性的マイノリティの権利獲得の歴史や「クィア理論」をふまえ、「性」の総体を考える。最新の「セクシュアリティ」がわかる!
「性」の世界を生物学や医学の分野ではなく、歴史・人類学・社会学など多分野の刺激的な見地から解説。著者たちに共通する精神分析は、一般的に大人のためとされているセクシュアリティを子供、むしろ幼児にまで広げている。淡い面からきわどいものまで変化に富んだ様相となっている。
生殖医療大国の日本において人権保護の観点から法制定と政策を考えることは喫緊の課題である。生殖医療の進展は、多様な人権の衝突、生命や家族概念の再考、将来の人類への影響等の課題を提起している。本書は生命・身体・セクシュアリティに関わる生殖医療、性別確認検査、健康権、母子保健、ゲノム編集、中絶、第三者の介入する生殖医療、フランスの代理懐胎を取り上げて考える。
包摂しつつ排除するーー台湾・韓国の徴兵制、中国性産業の政治化、アジアの生殖補助医療……同姓不婚、妻と妾の身分差など、規範の淵源たる中国古来の「家族」の変化を捉えつつ、多様な主体がせめぎ合う東アジアジェンダー秩序の未来を考える。
米国の宗教学者による水子供養の画期的論考、待望の邦訳。史料分析と現地調査により、大衆メディアの活用、徹底的な商業化、超宗派的な儀式の性格を多面的に描き、その根底にある女性差別、胎児中心主義的イデオロギーを暴き出す。
はじめに
序 性のあり方の多様性
第1部 日常生活の安心と生活保障
同性パートナーシップの公的承認
同性による法律婚の可能性
トランスジェンダーがおかれている社会の現状と課題
政治の現場から
第2部 平等な社会へ向けて
当事者の抱える事情と相談対応
教育現場で性的マイノリティについて考える必要性
企業研修
当事者の家族と友人をつなぐ
第3部 世界は今
性的自己決定権と性別変更要件の緩和
同性カップルによる家族形成と法制度の変容
国際人権法における性の多様性
おわりに
ジョージ・エリットからアンジェラ・カーターまで。身体/感情の二項対立を超え、両者の錯雑な関係の在り様を文学作品のなかに読む。
序章 身体と感情の二分法を越えて
1 ヒステリー症
第1章 『ダニエル・デロンダ』のねじれー「顔」が暴く豊穣なる亀裂
第2章 ギッシング小説におけるジェンダー化する身体への抵抗ー反流行文士とヒステリー症
2 荒野と都市
第3章 耳と目から読む『帰郷』-歌劇の舞台としての荒野
第4章 『ジキル博士とハイド氏』の優生学的身体ー人格と都市
3 モダニズム小説
第5章 『ダロウェイ夫人』の「ひきつり」-優生学言説と小説技法
第6章 越境する身体ー『ユリシーズ』の民族、女性、書物
4 欲動
第7章 『モーリス』の内なるホモフォビアー精神と身体の均衡に向けて
第8章 「赤ずきん」物語と身体性ー「狼たちの仲間」と内なる「狼」
すぐに解決できる「手立て」だけではなく、当事者の視点に立った「見立て」と「共感的理解」を学び合いたい。保護者・教員・施設職員からの相談支援事例28。
今、教育の現場で問題となっている、教科書で教えない性教育、セクシュアリティ教育、ジェンダー教育、LGBT問題に一石を投じた書。本書は、学校での性教育の役割が子どもの安全基地の確保となるために必要なものは何かを、さまざまな意見聴取や対話から明らかにしたもの。いま全国の高校では、文科省通達に従って保健や家庭科の科目の中で「性教育」を行っている。しかし教科書に沿って行われる「性教育」は、単なる避妊教育だったり、禁欲教育だったりして、「性」の最も重要な部分である人間の尊厳や、日々の暮らしでの自由と自立と「性」との関係について踏み込めていない。それは「性教育」に携わる現場の教員が痛切に感じていることである。試行錯誤を続けている教員から出てきた問いは五つ。1なぜ「性教育」が必要なのか、2セクシュアリティ教育が目指すもの、3生徒に何を伝えたいか、4生徒は何を知りたいか、5生徒の個人差についてーーこれらの問いに答えるために、本書では、「学歴」とともに分断二大要素の一つである「性」にフォーカスし、それを三つの視点から、「性の教育で必要なこと」(一つ目は学校で行われている文科省通達の「性教育」とそれに携わる現場教師の奮闘を座談会形式で、二つ目は助産師の語る性「出産と赤ちゃん」について、三つ目はLGBTQに関わる「性スペクトラム」について)を論じて見えてきた、子どもの成長に重大な影響を及ぼす「性教育」の在り方を浮き彫りにし、教科書では教えない、性教育の正しい知識とは何かを明らかにした書。今、教育の現場で問題となっている、セクシュアリティ教育、ジェンダー教育、LGBT問題に一石を投じた意欲作。
歴史,哲学,文学,心理学等の分野の語彙を400近く収録。それがどのような背景をもっているか,それについてどういった議論がなされているのかを示した事典。
ラブホテル、ダッチワイフ、ポスター・広告、アニメ、音楽など、東アジアに遍在するサブカルチャーの具体的なコンテンツを取り上げ、サブカルチャーを駆動させる性への欲望と、性への欲望を再生産するサブカルチャーの共犯関係を見定める。
まえがき 王向華[岸保行訳]
第1章 日本の歌謡界におけるテレサ・テンの“愛人”イメージの形成ーー華人社会におけるトウ麗君のイメージとの乖離 谷川建司
1 日本での第一期・演歌時代
2 日本での第二期・黄金時代ーーニューアダルト・ミュージック期
3 テレサ・テンの“愛人”イメージの背後にあるもの
4 日本におけるテレサ・テンのヒット曲の華人社会でのイメージ
第2章 日本の多様な韓流文化 李修京
1 韓流文化
2 インターネットの普及と韓流文化
3 韓流文化の人気が高まる前の日本
4 「韓流」(●●、Korean Waves)現象
5 中高年女性に支持された韓流文化
6 統計からみる韓流事情
7 韓流文化の課題
第3章 アジア・モダニティーー一九二〇-三〇年代の中国と日本のポスターに見る「新女性」のイメージ 呉咏梅
1 近代都市文化と消費社会の誕生
2 中日の商業ポスターに見る「新しい女性像」
第4章 日本のラブホテルの変遷ーー「貸間」名称の変容から 金益見
1 日本の貸間産業の変遷
2 「貸間」名称の成り立ち
第5章 被害者あるいは加害者?--戦後直後のアニメに見られる女性イメージと戦後社会新秩序の構築 潘文慧
1 女性ヒーローも母親もいない時代
2 「戦後直後アニメ」に隠された真実
第6章 ダッチワイフと「空気人形」 高月 靖
1 ドールマニアのなかでの位置づけ
2 ラブドールとは
3 ラブドールと少女
4 ラブドールへの欲望
徹底して子どもの現実に迫り、子どもへの関わり方・援助方法、性教育のポイントを明解に語る。年齢別・テーマ別性教育と科学的な基礎知識、具体的な場面を想定したQ&A、コラムなど、いま必要な内容を網羅。
「男/女」の規範に必ずしもあてはまらない文化がロシア文学のなかで花開いた「銀の時代」と呼ばれる時代が百年前にあった。本書では二十世紀初頭のロシアで都市のミドルクラスの女性たちに人気を博した三人の女性作家による女性向け大衆小説に着目し、これらの作品がいかなる方法を用いて非規範的な“性”のあり方を呈示し、「男/女」や「異性愛/同性愛」といったジェンダーやセクシュアリティに向き合ったのかを探っていく。小説のなかで既存の「男/女」の秩序におさまらない“性”の諸相がいかに示され、そうした表象を支える原理がいかなるものであったのか、当時の社会・文化的コンテクストを参照しつつ明らかにしていくと、彼女たちの小説のなかに豊穣な“性”文化が存在していたことが見えてくる。
LGBTとSOGI(性的指向と性自認)に関する個票データによる初の本格的な実証分析のほか、日本人の初交経験の変遷、不倫行動の要因分析、セックスレスと若者の草食化まで、セクシュアリティを人口学的側面から検証。
ことばにならないセックスを論じるに値するものとし、ジェンダーとセクシュアリティの謎に分け入り、身体と欲望から日本の現実を暴く。ひんしゅくを買うことを怖れない社会学者の好奇心に満ちた対論。
東アジアの性、家族、社会。何が変わり何が変わらなかったのか? 2000年代以降の状況を気鋭の研究者が新たな視角から切り込む。
東アジアの急激な少子化は20世紀には想像もつかないものであった。日本・韓国・台湾・中国・北朝鮮、これらの社会では、何が共通で、何が異なるのか、そして何が変わったのか。ジェンダーとセクシュアリティの側面から比較し、日本の「特殊性」をあぶり出す。最先端の研究が切り拓く日本の、そして東アジアの「性」をめぐる課題とは?
近代~現代のセクシュアルなポップカルチャー(生人形・モガファッション・海女写真・宝塚・ゴスロリ・SM雑誌)をモチーフに、私たちが「性」の表象・身体にどのようなまなざしを注いできたか、その生成と変遷を考察する。近年展覧会をきっかけに再注目されている江戸のマネキン・"生人形"や、2009年にブームを巻き起こした"海女"にも言及。時代・メディアを横断し、日本人の《セクシュアリティ》を問う。