差別と偏見について。
性別について。
性的少数者と社会の関わりについて。
近代社会原理の再確認をしながら、1990年代初頭に日本初のトランス系ネットコミュニティ「EON」を創立し、2003年「性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律」成立に携わった経験から、マジョリティとマイノリティが「対立」ではなく「和解」へと進むことを考察する。
はじめに 私はなぜ性を哲学するようになったのか
第1章 差別について
1. 差別とはなにか
2. 偏見とはなにか
3. 嫌悪とはなにか
4. 性的少数者はなぜ後ろめたいのか
第2章 性別について
1. 原型としての「男女」
2. 性的少数者における性別
3. 性別の変更について
第3章 近代社会原理の再確認
1. 近代社会思想の始まり
2. 自由と平等について
3. 民主主義について
第4章 性的少数者と社会
1. 特例法はいかに実現したか
2. 性差否定としてのジェンダーフリー
3. 政治的党派と性的少数者
4. 同性婚について
第5章 「対立の時代」から「和解の時代」へ
1. 実存と社会
2. 自分が変わる、世界が変わる
3. 温故創新 -新しい問題への対処
あとがき
残酷な事件のウラに「動物的本能」があった!?
・日本が世界一のセックスレス国である理由
・皇位継承問題
・ポリコレ
・勘違いによる誹謗中傷
・リベラリズムの根底にあるからくり
…etc.
現代社会の難題を動物行動学で解き明かす
人間は進化を経てようやく動物よりマシになっただけ!
第1章 動物行動学から見る人間の本性
第2章 日本と世界の動物的戦略
第3章 ニュースに見る人間の本能
第4章 日本人のDNAと皇室
【第170回 芥川賞候補作】
割りあてられた「男」という性別から解放され、高校の演劇部で人魚姫役を演じきった。
そんな真砂(まさご)が「女の子として生きようとすること」をやめざるをえなかったのはーー。
『人魚姫』を翻案したオリジナル脚本『姫と人魚姫』を高校の文化祭で上演することになり、人魚姫を演じることになった真砂は、個性豊かな演劇部のメンバーと議論を交わし劇をつくりあげていく。しかし数年後、大学生になった当時の部員たちに再演の話が舞い込むも、真砂は「主演は他をあたって」と固辞してしまい……。
自分で選んだはずの生き方、しかし選択肢なんてなかった生き方。
社会規範によって揺さぶられる若きたましいを痛切に映しだす、いま最も読みたいトランスジェンダーの物語。
【著者略歴】
川野芽生(かわの・めぐみ)
小説家・歌人・文学研究者。1991年神奈川県生まれ。東京大学大学院総合文化研究科在籍中。2018年に連作「Lilith」で第29回歌壇賞、21年に歌集『Lilith』で第65回現代歌人協会賞受賞。他の著書に、短編小説集『無垢なる花たちのためのユートピア』、掌編小説集『月面文字翻刻一例』、長編小説『奇病庭園』、エッセイ集『かわいいピンクの竜になる』がある。
職場とLGBT、企業とLGBTをめぐる諸問題は、労使ともに向き合っていかなければならない課題として、近年その認知を広めつつあります。そして、企業とLGBTに関する相談や質問のなかでもっとも多いのは、トランスジェンダーの従業員への対応に関する問い合わせです。多くの職場では対応経験がほとんどないため、人事担当者の方はもちろん、現場で直接接する上司や同僚の方々も、手さぐりで対応している様子が見てとれます。また、申し出をするトランスジェンダーの人々も、どこまで対応を求められるのか、誰にどう申し出ればよいのか、など、お困りであることも耳にします。
こうしたなか企画されたのが、本書『トランスジェンダーと職場環境ハンドブック』です。性科学・ジェンダー研究に取り組みトランスジェンダーに関する著書・訳書も刊行してきた大阪府立大学教授の東優子、LGBTを含めた誰もが働きやすい職場環境づくりのための研修やコンサルティングを行う特定非営利活動法人虹色ダイバーシティと、就職活動の支援など若い世代の問題を中心に活動している特定非営利活動法人ReBitが、共同して執筆にあたっています。三者が共同することで、国内外の研究やアクティビズムに基づく知見や多くの企業事例、実際に働いているトランスジェンダーの人々の声を収録することができました。
トランスジェンダーの人々から届いた声については、この機会を職場環境改善のチャンスとして捉え、前向きに対応してください。その企業にとって初めての申し出だとしても、従業員のなかで困っている人は、声をあげた方だけではないはずです。ぜひこの機会を、職場内における性別の取扱いを見直す機会にしていただければ、と思います。本書では、さまざまな対応事例を、具体的にご参照いただけるかたちで収録しています。ぜひ参考にしてください。
また、トランスジェンダーの人々には、働きやすい職場環境をあきらめないでほしい、と願います。職場には、従業員の働きやすい職場環境を整えていくことが、安全管理上の義務として求められています。そして、「多様性の尊重」は、「特別な権利」を認めることではなく、「基本的人権の保障」をめぐる問題です。困難のすべてを即座に解消することは難しいかもしれません。しかし、職場との話し合いにあたってのヒントは本書から得ることができます。
本書は、実用書としてぜひお手元においてください。LGBTであることで、あるいは何らかの少数派の属性を持っていることで、働くことをあきらめたりしなくてもよい社会をつくるために、活用してください。
第1章 LGBT・SOGIEの基礎知識
第2章 トランスジェンダー・性同一障害とはなにか
第3章 多様なトランスジェンダーの声
第4章 職場のLGBT対応
第5章 職場での性別移行支援
第6章 採用における配慮
第7章 企業の取組み
第8章 座談会 トランスジェンダーにとっても働きやすい職場って、どんな職場?
巻末資料
1 アンケート調査結果
2 参考文献・おすすめの書籍リスト
3 ミニ用語集
4 ヒアリングシート
なぜみずからの性別に違和感をいだくのか?どのようにして、割り当てられた性別とは異なる性同一性を形成していくのか?「ある性別として生きる」とはどういうことなのか考えてみたい、すべての人におくる一冊。
序章 「ある性別として生きる」とはどういうことかー新たな性別観呈示のために(多様な性に関する諸概念
本書の構成)
第1章 これまでの性別観はどのようにつくられてきたかー本書の背景(性別観をめぐる学校教育領域とマス・メディア領域の立場の違い
これまで性同一性は、何によって形成されると考えられてきたのか
遺伝と環境要因をつなぐ行動遺伝学研究
“病理”としての性的自己の非典型性)
第2章 研究1 双生児データによる性同一性障害傾向の発達メカニズム(小児期から成人期までの性同一性障害傾向の遺伝と環境の影響)
第3章 研究2 多様な性同一性の形成(性同一性の測定法
身体への医学的介入とジェンダー・アイデンティティの関連
典型的性役割とジェンダー・アイデンティティの関連
性的指向の諸側面
他者や社会からの受容とジェンダー・アイデンティティの関連
ストレスコーピング・スタイルとジェンダー・アイデンティティの関連
規定されないものとしてのジェンダー・アイデンティティ)
終章 これからの性別観ー総合考察(多次元モデルからみた性同一性
多様で流動的な性別のあり方)
自分を不完全な存在だと思い込み、自信を持てないまま社会生活を送るひとりのトランスジェンダー女性が新たな一歩を踏み出そうとするーー。
そんなささやかな物語を描いたショートムービー『片袖の魚』。
日常生活のなかで性自認・性同一性を巡り、さまざまな制約や悩みを抱えるトランスジェンダーが自分らしく生きられる社会にするために大切なことは、いったい何なのでしょうか。
『片袖の魚』を通して、トランスジェンダーが直面する課題について考えたいと思います。
第1章では映画『片袖の魚』をクィアの視点から読み解きます。第2章では「トランスジェンダー」とは何か? を知り、現実にトランスジェンダー当事者が社会に参加をしようとしたときに直面する様々な障壁について考えます。
第3章では再び映画へと戻り、主演イシヅカユウの魅力を文章と撮りおろしフォトによって表現。
映画『片袖の魚』から広がる波紋の輝きを書籍としてまとめました。
イントロダクション
ストーリー
第1章 映画『片袖の魚』
RED FISH/文月悠光
道徳の世界の道徳ならざる光 /李 琴峰
「不完全さ」を愛する人、クィア映画作家・東海林 毅 /久保 豊
映画に寄せられたコメント
第2章 歴史 点から線へ
トランスジェンダーの歩み /三橋順子
歴史を変えたトランスジェンダー/三橋順子
映画『片袖の魚』と、目につかせないことのリアリティ /清水晶子
トランスジェンダーにとっての就職/仕事/職場 /堀川 歩
鼎談 グラビアアイドルにトランスした、わたしがわたしであるために /広畑りか×山本宗宜×東海林 毅
「トランスジェンダー役はトランスジェンダー当事者の俳優に」という考えに対し僕が思うこと /東海林 毅
第3章 明日 あなたへ
漫画「幻日」 /新星エビマヨネーズ
“イシヅカユウ”という表現体 /長田杏奈
映画『片袖の魚』に寄せて /イシヅカユウ
イシヅカユウ フォトグラフィー
映画『片袖の魚』オールクレジット
性同一性障害からトランスジェンダーへ、よく知られる呼び名が変わっても、この国は性同一性障害の基準でできている。語られなかった事実、報道されなかった出来事、そこにいたはずのたくさんの人々......。これは、見えないようにされていたもの、見てこなかったものと向き合いつづけ、真摯に、丁寧に、しぼりだすように紡ぎだされた、ほんとうのトランスジェンダー史であり、あとから生まれてくる者たちのための書である。
トランスジェンダーの著者が、昭和末から平成の時代に新宿の女装バーへ通った日々の日記小説。性的マイノリティーへの理解が乏しかった時代に、苦しみ、悩みながらも仲間と出会い、自らの心のままに生きてきた体験をもとに書き上げた作品。偏見に満ちた世間の目をかいくぐりながらも、性をトランスすることでバイタリティーをもって、したたかに生きてきた人々がかつて存在したことを知ってほしい。
SNSで受けたトランスジェンダー排除発言への違和感をきっかけに「もっと知りたい」と取材を敢行。すべては「知ることから始まる」。
☆☆☆「普通」という言葉、使いづらくなってない?☆☆☆
LBGTQ関連の話をしていると、
「普通」という言葉が使いにくい、
という問題が出てきます。
たとえば「非当事者」という意味で「普通の人」というと、
途端に「じゃあ当事者は普通じゃないのか?」とクレームが入る…
おそらく容易に想像できると思います。
しかし、これが非当事者だけではなく、
当事者からの「使いにくい」という声であったら…
それでも反応は変わりませんか?
☆☆☆13歳でカミングアウト、15歳で起業、20歳で初出版☆☆☆
☆☆☆メディア注目の当事者による「やり過ぎ・足りな過ぎ」☆☆☆
著者は中学時代、制服のスカートを穿けなくなったことから、
市内で初めて男女同じ制服の改革のきっかけとなりました。
さらに15歳で起業し、現在は小学校〜大学までの教育機関のほか、
自治体、学会、大手企業にて講演をおこない、
「トランスジェンダー」や「LBGTQ」といった枠を超えて活動しています。
そんな著者による提言は「当事者からの本音」を通り越して、
非当事者の立場も尊重した非常にバランスがよく、
かつ斬新なモノばかりです。
・「LBGTQについて教育しなきゃ」は逆効果
・少数派に配慮していたらキリがない
・「男らしく、女らしく」の考えも多様性の一つ
・オーバーケアを至るところで感じる
・そもそも「LBGTQ」で括るのが間違い…
メディアでは「LBGTQの意見を尊重せよ」と声高に叫ばれがちですが、
著者は「違うと感じるものは違う」と主張し、真の意味で差別のない、
多様性社会の実現を目指しています。
若い人はトランスジェンダーやLBGTQ問題について、
本当はどう考えているのか、捉えているのかを知りたい…
そんな方にお勧めの1冊です。
【もくじ】
第1章 自分で生きにくくしている当事者たち
第2章 「思うようにいかない」のはみんな一緒
第3章 僕の仕事は「前例」をつくること
第4章 カミングアウトは本当に必要なの?
第5章 「トランスジェンダー」という言葉をなくすために
女性として生まれた著者。しかし心の性と体の性が一致せず、30歳の時に男性になる。ただ、外見は男性になったものの、社会で「男らしく」行動するとはどういうことか、かえって悩むことに。そこで、最も男らしいとされているボクシングの世界を見ることに決め、アマチュア・ボクシングのチャリティーマッチに思い切って応募する。「男らしさ」、そして「男性」とは何なのか? 男性としても、ボクサーとしてもまだ歩き始めたばかりの自己を見つめたノンフィクション。
男はなぜ闘うのか? 私は何と闘うのか?
ひとりのジャーナリストが、
身をもって経験した 「男らしさ」の意味。
......トランスジェンダーの物語は(略)たいてい、こんな幸せの象徴とともに締めくくられる。主人公の男女は、肉体的な変化を通して、「ついに本当の自分になりました」。いい話ではあるし、実際にそういった面もあるのだろう。(略)けれど私の物語はそこでは終わらない。終着点は、まだはるか遠くにある。
私は30歳で転身を果たした「男の初心者」で、私の体は人間という存在の真実を明かしている。(略)けれど自分の体になじめばなじむほど、その持ち主として期待されることへの居心地の悪さは深まった。(略)なぜ、男は闘うのか? 本書は、その答えを見つけるまでの物語だ。(本文より)
東大教授安冨歩先生は何故「女性装」の達人となったのか? ビフォア&アフターを知るパートナー・ふうちゃんの思いとは? 強烈な毒母体験、世間からの視線を乗り越えた二人の珍道中を鮮烈に漫画化!
男性特権にいかに向き合うか、「弱者男性」論は差別的か、自らの「痛み」を消さない男性学はあるかーー。
著者が近年さまざまな媒体で発表した、フェミニズムやトランスジェンダー、そしてメンズリブなどジェンダーに関わる重要な考察を一冊にまとめた、著者初の男性学批評集。
加害と疎外が複雑に絡み合う「男性問題」のジレンマを、丁寧に解きほぐす一冊。
◆目次◆
はじめにーーこれからの男性解放批評のために
【1】
男が男を省みるーー加害性と疎外の複雑なねじれ
「痛み」を消さない男性学を
男性特権にいかに向き合うか
澁谷知美+清田隆之編『どうして男はそうなんだろうか会議』を読む
【2】
私の性被害
村上春樹『女のいない男たち』を読む
村上春樹『街とその不確かな壁』を読む
「真の弱者は男性」「女性をあてがえ」--ネットで盛り上がる「弱者男性」論は差別的か?
インセルとは誰か?
批評と男性性ーー男性解放批評に向けて
渡部直己『子規的病牀批評序説』を読む
松浦理英子と男性解放批評
魯迅と暗黒男性批評
トランスジェンダー/フェミニズム/メンズリブーー『笙野頼子発禁小説集』に寄せて
日本的男性性とアパシーーー交差的な対抗運動のために
【3】
男性解放批評とは何か?--終わりに代えて
あとがき
◆著者略歴◆
杉田俊介 (すぎた しゅんすけ)
1975年生まれ。批評家。『フリーターにとって「自由」とは何か』(人文書院)でデビュー。以後、文芸評論や労働・貧困問題について著述。著書に『非モテの品格』『マジョリティ男性にとってまっとうさとは何か』(ともに集英社新書)、『男がつらい!』(ワニブックス)、『宮崎駿論』(NHKブックス)、『糖尿病の哲学』(作品社)など多数。差別問題を考える雑誌『対抗言論』(法政大学出版局)では編集委員を務める。
7年以上前に性別移行をした19名のトランス男性が、移行する前に知っておきたかった知恵を共有する手紙のコレクション。移行後の経験やそこから見える景色が語られることはこれまで少なかったうえ、男性とは何かの洞察に富む。
イントロダクション
兄弟たちへの手紙[メガン・М.ローアー]
メンターについて[ザンダー・ケッグ]
想定
推測[ジェイムソン・グリーン]
信じること[fAeギブソン]
準備ができていなくても
トランスボーイと社交ダンス[クリストファー・バティスタ]
初心者クラス[チェイス・ライアン・ジョイント]
父親になること[マルコム・ヒムシュート]
基本的なしくみ
親愛なるデイビッドへ[ルー・サリヴァン]
12歳になって[リード・ヴァンダーバーグ]
歩みながら学んだこと[アーロン・H.デヴォー]
この不完全な身体[アーロン・ラズ=リンク]
男として
嵐の中のロウソク[パトリック・М.キャラハン]
自分なりの男[エリオット・ブルーカー]
性別移行で失ったもの[ザンダー・ケッグ]
過去の女性としての人生の否定[C.T.ウィットリー]
ジェンダー戦争の良心的参戦拒否者[レイヴン・カルデラ]
そして月日は流れて
クラック競馬[タッカー・リーバマン]
私の人生、悪くない[ライル・ブレイク]
人生で一度だけ[キース・ジョセフソン]
雨の日も風の日もあった[エヴァン・アンダーソン]
振り返り
旅を楽しもう[マット・カイリー]
あとがき
解説ーーたったひとり、待ち侘びた時間へ[周司あきら]
寄稿者たち
その日、総務部長は社員に向けて一斉メールでカミングアウトした。「これからは女として生きていきます」。そして彼女が選んだ究極の二重生活とは?
自分らしく生きたい人に勇気を与える告白的ノンフィクション。
もうすぐ五十歳に手が届こうかという妻子もちのサラリーマン、会社では管理職。
男であることになんの疑問も持たずに生きてきたが、ふとしたきっかけで、女性になりたい自分に気づいた。最初は時折、女装して楽しむだけだったが、次第に女性として生きたいという気持ちを抑えられなくなっていく。
仕事をどうするのか、家庭をどうするのか…。微妙なバランスで家庭を壊すことなく、会社を辞めることなく、自分らしく生きる道を選ぶ。
会社での大胆なカミングアウト以降、毎日は大きく変わった。
朝、家を出るときは男装。そのまま近所のトランクルームに入り、女性服に着替え、メイクをする。仕事を終えると再びトランクルームに寄り、朝の服に着替えてメイクを落とし、帰宅する。そんな二重生活を続けている。
生まれた性と異なる性で生きる決意をしたトランスジェンダーが、それまでとほとんど変わらない社会生活を送ることはなかなか難しいという。著者は幸運でもあったが、多々困難も抱えている。
多様な性に直面する現代社会を生きる、一人のトランスジェンダーの体験記。
目次
プロローグ
第1章 初めての女装
第2章 綺麗になりたい
第3章 女性として生きていくなんて
第4章 全社にカミングアウト
第5章 外では女性、家では男性
第6章 毎日が性別越境
エピローグ
セクシュアル・マイノリティとは、同性愛、両性愛、性同一性障害など、典型的なセクシュアリティとは異なるセクシュアリティのあり方を示す人々のことをいう。セクシュアリティのありようが少数派であるがゆえに、偏見にさらされ、生きづらさを抱えることも多いため、セクシュアル・マイノリティの人たちの心理的支援へのニーズは、顕在化しにくいが多大にある。人口の数%程度を占めるといわれる彼・彼女らに、臨床の場においてもそうとは知らずに出会う可能性、もしくは出会っている可能性は大きい。多様なセクシュアリティを示す人々を理解し、受け止め、支えるための1冊。
からだは男、こころは女、性同一性障害の著者が、自分の居場所や生き方をゼロから築き上げてきた半生を綴る、知恵と勇気とユーモア溢れる物語。
現代に生きづらさを感じるすべての人々を元気づけ、ときにフッと微笑ませる。
前 夜 崩壊する時代ー男として生きた最後の日々
激震の大地/神戸炎上/生徒数奪回作戦/幼児教室の賭け/波動拳の怒り/北斗星、走る果て/裏切りの白い雲/雨中の逃亡者/秋桜に君と
第1章 再生へのスタートライン
お台場と出版企画書/飯田橋と三日月/春雨と女子更衣室/引っ越しと愛人疑惑/お花見と給料袋/
第2章 きっと忘れない
性同一性障害がオモシロくなった日/情報誌編集会議、出会いの7月/満咲誕生、出産の日/出版、そして生まれ変わる夏/鳥取への道/講演デビューの聖夜/千年紀の春、女どうしの友情
第3章 新世紀の挑戦
水着でプール!/姉にカミングアウト!/さらば秘密基地!/めざせセンター職員!/恩師にカミングアウト!/親子三人温泉旅行!/肉体改造の朝!
第4章 佐倉先生の謎
佐倉先生は独身?/佐倉先生は子持ち?/佐倉先生は女子大生?/佐倉先生は・・・・・男!?
第5章 制度という名の障壁をこえる
郵便貯金の口座を作るには/税務署で確定申告をするには/健康保険証をもって医者に行くには/親戚のお葬式に出るには/投票整理券をもって選挙に行くには/市役所に届け出るだけで名前を変えるには/パスポートでレンタル会員になるには/運転免許書センターとケンカするには/保育園で「お母さん」と呼ばれるには
第6章 女子大生になる日
同窓会報の春/「女どうし」の再会/さよなら佐倉理美/台湾、女一人旅/女子大受験計画/阪大入試、千里丘陵の秋/性別二元論の逆襲/さくらの花の咲く午後