いまなお妖精の棲む「アイルランドの中のアイルランド」に、いよいよ足を踏み入れる。アラン島に象徴される荒れ地と英国支配のくびきが育んだ信仰、孤独、幻想…。そして、それらアイルランド的な性格なしには生まれ得なかった文学。「山河も民族も国も、ひとりの“アイルランド”という名の作家が古代から書きつづけてきた長大な作品のようでもある」という感慨とともに旅は終点へ。
淡路島から大鳴門橋を経て入ってゆく「阿波紀行」。阿波の中央を深く刻んで流れる吉野川をさかのぼる。長曾我部元親、三好長慶、稲田氏などの「兵ども」が領土経営にかけた思いをたどる旅になった。「紀ノ川流域」は、在阪の筆者にとって気軽な旅。根来寺を訪ねて豁然たる境内に往時の殷賑と根来衆の強悍さをしのび、日前宮の圧倒的な森の下を歩いて「木の国」の芯を感じる。
多発する気象変動の報告と、経済学による理論的考察から、現在の温暖化政策の問題点を明らかにするとともに、京都会議を超えた新たな社会経済制度の設計を提言する。
ときあたかも1980年代末の土地バブルに踊る日本をあとに、「国民が国土を創造した」オランダを訪ねる。鎖国時代の日本にとって、暗箱にあいた針穴から射しこむほどのかすかな外光がオランダだったと著者はいい、プロテスタント精神の発露たる商業活動が育てた自律的、合理的な国民性をゆく先々で実感する。さらに、レンブラントやゴッホの絵画への著者の深い理解が共感を呼ぶ。
「国家とはなにか」をテーマに、1993、94年に訪れた台湾を描いた長編。蒋家の支配が終了し、急速に民主化がすすみ、歴史が見直されようとしていた。著者は台北、高雄、台東、花蓮などを訪ねる。「台湾」という故郷を失った日本人もいれば、「日本」という故郷を失った台湾人たちもいた。巻末には当時の李登輝総統との歴史的な対談「場所の悲哀」も収録している。
通勤電車で吊革を握りながら見た蒼い空、鉄橋を渡る音、北の国の観光ポスター、客がまばらな反対方向への列車、帰路の車窓に流れていく光の帯、ターミナル駅で出会った長距離列車。ありふれた日常に「旅」を感じる一瞬、自分の中の逃避願望が湧いてきて、ふらりと鉄道に乗って日常からの脱出を試みる。アルファポリス旅行記大賞受賞。
日本の水は飲んでも大丈夫?日本は石油を産出するの?日本の家はどんな造り?伝統的日本が残っているもの、何かある?ゴルフをする人、日本には大勢いる?日本の健康保険の実情を教えて。特に外国で、実際に外国人が尋ねた質問の中から、代表的なものを100選出。質問は、最初に質問の核を成す項目。次がトピックに関連する日本語のエッセイ。それに続く質問と答えは3部に分かれている。
“ご当地ソングの女王”との異名を持つ彼女らしい、お国/お里めぐり的なカヴァー・アルバム。新曲「安芸の宮島」や耳に馴染んだ「大阪ラプソディー」など、曲調こそ違えど、彼女流の軽やかでパンチの利いた歌唱で自身のスタイルで消化しきって歌い上げ、その異名にふさわしい一作となった。
「聖天さん」「馬頭観音」「不動明王」など、密教像は多くの日本人に親しまれてきた。これらをインドの古代文化に遡り、密教の神々の文化的、歴史的意味を根本から解き明かす。
組織の競争優位は市場戦略だけではなく、それを生み出す組織戦略によって決まる。優れた組織を構築するためのマネジメントを体系化した実践的テキスト。
シミュレーションソフトで視覚的にメカニズムの動きと基本がよくわかる。また、学習のポイント、しくみ、基礎知識、応用例など、写真と丁寧な図解でやさしく理解できる、初学者のための入門書。