最先端の知見をも含めた認知言語学の多種多様な基礎概念を、正確に且つわかりやすく読者に伝達するとともに、「認知日本語学講座」第2巻から第7巻で展開される「認知言語学的観点からの日本語分析」への橋渡しを行う。
認知言語学の研究領域で議論されてきた英語の現象を中心に、その基礎概念を丁寧に紹介する。シリーズの各巻への橋渡しとなる一冊。
■「まえがき」より
本書は,全7巻で構成される「認知日本語学講座」の第1巻であり,そのタイトルは『認知言語学の基礎』となっている。「認知日本語学講座」の企画意図としては,本書冒頭の「刊行にあたって」で説明されるように,「認知言語学の方法論と研究法を,主に日本語の具体的な分析に適用した研究書のシリーズ」であるという点に凝縮される。しかしながら,これを行っていくためには,認知言語学の研究領域においてこれまでに提起されてきた諸々の基礎概念を正確に理解した上でなければ,この種の適用はそもそも難しいものと一般に考えられる。したがって,「認知日本語学講座」の第1巻が果たすべき役割としては,最先端の知見をも含めた認知言語学の多種多様な基礎概念を,正確に且つわかりやすく読者に伝達するとともに,第2巻から第7巻で展開される「認知言語学的観点からの日本語分析」への橋渡しをすることにあると言える。この意味において,本書では,認知言語学の現状をできる限り正確に伝える目的で,認知言語学の研究領域で議論されてきた英語の現象を中心にして,認知言語学の基礎概念を紹介していく。
本書の目的は既存の通説を打破して、新しい上田万年像を打ち立てることである。上田万年は称賛するにせよ、批判するにせよ、西洋言語学を日本に導入した人という評価は変わらない。その評価はどこまで正しいのか。そこが本書の出発点である。新村出筆録・柴田武校訂(1975) 『シリーズ名講義ノート・上田万年 言語学』をネット上にある上田が参照したと思われる原書文献と照らし合わせ、上田の西洋言語学理解を検証する。
怪我をした教授に代わり、魔界でモンスターとの言語的&非言語的コミュニケーションの調査を任されたハカバ君。ガイドのススキと共に魔界を旅をする、新人研究者の苦悩と日常を描いたモンスター研究コメディ!
音韻単位の小さなものから大きなものへと音韻現象や諸課題を紹介し,その底流にある抽象的な原理や制約を考察。〔内容〕音の体系と分類/音節とモーラ/日本語のアクセントと英語の強勢/形態構造と音韻論/句レベルの音韻論/最適性理論
1.音の体系と分類(新谷敬人)
2.音節とモーラ(川越いつえ)
3.日本語のアクセントと英語の強勢(吉田優子・三間英樹)
4.形態構造と音韻論(西原哲雄・菅原真理子)
5.句レベルの音韻論(菅原真理子)
6.最適性理論(菅原真理子)
本書は、科学哲学の観点から、言語学における新たな言語理論の展開のメカニズムの諸相を明らかにしていく。特に、生成意味論を母体として出現した認知言語学の科学的探求の方法を、科学哲学のパラダイム変換の観点から考察する。また、認知言語学の研究が、言葉の探求だけでなく、修辞学、哲学、認知心理学、脳科学、等の関連分野の研究にどのような重要な知見を提供するかを考察していく。言葉と知のメカニズムの研究への新たな指針となる一冊。
まえがき
第1章 序
第2章 科学哲学からみた言語理論
1. 言語研究と科学哲学的視点
2. 言語研究における方法論
3. 言語研究の科学観とパラダイム
4. 理論言語学の批判的検討
5. 言語研究の理論負荷性と検証・反証の問題
6. 理論言語学における検証と反証可能性の問題点
7. 科学としての言語学の理想と現実
8. 理論言語学の科学性と妥当性の問題点
9. 言語研究の展望
第3章 理論言語学における意味研究の歴史と展望
1. 言語学における意味研究
2. 理論言語学における意味論ー歴史的展望
3. 自然論理と生成意味論
4. 生成意味論から認知言語学への展開
5. 認知言語学の意味研究ーー認知意味論への展開
6. 認知意味論と認知言語学の文法観
7. 意味研究の科学哲学的検討
8. 言語学のパラダイムと意味研究の(非)生産性
9. 認知意味論のパースペクティヴ
10. 意味研究の展望
第4章 認知言語学の出現の背景ー生成意味論のレガシー
1. 認知言語学の歴史的背景
2. 認知言語学の母体ー生成意味論
3. 生成意味論の研究拠点
4. 認知言語学と言語研究の新展開
5. 認知言語学の最近の動向
6. 言語学と大学の研究体制
7. 理論言語学の批判的展望
第5章 認知言語学の哲学的背景と隣接科学との関連性
1. 認知言語学の哲学的背景
2. 認知言語学と言語過程説の言語観
3. 認知言語学と現象学の関連性
4. パースペクティヴ性とメルロ=ポンティの身体論
5. 認知言語学のパラダイムと西田哲学
6. 認知言語学と科学革命のメカニズム
7. 理論言語学のパラダイム変換と言語理論の包括性
8. 環境世界とアフォーダンスの視点
9. 「環世界(Umwelt)」と生物の知覚世界
10. 共通感覚と身体性からみた学問研究
11. 認知言語学と現象学の科学批判
第6章 言語科学の新たな展望
1. 言語研究の開放性と閉鎖性
2. 認知言語学と知の探求の開放性
3. 認知言語学の関連領域への適用性
4. 科学における収斂的証拠と実証性
5. 経験科学としての言語科学の展望
参考文献(言語学と関連分野)
参考文献(生成意味論)
索引
本書は、福岡認知言語学会の設立20周年を記念した論文集であり、認知言語学の観点からの18編の論文を収録している。英語、日本語、中国語の構文や表現を理論的に分析したものから、歴史的研究やコーパスを利用した研究、さらに、認知言語学を英語教育に応用した研究まで、幅広い分野をカバーしており、認知言語学研究の広がりを示す一冊となっている。
はしがき
コーパスに基づく中国語の NP1+V+R+NP2 構文の認知言語学的分析
-"唱紅"を一例としてー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・秋山 淳 1
2つの目的語の関係
ー障壁モデルにもとづく二重目的語構文の分析ー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・植田正暢 18
中国語の<主観性>の再考察
ー使役表出文を例としてー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・王 安 35
Big time 再考
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・大橋 浩 51
コ・ソ・アの用法
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・川瀬義清 68
英語直接話法における引用句と動詞の類像性
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・木山直毅 83
指示詞は何を表すか
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・古賀恵介 99
Indirectness of to-Infinitives and Passivization
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・Shotaro Sasaki 116
英語進行形構文の意志用法と命令用法
ーその文法化および対話の響鳴関係についてー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・清水啓子 133
五文型再考
ー認知言語学の視点からー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 長 加奈子 152
Reanalyzaing Japanese Sentence-Final Particles Yo and Ne:
In Light of Verhagen's Theory of Intersubjectivity
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ Chiharu Nakashima 167
Way 構文における「様態」の際立ちをめぐって
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・中村英江 184
結果構文における複合述語形成とその内部構造
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 迫 由紀子 198
近現代英文法に見られる「状態」概念
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・樋口万里子 216
動作主性と動作性による心理動詞受動文のグラデーション
ー認知言語学の視点に基づいたコーパス調査よりー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・冬野美晴 235
際立ちと領域が読解プロセスに与える影響
ー日本人英語学習者の事例研究からー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・細川博文 250
英語の受益二重目的語構文と2つのインタラクション
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 南 佑亮 267
日英語の自他動詞志向と受身文
ー2つの Natural Path の観点からー
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・村尾治彦 283
執筆者一覧・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 299
「ことば」との素晴らしい出会い。ある本とのふとした出会いから言語学に引き込まれていった著者。彼をこれほどまでに魅了しつづけてきたものは何か…。際限のない言葉の宇宙を見据え、1つまた1つと新星を見つけ出した時の興奮を伝える。
研究の進展が著しい認知言語学とその関連領域の用語を、原則1ページで分かりやすく解説。改訂にあたっては、その後の研究成果を踏まえて、旧版の記述を見直し、用語も大幅に追加。「認知言語学を学ぶ人のための基本文献案内」を新たに付録として掲載。学生・研究者必携の事典。
ことばへの権利とはなにか
ことばや障害が原因となって社会的に排除される現象や、社会言語学として提示されているさまざまな記述を再検証し、さらに問題として認知すらされていない、ことばやコミュニケーションにかかわる諸問題を発見し、少数者/情報弱者にひらかれた新しい言語観を提示する。
本書は、中国の中に、日本語のような言語を話す民族がかなりおり、その言語を観察しながら、日本語・日本人が通って来たかもしれない道を探っていきます。モンゴル語、満州語、シベ語、延辺語、ウイグル語、ウズベク語、カザフ語、チベット語、土家語、ナシ語、プイ語、しまいには、北米のナバホ語にも触れます。読み終えた後、ご友人やご家族に、物知り顔で話していただければ、さいわいです。「ねえねえ、こんなの知ってる?」
1章 日本語・中国語・英語 日本語・中国語・英語の違いは、助詞・語順・一致。
2章 中国少数民族とその言語 日本語のそっくりさん、そんなに?
3章 ウルドゥ語 インド・ヨーロッパ語なのに、日本語の風情。
4章 ベンガル語 インド・ヨーロッパ語なのに、日本語の情緒。
5章 モンゴル語 ほぼ日本語。
6章 満州語 ほぼ日本語。
7章 シベ語 ほぼ日本語。
8章 延辺語 ほぼ日本語。
9章 ウイグル語 かなり日本語。
10章 ウズベク語 まあまあ日本語。
11章 カザフ語 まあまあ日本語。
12章 チベット語 かなり日本語。
13章 土家語 かなり日本語。
14章 ナシ語 まあまあ日本語。
15章 プイ語 ちょっと日本語。
16章 ナバホ語 日本語の古語か!
17章 中国語 語順のわけ。
18章 おわりに 日本語が通って来たかもしれない道。
研究者に焦点を絞った認知言語学の概説書。著者お得意のメタファー論はもとより、メトニミー、カテゴリー論、イメージ・スキーマ論、多義論、フレーム意味論、構文文法、虚構移動、力動理論、移動の類型論、捉え方、ベースとプロファイル、認知文法、スキーマとプロトタイプ、メンタルスペース、融合理論と盛りだくさんの内容になっている。取り上げる著者は、レイコフ&ジョンソン、フィルモア、ラネカーら7人。
第1章 プロローグ ゴキブリを美女に変身させる
第2章 従来の意味観と認知言語学
第3章 従来の統語観と認知言語学
第4章 認知言語学の歴史(1) ジョージ・レイコフとマーク・ジョンソン
第5章 認知言語学の歴史(2) チャールズ・フィルモア
第6章 認知言語学の歴史(3) レン・タルミー
第7章 認知言語学の歴史(4) ロン・ラネカー
第8章 認知言語学の歴史(5) ジル・フォコニエ
第9章 認知言語学の歴史(6) アデル・ゴールドバーグ
第10章 認知言語学の理論間のリンク
第11章 認知言語学の理論間のスキーマ
第12章 エピローグ 新しい冒険者のために
新型コロナウイルス感染拡大により、私たちの「ことば」はどのように変化したのか。アフター・コロナ時代の新しいコミュニケーションのかたちとはーー。F・クルマスほか、現状とこれからを見すえる諸論考。また、小特集「世界の日本語教師に聞く」では、世界各地の日本語教育現場におけるパンデミック下の課題と展望を報告する。
■巻頭コラム:「開会式にみるオリンピックとことば」藤井久美子
■特集:パンデミックの社会言語学
[序論]「パンデミックの社会言語学ーー現在の課題とこれからの展望」パトリック・ハインリッヒ 山下仁
[ドキュメント]「孤独感、助けを差し伸べる手、〈真実〉」フロリアン・クルマス(訳:柳田亮吾)
[論文]「コロナ禍のタンザニアの「異端」化を読み解く」沓掛沙弥香
[課題研究]「クライシスコミュニケーションからみるコロナ初動期の政治家記者会見の特徴ーー国・地方政府の首長に焦点をあてて」石原凌河 村田和代
[研究ノート]「中華人民共和国における新型コロナウイルス感染症対策の応急言語サービスについて」小田格
[事例報告]「コロナ禍を「観る」--東京メトロにおける行動変容を呼びかける啓発ポスターを対象として」杉浦黎
[事例報告]「コロナ禍のオンライン国際協働学習ーー複言語・マルチモーダルなリソースを用いてつながる経験がもたらすもの」村田晶子
[事例報告]「ディスレクシア(読字障害)の生徒に、英語の対面授業を続けて」成田あゆみ
[あとがき]「パンデミックと〈ことば〉--触媒か断絶か」佐野直子
■小特集:世界の日本語教師に聞くーーパンデミック後の言語教育のために
佐藤慎司/西田翔子/アルン・シャム/フィリア/ハナーン・ ラフィーク・モハマッド/尾辻恵美/福井なぎさ/中根育子/キャロル・ヘイズ/井口祐子/永見昌紀/ウォーカー泉/松永稔也/沓掛沙弥香/原口望友紀/松山里美/ハリナ・ザヴィショヴァー/毋育新/杉田優子/布尾勝一郎/荻野雅由/大原由美子/リーッカ・ランシサルミ/藤原団/ウー ワイ シェン/トゥ トゥ ヌェ エー/ヴォロビョヴァ・ラリーサ
■書評
Florian Coulmas, An Introduction to Multilingualism: Language in a Changing World[評者]平野恵実
小林隆(編)『感性の方言学』、『コミュニケーションの方言学』[評者]椎名渉子
Patrick Heinrich and Yumiko Ohara (eds.) Routledge Handbook of Japanese Sociolinguistics[評者]岩崎典子
■連載報告 多言語社会ニッポン
アイヌ語 :「an=kor itak ani an=kor puri an=eisoytak〔私たちのことばで私たちの文化を語る〕」深澤美香 naakay(中井貴規)
琉球弧の言語:「物事を見えるようにするどぅなんむぬいーー与那国民謡の記録保存と翻訳」ジュリア・ヴァルセッキ
移民の言語:「セーフティーネットとしての言語」
その1「大阪ミナミ コロナ禍が浮き彫りにする「ことばの壁」」原めぐみ
その2「聞き取り活動による社会・文化的仲介ーーカトリック・コミュニティのベトナム人技能実習生支援から」巣内尚子
手話:「手話の法制化は聾者の言語権を保障するのか〈前編〉」金澤貴之
■近刊短評