直江、二十四歳。信長の『破魂波』に立ち向かった景虎の安否はわからない。長兄の照弘に頼まれて、すすり泣くという観音像を霊査した直江は、それが隠れ切支丹たちが礼拝したマリア観音であることに気づく。直江はその像に強い罪と後悔の念を感じ、興味をひかれていくが…。(『Exaudi nos』)他『GOLD WINNER』『夜を統べる瞳』収録。大人気『炎の蜃気楼』番外編。
上杉景虎が赤鯨衆に捕縛された。高耶の身柄は草間の手に預けられ、尋問が始まった。しかし尋問とは名ばかりで、草間は募りに募った怒りと憎しみを景虎にぶつけるのだった。なんとか高耶を救おうとする中川は嶺次郎にかけあうが、逆上した嶺次郎は中川の話を聞こうとしない。高耶という軍団長を失った前線には動揺が走っていた。そんな時、傷だらけの高耶の前に、兵頭隼人が姿を現すが…。
ミホの襲撃を退けた後、高耶と白装束の遍路は、四万十川の川岸までやって来ていた。弘法大師空海を殺したという遍路から、高耶は「山神」や「裏四国」に関する衝撃的な事実を聞いた。霊場結界が消滅すると、四国に天変地異が起こるというのだ。牛鬼たちを引き止め、結界の破壊をやめさせようとする高耶だったが、ミホの鉈に塗られていた毒が体に回りはじめ…。
伝説のトップモデル-ナオミ・グレースが魅惑の肢体を初公開。
時は南北戦争後。大義名分を失った武器マニア「大砲クラブ」の面々が途方もないことを思いつく。「月に砲弾を!」資金集めに誘致合戦、嫌がらせ等あれやこれやの末、巨大砲が完成する。そこへ、砲弾に乗り込もうという無鉄砲なフランス人が現れたー。この古典的SFが、これほどアイロニカルな文明批評だったとは。物理学、歴史から精神分析まで、該博な注が多層な読みを可能にし、まさに現代の物語として蘇らせる。
砂漠の辺境の街、エンポリウムで“なんでも屋”を営む少女、火乃香のもとを訪れたのは、ザ・サードの中でも最も高位に位置する人物、フィラ・マリークだった。予期せぬ市街戦の後、彼女が口にした依頼とは、破棄されたサードの施設に囚われたある人物の奪還!?絶好調アクション・ファンタジー第三弾登場。
触れなば殺す!激しく反目する景虎と直江。だが、運命のふたりに容赦なく襲いかかる狂った刀の群。
大人気シリーズ“ミラージュ”で高耶や直江たちが歩き走り語った名シーンの地を訪ねるフォト紀行ー西日本編。
別行動をしていた勝長から、景虎と直江は奇妙な噂を聞いた。妖刀による、刃傷事件が相次いでいるというのだ。妖刀はあまりの多さに『狂刀』と呼ばれ、それは景勝の陣中においても騒ぎをおこしていた。景虎たちは、その事件を調べるため府内に戻る。だがそこで、暴力沙汰を起こしていた少年が「狂刀は景虎公とおれたちがバラまいた」と叫ぶのを聞いて…!?炎の蜃気楼(ミラージュ)邂逅編2、待望の文庫化。
死に際の景虎の怨念を受け、付喪神となった吉祥丸。偽景虎を首領とする黒鳥党はそれを利用し、狂刀を生み出していた。一か所に置かれた夥しい数の狂刀は、巨大な刀の化け物となり、殺戮を始めた。景虎は化け物を止めるべく念を駆使するが、苦戦し力を使い果たしてしまう。そこへ、直江が駆けつけて来た。希望を繋いだ景虎だったが、直江は無表情のまま太刀を抜き、斬りかかってきた…。
死んだはずの己が換生によって新たな肉体を得、今を生きている。そのことが、景虎の心に陰を落としていた。それが付け入る隙となり、彼は『玄奘蜘蛛』に捕らわれてしまった。人の心を糧とする蜘蛛は、見えない糸で景虎の心を絡め取り喰らおうとする。しかし、人とは相容れぬ場所に巣食う蜘蛛を退治するには、誰かが命を捨て霊体とならねばならなかった!?そのことを知った直江と晴家は…。
取人を乗せた船は、佐渡へ向かって海原に漕ぎ出す。取人浚いの起こした騒ぎに巻き込まれた景虎は、その船の荷部屋にいた。そこで彼は夢を見る。己の過去と、己の記憶にはないはずの過去を…。そして、知らぬはずの記憶はまるで実際に体験したかのような現実味を彼に与えた。それは景虎の宿体・兵蔵太の記憶であった。その記憶は彼の知らぬ間に入り混じり、人格に影響を及ぼし始めるが…。