大奥で亡霊騒ぎを調査する「御幽筆」の里沙へ友を想う女中から依頼が。だがそれはある人物の意外な過去へと展開し!?感動の第3弾!
母を三年前に亡くし、父であり腕のいい料理人の千吉と、二人で飯屋を切り盛りしているおはる。女義太夫の修業に出ていた妹のおとよが、相撲取りの藤ノ松との子を宿して帰ってきて、ますます忙しい。江戸っ子が大好きな初鰹の時季がやってきた。常連でもあるお隣のご隠居、又兵衛のところに鰹が届いたが、又兵衛は頑として受け取らない。どうもそれには、花火師のもとへ嫁ぎ、喧嘩別れしている娘の存在が関わっていそうだが……(表題作)。すぐに思い悩むたちだが、温かい常連客に囲まれて、ひとつひとつ前向きに打開していくおはるの細腕日乗。第二幕、開店!
秋月伊織は一千石の御旗本の次男坊で、御目付の兄を持つ。そんな身でありながら、何を思ってか古本屋『だるま屋』の主、吉蔵の仕事に手を貸す。世上の風説から柳営の沙汰まで、吉蔵の元に集まる情報の真偽を調査する見届け人をつとめていた。
「家宝の鉄砲を失った」--鉄砲武具店『近江屋』の主が助けを求めて駆け込んできた。西山藩が水戸家から賜った鉄砲を、手入れするため預かっていたが、それを言葉巧みに持ち逃げされてしまったという。金のためか、あるいは誰かを殺めるためか……。伊織の鋭い観察眼と、剣の腕前で事件の真相を突き止める。
親子の情愛、男女の想いを紐解く、人情あふれる時代小説。シリーズ開幕!
記憶のような、予言のようなー鋭く、なつかしい言葉たち。第53回短歌研究新人賞受賞作「死と放埓なきみの目と」を含む第一歌集。
失恋のショックのあまり休職を決意したOLの果穂。地元へ帰ると偶然、初恋相手の伊勢崎と再会!敏腕エリート弁護士になっていた彼に事情を話すと、期間限定で彼のアシスタントをすることに。仕事のときはクールでドライなのに、二人になると愛を囁き、大人の包容力で甘やかしてくる伊勢崎。「果穂のこと、独占させて」-彼の一途な愛にほだされ、熱をはらんだ二人の恋は加速していき…!
女は冬の花火を見たという。その祭りはこごえる原野に、冬の夜とりおこなわれるという。男は女の身の上に、自分の人生を重ねてみた。都会で知り合った別の過去をもつ男と女が見るひとときのロマン。大氷原、吹雪、酷寒、自然と、男が巡り合うさまざまなドラマ。限りない優しさと、荒ぶる男の冒険心に支えられた西木文学の真髄を集めた最新短篇集。表題作他4篇収録。第99回直木賞受賞作家。
世界47ヵ国の夜空に江戸の花を咲かせた、花火師一代“丸玉屋小勝”の男意気。粋でイナセな半生記。
田村藤茂の父・仁三郎は火薬に凝り、強烈な花火を造りあげた。この長野生まれの、近代花火の元祖は、競技会で賞金を稼ぎまくる。そのうち、火薬取締法が厳しくなり、「免許」が必要となった。仁三郎は規制を無視、罰金刑を繰り返す。藤茂は借金地獄から脱出のため、本格的な花火師に…。人の涙と花火の華麗さが行間にも煌めく。
大政治を希求する学生と、恋の至極を体現しようとした乙女、その結末…。日本の若者へ、天皇という血の純潔と歴史を尊ぶ民族の誇り即ち国体の再認識を訴える、著者入魂の総合評論小説。
デビュー以来今日までの輝かしい作品群を集成。40年前、花火の弾けた思い出が目の前に蘇える「花火」。村長が旅人に猫の頭をかぶる奇習について語る「猫かつぎ」。電車の中で毎朝会う美人の正体を知って驚く「地下鉄御堂筋線」。ミステリー、SFから時代ものまで、横溢する豊かな才能。
おじいちゃんがたおれた。その日から、麻衣子の家では、家族ぐるみの介護の日々がはじまった…。小学校上級より。
夜空のキャンパスを彩る色彩の光跡。瞬間の美を永遠の美に昇華させ刻したカラー写真53点。
ガス灯揺れる横浜の異人館。ボーイの千代吉は、居留地に巣喰うならず者たちと、酒、賭博、喧嘩に明け暮れていた。そして偶然、ひとりの謎めいた少女に出会う。可憐な外見とはうらはらななまめいた女に千代吉は惹かれていく。無頼な若者の青春の燦きと悲哀を鮮やかにとらえた名作『霧苗』に、居留地ならではの哀切な恋物語『花火の街』を併録。開化期の横浜を情趣豊かに描き上げた、大仏文学の真髄。
村の森の奥まった所に、一本の木がある。そこは、わたしと弥生ちゃんと、弥生ちゃんのおにいさんの健くんの、三人だけの秘密の基地。いつものように、弥生ちゃんと木に登る。いつものように、村を眺めながらお話をする。と、その時…!次の瞬間、枝から滑り落ちていくわたしの体。…そして、わたしは死体になった!!それは九歳の夏の日の夕暮れのこと。弱冠十七歳が生み出した、異色のホラー小説!!第6回ジャンプ小説・NF大賞受賞。