けがれを祓い、家族や生業の守りを願うヒトガタ、形代から人形に「息」をかよわせる巧みな人形遣いまで列島の歴史をつらぬいて多彩に伝承される人形戯の数々。
エカチェリーナもナポレオンもそして現代のコンピュータ技術者も摩詞不思議な8の公式に導かれ…。歴史はめぐる大奇想小説。
上へ下へ勢いよく飛び跳ねる魚。絵柄と背景が反転、魚へ変身する鳥。湧くように噴き出し、四方八方へ成長していくチョウの大群…。制作ノートや下絵、関係者の“証言”をもとに、その独自の画風が形成された経過を徹底追跡。美術と数学が華麗に結ばれた例がここにある。
将軍指南役である又右衛門宗矩をして「柳生の血筋にも二人とは出ぬ麒麟児、剣の鬼神」と舌を巻かせた兵介の剣技はますます冴えたが、兵介を倒さんとする武芸者も次々と兵介の前に立ちはだかった。山賊の首領根岸矢柄からも執拗な襲撃を受けるが、伊賀忍者で兵介の妻ともいうべき千世の助勢で矢柄を倒し、廻国修業の旅が続く。
京都・桃山城近くのマンションで二十三歳の独身OLの毒殺死体が見つかった。続いて嵯峨野の祇王寺横の竹林の中で、やはり若い女性の絞殺死体が発見された。二十四歳の人妻だった。ダブル殺人に結びつくのは誰かー。表題作ほか、あっと驚くトリック満載の短篇六篇を収録。京都は今日も殺人がいっぱい。
叔父柳生宗矩の頼みで、兵介は大筒八挺を、肥前・平戸から京都へ輸送する任についた。途中、賊の襲撃をうけ、いったんは大筒を奪われたものの取り返し、無事任務を終えた。兵介は尾張徳川家の剣術指南役につき、名古屋に居をかまえる。父厳勝の死という悲事もあったが、千世との間に子も生まれ、兵介は充実した日々を送る。
紀州・若山(和歌山)で兵介は宮本武蔵と初めて対面し、その完璧な武芸者ぶりに感動した。武蔵は兵介の立ち会いで石川門太夫と剣をまじえ、門太夫のいさぎよさに感服し、命を取らず気絶させるだけで若山を去った。兵介は改めて武蔵に感じ入るのだった。京に入った兵介と千世は盗賊と闘うが、千世は首に矢をうけて倒れた。
突如、夕闇を切り裂いて疾って来た半弓の矢が、与力・秋本源蔵の頚すじへ突き立ったー。与力暗殺!長谷川平蔵が襲われ、下僕までも殺されている。あろうことか、平蔵の長男辰蔵、さらには娘の嫁ぎ先まで狙われているのだ。敵は何者か?生涯の怪事件に苦悩し、追詰められた平蔵の胸に去来するものは…。久々の傑作長篇。
日本を「国家なき民族」にしたのは誰だ。戦後の政治正史では語られなかった歴史の暗部を照射し、日本の進路を決定づけた「吉田ドクトリン」の功罪を問う。
兵庫助が尾張の太守・徳川義直の兵法指南となって、五年の歳月が流れた。徳川幕府の基礎も固まり、兵庫助は活人剣の道に励む日々であった。そして天和六年、兵庫助は徳川義直に新陰流正統第四世を允可相伝させた。四人の子に恵まれ、隠居の身を楽しんでいたが、最愛の妻千世が倒れ、帰らぬ人となった。兵庫助は悲嘆にくれる。
マフィアの組織内に潜入していた囮捜査官が三人、そろって首なし死体で見つかった。内通者がいるにちがいない。調査を任されたのは“悪いやつなら殺してしまえ”式のはみだし捜査官トッツィだが、この事件ばかりはちと慎重を要する。で、退職した元相棒ギボンズを呼び出すことにした。-異色のFBIコンビのハードボイルド。
1968年に東アフリカのウガンダ工科大学へ陶器の指導で赴任した著者は、同僚から「アフリカは中毒するよ」と言われた。その言葉通り、当時まだ日常広く使われていた土器に魅せられ、その後、中央部から西海岸へと調査を拡げ、土器の成形技法に多くのヴァラエティのあることを明らかにした。本書は、今や消えつつある伝統工芸の貴重な記録であると同時に、そこで生活する人々の姿を伝え、種々の儀礼を紹介する紀行文でもある。