恋人ショーンに誘われて出席した瀟洒な屋敷でのパーティでスカイはチェイスと出会った。グリーンの不敵な目にとらえられたとたん、電流に似た衝撃がスカイの体を駆け抜け、鼓動は乱れた。豹のような肢体を持つ、セクシーなその屋敷の主は巨大リゾート会社、モンタナ・グループの創始者の一人だった。だが、会話を始めてわかったのは、彼が冷酷な実業家だということ。スカイは腹を立てショーンを捜したが、姿が見当たらない。広大な農場に囲まれた屋敷から帰る手だても見つからないままスカイは一室でうっかり眠り込んでしまった。目覚めると夜中の三時。しかたなく階下へ下りていった彼女をチェイスが待ち受けていた。獲物に狙いを定めた獣のように、残忍な笑みを浮かべて…。
ラーメン・たこやき・お好み焼きなどの庶民派B級グルメの発祥裏話や伝説の料理人etc腹の虫が思わず鳴るおいしい雑学満載。紹介店リスト付きの便利本。
イザベルは満たされぬ思いを胸に夜明け前の海岸を走っていた。すばらしい家があり、仕事も順調だったが、彼女はむなしかった。彼女のいちばんの望みは、子供を育てること。なのに三十歳になった今も、子供には恵まれていない。子供など望んでいなかったはずの妹も母親となった。未婚の母とはいえ、とても幸せそうだ。そのとき優しい波のざわめきにまじって赤ん坊の声が聞こえた。どうかしている。きっと猫の声に違いない。次の瞬間、イザベルは呆然として動けなくなった。それは新聞紙の上に置かれた赤ん坊だったのだ。イザベルは無我夢中で赤ん坊を抱えると、通りを走っていた車を止めた。「病院に連れていって。生まれたばかりの赤ん坊がいるの」車を運転していたクレイグは仰天した。「赤ん坊を産んだばかりでこんなところを走り回っていたのか」。
メイクアップ・アーティストのアビゲイルは、事故で顔面を負傷した大女優シアドーラの依頼を受け、雪に包まれたリゾート施設、パインホロウ・ロッジにやってきた。いまは誰からも気づかれることはないが、アビゲイルは顔に生まれつきの痣があり、傷や痣をカバーするメイクを知って人生が変わった経験を持っている。事故以来、決して人前に出ようとしないシアドーラのために力になりたい一心で出かけてきたのだ。だがロッジのオーナーであるブレイディは彼女に対してひどくとげとげしい態度をとる。わたしがここにいるのは、ぶっきらぼうな男と対決するためじゃない。無視することよーそう思うのだが、彼女は、ブレイディの黒い髭と情熱を秘めたグリーンの瞳に、セクシーで危険な魅力を感じずにはいられなかった。
パトリックは自分の運命を呪った。目の前には、六年前の嵐の日に亡くしたはずの恋人キャスリンがいる。彼女の乗った移民を満載した船はニューヨークを前に沈没し、いくら探しても遺体すら見つからなかつたのに…。彼はその後、海運会社への復讐を誓い、それを支えに生きてきた。それなのに今、自らの幸せをあきらめた彼の前にキャスリンが立っていた。キャスリンもまた自分の運命を呪っていた。やっと巡り会えたパトリックには美しい妻とかわいい娘までいた。生きていてよかったと思えるのは、今となっては夢のなかだけ。そこでは亡くした子供とパトリックと三人で幸福に暮らしている。でも彼女にはその夢が、ただの夢とはどうしても思えなかった…。
ワイルドローズ荘ーかつてライアンと新婚の休暇を過ごした別荘だ。あれから十五年。再び訪れることになろうとは、思いもしなかった。ジョージア州シー・アイランド。ジョアンナは海辺の島に建つ別荘の玄関に立っていた。この別荘には、別れた夫が一年あまり前からひとりで住んでいる。どこかほかに行くところがあるのでは…。そう思ってもみた。でもジョアンナはそんなところはどこにもなかった。ライアンならわたしと息子を救ってくれるかもしれない。ジョアンナは今、命の危険を感じるような恐怖の影におびえていた。彼女ばかりではない。息子のダニエルさえ危険にさらされている…。ライアンははたしてわたしの話を信じてくれるだろうか。ジョアンナは玄関の呼び鈴を鳴らし、彼が出てくるのを待った。予知夢や透視力など、不思議な力を代々受け継ぐオコナー家の人々の物語。今回はオコナー家の夏の別荘ワイルドローズ荘が舞台。ライアン・オコナーは夢の力で元の妻を救えるか。そしてライアンも予知できなかった新事実とは…。
“あんな人、生徒虐待の罪で、牢屋に入れられるべきよ。”ベン・キンケイドは娘の言葉を思い起こし、首をひねった。不良娘、ティナが通う高校のカウンセラー、キーリー・アダムズは、どう考えても娘の言っているような人物には思えなかった。一方キーリーも彼を前に、これがティナの言う父親とは信じられなかった。ティナの話によれば、彼は大酒のみで、地下室に娘を閉じこめ、鞭打ちや食事抜きの罰を与える、恐ろしい男なのだ。二人は、話し合ううちに互いの誤解をとき、協力して、なんとかティナを立ち直らせることにした。けれど、キーリーの助言がきっかけで口論となり、気まずい別れとなった。翌日、キーリーにバラの大きな花篭が届いた。カードがそえられている。“僕を許してください…もっと助言が欲しいので電話をください、ベン”キーリーはとまどいながらも、とても幸せな気分になった。