本書は、アメリカにおける人間行動遺伝学の中心的存在である著者によって著された人間行動遺伝子の入門書である。易しく読み物的な語調で記述が進められており、初歩的な統計の解説も章末に掲載されているので、人間行動遺伝学に関係する心理学、教育学、哲学、言語学、社会学、精神医学、公衆衛生学を学ぶ人々にとって興味深い書である。
十兵衛亡きあとの混迷の江戸柳生。対する連也斎率いる尾張柳生の隆盛。-将軍家剣術指南役の家に生まれながら、坊主にさせられた烈堂は、不甲斐ない当主に代わって連也斎を倒すべく修行の旅に出た。めざすは父宗矩に剣禅一如の極意を授けた沢庵和尚の秘奥義。が、連也斎も同じものを求めていた。沢庵が遺した謎の問答をめぐり、烈堂の剛剣が鞘走る。
悲恋に涙する沖田総司、隊士の心を妖しくときめかす前髪の美剣士、薩摩の間者富山弥兵衛、真贋の判じがたい虎徹に執する近藤勇…幕末の大動乱期、剣に生き剣に死んでいった新選組隊士一人一人の哀歓、生死のかたちを冴え冴えと浮彫りにする。
美貌の少年奴隷をはさんで争いながら南イタリアを放浪する2人の青年を中心に、好色無頼の男や女が入り乱れる。小説『サテュリコン』はまさに古代ローマの爛熟が生み落した「悪の華」だ。とりわけ、奴隷あがりの成金富豪が催す〈トリマキオンの饗宴〉の場面は古来有名。セネカの諷刺短篇『アポコロキュントシス』を併載。
ボクサー崩れの酒井は、恩人・津村のパチンコ店で働く釘師。ある日苦情に対応したが、以後査察や業者の取引中止が相次ぎ、何者かに身に覚えのない“物”を渡せと脅迫され、ついには津村が失踪する。大阪中のヤクザが政治家をも巻き込んで探している物とは何か。酒井は封印を破り、自らの拳をふるって立ち向かう。
北海道沙流川筋のアイヌ語9400語を音声資料をもとに収録した辞典。見出し語はローマ字表記で、排列はアルファベット順。各見出し語の用例はアイヌ語ローマ字表記・アイヌ語カタカナ表記・日本語訳の順に掲載し、原資料の所在を記す。巻末に「アイヌ語沙流方言概略」がある。
芸妓村上八重と著者との三十年にも及ぶ恋愛を題材に小説家牧と芸者三重次とが互いの人生の浮き沈みを越えて真摯な心を通わせ合った長い歳月の愛を独得の語りくちで描いた戦後の代表作・読売文学賞受賞「思い川」、なじみの質屋の蔵の中で質種の着物の虫干しをしながら着物に纒わる女たちの思い出に耽る男の話・出世作「蔵の中」、他に「枯木のある風景」の三篇を収録。
本書は、20世紀の脳と心の研究成果をわかりやすく解説した半期用テキスト、参考書である。睡眠、脳内ホルモン、左右脳差、生物リズムといった脳の構造や機能の知見はもちろんのこと、タイプA、ストレス、バイオフィードバック、音楽療法といった現代的話題性に富んだテーマも含んだ幅広い内容となっている。初学者が「脳」という視点から生理心理学全般を概観するのに好適な入門書である。
神秘の骨「仙骨」はアルファー波活性のカギだった!瞬間無痛良法・ペインレスメソッドでアルファー波はどんどん出てくる!!MRT瞬間無痛良法の驚異が満載。
私の心を束縛し、私の自由を許さない美しき親友のえり子。彼女の支配から逃れるため、私は麦生を愛し、彼の肉体を知ることで、少女期からの飛翔を遂げる「蝶々の纏足」。教室という牢獄の中で、生贄となり苛めをうける転校生の少女。少女は自分を辱めた同級生を、心の中でひとりずつ処刑し葬っていく「風葬の教室」。少女が女へと変身してゆく思春期の感性をリリカルに描いた3編を収録。
理工系の初学者が現代物理学の概要を短期間で学べるよう意図してまとめられたテキスト・参考書である。初めに相対論・量子論から説きおこし、原子分子、物性論、素粒子・宇宙論まで、将来専門分野で学ぶ内容の基本的な部分を、多くの図を用いて平明に解説する。工科系の学生にとって重要な原子分子、固体、光と物質の相互作用については、半導体やレーザーを例に重点的に記述している。また、詳細な内容や派生的な内容は「注」で扱うことで本文の主要な論旨を乱されないよう配慮されている。
本書は、理工系の学生を対象とした、大学初年級向きテキストである。基本的に重要な電場・磁場という抽象的な概念の解説では、その導入の理由とともに、身近な話題や具体的数値を用いて、その物理的イメージを描き出す。多くの法則の相互の関係や全体系における位置づけを確認しながら、全体の流れの方向を見失うことなく話を進めている。ベクトルの微分の記号の使用を避け、なるべく簡単な数式を用いて平易な説明を心がけている。また100余題の例題・問題を随所に設け、詳解を与えてある。改訂にあたっては、解説文の見直しを行ない、具体的な数値計算の問題を追加した。