性別転換生活を選んだが故におこる数々の驚異体験をユーモラスに綴る。性同一性障害がよく分かる本。
スーパードクターなんか、いない。医者だって迷う。医者だって悩む。怒ることもあるし、泣きたくなるときもあった。絶望しかけたことだってある。それでも走ってきた。仲間がいたから、走り続けてこられた。十年間走り続けて、周囲の景色はまだ変わらない。それでも、また走りだす。
セクシュアル・マイノリティとは、同性愛、両性愛、性同一性障害など、典型的なセクシュアリティとは異なるセクシュアリティのあり方を示す人々のことをいう。セクシュアリティのありようが少数派であるがゆえに、偏見にさらされ、生きづらさを抱えることも多いため、セクシュアル・マイノリティの人たちの心理的支援へのニーズは、顕在化しにくいが多大にある。人口の数%程度を占めるといわれる彼・彼女らに、臨床の場においてもそうとは知らずに出会う可能性、もしくは出会っている可能性は大きい。多様なセクシュアリティを示す人々を理解し、受け止め、支えるための1冊。
当事者が語る「現実」-幼少期のいじめ・普通の結婚ができない・将来への絶望・同じ苦しみを抱えた親友の自死・激痛に悩まされた「胸オペ」・ホルモン注射の副作用。
DV防止などの社会活動に取り組む弁護士でもある著者が、その実体験を交えて、自己回復までの道のりと、社会全体の取り組みをわかりやすい内容で説明し、レイプなどの性暴力被害者が示す典型的な解離反応に関しても深い示唆を与えてくれる。トラウマのサバイバー、支援者、性暴力や虐待問題に関心を持つすべての人の心に届く本であり、生きづらさを覚える万人のための応援歌となる一冊でもある。
著者オルガ・トゥルヒーヨは、品位と勇気をもって生きるとはどういうことか、その本当の意味を私たちに再認識させてくれる。家族によって加えられた残酷で不幸な性的虐待にもかかわらず、オルガが生きのびてきた物語は読むものすべての心を打つものであり、我々すべてを励ましてくれるものである。
ーーロザリンド・ワイズマン(作家)
読者の方々へ
謝辞
はじめに
第一部 生き抜くための忘却
第二部 暗闇から見えてきたこと
第三部 開かれたドア
第四部 逃げないことを学ぶ
おわりに
解説 立命館大学教授 村本邦子
訳者あとがき
カミングアウトから40年。還暦を迎えた性同一性障害(FTM)の著者が、日々の出来事を十数年にわたって書き綴ったエッセイ集。自分が自分らしくあるために、これからもありのままの姿で生きていく。
性同一性障害をめぐる論点の白地図を埋める
第1章 総論 性同一性障害
第2章 性別に違和感を抱える人びとは特例法をどう受け止めたのか
第3章 「言いたかったこと」を探る
第4章 性同一性障害を抱える人びとの見解(1)
第5章 性同一性障害を抱える人びとの見解(2)
第6章 「金八」放送以降の知識の広まりは何をもたらしたか
第7章 当事者主権と「間違う権利」
第8章 間違う権利
第9章 創られる「争点」、消される〈争点〉
第10章 性同一性障害特例法の再評価
終章 性同一性障害の何が問題か
性同一性障害者性別取扱特例法制定ならびに改正法成立に貢献した元参議院議員の南野知惠子氏を筆頭に、医療・看護・法律・教育・行政の各領域最先端の執筆陣により、現状と課題および対応について網羅している。専門職者にとっての指南書。
第一部は、“大震災と原発事故”を背景にした上嶋守と79歳で念願を果して女性になった矢矧章子の記録。第二部では医学・法律・子どもの世界・欧米の動向等「性同一性障害」の直面している課題に迫る。男・女を取り戻すドキュメント。
発達障害を支援するすべてのひとへー精神科医、小児科医がおくる診察室からのメッセージ。
解離性同一性障害をテーマにした「小説」と「随筆」の二部構成です。
この小説の最大の魅力は、長年、著者本人が『解離性同一性障害』という症状を抱えて生きてきたということでしょう。
どんなに優秀なインタビュアーが取材をしたとしても、同じような症状を持つ人たちの苦悩を“完全に”共有できることは不可能です。
しかし、この書籍では著者本人が解離性同一性障害という症状を抱えながら生きていくなかで、培ってきた“生き方”や“人生観”をリアルに感じることが出来ます。
小説部に関しては、解離性同一性障害という悩みを解決したり、それを和らげたりするストーリーではありません。
解離性同一性障害と共存する夏子の“普通の女の子”としての生き方(姿)を見てもらいたいと思います。
複雑に心が揺れる恋愛小説。
解離性同一性障害を抱えながら生きていく夏子の不思議な魅力に引き寄せられていく伊住と、その恋人の亜紀、同僚である玉田の恋愛ストーリーが描かれています。
伊住は夏子との出会いによって「解離性同一性障害」という言葉を知ることになります。
決して、その症状に興味を持ったわけではなく、ひとりの女性として受け入れていく伊住の紳士的な部分と矛盾(葛藤)がリアルに感じられます。
おそらく、読者の皆さまでも「解離性同一性障害」という言葉を初めて耳にする方もいるかと思います。
解離性同一性障害、一般的に知られている言葉としては『多重人格』と言われたら、イメージできる人も多いかもしれません。
一人のなかに複数の人格を持ち、何かしらのキッカケで別人格が現れる(人格交代)症状を持つ人たちが存在します。
随筆部に関しては、解離性同一性障害と共存してきた著者本人がご自身の体験をもとに表現しております。
もちろん、一括りに「解離性同一性障害」と言っても、その症状は様々で、一概にこのような症状だとは言い切れない部分が多くあります。
その点で言えば、著者の経験と全く同じだという人は少ないかもしれません。
しかし、“似たような”体験や悩みを持つ人にとっては「自分だけではない」という安心感を感じていただけると思います。
著者より「幸いにも、この本が、同じような症状と向き合うその人らしいやり方の発見に繋がるヒントに、一つでもなれるとしましたら、私自身の心からの喜びに他なりません」
1セメスターで学ぶことの多い教職課程のための日本国憲法。教職で憲法を学ぶ意味は何か。必要とされる人権感覚を培うために、人権論を中心に論述する、法学部以外の学生も理解できる憲法学のエッセンス。改訂5版では、いじめ、住民自治、生活困窮者自立支援法、旧優生保護法、デジタル・タトゥ、日本学術会議法、信教の自由などの内容に関して加筆修正した。
第1話 オリエンテーション 法の世界への誘い
1 人間社会
2 社会規範と当為
3 社会規範としての法
4 法の学び方
第2話 憲法と日本国憲法
1 憲法の概念
2 日本国憲法の特質
第3話 人権の設計図
1 憲法上保障される基本的人権
2 人権主体と範囲
第4話 法の下の平等
1 法の下の平等と平等の意味
2 判例の動向
3 憲法と新たな家族観
第5話 精神的自由(1) 思想・良心の自由、信教の自由、学問の自由
1 思想・良心の自由
2 信教の自由
3 学問の自由
第6話 精神的自由(2) 表現の自由
1 表現の自由の意義
2 表現の自由の類型と規制論拠
3 報道の自由と知る権利
4 プライバシーの権利
第7話 経済的自由
1 経済的自由の意義
2 職業選択の自由と仕事の価値
3 財産権の保障
第8話 人身の自由
1 起訴前手続
2 被告人の権利保障
3 犯罪被害者の権利
第9話 生存権と労働基本権
1 社会権の意義
2 生存権
3 労働基本権
4 公務員の政治的行為の禁止
第10話 教育権
1 公教育
2 憲法26条の意義
3 教科書問題
4 教育の憲法問題
第11話 平和主義
1 戦争の違法化の歴史
2 憲法9条の意義
3 自衛隊と日米安保条約の憲法適合性問題
4 自衛隊活動の拡大化
5 平和と人権
第12話 国会
1 権力分立
2 国会の地位
3 国会の権能
4 議院の権能
5 国会の活動
第13話 国会と内閣/議院内閣制
1 国民代表と選挙
2 選挙制度
3 議院内閣制
4 内閣の権能
第14話 裁判所
1 司法権の意味
2 司法権の独立
3 違憲審査制
4 裁判員制度
第15話 地方自治
1 地方自治の意義
2 地方自治の制度
3 地方自治体の条例制定権
4 住民投票
補 講 日本国憲法の課題 未来への展望
1 象徴天皇制
2 憲法改正
3 憲法環境の変化
4 創造と想像
憲法学習参考文献一覧
資料・教育関係重要文書
教育ニ関スル勅語
教育勅語等排除に関する決議
教育勅語等の失効確認に関する決議
1947年旧教育基本法
人間ははたして男と女の二つに区分できるのか。身体は男、心は女の人。身体は女、心は男の人をどう考えるべきか。精神科医から性同一性障害と認定された食品販売会社勤務の中堅社員と、その妻と子ども二人がたどった魂の遍歴。文明の狭間を突く純文学作品の感動の物語。男と女の次元でなく、それを越えた存在として生きたい…。
幼い頃から自分の身体に違和感をもっていた著者は,27歳のとき「男性」として生きることをやめ,やがて「女性」として暮らすようになった.今,さまざまな困難を抱える人々の声を聴き,見過ごされがちな問題を可視化するために発言を続ける.誰もが自分らしくのびやかに暮らせる「寛容な社会」を創るための熱いメッセージ.
はじめに──いくつものボーダーを越えて
第1章 「私の戸籍は男性です」──政治家になった
1 顔を見せて訴えなければ
2 手探りの選挙活動
3 変わってゆく街の空気
第2章 私は誰?──性を見つめて
1 仲良しは女の子
2 第二次性徴
3 孤独感と罪悪感の中で
4 サラリーマン時代
5 「もうごまかせない」
第3章 性を移行する──居場所を探して
1 初めて仲間に出会う
2 性を移行する
3 「女性」としての暮らし
4 社会保障制度が使えない
5 司法への絶望
第4章 性別変更に道を拓く──「性同一性障害者特例法」の成立をめぐって
1 議員立法の知らせ
2 国会のルール
3 特例法の成立
4 なお残る課題
第5章 ちいさな声、声にならない声──当事者のニーズを掘り起こす
1 「常識」を疑うことから
2 一万五六〇〇人の「外国人」
3 七〇〇人の「オストメイト」
4 ひとり親家庭の実態
5 要約筆記と手話
6 失語症会話パートナーの養成
7 バラバラの「点字ブロック」
8 政策決定の現場で
第6章 沈黙から発言へ──「変える」方法
1 沈黙は「存在しない」こと
2 自己肯定感をもつ
3 確実に声をとどけるために
4 権利意識の危うさ
5 嫌がらせに負けない方法
第7章 「フツウ」って何だろう──寛容な社会とは
1 ボーダーライン、この恣意的なもの
2 性的少数者のいま
3 「フツウ」って何だろう
あとがき
◆もっと詳しく知りたい人のために
性の違和感に苦しみながらも、保育士の夢に向かって、ひたむきに歩んできた「私」は、家族や友人の深い愛に支えられて「僕」としての本当の人生を手に入れた。諦めない強さを教えてくれる希望に満ちた半生記。第4回幻冬舎・フジテレビ共催感動ノンフィクション大賞大賞受賞作。
山登敬之
発達の道のりは「これでいいのだ!」の連続の続きなのだ!!
「天才バカボン」
摂食障害を越えて
「少女」
「性同一性障害」は二丁目のおかまを救ったか
「DESIRE-情熱ー」
斎藤 環
「中心気質者」にとって「自由」とは何か?
「トランジスタ・ラジオ」
アイドルが“解離”するとき
「失恋記念日」
「無敵」のロックンロール!
「友達なんていらない死ね」
松本俊彦
薬物依存のことを隠さないで
「ステップUP↑」
中年男性のうつ・自殺予防のヒント
「ま、いいや」
だましだまされアルコール依存症
「サヨナラCOLOR」
井上祐紀
あばれはっちゃくの生きづらさ
「タンゴむりすんな!」
こころの安全基地としてのTM NETWORK
「Get Wild」
トラウマを抱える子どもを支えるオト・コトバ
「Something Jobim〜光る道〜」
井原 裕
対象喪失後も人生は続く
「遠野物語」
親不孝息子から母へ
「ANAK(息子)」
北山修を振り返る
「風」
春日武彦
統合失調症に似合うロック、なんてあり得るのか?
「昆虫ロック」
アルファロメオと強迫症状
「ケッペキにいさん」
ストーカーにおける嫌われ者の美学
「逃ガサナイ」