社会言語学の各領域におけるトピックを集成し、それぞれの裏付けとなったデータを図表の形にして掲げ、日本語と英語・中国語・韓国語で簡潔な解説を加えた。近年、大学等での授業科目として「社会言語学」が取り上げられることが多くなった。本図集は、そのための教材として新たに編修したものである。日本語をもとにして、英語、中国語(繁体字)、韓国語による要約も掲げているので、対照しつつ外国語学習としても活用できよう。
言語教育の教授法と指導理論。カリキュラム開発とシラバス編成。第二言語習得。四技能(聞く、話す、読む、書く)の指導法。コンピュータ支援言語学習。言語教育における教師教育。英文法と発音。言語テスティング、リサーチ・メソッド、基礎統計学。言語学概論:音韻論、音声学、統語論、意味論、形態論など。談話分析。社会言語学:言語社会学、コミュニケーション能力など。心理言語学:学習理論など。約3,500の項目を収録。最新の研究を反映させて約360項目を新たに加えている。
マイノリティとしてのろう児が抱える不利益構造を新たな角度から抽出し、「ことば」=「日本語(国語)」という言語観と多言語社会への不寛容を批判する中から、誰もが「ことば」や「情報」から疎外または排除されない社会の形を展望しようとする、障害学的社会言語学の成果!
不特定多数の読者を想定する「出版訳」。それは学校で親しんだ「講読訳」とは根本的に異なる。したがって、いくら「講読訳」に習熟しても「出版訳」にはほとんど役立たない。この衝撃的でありながらも、じつはよく囁かれる事実をまえに、長年教壇に立つ外国文学研究者として処方箋を伝授。翻訳談義めかした韜晦とは無縁の具体的な技術論。翻訳の美徳と快楽は自虐的なまでの無私の徹底。その域に至るために必要な方法と技術とは何か。
多くの面で対照的な英語と日本語の文法・意味・語彙・形態・表現法など言語構造の違いを、〈点(個)〉と〈線(つながり)〉という観点から整理しなおす。著者の過去50年近くの研究の集大成となる1冊。各章末尾に練習問題を附属。
■「はしがき」より
(前略)本書では筆者が過去50年近くにわたって続けてきた研究を〈点〉と〈線〉という観点から整理し直しました。データ面では以前の発表論文を再利用したところが多いのですが,〈点〉と〈線〉という切り口による全体像の整理と解明はまったく新しい着想です。この考えは,個人という〈点〉を重視する英語社会と,人と人とのつながりという〈線〉を尊重する日本語社会の特徴を浮き彫りにするだけでなく,多くの面で対照的な英語と日本語の文法・意味・語彙・形態・表現法など言語構造の違いを際立たせるのにもピッタリの概念です。
内容は専門的ですが,言語学と隣接分野を橋渡しする入門書として役立つように工夫をこらしました。各章の末尾には練習問題も付けています。
1専門的な研究から言語学初心者への橋渡し[特殊な用語を避ける]
2日本語研究と英語学・言語学との橋渡し[日本語を世界諸言語の中で捉える]
3海外の研究と国内の研究の橋渡し [国際的な文献を多く引用]
4昭和・平成の研究から令和以降の研究への橋渡し[過去の主要な成果の取りまとめ]
5言語の研究から文化の研究への橋渡し[少しだが言語文化にも触れる]
本書が橋渡しとなって様々な分野が将来的に連携し,言語と人間社会を包括した研究へとつながることを願っています。
社会言語学という学問の全体が論理的にわかるよう、変異を扱う方向と談話を扱う方向を組みあわせる体系的な枠組みを採用した新しい入門書。各章に【推薦図書】と【調査の課題】があり、大学生向けテキストに最適。もちろん独習にも。
■「まえがき」より
この本は社会言語学についての入門書として企画された。大部分の読者にとって、社会言語学という学問に触れるのは初めてと考え、前提の知識なしに、読めることを目指した。
従来の社会言語学の概説書の多くは、取り上げる対象や分野に偏りがあった。そこで、本書では、社会言語学という学問の全体が論理的に分かるような体系的な枠組みを採用した。この枠組みでは、変異を扱う方向と談話を扱う方向を組み合わせ、かつ地表上に広がる面積の大きさによって、配列したので、個々の現象を一定の研究分野に位置づけることができる。本書全体として大から小へ向かうという流れ、ストーリー性がある。世界全体を見渡す大きな視点から話が始まり、1言語の中の方言差や性差、集団差、敬語、文字のように、個人の使い分けの話になり、個人のことばの並べ方に移っていく。従来の社会言語学概説書と違うところは、言語相対論を冒頭におき、文字についての独立の章を設けたこと、談話についてしかるべき位置を与えたことである。
言語学の広い分野を統合整理し、近年急速に研究が進んだ新しい概念も取り込んだ、初学者から研究者まで使える辞典。総項目総数約330、引きやすく読みやすい紙面レイアウト、便利な「目次索引」「英日対照表」付き。言語学に親しみ、学ぶための格好の書。
言語学とはいかなる学問でしょうか?人間だけがもつ「ことば」はさまざまな視点からさぐることができます。本書は、現代言語学の主要領域をカバーし、その楽しさ、奥深さを同時に体験できる、言語学・英語学を学ぶすべての人のためのテキスト。
第一級の心理言語学者が邂逅したサプライズ群を蒐集し、筆者の経験も交えながら、解説、考察を加えた手引書として、多岐にわたるテーマは、第1部でミスコミュニケーションや日本人の英語聴解処理など情報処理の諸問題を扱い、第2部で学習原理の基本を踏まえ、知能と言語学習の根源と道標を示す。第3部では、模倣と言語運用のサプライズを垣間見る。いずれも心理言語学徒が成長するための萌芽であり、次代への道しるべである。
社会言語学の成り立ちから、最新の研究知見までカバーした『概説 社会言語学』の改訂版。社会言語学の基本的なテーマを扱う一方で、相互行為的社会言語学、談話分析、会話分析の章を設け、言語人類学、批判的談話分析に関しても充実させた。はじめて社会言語学を学ぶ学生だけでなく、これから談話分析を目指す学生にも役立つ内容である。言語と社会、言語と文化、異文化コミュニケーションに興味のある学生の読本としても使える一冊。
はじめに
1 社会言語学の領域
1 言語と社会
2 言語の変種
3 方言と標準語
4 言語接触の研究
5 談話分析・会話分析
6 言語の社会学
7 ことばの民族誌
2 2言語使用・多言語使用
1 微視的および巨視的社会言語学
2 2言語使用と不完全言語使用
3 ダイグロシア
4 コード切り替えとコード混合
5 2言語使用教育
6 エボニックス論争
3 地域方言
1 方言学の発達
2 言語地理学
3 フィールドワーク
4 等語線と波動説
5 言語地図の数例
4 社会方言
1 社会階級と言語
2 ニューヨーク市の階層化
3 世代によることばの違い
4 性別とことばの問題
5 民族グループによることばの違い
6 コックニー英語の特徴
7 アフリカ系米国人の英語の特徴
5 言語変異と言語変化
1 言語変異論と言語変化
2 実時間と見なし時間
3 顕在的および潜在的威信
4 身分と連帯意識
5 言語変異論の限界
6 言語使用域と文体
1 言語使用域(レジスター)
2 話題による偏りーー職業語
3 話者と聴者の役割関係
4 形式的文体とくだけた文体
5 話しことばと書きことば
7 ピジンとクレオール
1 ピジンの成り立ち
2 ピジン化の特徴
3 クレオールへの移行
4 国語となったトクピシン(Tok Pisin<Talk Pidgin)
5 脱クレオール化の特徴
8 世界各地の英語
1 3つの英語圏ーーカチリューの分類
2 母語話者英語の多様性1:英国
3 母語話者英語の多様性2:北米大陸とその他の地域
4 第2言語・公用語としての英語
5 外国語・共通語としての英語
6 World Englishesの研究
7 言語帝国主義
9 伝達能力と言語教育
1 言語能力と言語教育
2 伝達能力の諸相
3 言語教育の変遷1
4 言語教育の変遷2
5 伝達中心の学習法
6 概念・機能シラバス
10 言語習得と異文化接触
1 母語習得と第2言語習得
2 第2言語習得から見た異文化接触
3 異文化間の言語表現
4 バイリンガルの言語運用
5 脳科学から見たバイリンガルの言語運用
? 言語と文化
1 サピア=ウォーフの仮説
2 親族関係の名称
3 色彩用語
4 原型理論とは
5 婉曲語法と禁句
? 発話行為と丁寧さ
1 発話行為理論
2 協調の原理
3 面子(メンツ)
4 丁寧表現
5 呼称の種類
6 敬 語
103 言語政策と言語計画
1 言語政策
2 言語教育政策
3 言語計画
4 国語と公用語
5 標準語と言語の標準化
6 言語保持と言語取り換え
7 言語消滅と言語復活
104 非言語伝達
1 人のコミュニケーション
2 ジェスチャー
3 顔の表情
4 対人距離
5 手話(Sign Language)
さくいん
本巻は、「言語のインターフェイス・分野別シリーズ」第1巻『統語論と言語学諸分野とのインターフェイス』である。言語の構造構築を担う理論研究分野である統語論と、音韻論、形態論、意味論、文の運用、情報構造とのインターフェイス(各研究分野間の相互作用) を、 理論の歴史的展開から最新の発展や成果も含め、豊富なデータを駆使しながら初学者にも分かりやすく解説することを念頭に置いて書かれた研究書兼概説書である。
第1章 統語論と音韻論のインターフェイス
土橋善仁
1. はじめに
2. 韻律階層と厳密階層仮説
3. 統語構造と韻律領域
4. 統語ー音韻写像研究の理論的進展
5. おわりに
第2章 統語論と形態論のインターフェイス
岸本秀樹
1. 統語論と形態論
2. 単文の構造
3. 多重主格構文
4. 名詞編入:軽動詞構文
5. 埋め込み構造:複合動詞構文
6. まとめ
第3章 統語論と意味論のインターフェイス
毛利史生
1. 形式意味論
2. 名詞句のインターフェイス
3. 動詞句のインターフェイス研究
4. 形容詞と程度
第4章 統語論と言語運用のインターフェイス
中谷健太郎
1. はじめに
2. 統語論で説明できない文法現象
3. ガーデンパス理論:最少付加と遅い閉鎖
4. 統語解析への意味論や語用論の影響
5. 作業記憶と文処理
6. 予測処理と統語解析
7. まとめ
第5章 カートグラフィーと情報構造のインターフェイス
中村浩一郎
1. はじめに
2. カートグラフィー(The cartography of syntactic structure)
3. Information Structure,IS
4. おわりに:カートグラフィーとIS とのインターフェイス
音変化、連濁、言い間違い、アクセントの変化など、日本語の音声をめぐる素朴な疑問について丁寧に検討し、音韻論の基本的な考え方と分析方法を解説。日常使う言葉に見られる面白い現象を豊富に盛り込んだテキスト。
語用論は言語の意味を説明するという。意味論とはどういう関係にあるのか? 語用論とは言語理論の一部をなすものか? それともそれとは別の目標を持つのか?
言語理論の一方の雄・生成文法は、言語は人間に生物中で唯一性を与えており、人間の外(そと)には存在しないとする。他方の雄・認知言語学は、言語は人間の外にある認知的諸過程に本質的に依存すると主張する。
本書は3理論理解への最上の道である。
言語学入門書にこそ、なじみのない言語をーー! 言語学テキストのほとんどは、最もなじみのある言語を中心に作られている。しかし、既存の枠組みを取っ払って考えるという言語学の基本を実践するのに、なじみのない言語こそ格好の素材である。日本語や英語とは違ったことばの世界があることを知り、なじみのある言語を見つめ直すことにもつながる。筆者の研究対象であるガーナの言語を主に取り上げ言語のしくみを紐解いていく、一味違った言語学入門書。
はじめに
第1章 言語の多様性と危機言語ーアフリカで話されるのは「アフリカ語」?
1.1 世界にはいくつの言語があるのか
1.2 話者数による分布
1.3 話者数の多い言語
1.4 地域による分布
1.5 言語数の多い国家
1.6 危機言語
第2章 言語の系統と類型ー対象言語を俯瞰的にみる
2.1 系統的分類
2.2 類型的分類
2.3 基本語順
2.4 母音
2.5 譲渡可能性
コラム1 アカン語のあいさつ
第3章 音声学ー言語音をつかまえる
3.1 音声学とは
3.2 発音のしくみと音声器官
3.3 国際音声字母
3.4 子音
3.5 母音
3.6 超分節音
第4章 音韻論ー音のしくみ
4.1 音韻論とは
4.2 音素の設定
4.3 音節とモーラ
4.4 さまざまな音韻現象
4.4.1 同化
4.4.2 中和
4.4.3 母音調和
4.4.4 声調
4.4.5 アクセント
コラム2 アカン語の名前
第5章 形態論ー語のしくみ
5.1 形態素
5.2 語形変化
5.3 語形成
5.3.1 派生
5.3.2 重複
5.3.3 複合
5.4 異形態
5.5 語とは
第6章 統語論ー文のしくみ
6.1 文法とは
6.2 語順
6.3 格標示
6.4 一致
6.5 動詞連続構文
6.6 主題化
コラム3 アカン語のことわざ
第7章 言語をフィールドワークする
7.1 未調査言語の調査
7.2 フィールドワークによる言語調査
7.3 対象言語を決める
7.4 インフォーマントを決める
7.5 基礎語彙調査
7.6 文法調査
7.7 基礎調査の先へ
第8章 言語の変種ー言語内の多様性
8.1 言語変種
8.2 言語と地域差
8.3 言語と階級差
8.4 言語と性差
8.5 言語と年齢差
8.6 言語と場面、状況
8.7 言語意識と変種
コラム4 アフリカと「文字」
第9章 言語の変化ー言語の通時的多様性
9.1 言語は変化する
9.2 音の変化
9.3 語彙の変化
9.4 文法の変化
9.5 文法化
第10章 一つの言語とは何か
10.1 ガーナの言語状況
10.2 言語学的にみた「アカン語」
10.3 「アカン語」という言語名称
10.4 アカン語の標準化、書記化
10.5 メディアにおけるアカン語
10.6 おわりに
コラム5 シンボル・模様が伝えるメッセージ
索引
荷物運びを手伝ってもらいたいとしたら、どのような頼み方をするだろうか。おつりが間違っていることを注意するときはどうだろう。本書は、そうした言語行動の地域差を全国1000地点規模の調査によって明らかにする。目的別に分類されたさまざまな言語行動のデータを分析することで、この分野の方言学の基盤づくりをしようというのが本書のねらいである。
執筆者:井上文子、尾崎喜光、櫛引祐希子、熊谷智子、小林隆、佐藤亜実、椎名渉子、篠崎晃一、武田晃子、津田智史、中西太郎、松田美香
まえがき
I 概説編
言語行動の全国調査
小林 隆
2 分析編
依頼・受託の言語行動
ー配慮性と主観性の観点からー
小林 隆
買い物場面における言語行動の地域差
ーレジでの声かけ・少額の会計への高額紙幣支払いー
篠崎晃一
はがきを買うときの言語行動 -頼む・礼を言うー
井上文子
「申し出る」と「受け入れる」 -恩恵表現と機能的要素から見る分布の特徴ー
松田美香
勧めの言語表現にみる地域差
竹田晃子
おつりが足りないとき、何と言うか -近畿の言語行動についての仮説ー
熊谷智子
不利益を被る場面における非難の言語行動の地域差 -東北と近畿に注目してー
椎名渉子
相手に寄り添う言語態度 -のど自慢をめぐる言語行動の地域差を追うー
津田智史
喜び・落胆の地域傾向
佐藤亜実
連絡を伝える言語行動の地域差 -話し手と聞き手の関係性に注目してー
櫛引祐希子
忘れ物を注意する場面における言語行動と言語表現
尾崎喜光
新年のあいさつ・不祝儀のあいさつの定型性
中西太郎
3 総合編
言語行動の地理的傾向 -本書のまとめとしてー
小林 隆
索引
執筆者紹介