旅をして何を感じるか?あるいは人生の過去に何を想うか?一見、それは人それぞれに違っているように思える。しかし、ある時代、ある階層、ある国籍として括ってみると、「風景」を捉える言葉は、驚くほど似通っていることに気づく。旅行雑誌の紀行文、大人や子供の様々な作文に現れる、ジオ・ポリティック(社会的な後風景観)とジオ・ポエティック(個人的な原風景観)の微妙な作用を焙りだし、場所を捉える心の機微を解こうとする意欲作。
事例とワンポイント演習により実践力を強化。介護福祉士にとって大切なソーシャルワークを解りやすく解説。ソーシャルワークを理解することによりさらに介護福祉士の役割が見えてきます。
本書は、独自のデザイン六法といえるだろう。インスピレーションを得るもよし、漠然と眺めるもよし、研究に利用するもよし。範例集にも、アートディレクターのためのスタンダード本にもなり得る。無尽蔵のアイデアに満たされているので、自分自身で凝視させるトリックを発案できるかもしれない。なお、本書に取り上げられたすべての実例は、企業や商品の広告である。
見ること、それは「もの」を知覚すること。視線を意識することは「もの」自体にも作用し私たちの認識に影響を及ぼす。例えば我々は道路に描かれた平行線を手がかりに距離を知覚する。これは絵画の遠近法の影響であり、ひいてはこの知覚に基づき街が造られるようになった。本書は視覚的表現や事物と、人間の関係についての考察。あらゆる表現物に刻み込まれた人々の様態を丹念に読み取り、言語化できない無意識な視線を介して世界を見る方法を提示する。またその無意識の世界が、我々の文化の地層を変えていく様相を丹念に語る。思想・美術など幅広い分野に足跡を残す著者の代表作。
わたしは「小国」の市民になりたいと思っていた。アメリカ合衆国に生まれ、のちにソ連を実際に見てから、大国の周縁の国々のほうが自分の気質に合っていると感じた。アメリカを去ってこれまでたどった道程をふりかえり、自分なりの答えを見つけたいと思ったのが、この本を書いた理由である…地球が小さくなって、人はさまざまな道を生きる。周縁の国を求めた異色作家パルバースは、なぜアメリカ人をやめたか。
「見る」ことは、その時代の価値体系に常に拘束されている-。写真・カタログ・家具から超高層建築に到るまで、事物と空間に隅なく浸透する〈視線〉の隠喩の解明を通して、想像力や思考と〈視線〉との不可分のダイナミズムを照射する。現代思想の最新成果を駆使し、今日の文化を根源的に捉え直す画期的な視座。
一人の女性挿絵画家の生涯と作品に焦点を当て、収集した挿絵から、画家の全体像、当時の女性挿絵画家の類型、さらに、時代の道徳観や社会事情など、ヴィクトリア朝という時代を多層的に読み取り、ジェンダー・イデオロギーに基づくヴィクトリア朝の女性性の諸相を明らかにすることが、本書の目的である。
断片的で難解といわれるレヴィナスのテクストに刻み込まれているのは、二〇世紀に生じたさまざまな「無用の苦しみ」への問いである。『全体性と無限』『存在するとはべつのしかたで』という二つのテクストを緻密に読み解くなかで、覆いがたい絶望を前になおも希望を紡ぎつづけようとするレヴィナスの強靭な思考が、鮮やかに浮かび上がってくる。20世紀の惨禍を生き延びた者の希望の倫理学。
“爆速”ヤフー創業以来の理念に学ぶ。従来の広告宣伝手法が通用しなくなるデジタルコンバージェンスの到来。キーパーソンが語る「放送と通信の融合」を生き抜くための指針。
ミュラー、オットー、レーウ、エリアーデ、メンシングー比較宗教学の半世紀。
その、生き難さに抗うために。女が、リブの、中国の、アジアの、ロシアの、戦時下の、植民地の、無数の女たちに、時空を超え、国境を超えて、互いに出会いなおすための、フェミニズム批評。女性解放の息吹を受けつぎ、現在へつないでいく、珠玉の評論集。
自閉症の人たちは、世界をどのように経験しているのか?フィールドワークをもとに、現象学によってその経験の構造を明らかにする。
呼びかけられても人の存在に気がつかない、くすぐられるとパニックを起こすが転んでけがをしても痛がらない、といった自閉症児の行動はどうして起こるのか。一見不可解な自閉症児の行動に一貫した論理を見出し、自閉症の現象学を立ち上げる。既存の哲学の前提を組み替える、画期的な試み!
はじめにーー自閉症から描く哲学
第一章 模様の世界から視線触発へ
1 目が合う驚きと視線触発
2 人のいない世界/模様の世界
3 視線の誕生と世界変容
第二章 視線はなぜ怖いのかーー感情の図式化と間身体性
1 視線恐怖
2 感情の理解
3 自他の区別
4 間主観的独我論
補 論 他者の現象学の再構想
1 従来の現象学における他者論
2 視線触発の内的構造
3 視線触発の次の段階
第三章 流れない時間ーー不測の事態と現実、視線の強度
1 フッサールの感性的時間論と自閉症
2 未来
3 過去についてーー自閉症におけるフラッシュバック
4 視線の時間
第四章 平らな空間ーー奥行きの起源について
1 身体という奥行き
2 奥行きという論理構造ーーカントの「原則論」から考える
3 路線図的空間ーー自閉症児固有の空間構成
4 安心感ーー視線触発に由来する空間性としての
第五章 「ミニカー並べ」と思考の構造ーー形の次元と知覚的空想
1 無秩序な遊び
2 並べ遊び・常同的な感覚遊び
3 曼陀羅とものまねへの没頭
4 ごっこ遊びとままごと
第六章 言語を使わずに思考するーー知覚的空想とリズム
1 エコラリア
2 語の分節と身体の関係
3 イメージ思考ーー思考の生じる場について
4 リズム論
5 意味と対象性の起源としての知覚的空想
第七章 クレーン現象は誰の行為か?--内面とカテゴリー的人格
1 定型発達における人格
2 クレーン現象ーー行為主体の不在
3 知らない人を「ママ」と呼ぶーー人称代名詞について
4 サリー=アン課題と内面性
5 他者という謎と人称代名詞
第八章 自閉症児の脆弱性と経験の限界値
1 常同行動と現実
2 折れ線型と小児崩壊性障害における退行
3 アスペルガー障害および高機能自閉症における現実
おわりにーー自閉症児の療育のために
注
あとがき
参考文献
索引
折坂史哉は二十代後半のごく普通の会社員。今日もいつもと同じ日常が始まって終わるはずだったー。残業が深夜に及んだその日、史哉は何かの衝撃を受け、気がつくと全裸で吐精する様子を画像に収められていた。無言の悪意におびえる史哉。しかし嫌がらせは収まることなく、挙句には嫌われ者の同僚・林に現場を見られ脅されてしまう。性奴のような毎日に憔悴していく史哉を救ったのはアルバイトの瀬戸だった。持ち前のまっすぐな気性で林に対峙する瀬戸を、苦手意識を持っていた史哉も次第に信頼していくが…。