生殖医療大国の日本において人権保護の観点から法制定と政策を考えることは喫緊の課題である。生殖医療の進展は、多様な人権の衝突、生命や家族概念の再考、将来の人類への影響等の課題を提起している。本書は生命・身体・セクシュアリティに関わる生殖医療、性別確認検査、健康権、母子保健、ゲノム編集、中絶、第三者の介入する生殖医療、フランスの代理懐胎を取り上げて考える。
すぐに解決できる「手立て」だけではなく、当事者の視点に立った「見立て」と「共感的理解」を学び合いたい。保護者・教員・施設職員からの相談支援事例28。
性教育発展の国際的スタンダードである『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』の翻訳書を、日本の教育・福祉・医療・保健等の現場で活動する執筆者たちが読解・論議を重ねて解説。子ども・若者と語りあう包括的性教育を実践するためのヒントいっぱいの案内書。
徹底して子どもの現実に迫り、子どもへの関わり方・援助方法、性教育のポイントを明解に語る。年齢別・テーマ別性教育と科学的な基礎知識、具体的な場面を想定したQ&A、コラムなど、いま必要な内容を網羅。
「性」の世界を生物学や医学の分野ではなく、歴史・人類学・社会学など多分野の刺激的な見地から解説。著者たちに共通する精神分析は、一般的に大人のためとされているセクシュアリティを子供、むしろ幼児にまで広げている。淡い面からきわどいものまで変化に富んだ様相となっている。
「政治と性/ジェンダー/セクシュアリティ」を統一テーマに開催された政治思想学会第31回研究大会の発表報告論文4本を中心に、公募論文10本と書評8本を収録。
オックスフォード大学出版〈Very Short Introductions〉シリーズは1995年に刊行が始まり、現在も続々と新たなトピックを世に送り出している知的教養シリーズ。そのなかでも近年とくに注目されているホットイシューや近現代史のトピックを取り上げる。(1)「レイシズム」(2)「優生学」(3)「貧困」(4)「アメリカの奴隷制度」につづく第5弾は「セクシュアリティ」。ジェンダーや「LGBT-Q」ということばが急速に浸透し、また性的マイノリティへの理解が少しずつ深まるなか、その世界的な流れが不可逆的で、けっして一過性のものでないことを、長い歴史のなかで俯瞰できる一冊。
包摂しつつ排除するーー台湾・韓国の徴兵制、中国性産業の政治化、アジアの生殖補助医療……同姓不婚、妻と妾の身分差など、規範の淵源たる中国古来の「家族」の変化を捉えつつ、多様な主体がせめぎ合う東アジアジェンダー秩序の未来を考える。
何がリスペクタブルな振舞か。ナチズムへと至る国民主義の高揚の中で、性的領域も正常/異常に分けられていく。セクシュアリティ研究の先駆的著作。
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18世紀の宗教復興とフランス革命を経て、西洋では「礼にかなった」作法を重んじる市民的価値観が浸透していった。リスペクタブルか否か? その問いかけはセクシュアリティをも正常/異常に区分し、国民主義と結びついて社会の管理・統制を強化した。逸脱行為と見なされた同性愛や売春は社会秩序を乱すものとされ、自制する「男らしさ」と、性欲を排した男同士の友情が市民道徳の基盤となっていく──。宗教、医学、芸術、性別分業、人種主義などの諸要素が絡まり合って作用し、市民的価値観と国民主義が手を取り合ってナチズムへ至る道が鮮やかに描き出される。文庫化にあたって、心理学者メアリー・ルイーズ・ロバーツによる新たな解説を付した。
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「正常な性意識」が、ナチズムを支えたーー
セクシュアリティ研究と歴史学を結んだ先駆的名著
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第1章 序論 国民主義と市民的価値観
第2章 男らしさと同性愛
第3章 身体の再発見
第4章 友情と国民主義(ナショナリズム)
第5章 どんな女性?
第6章 戦争と青年と美しさ
第7章 血と性ーーアウトサイダーの役割
第8章 ファシズムとセクシュアリティ
第9章 結論ーー万人の道徳
モッセ著作集版解説(メアリー・ルイーズ・ロバーツ)
一九九六年の訳者あとがき(佐藤八寿子)
訳者解題(佐藤八寿子)
原註
人名索引
ジョージ・エリットからアンジェラ・カーターまで。身体/感情の二項対立を超え、両者の錯雑な関係の在り様を文学作品のなかに読む。
序章 身体と感情の二分法を越えて
1 ヒステリー症
第1章 『ダニエル・デロンダ』のねじれー「顔」が暴く豊穣なる亀裂
第2章 ギッシング小説におけるジェンダー化する身体への抵抗ー反流行文士とヒステリー症
2 荒野と都市
第3章 耳と目から読む『帰郷』-歌劇の舞台としての荒野
第4章 『ジキル博士とハイド氏』の優生学的身体ー人格と都市
3 モダニズム小説
第5章 『ダロウェイ夫人』の「ひきつり」-優生学言説と小説技法
第6章 越境する身体ー『ユリシーズ』の民族、女性、書物
4 欲動
第7章 『モーリス』の内なるホモフォビアー精神と身体の均衡に向けて
第8章 「赤ずきん」物語と身体性ー「狼たちの仲間」と内なる「狼」
歴史,哲学,文学,心理学等の分野の語彙を400近く収録。それがどのような背景をもっているか,それについてどういった議論がなされているのかを示した事典。
今、教育の現場で問題となっている、教科書で教えない性教育、セクシュアリティ教育、ジェンダー教育、LGBT問題に一石を投じた書。本書は、学校での性教育の役割が子どもの安全基地の確保となるために必要なものは何かを、さまざまな意見聴取や対話から明らかにしたもの。いま全国の高校では、文科省通達に従って保健や家庭科の科目の中で「性教育」を行っている。しかし教科書に沿って行われる「性教育」は、単なる避妊教育だったり、禁欲教育だったりして、「性」の最も重要な部分である人間の尊厳や、日々の暮らしでの自由と自立と「性」との関係について踏み込めていない。それは「性教育」に携わる現場の教員が痛切に感じていることである。試行錯誤を続けている教員から出てきた問いは五つ。1なぜ「性教育」が必要なのか、2セクシュアリティ教育が目指すもの、3生徒に何を伝えたいか、4生徒は何を知りたいか、5生徒の個人差についてーーこれらの問いに答えるために、本書では、「学歴」とともに分断二大要素の一つである「性」にフォーカスし、それを三つの視点から、「性の教育で必要なこと」(一つ目は学校で行われている文科省通達の「性教育」とそれに携わる現場教師の奮闘を座談会形式で、二つ目は助産師の語る性「出産と赤ちゃん」について、三つ目はLGBTQに関わる「性スペクトラム」について)を論じて見えてきた、子どもの成長に重大な影響を及ぼす「性教育」の在り方を浮き彫りにし、教科書では教えない、性教育の正しい知識とは何かを明らかにした書。今、教育の現場で問題となっている、セクシュアリティ教育、ジェンダー教育、LGBT問題に一石を投じた意欲作。
多様なセクシュアリティの人にとって、対人援助の場を安心・安全な空間としていくために。さまざまな現場で、セクシュアリティの視点を実践に活かす方途を探る。
ドイツ・ヴィルヘルム時代の市民社会における、ジェンダー秩序の生成、性の規範化プロセスとそれによる女性の管理、新しい性道徳の意義、を明らかにすることで、性と政治社会の関係性を考察し、現代におけるセクシュアリティをめぐる問題の理解・解決への手がかりとしたい。
序 章 セクシュアリティと政治
第1部 新しい性道徳の波紋
第1章 管理売春制度と廃娼運動
第2章 ヘレーネ・シュテッカーと堕胎論争
第3章 オット・グロースの「エロス論」がヴェーバー・サークルに与えた影響
補論1 女性作家 マルガレー・ベーメ
第4章 ドイツ社会民主党と性倫理ー1913年、「出産ストライキ」論争を中心に
補論2 錯綜するプロレタリア女性運動
第2部 性の二重道徳と法の支配ーバーデン大公国を例に
第5章 19世紀のバーデン自由主義ーフリードリヒ大公とバーデン立憲制
補論3 バーデン大公国の社会的特徴
第6章 バーデン大公妃ルイーゼと「バーデン女性連盟(BFV)」
第7章 バーデン大公国の管理売春制度にみる市民社会と政治の一側面
-公的娼家の閉鎖を求める請願書を例に
第8章 ヴィルヘルム時代の女給の問題化プロセス
-カミラ・イェリネックの女給運動を例に
補論4 1970年代東西ドイツにおける妊娠中絶をめぐる論争
終 章 ヴィルヘルム時代の新しい性道徳の意義
LGBTとSOGI(性的指向と性自認)に関する個票データによる初の本格的な実証分析のほか、日本人の初交経験の変遷、不倫行動の要因分析、セックスレスと若者の草食化まで、セクシュアリティを人口学的側面から検証。