黒澤とシェークスピア、時代を超えた邂逅!
「歪んでしまった日本の時代劇映画を正しい形に戻す」。
「羅生門」「生きる」「七人の侍」他の作品を次々と送り出し、世界のクロサワの声価を不動のものとした黒澤明。真摯な使命感のもとに彼は壮大な計画に取り組んだ。それが「蜘蛛巣城」「どん底」「隠し砦の三悪人」と続く時代劇三部作による、冒頭の宣言である。
その劈頭を飾る本作品で、黒澤は、シェークスピアの原作「マクベス」を戦国時代の物語に翻案し能の形式で表現するという、野心的な構想に挑戦した。富士山二合目に御殿場の町からも遠望できたという巨大な城のセットを築き、森を動かし、グランプリ俳優・三船敏郎に矢の雨を降らす。当時としては空前の製作費と人員を動員し、妥協なき演出姿勢から生まれた「蜘蛛巣城」は国内外で高い評価を受け、狙い通り日本映画を根底から覆す傑作となった。
シェークスピアの本国・英国ロンドン国立劇場の落しにも招待上映され、名優ロード・ローレンス・オリビエをインスパイアしたと言われる世界的傑作。その創造の深き森にこの1冊をお手元に分け入ってください。
【編集担当からのおすすめ情報】
生命の危険も顧みず、矢の雨の中に立って壮絶なラストシーンを演じた三船敏郎。幅70m、奥行90mという巨大な蜘蛛巣城のセット。2000人のエキストラと550頭の馬を動員したという合戦シーン。森の木を切られねぐらを失った鳥が場内の三船の肩に止まるという象徴的シーン。特撮もスタントもましてやCGも使わずに、どうしてこんなシーンが撮影できたのか。撮影の記録係野上照代氏の貴重な証言は必読です。「歪んでしまった日本の時代劇映画を正しい形に戻す」という黒澤の言葉は、むしろ今の日本映画界に向けられた言葉なのかもしれません。
1920年代、ロスト・ジェネレーション。ドイツでは秘密結社とホモセクシュアルの妖しい匂い、そしてユダヤ人の迫害。『聖なる酔っぱらいの伝説』の著者が放つ危険な物語。物語作家ロート、幻の処女作。
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大見世のお職女郎松島が、蒲団部屋で首をくくった。百二十両の貸し金を踏み倒されたのだ。山村屋のおいらん玉垣は三十七両かぶせられた。相手は料理茶屋の手代天神屋半四郎。役者あがりの男ぶりで、年季明け前の遊女を手玉にとる凄腕だ。そこでおえんが裾を払って立ちあがったー。半四郎よ、馬屋の怖さを教えてやる。が、艶冶な女悪党が蠢いた。
岡場所帰りの女犯坊主が、鎧通を突き立てられて殺された。八丈島から島抜けした悪党たちによる復讐劇の幕開けだった。北町奉行所与力・狐崎十蔵、人呼んで「八丁堀の狐」が、隠密廻り同心の狸穴三角らとともに、両国薬研堀にある「四ツ目屋」の地下にある隠し番屋「狐の穴」を探索の拠点とし、許せぬ悪を裁く。書き下ろし長編時代小説、シリーズ第一弾。
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