入会研究の第一人者が、入会裁判を科学的に明らかにした。内容は、富士山麓・山中湖村山中での数次にわたって生起した入会紛争を主導して解決した高村不二義氏の訴訟『日誌』で、これに鑑定書・訴状・証人調書・判決等を加えて、評釈と解説を付したものである。
フランス革命からウィーン会議、そして三月革命にいたる政治的時代に、ヘーゲルが論じた哲学とは。一法学者によるヘーゲル研究の軌跡。
戦後、短期間に国際競争力を獲得した日本重工業。その競争力の形成過程を生産体制、管理方式の展開に焦点をあて、鉄鋼業と造船業の職場の歴史を描く。
“越境”する人びとの社会経済史ー日本近代史の中で、「出移民」の属性・背景・目的・経緯や政策、それを推進した地域社会や団体組織、出ていった人びとの本国・郷里との関係を、出稼ぎ労働型、旧中間層再生・飛躍型、「企業家」志向型というタイプに区分して検討。
厳しい飲酒規制がしかれる町の一角で、祖先から受け継がれた物語をキャンバスに描きながら、当たり前のように酒を飲んでいるアボリジニの人びと。彼らは「人種差別」と批判されるような国家の強圧的な介入に対して、抵抗するわけでもなく、従うわけでもなく、狩りの知識とスキルを活かして平然とそれをかわし、楽しそうに酒を飲み続けていた。「危機」に直面しているといわれているアボリジニ社会の、この「危機らしからぬ」現状を、私たちはどう理解することができるのだろうか。
民主政の遺産の今日的意義と責任体系の新形態。民主政の長途は、紀元前5世紀の古代アテネの市民集会を起点として、中世イタリアの都市国家と18世紀のフランス啓蒙期や19世紀のヨーロッパとアメリカの「代議政治の時代」を経て20世紀の自由民主政の時代に至る。この旅から民主政とは、民主的生活とは、また民主政は、今やどのような意味をもつべきなのかを提言。
本書では、伝統工芸としての焼き物について、それぞれ性格を異にする10産地を取り上げ、産業としてのあり方を明らかにする一方、担い手としての自営業主(窯元、作家、その他)の生活や行動特性、意識の諸相について掘り下げた検討を行なった。
中国の政治協商体制において中心的な役割を果たしている代表的アクターとしての労働組合(=工会)を媒介にしつつ、この政治協商体制をとりまく政治構造の全体像を国家と社会との関係論としてはじめて描き出す。
グローバル・ツーリズムが当該社会におよぼす影響を人びとの生活が具体的にとりおこなわれる地域社会次元で、しかもそうした影響の位相をポストコロニアル/ポスト開発体制下でとらえる。
サッカーが日本と韓国で近代的な身体形成の大衆的媒体として成立し、ナショナル/ローカルのレベルでどのように表象されてきたかを両国でのフィールドワークを通して明らかにする。
都市社会の基底に存立する町・街の社会構造と、そこで生を営んだ人々のソシアビリティのありかたをめぐる歴史的様相についての探索と比較の試み。
再生産領域における女性の移動に関する最新理論をふまえつつ、改革・開放以降の中国フェミニズムと都市家庭の家政サービス(家事代行)を担う農村女性たちとの連関を描く。
近代化と独立をめざす植民地期朝鮮において、近代文学の曙を告げた長篇小説『無情』をはじめとする代表作品を周到に分析し、李光洙文学の特質を剔抉する、わが国初の体系的研究集成。