ベッカー「新家庭経済学」における女性労働の分析とその後のフェミニスト経済学の発展を丹念に追い,さらに社会的ケアの理論的分析,福祉国家におけるワーク・ライフ・バランスや家族政策等ジェンダー政策の精査を行う。ジェンダー,ケアの経済学の本格的著作。
序 章 福祉国家・市場・家族のジェンダー分析
第1部 「家族の経済学」とジェンダー
第1章 「新家庭経済学」における家族
第2章 フェミニスト経済学の成立
第3章 フェミニスト経済学における家族分析
補論 産業革命期イギリスにおける家族と児童労働
第2部 社会的再生産とケア
第4章 家族政策の主流化と経済的シチズンシップ
第5章 労働のフレキシビリティとケア
第6章 社会的ケアとケアレジーム
第7章 ドイツにおける家族政策の「転換」と企業の対応
第3部 福祉国家の変容と家族政策の主流化
第8章 新たな福祉政治の登場
第9章 日本におけるワーク・ライフ・バランス政策
第10章 ワーク・ライフ・バランスの射程
ジェンダー平等の達成を求めてー。ジェンダー・バックラッシュの実態と本質を明らかにし、日本の女性政策や運動の限界を乗り越える道を探る。
ピエール・ブルデューの『ディスタンクシオン』の問題意識を共有しながら、社会調査や計量分析を基に、日本における文化的オムニボア(文化的雑食性)という特性を浮き彫りにする。そして、日本で文化の再生産が隠蔽されてきたメカニズムを解き明かす。
忙しく働くお母さん、育休をとるお父さん!? 校長先生も政治家も男の人ばかりなのはなぜ?
社会でも根強く残る思い込みや「らしさ」をマンガで紹介。
これからの社会を変えていくにはどうすればよいのか、考えます。
ジェンダーと深く結びついている音楽を「読む」ことで、私たちを抑圧するジェンダー規範を解きほぐしていく。
【特集】音楽とジェンダー
[音楽史とジェンダー]
・玉川裕子「ジェンダー視点からみる一九世紀のクラシック音楽史」
・西田彩ゾンビ「電子音楽と女性音楽家」
・梅野りんこ「カストラートと若衆:東西音楽史に見る曖昧な性の存在」
[音楽と表象]
・味岡京子「女性職業演奏家の不在:絵画に潜む『高潔・教養・愛』」
・斉藤綾子「フェミニスト・メロドラマとしての『ピアノ・レッスン』:音楽と触覚性が生み出す映像的身体と女性性」
[音楽とフェミニズム]
・吉岡洋美「私たちがやりたいようにやる。:日本のパンクロック黎明期の女性アーティストたち」
・つやちゃん「構造を解体するヒップホップ・フェミニズム:日本の女性ラッパー入門」
[ポピュラー音楽とジェンダー]
・花岡奈央、皆本夏樹、NEW「ジェンダー視点のK-POP対談」
・小林美香「『写真歌謡』目線のMV鑑賞:Jessiの『zoom』を中心に」
・和田靜香「『ミュージック・ライフ』を編んだ女性たち」
[音楽と生]
・栗田隆子「My soul music:魂と出会う音楽」
・ブブ・ド・ラ・マドレーヌ「女がドラァグクイーンであるということ:ブブ・ド・ラ・マドレーヌの今ではたぶんあまり知られていない活動」
・兼子裕代「わたしはなぜ歌う人たちを撮るのか?」
・山本志乃「瞽女の旅」
[音楽とインターセクショナリティ]
・浅沼優子「クラブ・カルチャーと脱周縁化」
[音楽界のジェンダーギャップ]
・野中モモ「2016年、夜がいちばん長い日に、ビョークからガールズに届いたエール」
・小倉羊「表現の現場における『痛み』から目を逸らさないために:クラシック音楽業界のジェンダーバランスを考える」
[資料]
・音楽とジェンダー ブックガイド
・アンケート フェミニストと音楽
【対談】
飯野由里子/清水晶子/ハン・トンヒョン/四竈佑介 聞き手:梁・永山聡子
「私たちは、なにを議論するべきなのか?:終わらない議論に「しおり」を挟むためのポリティカル・コレクトネス」
【連載】
・Renaître-女は生まれなおしている 〈No. 8 〉 インベカヲリ★
・パリのシモーヌたち 8 アトランさやか
・シスター、狂っているのか?7 高島 鈴
・ふみがわのフェミ短歌塾(第八回) 二三川 練
・SAW & LAW 往復書簡(第7回) 芋ポテト&万次郎
・ずるこのおんな食べ物帖8 江戸川ずるこ
・女同士で子育てしたら 小野 春
・書店からはじまるフェミニズム8 渡辺愛知[gururi]
・シモーヌ シネマレヴュー 錦織可南子
・シモーヌ ブックガイド
・羊毛でつくるフェミニスト
女性は違ったやり方で科学をするか?科学は公正中立か?教育の機会はジェンダー・フリーか?家事と育児は誰がするのか?数学にジェンダー・バイアスはかからないか?科学のフィールドから女性が排除される社会的・文化的背景を徹底的に洗いだし、ジェンダーの視点から新しい科学の可能性をさぐる。
もし夫の胸から「母乳」ならぬ「父乳」が出たら!?
PMS(月経前症候群)を体験できるサーフボードがあったら?
旧来的な性別役割をユーモラスにひっくり返す、想像力にあふれた小説集。
【著者略歴】
山崎ナオコーラ(やまざき・なおこーら)
1978年福岡県生まれ。2004年「人のセックスを笑うな」で第41回文藝賞を受賞し、作家としてデビュー。著書に『浮世でランチ』『ニキの屈辱』『昼田とハッコウ』『反人生』『美しい距離』『偽姉妹』『リボンの男』などがあり、近年はエッセイ集『母ではなくて、親になる』『ブスの自信の持ち方』なども話題に。
ジェンダーの視点で保育現場を観察すると、保育士の言葉や行動だけでなく、3、4歳児の保育園児の言動にもジェンダーにとらわれた場面を発見! 「ピンクは女の子が着るものなんだよ」「戦闘ごっこは女はやらないの」…。そんなことを言う子ども達。文科省委嘱事業「0才からのジェンダー教育推進事業」に参画した保育士・幼稚園教諭・子育て支援スタッフ・行政職員らは、どのようにジェンダーを理解し、自分のものとしていったのか、ジェンダーの視点をどう活かしていったのか。市民と地域の大学研究者がネットワークした、山梨県の、男女共同参画社会づくりを支える市民活動が満載の実践記録。
恋愛は近代的な「自己」の実現のうえで、いかに意味づけられていったのか。恋愛という観念の男女による形成過程の違いを分析する。
明治期の「恋愛」という新たな観念の登場は、異なる歴史的・社会的文脈のもとにあった男女に、それぞれ何をもたらしたのか。恋愛をめぐる社会的な共通認識がつくられるプロセスをジェンダーの視点からたどり、恋愛という観念がいかに男性と女性にとって異なる意味をもつものとして形成されていったのか、資料を基に鮮やかに描き出す。
はしがき
序 章 問題視角──恋愛における「自己」とジェンダー
1.近代的「自己」への着目
2.男女の非対称性の形成過程の解明
3.男女という枠組みの形成過程の解明
4.本書の課題と構成
第一章 夫婦愛の成立──「自己」と「役割」の緊張関係
1.「自己」の誕生
2.夫婦愛の成立
3.夫婦愛のジェンダー構造
4.肉体性へのまなざし
第二章 反社会としての恋愛──男たちの「自己」の追求
1.北村透谷の恋愛論
2.明治三〇年代における展開
3.「男同士の恋」
第三章 恋愛の社会化──「自己」から「男らしさ」へ
1.青年たちの「自己」の追求への批判
2.「男」の価値化
3.生物学的恋愛観
4.その後の展開
第四章 「女同士の恋」──女たちの「自己」の追求
1.「自己」と「女」の出会い
2.女が「自己」を実現できる関係
3.小説の中の二つの「女同士の恋」
第五章 恋愛への囲い込み──「女」としての「自己」
1.社会の側の反応
2.性科学の台頭
3.応答としての恋愛論
4.大正期における恋愛結婚論の確立
第六章 残されたジレンマ──「自己」と「役割」の狭間で
1.女性知識人と恋愛
2.『主婦之友』における「愛される女」
3.批判されたハウツー言説
終 章 恋愛の脱構築に向けて
1.夫婦愛/恋愛を通して「自己」を解放するという理念の男性中心性
2.女性たちによる「自己」の希求と「女同士の恋」の結びつき
3.性別役割と結びついた恋愛を正統化する論理における男女の非対称性
4.「愛されること」の女性役割化
5.「自己」と性別役割の両立におけるセクシュアリティの役割
あとがき
参考文献
事項索引
人名索引
〈他者は「私」の影でしかないのでも、「私」が他者の影でしかないのでもない。他者はその人自身の影を持つ、もう一人の人間なのだ〉
フロイトのエディプス・コンプレックス論にも見られるとおり、草創期の精神分析では、男性を主体(=能動)とし、女性を客体(=受動)とする構図で理論が積み上げられた。しかし、時代とともに女性をとりまく環境と女性のあり方が変化し、フロイトの女性論は今日まで多くの対立を生んできた。
ベンジャミンはこうした精神分析の男性中心主義の乗り越えに、女性固有の優位点を謳い上げ、女性の権利を振りかざすことはない。問題の根源は、精神分析の「一人の人間がどのように環境や周囲の人間を利用し、うまく折り合いをつけ、最終的に自分の欲望を満たすか」という一者心理学的な基本姿勢にあるのである。
フロイトの女性論、そしてそれに向けられたフェミニズム思想の批判的言説を再検討し、対立を乗り越える共通の基盤を切り開く。精神分析における「ジェンダーの戦争」の終結への序章となる重要書。
謝辞
はじめに
第1章 身体から発話へ、精神分析の最初の跳躍ーーフロイト、フェミニズム、そして転移の変遷
第2章 「内容の不確かな構築物」--エディパルな相補性を超える、ジェンダーと主体
第3章 他者という主体の影ーー間主観性とフェミニズム理論
補論 精神分析と女性ーージェシカ・ベンジャミンの登場まで 北村婦美
解説 北村婦美
文献
索引
女性の生と性への縛りに抗し、果敢にたたかってきた近代のフェミニストたち。明治・大正から戦後までのジェンダーと家族・国家の歴史に分け入り、異性愛や血縁に拠らない新たな家族のつながり、社会との関係性を探る。女性天皇・男女共同参画をめぐるジェンダーバッシングにも正面からこたえる。
第一部 雇用におけるジェンダー平等の実態とその要因、今後の課題
序 章 人間らしい労働の実現に不可欠なジェンダー平等
第一章 ジェンダー差別とその要因、政府・財界の労働力政策
第二章 人間らしい労働とジェンダー平等実現への課題??国際労働基準と日本
第二部 雇用におけるジェンダー平等実現への運動と職場でのたたかい方
第一章 全労連女性部調査に見る女性労働者の実情と労働組合のとりくみ
第二章 ジェンダー平等の実現と労働組合
第三章 労働組合のジェンダー平等実現へのとりくみの推進(チェックリストつき)
「恋愛禁止」と異性愛規範、「卒業」制度に表れるエイジズムなど、アイドルというジャンルは演者に抑圧を強いる構造的な問題を抱え続けている。アイドルの可能性と問題性について、手放しの肯定でも粗雑な否定でもなく、「葛藤しながら考える」ための試論集。
2015 年、文部科学省が出した通知を契機に、「『性的マイノリティ』とされる児童生徒に対する相談体制等の充実」として「適切な生徒指導・人権教育等を推進すること」が求められるようになりました。けれど現場では「具体的に何から始めたらよいか」「ちょうどいい教材が見つからない」という悩みが続いていました。
本書では、マンガで様々な場面を想定することによって、子どもたちの発言を引き出しやすく工夫したワークシートを開発しました。コピーして授業にすぐに使えるうえ、授業づくりに役立つ「話し合いのポイント」と「解説」が付いています。道徳・特別活動(学級活動)・総合的な学習の時間で使える.
第二波フェミニズムから半世紀,岐路に立つジェンダー関係と向き合い,
暴力や権力を根源に迫って捉え直す理論の冒険・挑戦.
人文・社会科学の垣根を越えた9論考!