戦慄のVIDEO TAPE。それをみると必ずアイデアが湧く。不可思議なビデオに取り憑かれた作家が堕ちた恐怖の十三夜とは…。
ブラジル奥地の街スエラで夏休みを過ごしていた18歳の毬男は、元ヤクザの水田耕介からとてつもない仕事をもちかけられた。砂金盗掘団の飛行艇を爆破し、莫大な懸賞金を稼ごうというのだ。こうして奇妙な冒険行は開始され、やがて原住民が“夜、光る河”と呼ぶ黄金の地に2人は辿りついた。夜陰に乗じて奇襲をかける水田と毬男。手榴弾攻撃によって飛行艇は炎上し、すべては計画どおりに運んだかにみえたが、これが毬男にとって、忌わしい悪夢の始まりとなった…。長編冒険小説。
1966年。アメリカ人ウォルター・エンディコットがフィラデルフィアのホテルに滞在中、部屋に異変が生じた。いきなり照明が消え、ラジオの音がとぎれ、フロントへの電話もまるで通じない。しかたなく下へ降りてみるとホテルの様子ががらりと変わっていた。設備はみすぼらしく老朽化しており、自分の泊まっていたホテルとは似ても似つかぬものだった。外に出てみると、そこにはホテルに着いたときとまるで違った風景がひろがっていた。そもそも、ここはフィラデルフィアなのか?真相を追求すべく、エンディコットは街をさまよい歩くが…?
エンディコットの入りこんだのは、彼自身の世界とは様相の異なる並行世界だった。並行世界の存在を知ったエンディコットはこの世界のアメリカ政府に、上院議員の地位と引き換えにその情報を売った。ほかの並行世界に通じるポイントを次々と発見したアメリカ政府は、各世界の資源・情報を収集すべく、現地に秘密工作員を送りこんだ。のみならず大統領ロビンソンは、並行世界の存在を利用して世界を破滅に導きかねない恐ろしい計画をひそかに進行させていた…。多重世界をめぐる国際的陰謀を背景に新鋭が壮大なスケールで描く傑作SF長篇。
この小説は二つの大きな海難事故が土台になっている。1988年の東京湾浦賀水道で発生した『なだしお事件』と1976年の岩手県宮古市沖で発生した『第38いづみ丸』沈没事故である。生命がけで職務を全うする海上保安庁特救隊の指揮者がもし失態を演じたら…その部下が事故死したら…それに同情を装う人間との絡み…特救隊員の青春像と指揮官を取り巻く自由奔放に生きる海のGメンや上級幹部の立場と思惑などが点と線になって交錯する。
本書ではヨーロッパの近未来を単に経済レベルからではなく、ゴルバチョフの大戦略と東欧のフィンランド化、ドイツ統一によるNATOの解体やECの空洞化などを消去法で予知している。
夜の闇が忍び寄って来る。廃てられた大きな館に続く荒れた道を、冷たい夜風が吹き抜けて行った。館は人気もなく、すっかり荒れ、深い闇が中をおおっていた。闇の中を老婆がひとり、物悲しい子守り歌を静かに口ずさみながら歩いていく。今は亡き子供たちに、ずっと昔歌ってきかせた歌ー悲しく美しいJ・ハーバートの怪奇スリラーの傑作。
富と女を手中にして、殺人者の完全犯罪は着々進行する。そしてまた第二、第三の女と殺人が…。当局の追及を必死にかわす犯人の知恵と、微妙にからむ男女の性を、人間心理の深層でとらえるサスペンスミステリーの秀作。
昔も、ひたすらものを書いていた。今も、ひたすらものを書いている。大いなる夢を喰らいつづけ、幻想的宇宙的神秘のロマンに酔いしれる。獏裂するパワーに乾盃。スーパー伝奇小説の旗手、夢枕獏の最新エッセイ集。
推理文学の鬼と謳われる作家12人がミステリーのアイデアと文章テクニックの粋を凝らして織りあげた、珠玉の短編12編を収録。
惑星ホリスター。豊かな森に囲まれたハートランド正教会が襲撃された。グリーン大神父とサーニアの身を案じ、シェビーはホリスターへ急行した。だが、そには巧妙な罠が…。宇宙賊ガルダは、一族を滅亡に追いやったシュトロム中将に復讐を誓い、一方、艦隊司令アウグスタ大佐はシュトロムが奪い取ったガルダの一族の財産を狙っていた。それぞれの思いを呑み込んで、闘いの幕が上がる。ガルダの魂を天界に導くため、シェビーは運命の地、レジナ基地へ。最後の闘いに間に合うか、シェビー。-そして暗闇に銃声が響いた…。感動のシリーズ、ついに完結。
渋い二枚目俳優として知られる波崎裕一郎は、池袋のラブホテルにミユキという名のコールガールを呼んだ。大柄で豊かな乳房と尻を持つミユキは、波崎にとって理想的な“生贄”だった。波崎の衝動は爆発し、ついに殺意が…歓喜の極みに震えるミユキの首を一気に絞めかかった!陶酔の余韻の中で、復讐の儀式を終えた波崎だったが、彼の内に潜む悪魔は次なる“生贄”を求めて疼き出した。波崎は、絵画展で彼と同時入賞を果たした、中谷千佳子に静かに接近していった。波崎の中に蠢く少年時代の戦慄の記憶。波崎は誰に復讐しようとしているのか?謎と恐怖を孕んだ、著者会心の書下ろし長編サスペンス・ロマン衝撃作!