女の生きる場へ、あるいは女性政策の現場から、〈多様性の響き合う共同性〉をめざして、フェミニズムの明日を語り続ける。
“女神よりは、サイボーグになりたいー”人間、機械、物質、非物質のハイブリッド生命体としてのサイボーグ女性像が開示する脱性差時代の生体政治学。D・ハラウェイ「サイボーグ宣言」完全収録。
中世から現代までに表現された美術の中の女性たちを、社会学・心理学・図像学等の成果を駆使し、フェミニズムの視点から綿密に再検討。美術における男性中心的な認識の枠組みに疑義を挾み、社会と文化とのあり方に変更を迫る。
DV、女性ホームレス、ボランティア等の新しい課題をふまえ、今後求められる政策を提言。
日本におけるマルクス主義フェミニズムの先駆者・山川菊栄の成果に学びつつ批判的に継承し、現代日本の女性労働問題を理論的に解明する、1970年代から最近までの論考を収録する。衡平の追求、性別役割分業の克服を訴えてきた著者の理論的な枠組みを示す。
〈ユースィズム〉という人間解放の思想
労働の対象が〈土地→物→情報〉と変わり、農業社会・工業社会・情報社会と変遷し、男性も女性も〈人間〉の地位を確立するなかで、今や、未成年も〈人間〉として覚醒する!
序論
第1章
1 神様の登場する道すがら その一
2 神様の登場する道すがら その二
3 自然と神様の形とは
4 産業革命に先行する神殺し
5 市民革命は神殺し父殺しだった
第2章
1 神様の消えゆく道すがら
2 神殺しの犯人は男だった
3 女の社会的劣位化がすすむ
4 工業社会の核家族とは
第3章
1 男性労働の結果は
2 女が女性になり人間になった
3 女性運動からフェミニズムへ
4 母殺しの意味するもの
第4章
1 男と女が人間になると
2 小さな〈大人〉から人間へ
3 子供は人間となれるか
4 人が人間になるために
“開発”のなかの破壊に苦しむ南の女性たち、その声を真に受け止め、新たな地平に立つとき、フェミニズムは、はじめてグローバルになる。女性、環境、持続可能な開発をめぐる論争に関する最先端のレポート。
性的な不平等の克服のために哲学は何ができるのか。ウィーンの哲学的蓄積から、英米のジェンダー論、フレンチ・フェミニズム等を読み直す。“差異化”をキー概念に、人間学、美学、科学論と理性批判、政治論と法哲学における代表的議論を整理・検証。「フェミニズム哲学」の展望を示す。
国民的マンガ『ドラえもん』。この有名すぎるマンガの裏には、現代社会を予見したかのようなテーマが隠されている。
藤子・F・不二雄が描いた人間ドラマは、世の中の縮図だ!
なぜ、「クラスでいちばんかわいい女の子」しずかちゃんは、凡庸なのび太の妻となるのか?
なぜ、ジャイアンとスネ夫は、必ずタッグを組んでのび太をいじめるのか?
なぜ、のび太は、いじめっ子と絶縁する道を選べないのか?
なぜ、ドラえもんは、のび太を助けに学校には行けないのか?
なぜ、『ドラえもん』世界の住人は、ドラえもんを見ても驚かないのか?
世代論、女性学、政治学、教育論、郊外論……。『ドラえもん』を多角的に読み解けば、現代社会が見えてくる。
もしドラえもんが大学のテキストになったら? 楽しく読める「ドラえもん」講座!
※『源静香は野比のび太と結婚するしかなかったのか』(PHP新書)を加筆のうえで、文庫化。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
本書では、『ドラえもん』をいくつかの角度から論じていく。
『ドラえもん』が描くもの、とくに「ひみつ道具」については、現実世界には存在しないものであり、たとえ二十二世紀になっても実用化不可能と思われるものが多い。とくに、タイムマシン系、多元宇宙系、空間ワープ系のものがそうで、まさに、奇妙奇天烈・摩訶不思議、奇想天外・四捨五入なものだ。
ところが、『ドラえもん』で描かれる人間関係は、現実世界の縮図でもあり、デフォルメでもあり、さらには、何かを隠蔽することで主張しているとも思われる、奥の深い、とても出前迅速・落書無用なものではない。
本書は、『ドラえもん』のホンワカパッパな社会学的考察である。 (「はじめに」より)
現在、アンチ・トランスジェンダーの言説が、主にツイッター上で拡散されている。とくにフェミニストの一部からもトランスフォビアと受け取れる発信があることには注意を向けたい。これまでフェミニズムは、社会的な力関係によってさまざまな抑圧が生じることを明らかにし、あらゆる差別に反対してきた。本特集では、トランスジェンダーの人々の経験、差別克服の実践などを取り上げ、フェミニズム運動はトランスジェンダー差別とどう闘うのかを考える。
(執筆者)
堀あきこ、飯野由里子、高橋裕子、三橋順子、尾崎日菜子、畑野とまと、岡田実穂、大江千束、キンバリー・ヒューズ
現在、アンチ・トランスジェンダーの言説が、主にツイッター上で拡散されている。とくにフェミニストの一部からもトランスフォビアと受け取れる発信があることには注意を向けたい。これまでフェミニズムは、社会的な力関係によってさまざまな抑圧が生じることを明らかにし、あらゆる差別に反対してきた。本特集では、トランスジェンダーの人々の経験、差別克服の実践などを取り上げ、フェミニズム運動はトランスジェンダー差別とどう闘うのかを考える。
(執筆者)
堀あきこ、飯野由里子、高橋裕子、三橋順子、尾崎日菜子、畑野とまと、岡田実穂、大江千束、キンバリー・ヒューズ
実存思想協会
実存思想論集 38号
2023年
●特集 フェミニズムと実存
趣意文(小島和男+森一郎)
バトラーからニュートンへ,あるいは引用の政治(藤高和輝)
もうすぐなくなるという哲学の女嫌いについて(横田祐美子)
フェミニズムと実存ーーボーヴォワール『第二の性』を読み直すために(小手川正二郎)
世界は我が家なのか?--フェミニスト現象学と実存論的分析論(高井ゆと里)
●応募論文
道元思想における捨身についてーー修行の相互相依的成立構造(長野邦彦)
ポイエシス的な「絶望」--西田幾多郎が哲学の動機とみなした「人生の悲哀」にせまるための一試論(森 レイ)
亡き人を思うことーーヤン・パトチカにおける「死後の生」の現象学(柳瀬大輝)
●書評
大山真樹著『時間・円環・救済ーーニーチェの道徳批判を導きの糸にした永遠回帰思想の解明』(梅田孝太)
古荘匡義著『綱島梁川の宗教哲学と実践』(出岡 宏)
秋富克哉著『原初から/への思索ーー西田幾多郎とハイデッガー』(戸島貴代志)
上田圭委子著『ハイデガーにおける存在と神の問題』(田中 敦)
丸山文隆著『ハイデッガーの超越論的な思索の研究ーー『存在と時間』から無の形而上学へ』(金成祐人)
檜垣立哉著『バロックの哲学ーー反ー理性の星座たち』(板橋勇仁)
後藤雄太著『存在肯定の倫理1--ニヒリズムからの問い』,『存在肯定の倫理2--生ける現実への還帰』(竹内綱史)
稲垣諭著『絶滅へようこそーー「終わり」からはじめる哲学入門』(戸谷洋志)
編集後記
実存思想協会活動報告
事務局報告
論文応募要領
実存思想協会規約
(カット 佐藤忠良)
女は政治秩序を脅かすので公的世界から排除すべきだ。容易に変わらないこの家父長的な思い込みに異議を唱え、デモクラシーとシティズンシップを根底から問い直す。
「『ふつう』って、いったい何なんだろう。」私はこれまでの人生で、何度この言葉をつぶやいてきたことでしょう。子どもの頃、スポーツが得意ではなく、部屋でテレビゲームをしたり、女の子とおしゃべりをしたり、交換日記を書いたりするのが好きでした。初めて恋をしたのは、同級生の男の子。文化系でインドア派だった私は、いわゆる「男子ノリ」にもなじめず、「男らしさ」とは縁遠い子どもでした。
そんな私に対して、周囲の大人やクラスメイトは「男の子ならふつうは〜」と何度も言いました。大人になってからも、「社会人の男性ならふつうは〜」といった言葉が、日常のあちこちから聞こえてきます。それが今でも正直、息苦しい。私にとって「ふつう」という言葉は、定食屋の「ご飯ふつう盛り」くらいで十分なのに……。そんな「ふつう」との距離感を持ち続けてきた私は、大学卒業後、社会や学校が押しつける「ふつう」に揺さぶりをかけたいと考え、小学校の教師になりました。それが、20年前のことです。
今では「多様性」や「ジェンダー」という言葉が広く知られるようになりました。もしかしたら、「もうジェンダー平等は達成されたのでは?」「女性や性的マイノリティへの差別はなくなったのでは?」と思う人もいるかもしれません。しかし、実際には日本のジェンダーギャップ指数は依然として低いままです。
学校という場でも、「異性愛が当たり前」とされたり、「女らしさ」「男らしさ」に従うことが当然のように求められたりする状況は、今なお続いています。だからこそ、本書を通して、あらためて「ふつうって、何なんだろう?」と問いかけたいのです。
子どもたちが、性別や環境に縛られず、自分らしく生きるにはどうすればいいのか。「ふつう」を押しつける社会のあり方を変え、ジェンダー平等を実現するために、どのような知識や視点が求められるのか。そして、教師として学校現場で何ができるのかーー。私はずっと、そうした問いを抱えながら、試行錯誤を繰り返してきました。本書では、私がこれまでの経験を通じて考えてきたことを、みなさんと共有したいと思います。(「はじめに」より)
■第1章 男らしさに苦しんだ子ども時代
■第2章 学問と出会い、世界の見え方が変わる
■第3章 教師になって気づいた学校の中の男性性
■第4章 私の教育実践ー「生と性の授業」
■第5章 「自分らしさの教育」から一歩先へ