コミュニケーションを重視し,社会への一歩を踏み出すとともに,悩み,傷つき,抑えられない衝動に駆られるのはなぜか? 10?20歳頃の心・からだ・脳の成長とその背景に,人文社会科学・脳科学・医学,そして体験者の語りから多面的に光を当て,本格的な総合人間科学としての思春期学の確立を目指す.
序 総合人間科学としての思春期学(笠井清登)
コラム1 現代の「フツーの子」の思春期(岩宮恵子)
I 進化学からのまなざし
1 思春期はなぜあるのかーー人類進化学からの視点(長谷川眞理子)
コラム2:少年犯罪(長谷川眞理子)
II 発達科学からのまなざし
2 思春期発達の基盤としてのアタッチメント(遠藤利彦)
3 思春期のアイデンティティ形成(西平 直)
4 思春期の発達教育心理学(平石賢二)
5 思春期の発達疫学(安藤俊太郎・西田淳志)
コラム3:英国の双生児出生コホート研究ーー「生涯発達の時間軸」と「遺伝・環境の相互作用」(滝沢 龍)
6 思春期のホルモン変化(西谷正太・藤川慎也)
7 思春期の心と体の発達(平岩幹男)
コラム4:双生児研究と思春期(安藤寿康)
III 脳科学からのまなざし
8 脳の思春期発達(小池進介)
9 言語・コミュニケーションの思春期発達(橋本龍一郎・酒井 弘・荻原裕子)
10 思春期における自我の確立とその脳基盤(福田正人)
11 社会性の神経基盤(藤井直敬)
12 報酬系の神経基盤(村尾託朗・村井俊哉・高橋泰城)
13 思春期と発声学習ーー鳥とヒトにみる脳機能の類似点(岡ノ谷一夫)
コラム5:エピゲノム研究(西岡将基・金田 渉・音羽健司・滝沢 龍・岩本和也)
IV 精神病理学からのまなざし
14 統合失調症(笠井清登)
15 気分障害(垣耕企/岡本泰昌)
16 発達障害(金生由紀子)
17 摂食障害(田中 聡)
18 依存症(鶴身孝介/村井俊哉)
コラム6:思春期のメンタルヘルスリテラシー(小塩靖崇・佐々木司)
V 体験・現実を乗り越えて
19 回復とは何かーー40年かけて「収まりがついた」私が思うこと(夏苅郁子)
20 病の受け入れに対する一般市民の潜在能力と可能性(石井綾華)
21 「困ったときに人は助け合う」行動の科学ーー私はケアラーだったのだ!(堀江紀一)
コラム7:思春期についての精神分析的理解(笠井さつき)
VI 学問分野の融合による思春期学の発展
22 青年心理学との融合(溝上慎一)
23 思春期学と社会医学(川上憲人)
コラム8:実験社会科学(亀田達也)
監修者あとがき(長谷川寿一)
人名索引/事項索引
●思春期を支える際の基本姿勢を平易に示す
●本書は、臨床家向けの体裁をとってはいるものの、実はより広い領域の方にも読んでいただきたいという思いで書いた本である。本来は治療対象となるような思春期患者が実際に臨床現場に現れることは決して多くない。教育現場だけで対処されていることも一般的だし、警察や司法などの場で対応されていることも少なくない。どのような領域で患者と接する場合であっても、その基本姿勢は「思春期という『役割の変化』」の意味をふまえたものであってほしい。思春期に現れる特徴・症状やその対処法については、臨床家だけが知っているのでは全く不十分であり、臨床家はもちろんのこと、それ以外の領域の方にもできるだけ知っていただきたい。その際の原点となるのが、本書のタイトルにある「思春期の意味」である。思春期の意味をよく理解すれば、どのような介入が適切で、どのような介入が不適切であるかを判断することができるだろう。「思春期の意味」を踏まえた介入は、目覚ましい効果をもたらすのである。(「あとがき」より抜粋)
●目次
はじめに
第1章 思春期の意味ーー「役割の変化」
思春期とはーー「役割の変化」の時期
「役割の変化」のハードルを高くするもの
慣れ親しんだソーシャルサポートと愛着の喪失
身近な人間関係の変化/思春期そのものに内在するソーシャルサポートの変化/親が病んでいる場合
/思春期を「役割の変化」として見ることの意義
怒りや怖れなど、役割の変化に伴う感情のコントロール
思春期において感情に注目することの重要性/罪悪感/怒り
新たなソーシャルスキルの必要性
自尊心の低下
第2章 親にとっての「役割の変化」としての思春期
衝撃として体験される「役割の変化」
衝撃が親にもたらすもの
「子ども」についての意識と「親としての自分」についての意識
親の不安に向き合う
親の「貪欲さ」も不安の表現型
家庭内病理の改善
第3章 思春期の意味をふまえた治療のあり方
「役割の変化」を支える
「限界を受け入れる」という「役割の変化」
「普通の人生でなくてもよい」
思春期における治療が担うべきこと/担うべきでないこと
過保護と放任のバランス
第4章 思春期凋淘療者に必要とされる姿勢
思春期治療に向いている治療者とは
患者のありのままを受け入れる
「信用できる人間」でいること
患者の代弁者であると同時に親の「役割の変化」も視野に入れること
「不愉快な」態度に適切に対応できること
感情を肯定すること
患者の「文脈」を常に尊重する
教育機関との連携のあり方
思春期には自悪を低下させる性質を持つ変化がたくさんあると認識していること
「若者言葉」は必要か
治療プロセスにおける治療者の役割の変化
第5章 医学モデルで「役割の変化」を乗り越える
思春期における診断の重要性
本人の文脈の中での診断の位置づけ
診断の受け入れ方を学ぶ
病気の治療と「育児哲学」
病気の治療と発達支援の両立ーー「医学モデル」の限定的適用
第6章 「役割の変化」のハードルを上げる親の問題
その家の「文化」を尊重するということ
思春期の悲哀
親の離婚の影響
病気を理解しようとしない親
親が発達障害などを持っている場合
親のパーソナリティ障害
「境界線」問題を抱えた親
第7章 いじめられ体験からの「役割の変化」
現代のいじめ
いじめや虐待を過小評価しない
「なぜいじめられたのか」に対する答え
治療の場でいじめを再現しない
第8章 間題行動のとらえ方
問題行動を「医学モデル」でとらえる
トラウマ患者の万引き
問題行動を起こすという「役割の変化」
共感と教育のバランス む
「病者の役割」を徹底して与える
問題行動に振り回される周囲への対応
第9章 思春期の光を信じる
問題行動は「ランプのかさ」
「光」をエネルギー源にして「ランプのかさ」の領域に取り組む
自らの「光」を開く
子どもの「光」を見るということ
文献/あとがき
本書はカナダダウン症協会がダウン症の若者と親、介助者のために出版したものです。障害を持つ若者が性についての正しい知識を持ち、自分を大切にするすべを学ぶことはとても大切です。心ない人による性的な被害を防ぐことにもつながるかもしれません。性がオープンに自由になった時代だからこそ、それに伴う規律と責任も当然自覚されなくてはなりません。この本はダウン症を持つ若者のために書かれてはいますが、自分を尊重し相手も尊重すること、人前で許されることとそうでないこと(パブリックとプライベートのけじめ)、セックスをするための条件と注意、妊娠と出産、セックスに伴う責任など、ダウン症を持つ若者だけでなく全ての若者に、また思春期のお子さんを持つ親御さんや学校の先生方にも読んでもらいたいものです。
1年前に彼女ができました。素直じゃないけどとても可愛い彼女でした。しかし、君は変わった。笑顔も消え、怒ってばかり。2人の間にもう愛なんて無い。だから俺は、君を捨てる──…。別れを切り出した俺に、彼女が突きつけて来た条件は、「新しい彼氏をつかまえてくること」!? ちょっぴりいびつ、だけど純粋な恋を描く著者初の読みきり集。
【収録作品】崩壊するテトラゴン/怪獣がやってくる/ピエロの鼻/孤独なトナカイ
長女の思春期卒業に伴い、ちょっと余裕が?いえいえ、まだ次女、三女がカタチを変えて挑んでくる。ぶつかり、かわし、受けとめる日々を50の漫画とエッセイで。
精神科臨床における5つの主要な分野である「発達障害」「児童・思春期」「てんかん」「睡眠障害」「認知症」について、エキスパートが外来診療の実際を披露。病いを得た患者に寄り添い、その生きづらさを支援する治療者としてのスピリットとノウハウを伝授。臨床知の詰まった珠玉の「エッセイ」や「心に残る症例」も収載。
『発達障害の子とハッピーに暮らすヒント』の2冊目。第1部では、前の本でも触れている「不登校」や「診断」についてより詳しく書きました。また思春期ならではのできごととしてバイク事故と高校中退について書きました。第2部では、わが家で子どものころからこんなことをしてきてよかったということを、エピソードを交えながらご紹介しています。
長女、祝・思春期卒業?そして次女、突入!三女、時間の問題…。子育てマンガ家、大いに悩む!むきあう、かわす、見守る…心にしみこむ15のエッセイ。
調理教育の第一人者が、40年にわたる基礎研究と教育・実践活動を経て開発した食育実践プログラム。
幼児・小学生・中学生・高校生・大学生と、対象をライフステージ別に分類。それぞれに「学習のねらい」を設定し、アンケート、テキスト、資料(教材)、学習指導案の実例を紹介。学習効果が非常に高い、料理選択型食教育の教材として「3・1・2弁当箱法」をわかりやすく解説。
子どもの心が理解できない…そう感じたことはありませんか?子どもの不安な心、子どもの成長の必要ー原点から子育てを問い直す。
写真、ビデオ、イラスト、マンガ、3DCG。
すべての映像メディアのクリエイターにおすすめ
写真家・青山裕企の代表作
『スクールガール・コンプレックス』を大解剖!
女の子の仕草やパーツを魅力的に見せる構図の考え方
やんちゃ坊主や高学年女子に向き合う!つながり方と居場所づくりの極意。高学年女子は付き合いづらいと決めつけるな!「つながりポイント」を徹底解説。投げかけた言葉と子どもの反応を再現したエピソードで具体的な指導の流れがわかる!力技だけじゃない!思春期の子どもとの「コミュニケーション&指導の極意」
自傷は、わが国においても医療機関のみならず教育機関でも広く見られる現象となっている。本書は、著者らが行った学校をフィールドとする調査から得られた実証的知見にもとづいて、若年者に対する自傷・自殺予防活動のあり方を論じたものである。第1部では青少年の自傷について、学校での調査結果や各国の統計的データからその特徴と定義わ詳細に概観する。実際に自傷におよんだ青少年の臨床的特徴を性差や年齢などさまざまな側面から比較して検討し、援助希求行動とストレス対処法についての論考を加える。第2部で学校や地域における自傷・自殺企図への介入・予防の方法について、各種の援助資源の紹介とともに述べ、心理療法、薬物療法による治療法の実際が語られる。また、セルフヘルプ、電話相談、インターネットの重要性にも触れ、そのデメリットもふまえた活用法が紹介される。巻末には学校関係者向けに作られたガイドラインなども付しており、より実践的に使えるよう工夫がされている。