「教育の目的は子ども自身の幸福」--牧口常三郎の教育理念を根底に、現代社会で「人間教育」をどう実現するか。6人の研究者が教育をテーマに多角的に論じる。
高等教育機関における質保証の考え方、取り組み方を、教育・研究上の倫理(学術的誠実性 academic integrity)の視点から解説。示唆に富む著名な元学長へのインタビュー3本も収録。
学校の図工・美術教育や幼児の表現活動、美術館などの社会教育、美大における美術家養成等、美術教育の場は多岐にわたる。その美術教育にかかわる問いについて検討しつつ、実際に美術制作に取り組む芸術家たちが、作品制作と探究的思考を往復する様を浮き彫りにする。「芸術的省察による研究 Arts-Based Research: ABR」に関する日本で初めての書。
はしがき[小松佳代子]
第1部 美術教育の理論的位相
第一章 美術教育の位置づけ[小松佳代子]
第1節 美術教育の正当化論
第2節 美学者による美術教育の位置づけ
第3節 教育哲学における美術の位置づけ
第二章 美術の学びの特殊性[小松佳代子]
第1節 発見的な学び
第2節 イメージによる学び
第3節 モノとの相互作用による学び
第三章 芸術的省察と美術教育[小松佳代子]
第1節 Arts-Based Researchの理論と実践
第2節 芸術的省察による質的知性の形成
第3節 美術教育の意義と課題
第1部 参考文献
第2部 制作者による芸術的省察
第四章 リアリズム絵画における知覚と思考[橋本大輔]
はじめに
第1節 知覚と思考の場としての絵画
第2節 記号としての絵画
第3節 リアリズム絵画における知覚と思考
おわりに
第五章 「まれびと」的視点と芸術的省察[三好風太]
第1節 視野狭窄
第2節 まれびと
第3節 表現者の視点
第六章 「贈与」としての美術・ABR[櫻井あすみ]
第1節 私的な記憶によるプロローグ
第2節 美術の「贈与性」
第3節 美術制作とABR
第七章 芸術における「隔たりの思考」[菊地匠]
はじめに
第1節 楽園としてのマティス芸術
第2節 「隔たりの思考」と「オフーモダン」
第3節 今日の「オフーモダン」的作品
おわりに
第八章 もののなかで夢をみる─芸術的知性による〈解放=救済〉[齋藤功美]
はじめに──非同一的な記述へのエクスキュース
第1節 芸術作品の〈もの〉の物質性
第2節 芸術作品の浮き彫り─文化産業とキッチュ
第3節 過剰なものとしての〈真正な芸術作品〉─ためらい、謎特性、多義性〈真正な芸術作品〉
第4節 制作と鑑賞の汽水域─批評による〈解放=救済〉
第5節 もののなかで夢をみる
おわりに──〈芸術的知性〉による省察
第九章 制作活動における美術の探求の流れと、探求型学習[栗田絵莉子]
はじめに
第1節 美術制作における探求の流れ
第2節 美術制作における探求
第3節 学校教育における探求型学習の実践
おわりに
あとがき
事項索引
人名索引
美術・音楽・演劇・舞踊…各芸術分野の教育を包括する観点から、芸術教育の
理念、内容、方法を探究する。
社会、教育、生活などに芸術の諸機能を働かせて、
それらの人間的な転換を求める広義の芸術教育の考え方に立ち、
美術教育、音楽教育、演劇教育、舞踊教育……各芸術分野の教育を包括する
多様な視点から芸術教育の課題を考えるポリフォニーとしての芸術教育論。
第I章 芸術教育の射程
1 学校教育におけるアートの可能性
2 芸術教育の視点を見直す
3 人間の文化的主体性の形成と芸術・芸術教育の役割
─障害児者の芸術文化活動に寄せて─
第II章 芸術教育の社会的展開
1 平和のための教育としての芸術教育の性格
2 地域社会における芸術文化活動の視点と展開
3 コロナ禍に向き合う芸術文化の取り組みと芸術教育の展望
第III章 学校改革と芸術教育
─「芸術の教育」から広義の「芸術による教育」へ─
1 学校改革運動としての芸術教育─学力向上論と芸術教育との関係に寄せて─
2 総合学習に芸術教育の視点を活かす
3 学校文化活動の性格と役割をめぐって
─「芸術の教育」か「生活指導」かを超えて─
4 学校における芸術教育の性格をめぐって
─山住正己の芸術教s育論の歴史的意義と課題─
第IV章 美術教育論の探求
1 子ども自身から生まれる真の表現の探求
2 発達論を基礎にした美術教育論の探求すべき課題
3 造形表現能力の発達の視点を軸にした美術教育論の探求
第V章 芸術教育論の基礎概念の再考
1 「表現」と「模倣」の原理に見られる芸術の真理性の根拠と性格
2 「共通感覚論」再考の視座─中村雄二郎『共通感覚論』を批判的に読む─
3 芸術教育学の「学」としての固有性と可能性
本書はアクション・リサーチ、つまり現場での研究を通して、現実場面での問題を実践的に解決しようとする研究法に基づく本である。アメリカ全国の現場の訪問を生かし、数十年にわたって何十もの場面で合計何十万もの児童・生徒や数千の教育者が参加して実施されたものをもとに、著者たちが執筆した。
吃音のメカニズムや発話症状面に対する指導・支援に関する解説はもとより、「とらえどころのない」といわれてきた発話症状以外の部分にも着目し、最新の知見を織り交ぜながら包括的に吃音を評価、指導・支援する方法について具体的に詳述する。他の障害との重複やクラッタリングのある子どもの評価や支援も紹介。
I 発話の流暢性とその障害
A 発話の流暢性とは
B 発達性吃音
C 吃音と言語発達との関係
D 他の問題を併せもつ吃音のある子ども
E クラッタリング
F 神経原性吃音
コラム1 吃音が生じにくくなる条件─言語学的要因を中心に
II 吃音のある子どもの評価
A 吃音のある子どもの評価とは
B ICF による包括的な吃音評価
C CALMS モデルによる包括的な吃音評価
D 吃音症状の評価
E 吃音に対する感情や態度の評価
F 吃音に関連するその他の側面の評価
III 吃音のある子どもの支援
A 指導について
B 環境調整
C 吃音症状への対応
D 吃音に対する感情や態度への対応
E 吃音に関連するその他の側面への対応
コラム2 合衆国における吃音のある子どもの評価と支援の実際
IV 吃音のある子どもの評価と支援の実際
A 発吃間もない子どもの評価と支援の実際
B 幼児の評価と支援の実際
C 小学生の子どもの評価と支援の実際
D 思春期以降の子どもの評価と支援の実際
E グループ指導の実際
F セルフヘルプグループによる支援
5 他の障害との重複やクラッタリングのある子どもの評価と支援の実際
A 構音障害を伴う子どもの評価と支援の実際
B 発達障害を伴う子どもの評価と支援の実際
C 知的障害を伴う子どもの評価と支援の実際
D クラッタリングのある子どもの評価と支援の実際
日本の大学進学率は50%を超え、高等教育の大衆化が進んでいる。18歳人口の減少で大学進学が容易になり、定員割れが進む大学では留学生で定員を補充するという場合もある。アジア諸国の経済発展により急増した留学生の中には、日本語能力が不足し、大学生活に支障をきたしている者も多い。大学大衆化と留学大衆化が同時に進行し、大学の教育環境や教育内容が変化する中で、留学生教育をどのように位置づけるべきかが大きな課題となっている。
本書では、多様な学生を受け入れている大学を「大衆化型大学」とよび、その日本語教育と留学生受け入れ態勢を改善することを目的に、前半では高等教育政策と留学生政策の問題点について、マクロレベル(教育政策決定者)・ミドルレベル(大学運営責任者)・ミクロレベル(教育実施者・学習者)の3段階からそれぞれのアクター(行為主体)の動向に注目して相互の影響について分析を行う。後半では、大衆化型大学で求められる日本語教育の可能性について、グローバルシティズンシップの育成をいう観点から教育方法を提案する。
第1章 本研究の目的と課題
第2章 大学大衆化と大学教育で求められる資質・能力に関する先行研究
第3章 本研究の方法とデータの概要
第4章 高等教育政策と留学生政策の変遷に関する調査
第5章 留学生教育に対する大学教員の意識調査
第6章 大学・留学大衆化時代の留学生政策の検証
第7章 日本語教育におけるグローバルシティズンシップ教育実践の試み
第8章 教養教育におけるグローバルシティズンシップ教育実践の試み
第9章 本研究の結論と今後の課題
子どもの発達段階に応じて心を育てる。頼み方断り方・協力・伝え方・自分理解・他者理解など、友達関係を築き豊かにする。
双極性障害の特徴や原因、薬物療法や早期発見のポイントなど、医療関係者が患者に伝えるべき内容とその方法を、実際の心理教育プログラムの流れに沿って具体的に紹介。治療場面においてマニュアルとして利用することができる。規則正しい食生活や睡眠を保つためのコツといった日常生活を送るうえでの注意点などにも触れており、患者自身や家族が読んでも役に立つ内容となっている。巻末には付録として「睡眠・覚醒リズム表」「活動記録表」を掲載、臨床現場でそのまま使用することができる。
ノルウェーの幼児教育におけるジェンダー平等、公平性、多様性の尊重に向けた理論と実践をテーマにした意欲的な研究書。豊富な現地調査をもとに、同国の保育政策、カリキュラム、保育者、保護者および子どもの公平性の観点から多角的に分析していく。
本書の構成は、性暴力の「理解」から始め、査定、治療教育について述べ、最後に治療事例を掲載する。臨床や教育の現場での実践に参考になるよう、できるだけ具体的でわかりやすい記載を心がけた。
TED史上最高の5600万再生!ノーベル平和賞受賞者マララ・ユスフザイ絶賛!
世界中が注目する教育・能力開発の第一人者による
「創造性を育てる教育の未来像」とは?
○「学校教育は創造性を殺す」。ならば、創造性を生み出す学校とは?
2006年、教育研究者ケン・ロビンソンはTEDトークで「学校教育は創造性を殺してしまっている」と題した講演を行った。その主張の中核は、「多くの生徒が非常に才能を持って生まれてくるのに、学校の中でそれが評価されず、むしろ抑圧さえされてしまうために、自分をダメだと思い込み、その才能を鈍らせてしまう」というものだった。この講演は大変な反響をよび、再生回数5600万、閲覧人数3億人超と、TED歴代でもっとも大きな影響が広がった。
「創造性を育み、子どもたちが能力を高める教育・学校はどのようなものなのか」? TEDトークで提起した問題に対して、ケン・ロビンソンは本書でその答えを述べている。それこそが、創造性を生み出す学校である。
○標準化をめざした「教育改革」の問題点
現在世界中で、「教育改革」が叫ばれ、実際に行われている。それは、生徒間の競争を励行し、学習基準や評価の数値化を推し進めることで、水準を上げようとするものだ。しかし、これは問題を解決するどころか、むしろ悪化させてしまう。数値化・標準化を指標として過度に推し進めることで、結果的に個性や想像力、創造性は抑圧されてしまうのが、今世界中で起こっている「教育改革」の停滞と失敗の姿である。
子どもたちは多くの才能と能力を持って生まれ、学校に通う。しかし、標準化・数値化の枠に当てはまらない才能は無視され、スポイルされてしまう。その結果、失われてしまう可能性は膨大になってしまう。
○世界最先端の教育から学ぶ、未来の教育の姿
世界中の多くの教師たちは、教育改革の命令と、想像力を奪いかねない教育の実情に苦しんでいる。しかしその中でも、現在の組織やシステムの枠を外れて、子どもたちの能力を高める教育を行っている学校や、教育者たちが数多く存在する。
画一主義に抗って子ども一人ひとりを見ていく学校、授業を通じて子どもたちが自ら学びはじめるような優れた教師、ICTを用いてインターネットを通じて子どもの学びを深める組織、家庭での学びを確かにするホームスクーリング……
今現在でも、子どもの想像性を生み出す多くの取り組みが存在している。本書で紹介する、そうした世界最先端の学校の姿から、変化し続ける社会で、自分らしく個性や才能を発揮できるための、未来の教育の姿を読み取って頂きたい。
何のためにことばを教える/学ぶのか。今、言語教育の大きな課題は、母語・第二言語・外国語を超えて自覚的に他者とかかわる「市民」としての社会的行為主体のあり方である。
「教師はどこまで生徒に寄り添えるのか」
著者は、初めて校長を務めた石巻市立雄勝中学校で、2011年3月、東日本大震災そして、津波にみまわれる。地域は壊滅し、学校も廃墟と化す。彼は「多くを失った生徒たちを笑顔にしたい」その一心で奔走する。生徒たちの、廃タイヤにビニールテープを巻いた「復興輪太鼓」による演奏は、東京駅公演、さらにはドイツ公演にまでつながっていく。その後、2019年4月、仙台市で18年ぶりの新設校となる錦ケ丘中学校初代校長として着任。コロナ禍の中、より豊かな学びを求めて新たな学校創りに挑んだ。
とてつもない逆境で、ひたすら子どもたちのために、学校教育の可能性に挑んだ校長の物語である。
発行:ワニ・プラス
発売:ワニブックス
なぜ1万人のアルバイト学生が「この会社で働きたい」と熱望するのか?
教育のプロが、部下のやる気を引きだす「共創」の関係性をつくる手順、
アウトプットの方法を公開!
これであなたの職場の悩みが解決します!
「部下が働かない」「自ら動かない」、だから「業績も上がらない」。
多くの中間管理職がこうした悩みを抱えている。働き方改革、多様性をいかに受け入れるかが問われている時代に、職場のリーダーたちの悩みは尽きない。
そんななか、著者が経営する東京個別指導学院は7期連続で増収増益を果たし、顧客満足度で6年連続1位を獲得している。それを支えるのが、多種多様な個性をもった1万人以上のアルバイト講師だ。講師の85%が大学生で、彼らが主体的に働き、自己成長することで、成長が連鎖する仕組みを築いている。
その根本にあるのが「共創のリーダーシップ」だと著者は説く。
教育のプロとして人財育成を生業にしてきた著者が、周囲のメンバーたちといかに「共創」の関係を育んでいるのか。日々、実践するリーダーシップの考え方とメソッドを公開する。
自分も成長し、部下を成長させ、成長する組織づくりのヒントになる一冊。
第1章 大学生アルバイト1万人が主体的に動くリーダーシップ
第2章 成長する組織をつくる「心通う関係性」から始まるサイクル
第3章 共創と成長をもたらすリーダーは「教えない」で「気づき」に導く
第4章 より高い成果を目指すリーダーはゴールから逆算して強みを活かす
第5章 共創と成長をもたらすリーダーのエンパワーメント
第6章 共創と成長をもたらすリーダーのアウトプットは「デリバリー」
第7章 「デリバリー」の力を上げる11のポイント
第8章 リーダーとしてのアウトプットを磨いて、自分らしく成長する
●著者について
齋藤勝己(さいとうかつき)
株式会社東京個別指導学院 代表取締役社長
1964年5月生まれ、中央大学経済学部卒。小中高生を対象とする個別指導塾を直営で252教室展開。東証一部上場。経済同友会会員、日本ホスピタリティ推進協会理事。トレードマークは満面の笑顔と腹の底から出る大きな声。曾祖父は落語家の初代三遊亭圓歌
教育実践に対して、教育社会学はどのような貢献ができるのか。子どもや教師のかかえる困難を理解し支援する立場に立ち、これまでの学問の在り方を問い直しつつ、その可能性を探究する。
本書の概要
Voicy FES‘24で多くの人が涙した感動のエピソードがついに書籍化。
さらに、語り切れなかったエピソードも追加収録。
乙武洋匡氏と渡辺道治氏が教師時代に大切にしてきたこと。
そこに、「足りなさ」を愛するまなざしと、満たすことよりも大切なことが見えてくる。
明日、子どもたちの見え方が変わります。
本書からわかること
・「足りなさ」を愛するまなざし
足りていないことは本当によくないことなのでしょうか。
欠けていることは、本当に価値をもたないことなのでしょうか。
むしろ、「足りなさ」の中にこそ素晴らしい価値が山ほど存在します。
Voicyで多くの人が涙した、「足りなさ」が生んだ感動のエピソードを収録。
・満たすことより、大切なこと
子どもが抱える「足りなさ」だけではなく、教師や学校が持つ「足りなさ」を浮き彫りにし、どのように向き合っていくべきかを語り合います。心の奥底にどのような信念を置いておくべきか。
二人の教育観の重なりが、「なぜ私は教師になったのか」を何度も問いかけます。
・「足りなさ」をテーマにした授業
渡辺道治先生が実際に行った授業を再現。収録時にも涙があふれた珠玉の授業を収録。
こんな方におすすめ
・明るい教師人生を歩んでいる先生
・子どもとの向き合い方に悩んでいる先生
・教育観を磨き上げたい先生
第1章 子どもの「足りなさ」
足りなさがつなぐもの
足りなさを力に変える
第 2 章 教師の「足りなさ」
足りないからこそ考える
足りなさを超えていく
足りなさを恐れない
足りなさと向き合う
足りなさを補い合う
第 3 章 学校の「足りなさ」
足りなさで広がる世界
足りなさを埋め合う
足りなさを学ぶ
足りなさの必要性
足りなさの中にあるもの
足りなさを愛する教育
第 4 章「足りなさ」が生む新たな可能性
足りなさは可能性の扉
足りなさを埋める言葉の力
終章「足りなさ」の授業