近年,感情と心身の健康の結びつきに関する研究は盛んになってきている。本書は,感情やトラウマティックな経験を抑制することがいかに心身健康に有害なのか,そしてその反対に,心の奥底にある感情や心の傷を言語的に開示することがいかに心身健康を増進させ,治癒効果をもたらすかを,実験心理学的裏づけの中で明らかにしている。
日本語版によせて
まえがき
監訳者まえがき
1 告白と抑制:あるアプローチのはじまり
2 抑制は健康をおびやかす
幼少期のトラウマティックな性体験
成人期のトラウマ──配偶者の死
3 筆記するといっそう健康になる
話すことがカタルシスと洞察に果たす役割
筆記は病気を予防する
免疫系を探究する──トラウマについて筆記することは予想以上に有益だ
書くことがもたらす健康以外の効果──筆記と就職
4 実験室における告白
解放経験
抑制の生理学──心臓は高鳴り、手は汗ばむ
告白に対する身体反応
告白が脳に与える影響、告白するときに脳で生じていること
告白における実験室の役割
5 考えを抑え込むこととの闘い
望ましくない考えにとらわれる
健康な思考様式と不健康な思考様式
くだらないことに専念して苦痛を避ける
日が暮れてから──不眠症とその治療
6 対処を速めるには
悲嘆と対処の自然な進行
人生の変化に強力に対処する
ホロコーストに対処する
対処が促進される場合とされない場合
7 筆記の価値を理解する
完了欲求と意味を探す欲求
ことばの役割
自己表現の衝動
物語を構築するためにことばを使う
8 告白の社会的価値:誰に話すのか、どんなふうに聞くのか
トラウマを共有した結果生じる夫婦関係の問題
人に語る──ソーシャル・サポートの恩恵と危険性
最良の聞き手を選ぶ
他人のトラウマを聞くことは負担になる
9 愛情と情熱、そしてスリル
禁じられた喜び──セックスと愛、そして情熱
家族力動の症状としてのポルノグラフィ
情熱愛への対処
愛と悲嘆の時間的仮説
10 抑制パーソナリティ
パーソナリティ様式としての抑制
抑制パーソナリティと疾病
人を環境に調和させる
健康を増進するためにパーソナリティと環境を変える
11 抑制のかかった都市
火山噴火については話さない
災害の社会的段階──ロマ・プリータ地震とペルシャ湾岸戦争
共同体の恥──ダラスとケネディ大統領暗殺の事例
12 文脈のなかでの告白:心理療法、宗教、そして洗脳
告白衝動のはけ口
告白の文脈の分析
文脈に組み込まれた個人の価値観
筆記の背後にある暗黙の価値観
13 トラウマ以外に対する効用:筆記とウェルビーイング
教育ツールとしての筆記
筆記は学習と創造性を促進する
日記は日誌
筆記のマイナス面
理解を深めるために
引用文献
鉄はどこから来て、日本人をどう変えたか。古代、砂鉄と森林に恵まれた中国山地に成立した鉄王国。その痕跡を辿り鉄に育まれた日本人の欲望の構造を問う。
この本は、一八二五年から一八七五年の五〇年間に描かれたアメリカ風景画を「この時代の文化的文脈のなかでとらえ、絵画を考察するのと同じくらい深く文化的文脈ー哲学的、精神的、科学的ーを解明」しようと試みた初めての研究書である。
「なつかしい風景を探して」-作中に描かれた海坂藩の実像を求めて、市内各地を歩く。「ゆかりの人々」-知人・友人にインタビューし、氏の素顔に迫る。地元紙だからできた、藤沢文学の原点を探る精緻なルポ。
「わたしのものの味がそんなに悪いかえ?」お公卿の姫のような臈たけた美女はニタリと笑った。その時、「下におれっ。将軍家由貴姫のお成りである」という声がした。女は道のまん中にしゃがみ込んでいる。侍達は奇怪なうなり声をあげた。彼らは女の股間の地上にあるものを見た!!同心・恥かし瓢兵衛の頼みで、岡っ引になった屁のカッパはお数奇屋坊主の河内山宗俊と出会った。彼は北斎の枕絵を使って、幕閣達を揺さぶっていた。酒池肉林とワイロで腐敗しきった権力に挑む痛快活劇。幻の傑作、遂に初文庫化。
名作「新選組血風録」の感動を再び。
子どもの頃は苦手だったのに、大人になったら好きになったものってありませんか?なんでもない煮物だったり、きんぴらだったり、おひたしだったり。派手じゃないけど飽きなくて、いつ食べてもおいしい。基本はやっぱり和風のおかず。
本書は、データ解析の基本的な考え方を理解するとともに、身近な例題を通じて、その手法をSPSS10.0Jを用いて習得することを目的とした入門書である。初学者を対象に、データをどのようにグラフ化するか、データの中心やばらつきを示す指標として何を用いればよいか、といったデータを記述するための説明を中心とし、統計理論については、仮説検定と回帰分析のごく基本的な考え方を説明するに止め、無理なく読み進んでいけるよう配慮した。
ラットとは、知的でかわいいネズミのなかま。ヨーロッパでは、ペットとしても人気があります。この本は、ドイツの田舎で150匹ものラットと生活を共にし、わが子同様の愛情をそそいできた女性による、心あたたまる感動的な観察記録です。ほほえましい恋愛、必死の巣造り、厳粛な出産、すさまじい重労働の育児、手におえない子供たちのいたずら…。元気に走りまわるラットたちの愉快なふるまい。
「日本の歴史」の真実は、今も「花鳥風月」に宿り続け、われわれがそれに気づくのを待っているのではないか。元「歴史読本」の名編集長が、風土への愛情を滾らせて書き綴った「心の文化遺産=花鳥風月」への道しるべ。
「マイナス掛けるマイナスはなぜプラスなのか?」「虚数iや定数eとはどんな数なのか?」「分数で割るとはどういうことなのか?」今まで、理解したつもりで素通りしてきた数や計算ですが、意味を理解し、きちんと説明できる人は実は少ないのではないでしょうか?小学校算数に対する素朴な疑問から最高難度の数学の世界まで、それぞれの意味をきちんと理解すれば、説明もできます。数学をもう一度別の角度からやりなおしてみたい人も、学校の数学は苦手だったけれど、実は興味があるという人も、本書なら愉しみながら、“数学の根っこ”の世界を体感し、理解していただけることでしょう。