西シベリア平原では、日・イスラム枢軸国軍と米・露連合軍の凄絶な戦闘が繰り広げられ、日本製ハイテク兵器の前に、ロシア軍は壊滅状態にあった。核兵器は2005年に全面撤廃されていたため、核による反撃はできない。いまや崩壊へと驀進するロシアの最後の望みは、米国陸軍第7機動部隊だけだった。司令官のジョン・テイラー大佐は、日本軍基地への奇襲攻撃を企てる。ついにノボル・カバタ将軍率いる日本軍との直接戦闘が開始されるのだ…。
8月の暑い夜、イタリア内務警察のトロッティ警視は女性の惨殺死体発見の知らせに現場へ駆けつける。だが死体の身元を知って驚いた。彼女は昔、トロッティが憎からず思っていた女性だったのだ。管轄外だと署長に止められるが、彼は独自捜査に乗り出した。しかし、なかなか手掛りは得られない。一方、死体の第一発見者で被害者と同じアパートの住人ボアッティは、なにかとトロッティに接触してきて…。うだるような暑さのなか、人間味溢れた定年間近のベテラン警視が直面する迷路のような難事件を描く上質ミステリー。
食事はまずい。キャンプ場の指導員や、責任者のアンクル・アルもどこかおかしい。それでもビリーは、初めてのキャンプを楽しもうとした。ところが、キャンプに参加していた子どもたちが、つぎつぎと消えていく。
21世紀半ばのニューヨーク。ブロードウェイの高層ビルでシャロンという名の娼婦が射殺され、女性警部補イヴが捜査の指揮を命じられた。シャロンは著名な上院議員の孫娘で、凶器は前世紀の拳銃、現場に残された紙片には“六の一”と書かれていた。イヴは、そのビルのオーナーである謎めいた大富豪ロークを容疑者と見なす一方、心ならずも彼に惹かれていく。だが、やがてふたたび娼婦殺害事件が発生、現場には“六の二”と記された紙が…。ノーラ・ロバーツが別名義で贈る話題のロマンティック・サスペンス第1弾。
「秘密結社途中下車の会」-毎日のように通勤電車の中で便意をもよおしていた英彦は、ひょんな事から同じように悩む人々が集う会に入会することになった。やがてその会は思わぬ様相を見せ始める…。「悪夢のカルテ」-開業医を営む達昌に、ある日悪夢を見ないようにして欲しいと訴える美女がやってきた。悪夢の原因探しの果てに、彼を待ち受けていたのは意外な事実だった。大都会の中で誰しもが感じているストレスと、心の病いをテーマに、非日常へと続く扉を開けてしまった二人の男の物語。
燃え盛る炎。煙が立ち込めて息もできない。「助けて!」入院中のニコラは、そんな恐ろしい夢に毎晩うなされていた。ある晩、家が突然炎に包まれ、たった一人の家族である父親は間一髪のところで娘を助け出し、自らは命を落としてしまったのだ。すべてのものが焼き尽くされ、ニコラは何もかも失った。あの火事の原因が、父の放火だなんて…。心に深い傷を負った彼女を心配して、父親の友人でもある医師が長い間音信不通だった彼女の叔母を捜し出してくれた。ところが病室に現れたのは、叔母の代理だという男性だった。「僕と一緒にアメリカへ行くんだ。義母は君を引き取りたがっている」贅沢な身なり、冷たく端整な顔立ち、そびえるような長身。ニコラは一瞬にして悟った。私はこの人から逃れられない。
化け物に追いかけまわされる僕と、カルト集団と行動を共にすることになった名探偵。二人が巻き起こす謎が謎を呼ぶ物語。
賞金ランキング98位。ジリ貧生活を送る女子プロゴルファー、リー・オフステッドに信じられないことが起きていた。放つショットは全て理想的な弾道を描き、ツアー初優勝も見えてきた!と、その時。コース内で倒れていた男を助けようとしたばかりに初優勝は夢と消え、続いて発生した毒殺事件に巻き込まれ…。試合の陰で、一体何が起きているの?ゴルフ中継の裏事情も垣間見える、好評シリーズ第2弾。
少年トム・マーロウが暮らすロンドンでは、奇妙なうわさが飛びかっていた。あちこちの街角で“白い騎士”が出没し、指をさすだけで相手を呪い殺してしまうというのだ。はたして、騎士の正体とは?周辺に怪しい人物がつぎつぎに現れ、ある疑いを抱くようになるトムだが…。18世紀初期の大都市ロンドンを活写した、スリリングな冒険ミステリー。
ぼくはトム。七番目の息子の七番目の息子だ。ギリシアでのつらい戦いを終え、チペンデンの家での静かな暮らしにもどったのもつかのま、預かってもらっていた三頭の犬を引きとりにいっているあいだに、家は焼かれ、師匠の大切な蔵書も灰になってしまっていた。敵の兵士たちがついにチペンデンにやってきたのだ。それだけじゃない、拘束していた骨魔女のボニー・リジーが逃げてしまった。師匠とアリスとぼくは、敵兵の手を逃れようと、アイリッシュ海にうかぶ島、モナ島を目指した。だが、モナ島でぼくらを待っていたのは、最悪の悪夢だった。家も蔵書も失った魔使い。帰る場所を失ったトムたちを待ちうけるのは。
20世紀の半ば、アメリカの近代主義から生まれた新しいデザインの流れ「ミッドセンチュリー」。レイ・イームズ、ル・コルビジェ、柳宗理らによる建築・家具・デザインをこよなく愛する青年樋山大成(ひやま・ひろなり)は、美しく、魅力に満ちた、自分だけの理想の部屋に暮らしていた。ところが壁をはさんだ隣りの部屋から鉄パイプが壁を突き破って侵入。その穴から大量のゴキブリがはい出し、お気に入りの家具はメチャクチャに! 怒った大成は文句を言いに隣りのチャイムを押すが、現れたのは絶世の美女・雪乃(ゆきの)。美部屋と汚部屋、美女と凡人、いまでこぼこなふたりの新生活が始まる……! 注目の新鋭・安住だいちによるラブコメディー第1巻!
記号よりも図像。観念よりも表現。写生よりも図解ー。西洋では、神と人の関係の合わせ鏡として猿が捉えられ、猿は<悪魔><堕落した人間>のイコンとなっていた。なまめかしく「ポーズ」をとり、「人間の顔を持つ獣」として図像化された猿たちは、人々に悪夢を送り続ける。