これまでの15年あまりの私の心理臨床の体験をもとに、思春期の女性たちの心の危機の諸相と、それに対する心理治療者の具体的な対応を、フィクションの形で自由に描いてみました。フィンションではありますが、単なる絵空事ではなく、“心理的次元”では充分に事実に根ざしたものとお考え下さい。
主人公のポレケは、町に住む活発で多感な女の子。離婚して出ていった麻薬中毒の父親のことを心から愛し心配していますが、その挙動にはいつも振り回されっぱなし。一方、母親は学校の担任教師と恋におちている…ボーイフレンドのミムンはモロッコ系で、両親からつきあいを禁じられている…11歳の女子には厳しすぎる状況!でもポレケは、ひたむきに、まっすぐ立ち向かっていくのです。2012年度リンドグレーン記念文学賞受賞作家の傑作。小学校上級から。
【出版社より】
主人公ポレケの父親は、常識や世間的規格から外れたヤツです。1960年代後半のヒッピーの血を引いた存在、という感じ。ポレケはこの、社会性をまるきり欠いた父親を愛していて、理解し支えようとします。しっかり者で凜とした心根を持つポレケは、パパのダメさ加減に気づいていながら、“愛すべき美点”を見つめようとする。けなげだ!「何があってもピュアに、まっすぐに生きよう」という爽やかな意志に、思わず拍手。オランダ社会の現実もよく映し出されています。
現代の思春期心性はいかなる姿をとっているのか。そして、臨床家は青少年のこころの危機にどのように対処すべきか。不登校、境界例、いじめ、摂食障害、障害児へのケア等、子どものこころの発達臨床に長年取り組んできた代表的論考を収録した初の論文集。
人間を愛してやまない精神科医が豊かな医療経験の中から象徴的な事例をひきつつ、不登校、妄想、性的逸脱、非行…等を生む心の病いの内側を鮮やかに解き明かす!
自立を求め反抗する子どもに、親としてどう関わるべきか。子どもの健康な心理社会的発達を促進し、かつ、子どもとの良好な関係を構築・維持するための養育スキルを明らかにし、子育て支援プログラムの提案も行う。
思春期における問題に対処する治療計画の立案を簡明・迅速にする実践ガイド。
教育評論家との毒親対策対談も収録。
中学生になったつつみ。家では相変わらず毒母からの暴言や体罰が続いていた。
成長するにつれて自我が芽生えた彼女は、自分の家の異常さに気付き始める。
毒親である母と、母を毒親にした祖父に翻弄されながらも、なんとか自分だけは正常でいようとするつつみ。
実父との再会、初めての彼氏、つつみのことを心配する友人たち。
つつみを救うのは誰なのか。全編再編集され、未公開エピソードも収録。
友だちはほしいけれど不安やこだわりで前に進めなくなってしまう、思春期の複雑な対人関係を前に立ちすくんでしまう……発達障害の特性のなかでも人との関係に課題を抱えている子どもたちに、友だち作りのソーシャルスキルを提供する「PEERS(Program for the Education and Enrichment of Relational Skills)」。「PEERS」には他のプログラムにはない4つの特徴があるーー1自閉スペクトラム症をはじめとする社会性に課題のある子どもたちが苦手とするスキルにフォーカスしていること、2思春期の子どもを対象にしていること、3子どもと保護者の同時参加によってスキルの般化を目指すこと、4プログラムの効果が科学的に証明されていること。さらに「PEERS」では2つの場面で体験しながら友だち作りのスキルを学ぶーー1家庭では親子でいっしょにホームワークに取り組む、2グループセッションでは仲間たちのロールプレイや行動リハーサルを通して自分を振り返るフィードバックを受ける。
ひとつひとつ課題をクリアできるように設計された全14セッションをトレーナーといっしょにこなしていけば、学んだことを学校でもすぐに応用できるなど、親子で効果を実感できる工夫があちこちに盛り込まれ、保護者と思春期・青年期の子どもたちに向けて「PEERS」の内容をまとめた『友だち作りの科学』(2017)と併用すれば、もっと上手にもっと効果的に「PEERS」を使いこなせるようになる。友だちを見つけて楽しく明るく日々を送るための、友だち作りがみるみる身につく「PEERS」トレーナーマニュアル!
無知につけこんだ性犯罪や、親族らによる性的虐待防止のためのヒントが満載!「掲示用資料」や「生徒用資料」入りCD-ROM付き!
個々の人に寄り添った「かかわる工夫」、自ら考える柔軟さを身につけるための第一歩ー心理相談室と日常生活をつなぐ実践の知恵。
大切なことは、子どもたちを「理解しようとする」姿勢です。長年、さまざまな問題を抱える思春期の子どもたちの相談に乗ってきた著者の現状と対応への提言。小児科医をはじめとする医療関係者、保護者、教職員へ。
親になるのはむつかしい。マタニティのあなたが、幼児と暮らすあなたが、身につけたら、一生もの。診療歴40年からみえてきた親子関係をつなぐ「3つの要素」。
磯部くんが死んだ。
エスカレーターで女性の下着をのぞきこみ、警備員に見つかり逃げた拍子に転げ落ちたらしい。
階段下から見える一瞬のパンチラのロマンを共有する男子高校生2人の青春ストーリー「磯部くんのパンツ」(モーニング新人賞受賞)他奥山ケニチ珠玉の短編読み切り集!
アスペルガー症候群の夫婦が、歯に衣着せずに教えてくれるー清潔や外見の初歩的なことから、男女交際、恋愛、セックス、避妊、感染症、性犯罪まで、自らの経験から実用的なアドバイスが満載。映画『モーツァルトとクジラ』の原作者が贈る「性と恋愛」のバイブル。
●発達過程にある子どもの精神科臨床はとにかく難しい。とりわけ強迫という症状は,それがあまりに広汎にわたるゆえに,臨床場面における個別対応も相対的な理論化も困難である。本書には様々なアプローチによるナマの臨床が記載され,読者はそれらを俯瞰することで子どもの強迫の全体像を描くことができる。
■解説
強迫性障害は発達障害と違って病態とその症状の中心は成人期の病像である。したがって,児童思春期の強迫性障害を論じるさいには,まず成人期の強迫神経症の精神病理学を極め,その上で強迫性障害における最近の神経病理学的所見を適正なバラ ンスをもって記述することが重要であると考えられる。一方,生物学的精神医学では症状の客観的把握と脳科学的所見が記述される。このさい観察所見の科学性を保証するのが診断基準である。そうであれば両アプローチの適正なバラ ンスとは診断基準を軸に機能を記述することとなる。それはある時には社会的機能であり,ある時には神経生理学的機能である。こう したことが理解された上で,なぜ,児童期や思春期早期に発症したかという環境因的な考察が展開される。これが従来の成書の構成とすれば,本書ではあらたに2つの視点が導入さ れている。1つは発達論であり,もう一つは強迫スペク トラムという捉え方である。本書を通読していただけば,本書が他に類を見ないよう な独自性で貫かれていることがわかると思われ,多くの読者に,広い視点で児童思春期の各病態を読み解く手掛りとして役立たせていただけるのではないだろうか。(「序文」より)
●目次
序文
第1部 子どもの発達の中にみられる強迫
第2部 子どもの強迫症状の臨床的特徴ー強迫性障害を中心に
第3部 強迫症状とその周辺
第4部 強迫性障害とは
第1章 強迫性障害の歴史と診断ーー強迫神経症と強迫性障害・診断基準
第2章 強迫性障害の疫学一成人と子ども
第3章 強迫性障害の心理的成因一精神分析的な見方
第4章 強迫性障害の生物的背景
第5章 強迫性障害の生理学と画像診断
第6章 強迫性障害の心理検査
第7章 強迫スペクトラムとは?
第5部 強迫症状に対する治療と対応
第1章 強迫的な子どもたちとの外来面接
第2章 行動療法(認知行動療法)
第3章 薬物療法
第4章 親への対応
第5章 学校への対応
第6部 児童思春期の強迫の臨床
第1章 子どもの強迫性障害と強迫症状
第2章 広汎性発達障害と強迫
第3章 注意欠陥多動性障害ーーこだわりと衝動
第4章 チックーー反復衝動性と強迫
第5章 神経症性習癖
第6章 子どもの気分障害ーー不安と強迫
第7章 子どもの統合失調症
第8章 摂食障害一体重へのこだわりと強迫
第9章 醜形恐怖と強迫ーー身体へのこだわり
第10章 心気と強迫
第11章 離人症と強迫
第7部 強迫と現代文化ーーこれから育っていく子どもたちのために
あとがき
人名索引/事項索引