ハートマンの問題提起を受けて続けられた論争の記録。家父長制、資本制、そして社会主義フェミニズムとはなにか。
19世紀の第一波フェミニズムを起点に、女性たちの挑戦が3名の作家の作品から解き明かされる。ブロンテとハーディ、そして20世紀後期のマーガレット・ドラブルをも巻き込みながら、ヒロインの変貌が100年の流れの中で開示される。ドラブルは19世紀の伝統にこだわりながら、やがてその伝統から離脱する試みを行った。彼女が創作したヒロインとは?20世紀初頭のモダニズムと急進派フェミニズムに重要な役割を果たした雑誌『フリーウーマン』の考察をも盛り込んだ斬新な論考である。
ヴィクトリア時代における経済学の様相をフェミニズムとの係わりに焦点をあわせて検討する。
いのちに向き合うフェミニズム批評に取り組んできたメンバーの作品は、期せずして合い呼応し、女、性、民族、歴史、文学、映像、メディア、教育など多様な視点から、核や原発のもつ反生命性、反人間性を浮かび上がらせ、まさに文明史の転換を示唆している。
性的な不平等の克服のために哲学は何ができるのか。ウィーンの哲学的蓄積から、英米のジェンダー論、フレンチ・フェミニズム等を読み直す。
20世紀後半の思想状況の大きな潮流、フェミニズムとフェミニストを1500項目にわたって簡潔的確に解説した、基礎資料として必携の事典。最新の動向、新たな思想家にも対応した待望の改訂新版。
国連主催の国際家族年に向ける提言の書。平和への模索の中で、エコ・フェミニズムの視点から人口・生殖・差別・環境問題を考える。
日本の〈近代家族〉論はここから始まった──フェミニズムから出発し、家族研究の新時代を切り拓いた名著の増補新版。
愛情で結ばれ男女の分業を前提とした近代家族はいかにして誕生したのか。視角と方法としての歴史社会学を駆使し、「家族」「出産」「育児」「フェミニズム」といった諸論点に果敢に挑んだ記念碑的著作。重要論文はそのままに、近代家族論争を経て「家族の戦後体制」論へと連なる同時期の関連論文を収録。新たに自著解題を付す。
性的マイノリティやフェミニズムというテーマについて、近年かつてないほど急速に社会的な関心が高まりつつある。その一方で、ポスト構造主義フェミニズムの台頭によって、社会的な性別であるジェンダーのみならず、生物学的な事実としてのセックスもまた社会的構築物でしかないという見方が出現している。本書はこれらの見解を批判的に考察し、その問題点を明らかにすることよって、セックス/ジェンダーの概念的枠組みを刷新することを目指す。
序 章 はじめに
第1章 「セックスもまたジェンダーである」のか?
ーポスト構造主義フェミニズムにおけるジェンダー概念再考に向けて
1 はじめに
2 J・W・スコットによるジェンダーの再定義
3 L・ニコルソンによる「生物学的基礎づけ主義」批判
4 ポスト構造主義フェミニズムにおけるジェンダー概念の再評価
第2章「セックス」はフィクションか?
ーJ・バトラーとフランス唯物論フェミニズム
1 はじめに
2 「観念」としてのセックス
3 バトラーによるウィティッグ読解の問題
4 身体的差異の有徴化ーギヨマンの議論
5 バトラーとギヨマンの比較
6 おわりに
第3章 性別二元論批判を問いなおす
ー性別二元論批判は何を見落としてきたのか
1 はじめに
2 Kessler & McKennaによる性別二元論批判
3 性別二元論批判の骨子
4 セックスの連続性とジェンダーの二元性を対置することの陥穽
5 セックスという分類は恣意的か?
6 性別二元論批判が見落としてきたもの
7 性別二元論の何が問題なのか
8 おわりに
第4章 「社会的につくられた性差」とは何の謂いか
ーセックス/ジェンダーの区分を擁護する
1 はじめに
2 性差と性役割
3 性差をめぐる似非科学主義
4 「知」としてのジェンダー
5 「生物学的ではない性差」
6 社会通念が生み出す現実5
7 おわりに
第5章 バトラーはボーヴォワールをいかに誤読したか
ー「規範としてのジェンダー」と「自由としてのジェンダー」
1 はじめに
2 バトラーによるボーヴォワール解釈
3 「なる」と「つくられる」
4 女性の「生成」をめぐって
5 ジェンダーからの自由/ジェンダーへの自由
6 規範としてのジェンダー/自由としてのジェンダー
7 ジェンダーというタームにおける語義の反転
8 おわりに
第6章 「ジェンダーの複数化」か、「ジェンダーのない社会」か
ーJ・バトラーとフランス唯物論フェミニズム
1 はじめに
2 文化による解釈/個人による解釈
3 バトラーにおける二種類の規範
4 「つねにすでに」の帰結
5 ウィティッグをあえて誤読するバトラー
6 性別二元論が問題なのか
7 デルフィとバトラー
8 おわりに
終 章 ジェンダー/セクシュアリティ研究の枠組みを再構築する
初出一覧
あとがき
参考文献
索引(人名/事項)
戦後東北・岩手におけるフェミニズムの思想と活動の内実を明らかにするとともに、それらを日本女性運動史・フェミニズム思想史のなかに位置づける。岩手においてフェミニズム的視点から活動してきた麗ら舎読書会会員たちへのインタビューと、麗ら舎読書会に会員として参加するなかで行ってきた参与観察、そして会員たち自身が記した詩や生活記録の分析から、岩手のフェミニズムのありように迫る。
サバイバーよ、勇気を出すな。“性暴力やセクハラ被害に遭ったら「泣き寝入り」しないで、「勇気を出して」裁判を起こして闘いましょう”そう簡単に言ってしまえるすべての人へ-。一人芝居『私は生き残った』を全国各地で上演し、深い感動を呼んでいる高橋りりすの初のエッセイ集。
近代アジアで「歴史から隠されて」きた女性解放運動に光をあてる待望の書。スリランカ人女性歴史家の手になる渾身の一作。
ジュディス・バトラーの『ジェンダー・トラブル』と、田中美津の「とり乱し」を架橋する、理論と実践の両面からの試み。
フェミニズムの歴史とは、「私たちとは誰なのか」を批判的に問うてきた歴史でもある。フェミニストとして語るあなたとは誰なのか。その語りはどんな場所からなされているのか。その語りからは誰が排除されているのか。「私たちが共にあること」はいかにして可能なのか。フェミニズムはもちろん一枚岩ではない。それでも、私にとってのフェミニズムとは、自己の、そして他者の〈トラブル〉に直面しながらその声に応答しようとしてきたフェミニズムである。
子育てや介護の経験をとおして見えてきた言葉にしにくい思い。
フェミニズムの立場から、社会の矛盾や日常生活でのとまどいを平易に語る。
1 不安定労働の時代を生きる
はずれた「家族の未来図」
「在宅ワーク」は「仕事と家庭の両立」か?
ヘゲモニーは親密圏でつくられる
2 成り立たない「ライフコース」
「家族戦略」としての同居/別居
「マミー・トラック」から「初職トラック」へ
「お嫁さん願望」の功罪
3 地域社会と女性保守層
私的扶養というモラル・マゾヒズム
「留守番」の政治学
「小泉純一郎好きおばちゃん」はミーハーなだけなのか
4 融解する境界線
子どもの「連れ去り」と「置き去り」の国際化
父親の育児参加とホームレス
拡散するセックスと感情労働
5 震災は親密圏を変えたのか
ゆらぐ大地、ゆらぐ親密圏
「プライベートを他者に知られること」をめぐる雑感
生の公共性