3節 メキシコの聖母
第4節 キリシタンと聖母
【コラム】潜伏キリシタンと聖母像[西南学院大学博物館学芸研究員 宮川由衣]
●第4章 現代の聖母芸術 A・カルペンティールの聖母
【コラム】A・カルペンティールの信仰と芸術[西南学院大学博物館学芸員 下園知弥]
出品目録/主要参考文献
●論 文
【論考】
聖母は何故,美しいのか? 「聖母の美」展の結びに代えて[西南学院大学博物館学芸員 下園知弥]
19世紀イギリスにおけるマリア表象 グランドマナーとラファエル前派兄弟団[佐賀大学美術館学芸員 出口智佳子]
【特別寄稿】
聖母神学の根本問題 キリスト信仰と聖母崇敬[九州大学名誉教授 稲垣良典]
ユーロ=アジア世界をまたぐケルト文明。ケルトの人生と精神から生まれた目くるめく作品群の神秘に画期的な視野と丹念な記述で迫る。
ビジネスにおいて芸術(アート)の必要性が増してきている。その際に鍵となるのが、デザインやブランドを通してアートをビジネスにつなげる「プロデューサー」の役割である。アート・プロデューサーの意義・必要な要件を解説する。
まちにアートがやってきた! 県庁担当職員が見た
3年に一度の都市型芸術祭=トリエンナーレの政策と意義
あいちトリエンナーレ。この10 億円以上の税金を使う大がかりなアートプロジェクトの方向性は正しいのか。横浜や神戸のように都市型芸術祭を創造都市政策上に位置づけたからといって、必ずしも継続性が担保されるわけではない。このような文化事業は首長の交替や経済情勢などにより容易に政策転換されてしまう可能性がある。
著者は愛知県職員として、2009 年からあいちトリエンナーレの隣接都市空間の展開と企画コンペを担当。メーン会場となった名古屋市中区長者町地区では、トリエンナーレをきっかけに地区内外で若者らのコミュニティが次々と生まれ、その数、自発性、変容のスピード感などが、他のアートプロジェクトに比べ半歩抜きん出ているように思われた。その一方であいちトリエンナーレ開催後、札幌市・さいたま市・京都市など多くの都市型芸術祭が新たに開催・計画されたが、これらの国際展に対して均質化・陳腐化が指摘されている。
本書は、長者町地区で起きた地域コミュニティ形成の面での効果と「トリエンナーレが何を目指すのか」、ひいては都市型芸術祭の今後の方向性に焦点を当て、その意義と継続の道筋を示す。
【目次】
第1章 都市型芸術祭の比較
1990年以降のアートプロジェクトの展開/都市型芸術祭の流行と都市政策上の位置づけ/継続する仕組みの検討と今後の方向性/都市型芸術祭(国際展)とアートプロジェクト/経営政策と政策/効果とアウトプット・アウトカム・インパクト
第2章 あいちトリエンナーレの政策決定から開催まで(2006-2009)
課題設定過程ーなぜ政治の議題として浮上したのか/「愛知の文化芸術振興に関する有識者懇談会」の政策立案過程/ 文化芸術課の政策立案と知事の政策決定過程
第3章 あいちトリエンナーレ2010開催とその後(2009-2013)
2010開催の効果/2010開催により長者町地区で何が起きたのか/ソーシャルキャピタルによる分析/まちはなぜアートを受け入れたのか
第4章 あいちトリエンナーレ2013開催とその後(2013-2015)
2013開催の政策決定と長者町地区の動向/2013開催の効果/2013開催により長者町地区で何が起きたのか/2013長者町会場の分析/今後の課題
第5章 トリエンナーレは何をめざすのか
あいちトリエンナーレの政策評価/都市型芸術祭は何をめざすのか
年画は部屋に貼り、新年を祝い楽しむ印刷物。ここには幸福や豊かさを求める庶民の夢や願望が描かれている。中華の伝統文化と価値観・思想が凝縮され、幅広い階層に親しまれている。大衆の文化・娯楽として見過ごされてきた周縁の藝術、中国木版年画の魅力を、約一五〇点のフルカラー図版と絵解きで伝える。
妖精クロリスと西風の神ゼピュロス、春の女神フローラと愛の女神ウェヌス、三女神を矢で狙うクピードー、学知の神メルクリウス。これらの人物は何を意味しているのか? 何のために描かれたのか? 秘密の鍵をにぎるのは一枚のタロット・カード《恋人》。愛と詩情あふれるルネサンスの「知のコスモス」を豊かに描きだす快著!
地域住民とアーティストの共同制作など、2000年以降の大阪の文化政策を契機に生み出された〈芸術運動〉の調査から、文化政策の現状、創造の現場が直面した困難と可能性、アクティヴィズムとの連関を論じて、社会を変える契機になる芸術活動のあり方を照らす。
はじめに
第1章 地域文化の担い手たち
1 C/P(カルチャーポケット)
2 大阪市芸術文化アクションプラン
3 アートプロジェクトの記録とメディア
第2章 文化政策と市民社会ーー大阪の事例を中心に
1 日本の文化政策
2 大阪市と新世界アーツパーク事業
3 大阪府立現代美術センター
4 芸術と市民社会
第3章 まちなかのアートーーブレーカープロジェクトを中心に
1 美術館からまちへ
2 ブレーカープロジェクト
3 芸術と地域社会
第4章 芸術をめぐる制度とオルタナティヴ
1 大阪の〈芸術運動〉
2 芸術と制度
3 芸術とオルタナティヴ
第5章 創造の現場のコンフリクト
1 芸術の境界をめぐって
2 芸術という労働
3 アクティヴィズムとアート
第6章 文化生産の社会学
1 芸術運動のとらえ方
2 芸術は社会を変えるかーーおわりにかえて
あとがき
詩人、文豪、画家、音楽家。猫を愛した作家たち。彼らはどんなところに暮らし、猫をどう描いたか。文学作品・美術作品に登場する猫を求めて、パリを1区から20区まで歩きましょう。パリ上級者のために、猫がご案内。
近世大名の権威の象徴である天守。安土城を築いた織田信長が創始し、日本の伝統文化の根本を覆した革命的な造りは、軍事建築でありながら壮麗な造形で多くの人を魅了し続けている。姫路城をはじめ現存天守の構造と意匠を分析し、その創造性や芸術性、籠城戦での機能、建築的工夫の豊かさを詳説。失われた天守にも触れつつその歴史と魅力に迫る。
プロローグ/天守の概要(天守という名称/天守の規模形式/天守の定義/天守型式と構成/現存天守と再建天守)/天守の平面と構造(一階の平面形式/平面の逓減/最上階の形式/重・階/構造)/天守の意匠と防備(外壁と窓/防御装置/天守の品格)/姫路城天守の構造と意匠(概要と沿革/規模形式と構造/豊かな創造性)/現存する天守の構造と意匠(犬山城天守/彦根城天守/松江城天守/松本城天守・乾小天守/丸岡城天守/丸亀城天守/宇和島城天守/備中松山城天守/高知城天守/弘前城天守/(伊予)松山城天守/熊本城宇土櫓)/天守の歴史(天守の創始(永禄・元亀・天正)/天守建築の確立と分化(天正八年〜慶長四年)/天守の発展(慶長五年〜二十年)/天守建築の規制(慶長十四年〜)/天守の喪失(天正十年〜昭和二十四年))/エピローグ/既発表論文・著書ほか/参考文献一覧
芸術的感性は既知と未知の「ゆらぎ」で生じる。睡眠などによる「あたため」が発想を導く。「多種多様な環境」が海馬の成長を促す。マルチリンガルは「脳内辞書」のスイッチを切り替えられる…脳科学者が300本以上の論文を基に考察。