ジュディス・バトラーの『ジェンダー・トラブル』と、田中美津の「とり乱し」を架橋する、理論と実践の両面からの試み。
フェミニズムの歴史とは、「私たちとは誰なのか」を批判的に問うてきた歴史でもある。フェミニストとして語るあなたとは誰なのか。その語りはどんな場所からなされているのか。その語りからは誰が排除されているのか。「私たちが共にあること」はいかにして可能なのか。フェミニズムはもちろん一枚岩ではない。それでも、私にとってのフェミニズムとは、自己の、そして他者の〈トラブル〉に直面しながらその声に応答しようとしてきたフェミニズムである。
現代の女性が直面する日常生活の疑問や課題をフェミニストの視点から掘り下げる、現代版フェミニズム案内書。恋愛や仕事、テクノロジーやメディアの性差別など、幅広いテーマを取り上げ、ベル・フックスからボーヴォワールまで、さまざまなフェミニストの考えを解説。時代とともに変化するフェミニズムの姿を通じて、自分の立場と考え方を見つめなおすための一助となる一冊。
性の商品化、ミス・コンなど4つのテーマを選び、論争の活性化を促す。議論を尽し、思いを尽してフェミニズムを作る。
フェミニズムとしての女性史研究は、性差を構築し内面化させる「近代」そのものを問い直す実践である。それは「近代」というストーリーを補強する制度的な知としての「歴史学」への鋭い問いでもある。その視座と方法をめぐる提起と議論、実践としての地域女性史研究、聞き書き、近代がもたらした排除と分断のプロセスの分析を紹介。問いかける側のリアリティをも揺るがしつつ紡がれた成果である。
近代国家は「自律した個」を理想像とし、子育てや介護などケアする者を政治的に二流の存在とみなしてきた。男を公的領域、女を私的領域に振り分けるその力学を、フェミニズムは公私二元論として鋭く批判してきた。そして、公的領域で“男並み”になることがゴールではないことも指摘した。フェミニズムはその先どこへいくのか。
本書は母・家族・ケアという概念と格闘してきたフェミニズム理論の立場から、プラトンからロールズまで政治思想を貫く公私二元論を徹底的に検討する。そこで明らかになるのは、自律的主体が隠蔽するもの、すなわち、ひとは傷つき依存して生きるという事実だ。依存する存在は自律的主体の下位概念ではない。それこそが「人間の条件」であり、政治学の基礎単位なのだ。
「ヴァルネラブルな存在が世界の代表である」(H・アーレント)。国家暴力に傷つけられながら抵抗し、ケアにおいて他者との非暴力的な関係を実践してきた女の経験こそが、新たな政治の領野を切り拓く。女であることの絶えざる葛藤を理論に鍛え上げ、非暴力の社会を構想する、フェミニズム理論の到達点。
性的マイノリティやフェミニズムというテーマについて、近年かつてないほど急速に社会的な関心が高まりつつある。その一方で、ポスト構造主義フェミニズムの台頭によって、社会的な性別であるジェンダーのみならず、生物学的な事実としてのセックスもまた社会的構築物でしかないという見方が出現している。本書はこれらの見解を批判的に考察し、その問題点を明らかにすることよって、セックス/ジェンダーの概念的枠組みを刷新することを目指す。
序 章 はじめに
第1章 「セックスもまたジェンダーである」のか?
ーポスト構造主義フェミニズムにおけるジェンダー概念再考に向けて
1 はじめに
2 J・W・スコットによるジェンダーの再定義
3 L・ニコルソンによる「生物学的基礎づけ主義」批判
4 ポスト構造主義フェミニズムにおけるジェンダー概念の再評価
第2章「セックス」はフィクションか?
ーJ・バトラーとフランス唯物論フェミニズム
1 はじめに
2 「観念」としてのセックス
3 バトラーによるウィティッグ読解の問題
4 身体的差異の有徴化ーギヨマンの議論
5 バトラーとギヨマンの比較
6 おわりに
第3章 性別二元論批判を問いなおす
ー性別二元論批判は何を見落としてきたのか
1 はじめに
2 Kessler & McKennaによる性別二元論批判
3 性別二元論批判の骨子
4 セックスの連続性とジェンダーの二元性を対置することの陥穽
5 セックスという分類は恣意的か?
6 性別二元論批判が見落としてきたもの
7 性別二元論の何が問題なのか
8 おわりに
第4章 「社会的につくられた性差」とは何の謂いか
ーセックス/ジェンダーの区分を擁護する
1 はじめに
2 性差と性役割
3 性差をめぐる似非科学主義
4 「知」としてのジェンダー
5 「生物学的ではない性差」
6 社会通念が生み出す現実5
7 おわりに
第5章 バトラーはボーヴォワールをいかに誤読したか
ー「規範としてのジェンダー」と「自由としてのジェンダー」
1 はじめに
2 バトラーによるボーヴォワール解釈
3 「なる」と「つくられる」
4 女性の「生成」をめぐって
5 ジェンダーからの自由/ジェンダーへの自由
6 規範としてのジェンダー/自由としてのジェンダー
7 ジェンダーというタームにおける語義の反転
8 おわりに
第6章 「ジェンダーの複数化」か、「ジェンダーのない社会」か
ーJ・バトラーとフランス唯物論フェミニズム
1 はじめに
2 文化による解釈/個人による解釈
3 バトラーにおける二種類の規範
4 「つねにすでに」の帰結
5 ウィティッグをあえて誤読するバトラー
6 性別二元論が問題なのか
7 デルフィとバトラー
8 おわりに
終 章 ジェンダー/セクシュアリティ研究の枠組みを再構築する
初出一覧
あとがき
参考文献
索引(人名/事項)
フェミニズムとは性差別にもとづく搾取や抑圧の構造を問い、その変革を目指す思想のはずである。だが、いわゆる「第一世界」のフェミニズムは、「帝国」による植民地支配に起源する植民地主義を見落としたまま主張されてきた。植民地主義と性差別という複合的な抑圧のもとにある朝鮮女性たちが、真の人間性を求めて辿った苦闘の軌跡を描きながら、開かれたフェミニズムの可能性を問う。
これは現代に待ち望まれた小説である。男と女の問題が、かつてないスケールで考察されている。真摯に愛を探究するすべての人のためにこの物語は書かれた悪夢と幻想の女性優位社会。
同一性や平等の原理を超える〈差異〉の新しい地平をめざし,女性運動の現場とフェミニズムの現在を架橋する。
南紀産浜高級リゾートホテル。夜ごとのディナーとお酒落な会話。サロン的零囲気に包まれた完全二重密室で連続殺人事件が!犯人は誰?
20世紀最大の冒険と言われるフェミニズム思想をより豊かにするための挑戦の書。
20世紀最後の冒険=フェミニズムは、来たる21世紀の社会にも大きなインパクトを与えるだろう。東大で行なわれた一般教育ゼミナールを再構成した,新しい視点からの,型破りのフェミニズム入門。
中国革命は女と子ども、家族の問題をどのように変えたか。家父長制=社会主義を撃ち、中国の未来を展望するフェミニズムの洞察。
女性問題に関わる用語や概念の混乱を正すためシステム論を適用した初めての試み。フェミニズムは、また新しい武器を手にした。
日本の女性解放運動史上類稀な理論家であり、戦前・戦後を通して働く女性のために闘ってきた山川菊栄。当時、交流のあった関係者の証言と各分野の専門家の分析・解析からなる「山川菊栄の人と思想」を知る一冊。