一般に「慣用句」と認められるものは、構成語・文法・意味の面で「固定的表現」である。しかし、日本語と英語両言語の慣用句の中には、固定度が高い「典型的なもの」から、固定度が低い「周辺的なもの」までがある。また、日本語とその他の言語の慣用句の対応関係を明らかにするために、個々の構成語の「比喩性」を比較する従来の手法のほかに、それぞれの言語において共通の意味を持つ句の使い分けを手掛かりに、個々の慣用句間の共通点・相違点を明確にする手法が有効である。
これまでコーパス言語学研究の主流は「データによって仮説を検証する確認的なアプローチ」であったが、本書は「データによってデータそのものを説明する探索的なアプローチ」、つまりあらゆる規模のコーパスを対象としてデータから構造やパターンを探り出し有意味な洞察や仮説を得るアプローチを提案する。統計学によるコーパス言語学の方法論的展開とは。
序章 探索的コーパス言語学とは何か
第1部 共時的全文コーパスによる探索
第1章 低頻度発生の文章機構(1)
第2章 低頻度発生の文章機構(2)
第3章 文章不偏の無性格語は実在するか
第4章 名詞的表現による文内情報提示の構造
第5章 臨時的な四字漢語の文章内形成
第2部 通時的全文コーパスによる探索
第6章 「デフレから脱却する」-新聞におけるコロケーションの成立と変化
第7章 「不良債権処理」-新聞における語結合の一語化・語彙化
第8章 「ユビキタス」-論文標題における借用の位相
第3部 多様なコーパスによる探索
第9章 多様なコーパスによる日本語研究の可能性
第10章 教科書パラレルコーパスによる歴史叙述の対照
第4部 探索的データ解析による探索
第11章 探索的データ解析による日本語研究
第12章 蛇行箱型図によるS字カーブの発見
第13章 リジット解析による計数データの分析
文献
初出一覧
あとがき
索引
「タピる」と「タピオカを飲む」って同じ意味? 「言った、言わないが起こるのはなぜ?」「SNSの文章が炎上しやすい」「忖度はなぜ起こる?」……理論言語学の知見を使い、単語の多義性や曖昧性、意味解釈の広がり方や狭まり方、文脈や背景との関係などを身近な例から豊富に解説。文の構造を立体的に摑む視点が身につき言葉の感覚がクリアになる、実践的案内。
言葉のしくみと成り立ちがわかれば、語学は上達する!本書を一読するだけで、あなたの「勉強法」は大きく変わります!
400年前にカトリック宣教師が日本での布教のために出版した日本語の語学書について、ポルトガル語で書かれた自筆本とキリシタン版(版本)を克明に対比。キリシタン語学書にポルトガル語の側から光を当て言語学的に解明。
はじめに
1 キリシタン文献概観
1 「大航海時代」の語学書から学ぶもの
2 ザビエルとロドリゲスーー 16・17 世紀イエズス会の言語研究
〔コラム〕ザビエルの接した文字
3 「古典」としてのキリシタン文献ーー その語学書について
4 「大航海時代の語学書」としてのキリシタン文献
〔コラム〕キリシタン語学研究のこれから(1)
〔コラム〕キリシタン語学研究のこれから(2)
2 ロドリゲス文典
1 中世日本語のサ行子音ーー ロドリゲスの記述をめぐって
2 Interpreting the interpreter
3 ロドリゲス日本文典におけるポルトガル語正書法ーー /a~w/ の表記について
4 通事伴天連ジョアン・ロドリゲスのポルトガル語正書法 -- /ej/ の表記について
5 通事伴天連ジョアン・ロドリゲスのポルトガル語正書法規範 -- 語表記の「ゆれ」からの考察
6 ロドリゲス文典成立の背景
〔コラム〕ロドリゲス
3 キリシタン文献ローマ字表記成立の背景
1 キリシタン資料「開合表記」成立の背景
2 キリシタン資料におけるf 表記をめぐって
3 「ポルトガル語正書法小史」補説
4 キリシタン文献ローマ字表記 I J V U について
〔コラム〕キリシタン資料
〔コラム〕日葡辞書
4 コンカニ語・コンゴ語文献
1 Thomas Stephens とコンカニ語ーー 研究序説とその展望
2 コンカニ・ポルトガル語辞書二写本の関連についての一考察
3 コンカニ語ドチリナ・キリシタン成立の背景
4 コンゴ語版キリシタン要理(1624)第一章ーー コンカニ語版・日本語版と対照させて
〔コラム〕亀井 孝
〔コラム〕言語学と言語史
5 言語から見た近代ヨーロッパの一側面ーー 非人称構文とキリスト教
1 非人称構文に関する一考察ーー「 記号体系としての言語」の外から眺めてみると
2 非人称構文に関する一考察(補説)-- デカルトの EGO
〔コラム〕人の「偉さ」
〔コラム〕がんばるとたのしむ
2000年9月設立の日本認知言語学会(JCLA)の学会誌。今後さらなる進展が期待される認知言語学研究の分野に、大いに貢献することが期待されている。年1回刊。
19世紀以降の伝統的言語学において用いられた述語1500を解説したもの。排列は術語の日本語訳による五十音順。巻末に古今東西の言語学者420名の経歴・業績を記した人名解説、欧文と和文の総索引がある。-世界最大の言語および言語学の百科全書。
2000年代、認知言語学は「量的転回」と呼ばれる方法論的転換期を迎えた。内省による分析を基盤に据えながら、仮説の性質に応じて実験、コーパス、統計などを柔軟に組み合わせる実証的研究への羽ばたきである。本書は、空間移動表現の類型論、フレーム意味論、構文文法、メタファー・メトニミーという認知言語学の主要テーマにおける、そうしたアプローチの有効性を示すものである。
ナムイ=チベット族が話すナムイ語のゾロ方言音論、語および名詞形態論、動詞形態論、構文、語彙一覧等を記した本格的研究書。
第1章 序論
第2章 音論
第3章 語及び名詞形態論
第4章 動詞形態論
第5章 その他の構造
本書は、広島大学大学院総合科学研究科教授吉田光演先生が、2020年3月に定年を迎えられるに際し、国内外のドイツ語学・言語学研究者が寄稿した記念論文集である。吉田教授は、言語学者・教育者として多大な功績を残され、多くの言語を対象に専門分野は多岐にわたる。本書に収録された論文は、音韻論、統語論、意味論、語用論から言語教育、コーパス言語学、通訳理論まで様々な分野に広がっており、言語学研究の学際性を例証するものである。
まえがき
学際的科学としての言語学の発展に向けて 吉田光演
Is the OV-VO Distinction due to a Macroparameter? Gisbert Fanselow
Whatʼs Unique in Bavarian Syntax?: Thoughts on the Occasion of a Performance of Bachʼs St Matthew Passion Josef Bayer
The Thetic as Judgment, Integrational Focus, and Predications of Feeling Werner Abraham
The Weakness of the Definite Article in German Elisabeth Leiss and Werner Abraham
定性をめぐってードイツ語と日本語の「主語」 田中愼
再帰構文再考 小川暁夫
提示文における述語と主語名詞句の制限ー「が」を用いた文とドイツ語の提示文の比較 岡本順治
ドイツ語の分裂文におけるesについてー英語やイタリア語とは異なる派生 保阪靖人
擬似複合判断文としての総称文ー「花は咲く」の意味論的考察 藤縄康弘
Dort liegt/liegen eine Menge Bücher auf dem Tisch.-数量表現と動詞の数の一致の背後にあるもの 宮下博幸
Morphosyntax and Prosody in Prepositional Phrases in German Jiro Inaba
フリーソフト「数のおけいこ」の利用によるドイツ語数詞の聞き取りおよび読み上げ時の反応速度の向上について 岩崎克己
日本語及び中国語類別詞の統語的・意味的分析 毛利史生
可能世界意味論におけるmustとhave toの比較ーポライトネスの視点を組み込んで 合田優子
通訳におけるリプロダクションの効果についてー日中通訳を例として 崔春福・李林霏
『懐風藻』極高頻度漢字について 廖継莉
日本語の(代)名詞 - 名詞表現にかかる制約の文脈依存性と前提 橋本将
度数詞nurとalleinの意味的スケールに関する一考察 筒井友弥
「この道を行く」 森芳樹
吉田光演教授 研究業績一覧
あとがき
執筆者一覧
「他の多くの家庭と同じく、我が家の平日はやることに追われるうちに過ぎていきます。もちろん、週末も。物事に優先順位をつけたり、振り返ったりする時間はありません。そして、はたと気づいたのです。夫婦や親子で会話する時間もほとんどない、ということに……。」〈Introductionより〉
子育てをするには、あまりにも時間が足りない。子どもにしっかり向き合いたくても、仕事や家事に追われ、十分な時間が取れない。そんな悩みを抱えていませんか。
誰もが直面する現代の育児事情に対し、自身も2児の母親であるハーバード大学教育学博士が、最先端の教育学、心理学、言語学の知見を動員して、解決策を導き出したのがこの本です。
キーポイントは、日々の生活における「会話」にあります。何気ない毎日の会話を、ほんの少しの心がけで「リッチ・トーク(豊かな会話)」にするだけで、子どもの「学習意欲」「共感力」「自己肯定感」「創造性」「個性」が育まれ、親子の絆が深められます。
それには、子どもを塾や習い事に通わせる必要も、忙しい仕事の合間をぬって無理に時間を作りだす必要もありません。1日5分でも10分でも「リッチトーク」をすることができれば、子育ては十分!
1)「膨らませる(Expand)」⇒2)「探る(Explore)」⇒3)「評価する(Evaluate)」という3つのステップで、子どもとの日々の会話を「リッチトーク」にしていきます。
著者はハーバード大学教育大学院で教鞭を執り、ボストン小児病院で臨床研究をする言語学者。豊富な事例と具体的なメソッドで、「親子の会話」の極意を伝えます。
外国語教育学や第二言語習得の論文において多く使われている手法を網羅的に紹介し、
実際に論文を書く時に活用できるようわかりやすく丁寧に指南したベストセラーの増補版。
調査的面接法入門の章と、構造構成的質的研究法(SCQRM)入門の章が新たに加わったばかりでなく、
質的な研究手法の以外にも、カッパ係数やSEMのFit 指標の表も盛り込まれています。
研究を志す大学院生、中学・高等学校教員、大学教員、教育産業従事者に必携の一冊。
今回の増補のポイント!
☑︎APA第7版に完全対応
☑︎新たに「ベイズ統計入門」「量的手法のさまざまな展開」の章を追加
理論言語学と英文法学習、英語教授法の橋渡しを試みた一冊。英米語の文法的な違いに始まり、欧米の英文法書と日本の学校英語文法との違い、5文型に関する議論や意味順の紹介、時制、相(語彙的相、視点相)、法の他、名詞句の解釈、代名詞類、比較、否定繰り上げ、否定極性項目などを解説する。英語のからくりについてもう一歩理解を深めたい、理論言語学を勉強してみたい人への招待状である。
第1章 基本的な概念に関して
1.1. アメリカ英語とイギリス英語の違い
1.2. 冠詞と名詞
1.3. 定形性
1.4. 文って何?
1.5. 文法の整理法
第2章 文型に関して
2.1. 5文型ってダメですか?
2.2. 文型がわかれば意味がわかるか?
2.3. 補部と付加部という考え方
2.4. 自動詞と他動詞、2種類の自動詞
2.5. 他動詞に目的語がない時、自動詞に目的語がある時
2.6. SVC文型:措定文と指定文
2.7. SVOC文型
2.8. 理論言語学で扱われているSVOC文型
2.9. 「意味順」
第3章 定形性に関して
3.1. 節
3.2. tough構文とwh移動
3.3. 繰り上げ構文とコントロール構文
第4章 時制・相・法に関して
4.1. 動詞の形が変わる要因
4.2. 相
4.3. 完了相
4.4. 相についてもっと詳しく
4.5. 結果状態に関する日英比較
第5章 意味に関して
5.1. 裸複数名詞の解釈と量化
5.2. 定性
5.3. 代名詞・再帰代名詞・否定極性項目
5.4. 否定極性項目についてもっと詳しく
5.5. 否定繰り上げ
5.6. 比較構文
5.7. 尺度推意
英語の品格を「品」と「格」に分けて解説。丁寧度と正式度を組み合わせた品格度で適切な表現を紹介。あなたの品が問われるビジネス英語をケース別に紹介。気持ちをきちんと伝えられるようになる品格のある感情表現が充実。英語自体の品格を言語学的に分析。雲の上に住むイギリス上流階級が使う正真正銘の品格のある英語を紹介。