公爵の嫡子として生まれたものの、母親の保身のために女であることを隠して爵位を継いだエリーアスは、秘密がバレないようにひっそりと暮らしていた。しかし皇妃が懐妊したため、護衛役として公の場に引きずり出されてしまう。さらには見舞いにやってきた皇妃の兄、モダーヴ王国の王太子をスパイしろと命令される。だが王太子に女だとバレてしまったエリーアスは!?
ディ・バラ家の末息子ニコラスは、あてのない旅の途中、ひょんなことから行方知れずの兄を捜すエメリーという少年に出会った。まだ若く心細そうなエメリーに力を貸してほしいと頼まれ、誇り高き騎士であるニコラスは、ともに旅をすることにする。ところが繊細な顔立ちのエメリーをつい目で追ってしまい、自分の感情に戸惑っていたある日、驚愕の事実が明らかになる。エメリーは少年ではなく、男装した美しい娘だったのだ。厳罰を覚悟して怯える彼女に、ニコラスは思わず唇を重ねて言った。「きみが女性だったのが、とてもうれしい」しかし、すぐに彼は自戒したーエメリーと親密になってはいけないと。ディ・バラ家の物語、最終話。ヒーローは今や立派な騎士に成長した七男ニコラス。
1805年英国。サリーの家の男は代々海軍に入隊する決まりだったが、弟のリチャードは司祭になりたいと逃げ出してしまった。昔から海が大好きだったサリーは、家名を汚すまいと、男装して海軍に入ることを決意する。港で出迎えてくれた士官のコルは、兄の友人で昔からの憧れの人。何度か会ったこともあったが、なんとかばれずに船に乗り込むことに成功した。サリーは持ち前の知識と度胸で船上での役割をこなし、コルは、やせっぽっちで使い物にならないだろうと思っていたリチャード(サリー)の働きに感心する。コルへの恋を、責任感で抑えようとするサリー。そして、男性だと思っているのになぜかリチャード(サリー)に惹かれてしまい、あせるコル。そんな時、サリーの歌声を耳にしたコルは…。RITA賞をはじめ、数々のノネミートに輝く実力派作家、日本初登場!
ローザンヌの王女セシーリアは実は魔女。弟レオンがセシーリアと魔王の婚姻を阻止したため、呪われてしまう。呪いを解くには究極の魔法書『運命の円環』が必要だ。魔女狩りで多くの書物を没収したヴァイスブルクの帝国図書館にある可能性が高いが、そこは女人禁制。とはいえ、魔法書は魔女にしか読めない。セシーリアは男装し、図書館へ潜入することに。そこで帝国の皇子と出会い…?
継母にいじめられ、召使いのようにこき使われているジェミーは、ある日、“おまえの結婚が決まった”と問答無用で言い渡される。紹介された貧相で好色そうな遠縁の老人を見て、彼女は決心したーこうなったら、かねて考えていたことを決行するしかないわ…。ジェミーは少年になりすますと夜陰に紛れて屋敷を逃げ出し、偶然会った伯爵リチャードの領地で庭師見習いをすることになった。万事順調と思われた矢先、先輩庭師に暴力を振るわれ、気を失ったジェミーはリチャードに助け出される。リチャードは庭師見習いの少年の体についた傷を確かめようと、そっとシャツを脱がせ…相手が少年でないことに驚愕した!
公爵家の娘ヴィクトリアには秘密があった。父親が公爵ではなく、平民出の英雄と言われるヴィレガー将軍なのだ。ヴィクトリアが幼い頃に遠征へと出た将軍が戻ってきたのは、彼女が17歳になってからだった。憧れ続けた本当の父親に認めてもらいたいヴィクトリアだったが、「娘はいない」と否定されてしまう。失意の中、結婚を強要されそうになったヴィクトリアは、男装して士官学校に入学し!?
とある事情から男しかなれない精霊師として、翡翠の森で暮らしている男装の少女キーラ。彼女はある日、思ってもみない危機に陥っていた。それは、近くの村の娘との縁談で!絶対に結婚できないキーラは、森から旅立とうと決意するも、資金がなく途方にくれていた。そんなとき、副都での高額依頼が舞い込み、喜び勇んで飛びついたけれど、上手い話には裏があり…。どうして凶惡事件に巻き込まれたあげく、女装姿で守護隊長のヴァーツラフさんと同居することになってるの!?秘密だらけの男装乙女の精霊ラブファンタジー。
本書は、見ただけでわかる人間相互の標識、衣服から日本の歴史を読み解く。
何て素敵な人なの…。精悍な美貌、甘い香油の匂い、耳を蕩かす声。弟になりすました翠伶が、煌びやかな御殿で出会った美青年・颯瑛。運命的な出会いに胸がときめくけれど、告白できないもどかしさ。そんなある日、男装がばれてしまう!絶望する翠伶に「君が女だったなんて最高だ」と秘密を守ってくれた颯瑛。恋人同士として蜜月を過ごしていたら、彼がとんでもない真実を…。
アリシアの初恋の人。それは昔出会った王宮騎士と思しき青年だ。再会を夢みてきたが、王太子レオナルドの求婚で望みは絶たれてしまう。最後にひと目だけでも。男装して潜入した王宮で『彼』を探していると、レオナルドに見つかり?淫らな責め苦で秘めた想いを暴かれるアリシア。けど意外な申し出が。-あなたの想い人を探させてやる。ただし夜は閨で『花嫁教育』を受けること。有無を言わせぬ雰囲気に圧倒され、それを受け入れるが、レオナルドの思惑とは…!?
本論では、“男装の少女”というヒロイン像を切り口に、日本の少女マンガにおけるジェンダー表象がどのような形で構築され、どのような形に変容していったのかを探ることを主要な目的としている。“男装の少女”というヒロインの容姿造形を構成する絵画表現、すなわちジエンダー・コードとなる表象記号に着目し、どのような表象記号の組み合わせによってヒロイン像が描き出されていったのかに重点を置いた論考を試みている。
『リボンの騎士』から『ベルサイユのばら』…『少女革命ウテナ』まで。ヒロインをキー・コンセプトにした画期的なジェンダー論の試み。“男装の少女”を切り口にした卓抜な現代少女マンガ論。第3回女性史学賞受賞作。ゼロ年代の『桜蘭高校ホスト部』と『放課後保健室』を増補。
ロングセラー!〈男装の少女〉を切り口にした卓抜な現代少女マンガ論の新増補版!-〈第3回女性史学賞受賞作品〉(旧版は彩流社から刊行)
手塚治虫の『リボンの騎士』から池田理代子の『ベルサイユのばら』…オスカル以降の〈男装の少女〉『少女革命ウテナ』…、ゼロ年代の〈男装の少女〉『桜蘭高校ホスト部』…。新増補として電子版『RE:BORN 〜仮面の男とリボンの騎士』(集英社ホームコミックス)を取り上げ、〈男装の少女〉サファイアの表象の変容について論じる。図版多数!
主な目次ーーーー
第1章〈男装の少女〉キャラクターの出発点
-- 手塚治虫『リボンの騎士』
第2章「傍流」としての〈男装の少女〉
-- 水野英子『銀の花びら』
第3章〈男装の少女〉の成長
-- 池田理代子『ベルサイユのばら』
第4章〈男装の少女〉の反復と再構築
--オスカル以降の〈男装の少女〉
補章〈男装の少女〉その後
--ゼロ年代の〈男装の少女〉
新補章〈男装の少女〉その後 二
-『リボンの騎士』再び
(『RE:BORN〜仮面の男とリボンの騎士』考)