不特定多数の読者を想定する「出版訳」。それは学校で親しんだ「講読訳」とは根本的に異なる。したがって、いくら「講読訳」に習熟しても「出版訳」にはほとんど役立たない。この衝撃的でありながらも、じつはよく囁かれる事実をまえに、長年教壇に立つ外国文学研究者として処方箋を伝授。翻訳談義めかした韜晦とは無縁の具体的な技術論。翻訳の美徳と快楽は自虐的なまでの無私の徹底。その域に至るために必要な方法と技術とは何か。
SVO言語のなか、唯一と言われるほど珍しく、名詞の修飾語がその前に来ている中国語の話。
理論言語学と英文法学習、英語教授法の橋渡しを試みた一冊。英米語の文法的な違いに始まり、欧米の英文法書と日本の学校英語文法との違い、5文型に関する議論や意味順の紹介、時制、相(語彙的相、視点相)、法の他、名詞句の解釈、代名詞類、比較、否定繰り上げ、否定極性項目などを解説する。英語のからくりについてもう一歩理解を深めたい、理論言語学を勉強してみたい人への招待状である。
第1章 基本的な概念に関して
1.1. アメリカ英語とイギリス英語の違い
1.2. 冠詞と名詞
1.3. 定形性
1.4. 文って何?
1.5. 文法の整理法
第2章 文型に関して
2.1. 5文型ってダメですか?
2.2. 文型がわかれば意味がわかるか?
2.3. 補部と付加部という考え方
2.4. 自動詞と他動詞、2種類の自動詞
2.5. 他動詞に目的語がない時、自動詞に目的語がある時
2.6. SVC文型:措定文と指定文
2.7. SVOC文型
2.8. 理論言語学で扱われているSVOC文型
2.9. 「意味順」
第3章 定形性に関して
3.1. 節
3.2. tough構文とwh移動
3.3. 繰り上げ構文とコントロール構文
第4章 時制・相・法に関して
4.1. 動詞の形が変わる要因
4.2. 相
4.3. 完了相
4.4. 相についてもっと詳しく
4.5. 結果状態に関する日英比較
第5章 意味に関して
5.1. 裸複数名詞の解釈と量化
5.2. 定性
5.3. 代名詞・再帰代名詞・否定極性項目
5.4. 否定極性項目についてもっと詳しく
5.5. 否定繰り上げ
5.6. 比較構文
5.7. 尺度推意
認知言語学とは、ことばを通じてこころのはたらきを理解しようとする研究である。本書では、「カテゴリー化」「メタファー」「構文知識」といった認知言語学の主要な概念を体系的に説明し、さらにこの分野を文化人類学、発達心理学のような隣接領域との関わりからも広く展望する。分析例には日本後、英語とともに数多くの言語を取り上げ、ことばの普遍的特徴からのアプローチを試みる。認知言語学の基本的な考え方や分析方法を学ぶ人のためにテキスト。
サベツ語と呼ばれる現象をきっかけにして、ことばというものの本質と原理をするどく追究。誰もが生きやすい社会を構築するための、言語学入門!
わたしたちは言葉や行動をどうやって学んできたのか? ゆらぐアイデンティティを言語で確立するには? 変えたい行動はどうすれば変わるのか?--言葉は感情・行動・思考に大きな影響を与えていて、言葉がなければ感じることも考えることもむずかしい。にもかかわらず、言葉はまるで空気のように生活に浸透していて、言葉を定義するのはもっとむずかしい。
行動分析学、機能的文脈主義、関係フレーム理論、そしてACT(アクセプタンス&コミットメント・セラピー)が、この難問に答えを与えてくれる。ありふれた日々の出来事、カウンセリング現場、そして働くことを題材に、謎がいっぱいの「言語」と「行動」をまなぶ。
公認心理師発展科目「学習・言語心理学」準拠、「言語」と「行動」をまなぶ心理学入門講義!
第1章 言語と行動の機能分析
ACT Matrixを使った行動のセルフマネジメント
第2章 関係フレーム理論
スキナーの言語行動の定義
関係フレーム理論
言語的自己概念
文脈的行動科学
関係反応を測定する(IRAPとFAST)
第3章 アクセプタンス&コミットメント・セラピーと関係フレーム理論
アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)
関係フレーム理論とACT
第4章 ACTを用いた心理療法と心理教育プログラム
抑うつとACT
不安とACT
ACTを用いた心理教育プログラム(ACT Training)
第5章 ACTと働くということ
働くことの機能
キャリア教育
エントリーシートを活用する
言語とは、思想とは、学問とは…。ことばと社会の中で格闘する異端の言語学者が、縦横にその自己形成の軌跡を語り、日本の言語学の戦後を問いなおし、現代の知的状況を照射する。
ことばへの権利とはなにか
ことばや障害が原因となって社会的に排除される現象や、社会言語学として提示されているさまざまな記述を再検証し、さらに問題として認知すらされていない、ことばやコミュニケーションにかかわる諸問題を発見し、少数者/情報弱者にひらかれた新しい言語観を提示する。
言語と言語学を愛してやまなかった著者による珠玉の精選エッセイ集。ラーメンの命名論からスラブの文字までことばの面白さと奥深さを語る、目からウロコの17篇に書き下ろし1篇収録。
荷物運びを手伝ってもらいたいとしたら、どのような頼み方をするだろうか。おつりが間違っていることを注意するときはどうだろう。本書は、そうした言語行動の地域差を全国1000地点規模の調査によって明らかにする。目的別に分類されたさまざまな言語行動のデータを分析することで、この分野の方言学の基盤づくりをしようというのが本書のねらいである。
執筆者:井上文子、尾崎喜光、櫛引祐希子、熊谷智子、小林隆、佐藤亜実、椎名渉子、篠崎晃一、武田晃子、津田智史、中西太郎、松田美香
まえがき
I 概説編
言語行動の全国調査
小林 隆
2 分析編
依頼・受託の言語行動
ー配慮性と主観性の観点からー
小林 隆
買い物場面における言語行動の地域差
ーレジでの声かけ・少額の会計への高額紙幣支払いー
篠崎晃一
はがきを買うときの言語行動 -頼む・礼を言うー
井上文子
「申し出る」と「受け入れる」 -恩恵表現と機能的要素から見る分布の特徴ー
松田美香
勧めの言語表現にみる地域差
竹田晃子
おつりが足りないとき、何と言うか -近畿の言語行動についての仮説ー
熊谷智子
不利益を被る場面における非難の言語行動の地域差 -東北と近畿に注目してー
椎名渉子
相手に寄り添う言語態度 -のど自慢をめぐる言語行動の地域差を追うー
津田智史
喜び・落胆の地域傾向
佐藤亜実
連絡を伝える言語行動の地域差 -話し手と聞き手の関係性に注目してー
櫛引祐希子
忘れ物を注意する場面における言語行動と言語表現
尾崎喜光
新年のあいさつ・不祝儀のあいさつの定型性
中西太郎
3 総合編
言語行動の地理的傾向 -本書のまとめとしてー
小林 隆
索引
執筆者紹介
多くの面で対照的な英語と日本語の文法・意味・語彙・形態・表現法など言語構造の違いを、〈点(個)〉と〈線(つながり)〉という観点から整理しなおす。著者の過去50年近くの研究の集大成となる1冊。各章末尾に練習問題を附属。
■「はしがき」より
(前略)本書では筆者が過去50年近くにわたって続けてきた研究を〈点〉と〈線〉という観点から整理し直しました。データ面では以前の発表論文を再利用したところが多いのですが,〈点〉と〈線〉という切り口による全体像の整理と解明はまったく新しい着想です。この考えは,個人という〈点〉を重視する英語社会と,人と人とのつながりという〈線〉を尊重する日本語社会の特徴を浮き彫りにするだけでなく,多くの面で対照的な英語と日本語の文法・意味・語彙・形態・表現法など言語構造の違いを際立たせるのにもピッタリの概念です。
内容は専門的ですが,言語学と隣接分野を橋渡しする入門書として役立つように工夫をこらしました。各章の末尾には練習問題も付けています。
1専門的な研究から言語学初心者への橋渡し[特殊な用語を避ける]
2日本語研究と英語学・言語学との橋渡し[日本語を世界諸言語の中で捉える]
3海外の研究と国内の研究の橋渡し [国際的な文献を多く引用]
4昭和・平成の研究から令和以降の研究への橋渡し[過去の主要な成果の取りまとめ]
5言語の研究から文化の研究への橋渡し[少しだが言語文化にも触れる]
本書が橋渡しとなって様々な分野が将来的に連携し,言語と人間社会を包括した研究へとつながることを願っています。
言語学の広い分野を統合整理し、近年急速に研究が進んだ新しい概念も取り込んだ、初学者から研究者まで使える辞典。総項目総数約330、引きやすく読みやすい紙面レイアウト、便利な「目次索引」「英日対照表」付き。言語学に親しみ、学ぶための格好の書。
本巻は、「言語のインターフェイス・分野別シリーズ」第1巻『統語論と言語学諸分野とのインターフェイス』である。言語の構造構築を担う理論研究分野である統語論と、音韻論、形態論、意味論、文の運用、情報構造とのインターフェイス(各研究分野間の相互作用) を、 理論の歴史的展開から最新の発展や成果も含め、豊富なデータを駆使しながら初学者にも分かりやすく解説することを念頭に置いて書かれた研究書兼概説書である。
第1章 統語論と音韻論のインターフェイス
土橋善仁
1. はじめに
2. 韻律階層と厳密階層仮説
3. 統語構造と韻律領域
4. 統語ー音韻写像研究の理論的進展
5. おわりに
第2章 統語論と形態論のインターフェイス
岸本秀樹
1. 統語論と形態論
2. 単文の構造
3. 多重主格構文
4. 名詞編入:軽動詞構文
5. 埋め込み構造:複合動詞構文
6. まとめ
第3章 統語論と意味論のインターフェイス
毛利史生
1. 形式意味論
2. 名詞句のインターフェイス
3. 動詞句のインターフェイス研究
4. 形容詞と程度
第4章 統語論と言語運用のインターフェイス
中谷健太郎
1. はじめに
2. 統語論で説明できない文法現象
3. ガーデンパス理論:最少付加と遅い閉鎖
4. 統語解析への意味論や語用論の影響
5. 作業記憶と文処理
6. 予測処理と統語解析
7. まとめ
第5章 カートグラフィーと情報構造のインターフェイス
中村浩一郎
1. はじめに
2. カートグラフィー(The cartography of syntactic structure)
3. Information Structure,IS
4. おわりに:カートグラフィーとIS とのインターフェイス