ビジネス会議ではなぜ雑談が大事? 会話での相槌にはどんな意味が? 日常の会話、ビジネス会議やオンラインの話し合い、リスクコミュニケーションを、社会言語学の視点から具体的に分析すると、コミュニケーションを成り立たせる条件がみえてくる。誰も排除しない社会に向けた「人に優しい話し方・聞き方」のヒントがここに。
はじめに
1章 優しさの手がかりーーカギとなる概念や理論
2章 雑談のススメ
3章 大切なのは「聞くこと」
4章 難しいコミュニケーション
5章 コミュニケーションデザインーー記述から提案へ
終章 優しいコミュニケーションを考える
おわりに
参考文献
本書は、福岡認知言語学会の設立20周年を記念した論文集であり、認知言語学の観点からの18編の論文を収録している。英語、日本語、中国語の構文や表現を理論的に分析したものから、歴史的研究やコーパスを利用した研究、さらに、認知言語学を英語教育に応用した研究まで、幅広い分野をカバーしており、認知言語学研究の広がりを示す一冊となっている。
はしがき
コーパスに基づく中国語の NP1+V+R+NP2 構文の認知言語学的分析
-"唱紅"を一例としてー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・秋山 淳 1
2つの目的語の関係
ー障壁モデルにもとづく二重目的語構文の分析ー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・植田正暢 18
中国語の<主観性>の再考察
ー使役表出文を例としてー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・王 安 35
Big time 再考
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大橋 浩 51
コ・ソ・アの用法
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・川瀬義清 68
英語直接話法における引用句と動詞の類像性
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・木山直毅 83
指示詞は何を表すか
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・古賀恵介 99
Indirectness of to-Infinitives and Passivization
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Shotaro Sasaki 116
英語進行形構文の意志用法と命令用法
ーその文法化および対話の響鳴関係についてー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・清水啓子 133
五文型再考
ー認知言語学の視点からー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 長 加奈子 152
Reanalyzaing Japanese Sentence-Final Particles Yo and Ne:
In Light of Verhagen's Theory of Intersubjectivity
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ Chiharu Nakashima 167
Way 構文における「様態」の際立ちをめぐって
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・中村英江 184
結果構文における複合述語形成とその内部構造
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 迫 由紀子 198
近現代英文法に見られる「状態」概念
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・樋口万里子 216
動作主性と動作性による心理動詞受動文のグラデーション
ー認知言語学の視点に基づいたコーパス調査よりー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・冬野美晴 235
際立ちと領域が読解プロセスに与える影響
ー日本人英語学習者の事例研究からー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・細川博文 250
英語の受益二重目的語構文と2つのインタラクション
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 南 佑亮 267
日英語の自他動詞志向と受身文
ー2つの Natural Path の観点からー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・村尾治彦 283
執筆者一覧・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 299
〈「社会を全体として伝達理論に関連して解釈する」という前途洋々たる企てを開始したのは、レヴィ=ストロースであった。……それゆえに言語学と、経済学と、最期に親族および婚姻の研究とは、「戦略的に異なるレベルにおいて同一種の問題に接近し、事実同一の領域に属する。」……レヴィ=ストロースは、言語は上記の三レベルのすべてに介入すると、正しく強調している。〉
構造言語学そして現代思想の形成に寄与した、言語学者による論文集。レヴィ=ストロースに影響を与えた著者ならではの「人類学者・言語学者会議の成果」にはじまり、失語症の問題、音韻論、文法、そして通信理論や翻訳や詩学と言語学との関連など、広範にわたる主題の全12編。
まえがき
第一部 一般問題
I 人類学者・言語学者会議の成果
II 言語の二つの面と失語症の二つのタイプ
III 類型学とその比較言語学への貢献
IV 翻訳の言語学的側面について
V 言語学と通信理論
第二部 音韻論
VI 音韻論と音声学
VII 張りと弛み
第三部 文法
VIII 言語の音素的相と文法的相との相互関係
IX 転換子と動詞範疇とロシア語動詞
X 文法的意味についてのボーアズの見解
第四部 詩学
XI 言語学と詩学
第五部 言語学と隣接諸科学
XII 言語学と隣接諸科学
事項索引
原語索引
人名索引
言語聴覚士を目指す学生のための入門書 言語聴覚士を目指す学生が、音声と言語、言語発達、その障害とリハビリテーションに関して一貫して学ぶことができる初めての教科書。各章は、まず日本語に限らず人間の世界で一般に成り立つ特性、続いて日本語で特に際立っている特性、最後に基礎概念がコミュニケーション障害の臨床にどう役立つか、臨床を目指す場合に何を知っておくべきかで構成されている。入門書として最適の1冊。
新型コロナウイルス感染拡大により、私たちの「ことば」はどのように変化したのか。アフター・コロナ時代の新しいコミュニケーションのかたちとはーー。F・クルマスほか、現状とこれからを見すえる諸論考。また、小特集「世界の日本語教師に聞く」では、世界各地の日本語教育現場におけるパンデミック下の課題と展望を報告する。
■巻頭コラム:「開会式にみるオリンピックとことば」藤井久美子
■特集:パンデミックの社会言語学
[序論]「パンデミックの社会言語学ーー現在の課題とこれからの展望」パトリック・ハインリッヒ 山下仁
[ドキュメント]「孤独感、助けを差し伸べる手、〈真実〉」フロリアン・クルマス(訳:柳田亮吾)
[論文]「コロナ禍のタンザニアの「異端」化を読み解く」沓掛沙弥香
[課題研究]「クライシスコミュニケーションからみるコロナ初動期の政治家記者会見の特徴ーー国・地方政府の首長に焦点をあてて」石原凌河 村田和代
[研究ノート]「中華人民共和国における新型コロナウイルス感染症対策の応急言語サービスについて」小田格
[事例報告]「コロナ禍を「観る」--東京メトロにおける行動変容を呼びかける啓発ポスターを対象として」杉浦黎
[事例報告]「コロナ禍のオンライン国際協働学習ーー複言語・マルチモーダルなリソースを用いてつながる経験がもたらすもの」村田晶子
[事例報告]「ディスレクシア(読字障害)の生徒に、英語の対面授業を続けて」成田あゆみ
[あとがき]「パンデミックと〈ことば〉--触媒か断絶か」佐野直子
■小特集:世界の日本語教師に聞くーーパンデミック後の言語教育のために
佐藤慎司/西田翔子/アルン・シャム/フィリア/ハナーン・ ラフィーク・モハマッド/尾辻恵美/福井なぎさ/中根育子/キャロル・ヘイズ/井口祐子/永見昌紀/ウォーカー泉/松永稔也/沓掛沙弥香/原口望友紀/松山里美/ハリナ・ザヴィショヴァー/毋育新/杉田優子/布尾勝一郎/荻野雅由/大原由美子/リーッカ・ランシサルミ/藤原団/ウー ワイ シェン/トゥ トゥ ヌェ エー/ヴォロビョヴァ・ラリーサ
■書評
Florian Coulmas, An Introduction to Multilingualism: Language in a Changing World[評者]平野恵実
小林隆(編)『感性の方言学』、『コミュニケーションの方言学』[評者]椎名渉子
Patrick Heinrich and Yumiko Ohara (eds.) Routledge Handbook of Japanese Sociolinguistics[評者]岩崎典子
■連載報告 多言語社会ニッポン
アイヌ語 :「an=kor itak ani an=kor puri an=eisoytak〔私たちのことばで私たちの文化を語る〕」深澤美香 naakay(中井貴規)
琉球弧の言語:「物事を見えるようにするどぅなんむぬいーー与那国民謡の記録保存と翻訳」ジュリア・ヴァルセッキ
移民の言語:「セーフティーネットとしての言語」
その1「大阪ミナミ コロナ禍が浮き彫りにする「ことばの壁」」原めぐみ
その2「聞き取り活動による社会・文化的仲介ーーカトリック・コミュニティのベトナム人技能実習生支援から」巣内尚子
手話:「手話の法制化は聾者の言語権を保障するのか〈前編〉」金澤貴之
■近刊短評
本書は、認知科学や神経心理学を含む広い視野から認知言語学の発展に貢献されてきた辻幸夫先生が慶應義塾大学の定年を迎えるにあたり「認知言語学の未来」を見据えて編まれた記念論文集である。認知言語学が持つ学際性を活かし、構文研究や意味分析、比喩研究、社会言語学的考察、神経心理学的研究、哲学的アプローチ、言語発達・言語獲得・言語教育、理論的枠組みに関するものなど33本の論文が収められている。
執筆者:池上嘉彦、山梨正明、村尾治彦、黒滝真理子、堀江薫、楊竹楠、田村敏広、平沢慎也、八木橋宏勇、籾山洋介、松本曜、鷲見幸美、野田大志、古本英晴、佐治伸郎、早瀬尚子、深田智、篠原俊吾、町田章、大槻美佳、大月実、小熊猛、井筒勝信、多々良直弘、丸山修平、古賀裕章、金丸敏幸、樋口万里子、谷口一美、吉村公宏、篠原和子、楠見孝、森雄一、菅井三実、井上逸兵
コミュニケーションの道具である言語は、人間が言語を獲得したときからの最大の関心事。その研究はとどまることがありません。本書は、研究領域が広い言語学に対し、「普遍的な原理」を中心に解説。一読することで言語学の全体像がスッキリわかります。
文体論とは文学テクストを徹底的に言語学的に分析し、作品内での表現の効果や作家個人の文章構成原理を解明する学問である。そして、文体論は言語学と文学研究の架け橋となり、言語学の射程を広げ、文学の読みを拓く可能性を持っている。本書は、アーネスト・ヘミングウェイの文体を言語学的な手法で明らかにすることを試みているが、その手法は他の作家の作品にも応用できるだろう。これまで文学研究で論じられてきたことを言語学が支え、さらに異なった観点から文学研究で論じられてこなかった部分に光を当てることができる。
認知言語学の体系は少しずつ形をとり始め、その過程は現在もまだ進行中と言ってよい。そこには、その若さの故の不確定さも多く内蔵されているが、新しいことの起こりうる可能性も豊かに内包している。「百花繚乱」とも言える認知言語学研究の各テーマを、第一線で活躍する研究者が解説する。
執筆者:山梨正明、崎田智子、堀江薫、金杉高雄、守屋三千代、李在鎬、小松原哲太、安原和也、澤田淳、米山三明、杉本孝司、仲本康一郎、井上京子、黒滝真理子、吉村公宏、森雄一
第1章 認知科学と認知言語学 山梨正明
第2章 認知言語学と談話分析 崎田智子
第3章 認知言語学と言語類型論 堀江 薫
第4章 認知歴史言語学 金杉高雄
第5章 認知言語学と日本語教育 守屋三千代
第6章 用法基盤モデル 李 在鎬
第7章 メンタル・スペース理論 小松原哲太
第8章 概念ブレンディング理論 安原和也
第9章 フレーム意味論 澤田 淳
第10章 概念意味論 米山三明
第11章 形式意味論 杉本孝司
第12章 ファジー意味論 仲本康一郎
第13章 カテゴリー化とプロトタイプ 井上京子
第14章 事態把握とモダリティ 黒滝真理子
第15章 イディオムと構文 吉村公宏
第16章 日本語のレトリック 森 雄一
学習心理学と言語心理学を1冊で学べる概説書。「学習・言語心理学」のテキストとしても最適。基本的に見開き2頁完結の形で構成しており、見やすく、読みやすくなっている。
序
第1章 学習と言語の心理学
第2章 生得的行動・初期学習・馴化
第3章 古典的条件づけ1
第4章 古典的条件づけ2
第5章 オペラント条件づけ1
第6章 オペラント条件づけ2
第7章 さまざまな学習
第8章 言語の諸相
第9章 言語の獲得
参考図書ーより深く学びたい人のために
引用文献
シェン語という、スワヒリ語を母体とする若々しい都市混成語に出会った著者は、この「まぜこぜ言葉」の将来性の大きさを直感した。シェン語の成長・発展と変成の位相は、現代ケニアの社会と政治の動きと軌を一にしている。
第1章 ケニアの勃興する都市混成言語、シェン語
第2章 グローバル化の中のシェン語
第3章 隠語からプロパガンダ言語へ
第4章 宣伝広告から「国民文学」へ
第5章 TV劇のケニア化とシェン語
第6章 シェン語による国民統合への道筋
一般に「慣用句」と認められるものは、構成語・文法・意味の面で「固定的表現」である。しかし、日本語と英語両言語の慣用句の中には、固定度が高い「典型的なもの」から、固定度が低い「周辺的なもの」までがある。また、日本語とその他の言語の慣用句の対応関係を明らかにするために、個々の構成語の「比喩性」を比較する従来の手法のほかに、それぞれの言語において共通の意味を持つ句の使い分けを手掛かりに、個々の慣用句間の共通点・相違点を明確にする手法が有効である。
人はどのように言語を話し、聴き、読み、そして学ぶのか。本書は実験的アプローチを用いて、言語がどのように科学的に研究が可能か、またこれらの実験に基づいて、どのように言語処理のモデルを構築できるかを示しながら、上記の疑問に答える。さらに、子どもの言語獲得、脳科学との関連、失語症等の言語障害など、現代心理言語学の主要テーマを網羅し、多様な論点を整理している。近年、この分野の研究は盛んであるが、実験心理学の立場から体系的に書かれたテキストは少ないなか、本書は最新の解説書として優れており、関連分野を専攻する学部生レベルから読める入門書である。
長く日本の認知言語学研究を牽引する山梨正明教授の古希を記念して編まれた論文集。認知言語学の分野の最前線で活躍する研究者を執筆者に迎え、いま研究の最先端でどのようなことがおこっているかということを紹介するとともに、今後の課題を示し、これからの認知言語学研究の礎となる書。
執筆者:ロナルド・W・ラネカー、吉村公宏、高橋英光、野村益寛、中村渉、堀江薫・江俊賢、籾山洋介、菅井三実、谷口一美、早瀬尚子、大森文子、八木橋宏勇、松本曜、大月実、森雄一、篠原和子、堀田優子、渋谷良方
まえがき
Functions and Assemblies Ronald W. Langacker
名称言語記号論の構想と展望 大月実
機能主義的格理論 Jakobson的記述 中村渉
属性の発見 英語中間構文における場所副詞を中心に 吉村公宏
動詞と談話文脈から見たWill you依頼文 発話行為と認知言語学 高橋英光
主要部内在型関係節構文の概念的基盤 単純判断としての主要部内在型関係節 野村益寛
日中語の条件節由来の非従属化構文の対照
認知類型論の観点から 堀江薫・江俊賢
移動タイプの懸垂分詞構文とその動機づけ 早瀬尚子
アスペクトと感情描出 スペイン語、日本語、英語の事例をもとに 谷口一美
連句の認知詩学 大森文子
比喩の問題群 『比喩と理解』再読 森雄一
「もじり」の意味論 籾山洋介
意味派生の方向性と基本義の認定に関する実験的考察 松本曜
音象徴研究の認知言語学的展開 感情とパーソナリティーのイメージをもとに 篠原和子
認知言語学の社会的転回 言語変異と言語変化の問題を中心に 渋谷良方
用法基盤モデルに基づく英語ライティング教育 期待される情報と好まれる談話展開の涵養に向けて 八木橋宏勇
言語獲得理論に基づく小学校英語教育の事例研究 菅井三実
これまでコーパス言語学研究の主流は「データによって仮説を検証する確認的なアプローチ」であったが、本書は「データによってデータそのものを説明する探索的なアプローチ」、つまりあらゆる規模のコーパスを対象としてデータから構造やパターンを探り出し有意味な洞察や仮説を得るアプローチを提案する。統計学によるコーパス言語学の方法論的展開とは。
序章 探索的コーパス言語学とは何か
第1部 共時的全文コーパスによる探索
第1章 低頻度発生の文章機構(1)
第2章 低頻度発生の文章機構(2)
第3章 文章不偏の無性格語は実在するか
第4章 名詞的表現による文内情報提示の構造
第5章 臨時的な四字漢語の文章内形成
第2部 通時的全文コーパスによる探索
第6章 「デフレから脱却する」-新聞におけるコロケーションの成立と変化
第7章 「不良債権処理」-新聞における語結合の一語化・語彙化
第8章 「ユビキタス」-論文標題における借用の位相
第3部 多様なコーパスによる探索
第9章 多様なコーパスによる日本語研究の可能性
第10章 教科書パラレルコーパスによる歴史叙述の対照
第4部 探索的データ解析による探索
第11章 探索的データ解析による日本語研究
第12章 蛇行箱型図によるS字カーブの発見
第13章 リジット解析による計数データの分析
文献
初出一覧
あとがき
索引